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「宇宙刑事シャリバン」 第51話「赤射・蒸着」 後編



 第51話「赤射・蒸着」(1984年2月24日)
 の続きです。

 幻夢界に引き摺り込まれ、そこから出られなくなってしまった電と烈。

 だが、進退窮まった二人の前に、忽然と「聖なる者」が姿を見せる。

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 聖なる者「若者よ、コンパスが導く先に幻夢城がある」
 電「お尋ねします。何故イガクリスタルを守って頂けなかったのですか?」
 聖なる者「幻夢城へ行けば分かる」
 烈「聖なる者とは?」
 電「その正体は?」
 烈「正解はCMの後で!」

 「コンパス」が、具体的などんな物なのか分からなかったが、時間もないことだし、二人はなんとなくサイコゾーンを抜けて、遂に幻夢城の玉座の間へ到達する。

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 サイコ「来たか、小僧ども」
 電「魔王サイコ!」
 烈「行くぞぉ!」
 サイコ「生きては帰れんぞ。ドクター・ポルター、エネルギー発生装置を作動させろ」

 別の場所にいるポルターがイガクリスタルのエネルギーを取り込む装置を作動させようとするが、その瞬間、イガクリスタルそのものがパッと煙のように消えてしまう。

 ポルターとミスアクマ1、宇宙刑事の侵入を知って玉座の間に駆けつける。

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 ポルター「おにょれーっ、こんなところまで!」

 別に彼女たちが戦う必要はないと思うが、ポルターは電と、ミスアクマ1は烈に向かって行く。

 時代劇のラス殺陣でも、主役(ほぼ殺人鬼)は女のワルモノは直接手に掛けないものだが、宇宙刑事はそんな心のゆとりはなく、それぞれブレードで相手のお腹をブスリと突き刺す。

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 ポルター「くぅ……あ、ああ……」

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 ポルター「うううわぁぁぁっ!」

 ポルター、形相凄まじく絶叫する。ここの吉岡ひとみさん渾身の演技は見物である。

 もっとも、致命傷を負ってから本気になっても証文の出し遅れで、

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 ポルターとミスアクマ1、仲良く爆死して未婚のまま生涯を閉じる。ご苦労様でした!

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 魔王サイコとサイコラー、電と烈、しばらく無言で睨み合う四者の、何とも言えない緊張感がたまらない。

 お経をシンセサイザーで演奏しているようなBGMも、実に雰囲気がある。

 やがてサイコラーが二本の剣を構え、ラストバトル開始!

 予想されたことだが、サイコラー一体にさえ苦戦していた二人は、魔王サイコとサイコラー相手に劣勢となる。

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 魔王サイコ、二本の短剣を交差させ、

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 ビームを鞭のように放射して、二人の体を縛り上げ、宙に吊り上げる。

 恐らく、まともに戦ってはまず勝ち目はなかっただろう。そう言う意味では、魔王サイコ、「宇宙刑事ギャバン」のドン・ホラーを遥かに凌ぐパワーの持ち主と言えよう。

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 電、困った時の「聖なる剣」頼みで、「聖なる剣」を引き寄せ、魔王サイコに投じて電光のロープから逃れる。

 しかし、今度は魔王サイコの強力な念動波で壁に押し付けられ、

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 そこへ魔王サイコの左右に浮かんでいたエネルギー球体がコンバットスーツに張り付き、高圧電流を流してそのメカを破壊しようとする。

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 魔王サイコ「お前たちの負けだ!」

 堂々の勝利宣言をする魔王サイコ。

 この時、城内にイガクリスタルがなければ、その言葉は現実のものとなっていただろう。

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 電「負けるものか、俺は負けんぞ~!」

 口だけは達者だが、気合だけではどうにもならない。やがて視界がぼやけ、力尽きてその場に崩れ落ちる電と烈。

 と、彼らの目の前に、イガクリスタルが忽然と現れる。

 イガクリスタルは、エネルギー球体を吸い取り、魔王サイコの電子頭脳のパワーをも半減させる。

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 「こんな筈じゃなかった」的状況に、思わず両手に持つ短剣を落とす魔王サイコ。

 究極の力を得ようとして苦労して手に入れたイガクリスタルの為に、土壇場で力を奪われるとは、実に皮肉な展開である。

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 二人は立ち上がり、それぞれブレードを構える。

 電「聖なる者はこの時の為に!」

 電、初めて「聖なる者」の深謀遠慮を知る。

 電が「聖なる剣」を投げつけ、魔王サイコの胸部に刺す。
 その隙に、電と烈の必殺技がスパークする。

 烈「一緒に撃つんだ」
 電「はいっ」

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 二人は同時に突進し、烈がサイコラー、電が魔王サイコの体をそれぞれレーザーブレードで貫く。

 そして、それぞれの必殺技でフィニッシュを決める。

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 烈「ギャバンダイナミック!」

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 電「シャリバンクラッシュ!」

 二人はすぐに幻夢城から脱出する。

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 激しく爆発する玉座の間に、魔王サイコのむくろが虚しく横たわる。

 ちょっと可愛い……。

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 魔王サイコの電子頭脳が破壊されると共に、威容を誇った悪のシンボル・幻夢城もあっけなく崩壊する。

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 現実世界へ戻った二人、美しい夕日を浴びながら、しばしの感慨に耽る。

 電「隊長!」
 烈「うん」

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 戦いが終わり、再び富士山をバックに集結している電、みゆき、イガ戦士たち。

 電「マドーは滅びた」
 みゆき「イガ星へ行けるのね、私たち」

 今は亡きベル・ヘレンが作ったイガ星の旗を見上げ、勝利の喜びと平和の到来を噛み締める面々。

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 電「隊長!」
 烈「これからが大変だぞ」
 電「覚悟しています!」
 リリィ「緑溢れる惑星にしてね」
 電「ああ、地球より住みよい星にするよ」

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 ミミー「遊びに行くわね、シャリバン」
 電「ええ、大歓迎します」
 烈「一人旅は困るぜ」
 ミミー「ギャバンと一緒に行くモン!」
 烈「俺はね、とっても忙しいの!」
 ミミー「いぢわる!」

 ミミー、烈の腕を思いっきりつねる。

 烈「い、痛い! い、いたたたたた……」

 二人の「痴話喧嘩」に、ドッと笑い声を立てるみゆき、イガ戦士たち。

 今回、マリーンは一応顔を出しているのだが、台詞は一切なく、なんとなく元気がないし、化粧のノリも悪い。名代杏子さん、風邪でも引いていたのかもしれない。

 コム長官は、イガ星再興へ旅立つ電へのはなむけとして電を新たにイガ星地区担当の宇宙刑事に任命するのだった。

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 次のシーンでは早くも電とみゆき、イガ戦士たちはグランドバースに乗り込んでいる。

 機内には、イガ星で繁殖させる為の小鳥や犬も一緒に運び込まれていた。

 強制的に他の惑星に連れて行かれるワンコたちが不憫でならない……。

 みゆき「ねえ、シャリバン、付いて来てくれるかしら、イガクリスタルは?」
 電「付いて来てくれるさ。……たとえイガクリスタルはなくとも、みんなで力を合わせれば……」

 そう言えば、結局、みゆきって、さほど重要なキャラクターでもなかったね。

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 電とイガ戦士たちは、それぞれの持つイガ獅子をかたどったペンダントを取り出し、重ね合わせる。

 志半ばで散ったヘレンとビリーの分も、電が持っている。

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 すると、ペンダントが青く輝き、そこから発せられた光が飛んでいき、モニターの右側に「聖なる者」の形になって現れる。続いて、左側に幻夢城から消えたままだったイガクリスタルが出現する。

 「聖なる者」とイガクリスタルは合体し、パッと消える。

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 電「守護神なんだ、聖なる者は守護神なんだ、イガ星の」
 みゆき「イガ星のすごしん?」
 電「きっとそうだ、きっと……」

 電が疑問に思っていた「聖なる者」の正体は、「イガ星の守護神」だったと言う、平凡な結論に落ち着く。

 欲を言えば、「海坊主」と同じくらい、「聖なる者」の正体についてもあっと驚くような意外な事実を用意して欲しかった。「コム長官だった」「電の父親だった」「小次郎さんだった」「ハンターキラーだった」「モロボシ・ダンだった」「ただの酔っ払いだった」等等、なんでもいいから。

 やがて、遠ざかっていく地球に、手を振って別れを告げる少女たち。

 このタイミングでOP(2番)が流れ出す。

 Hey Boy!
 この地球、緑の大地に生きている、育ってる命は仲間さ

 付いて来いよ付いて来いよ
 戦おうぜ
 付いて来いよ付いて来いよ
 誰かの為に~♪

 うう、ここでこの曲を耳にすると、じわじわっと来るなぁ。

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 電、ひとり操縦席に戻ると、地球での様々な出会いと別れを思い返していた。

 本当の勇気を教えてくれた父、優しさを教えてくれた母、
 非業の死を遂げた同志ビリー、同志ヘレン。

 勝平、

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 千秋……最後の最後にこのシーンをチョイスしてくれたスタッフに敬礼!

 小次郎さん、千恵、明、そしてリリィ……

 電「今頃何してるかなぁ、リリィ?」

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 そのリリィ、何故か電には同行せず(……まぁ、彼女はイガ星人じゃないので当然といえば当然だが)、ひとり地球に残ってグランドバースを見上げる。

 リリィ(私も行きたかった、イガ星に!)

 あくまで彼女は宇宙刑事であり、電より仕事を選んだと言うことなのだろう。
 ……と言っても、電は引き続きイガ星の宇宙刑事でもある訳で、リリィも一緒に行っても問題なかった気もするけどね。しかし、独立独歩の女性であるリリィにはふさわしい選択と言えるだろう。

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 電(子供たちに笑顔が溢れる星にしたい……花が咲き乱れ、小鳥達が囀る星にしたい……平和な惑星にしたい!)
 電「ワープ!」

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 ナレ「宇宙刑事シャリバンとイガ戦士たちはイガ星を目指し、旅立って行った。夢と希望の待つイガ星へ!」

 地球から遠ざかるグランドバースの姿を映しつつ、「おわり」となる。

 余談だが、この数十年後、「宇宙刑事シャリバン NEXT GENERATION」と言う新作が作られるが、その中で電が見事にイガ星再興を成し遂げたことが分かる。

 ……と言う訳で、これにて「宇宙刑事シャリバン」のレビューは終了です。

 長い間のご愛読、ありがとうございました!


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コメント

Re[1]:「宇宙刑事シャリバン」 第51話「赤射・蒸着」 後編(05/06)  

影の王子様
>「宇宙刑事シャリバン」のレヴュー、本当にありがとうございました。

こちらこそ、毎回のコメントありがとうございました。

>しかし「シャリバン」は傑作ですね。
>まず、渡氏もシャリバンも最高にカッコ良いし、脚本は駄作が少ないし
>演出も盛大に盛り上がってました。

そうですね。三部作の中では最も完成度が高いと思います。何と言っても、あの遠大な伏線に参りました。

>次作「シャイダー」でその「ノリ」を期待した私は「はぐらかされ」ることになりましたが
>この最近、ようやく「シャイダー」の良さが分かってきました。

私も全く同じ意見です。

>「シャイダー」のレヴューも期待しています!!

現在、その1話を書いてるところです。
書いても書いても終わらないので泣きそうです。

Re:「宇宙刑事シャリバン」 第51話「赤射・蒸着」 後編(05/06)  

尺の都合で仕方ないけど、戦い終えた電が勝平一家に別れを告げるシーンがあれば・・・
前作の最終回で豪介に「あいつはクビだ」と言われた烈に対して
電はひたすら真面目に勤務して、家族ぐるみの付き合いだっただけに・・・

またまた配信でほぼ全話観ましたが、女性キャストの水準の高さをあらためて認識しました。
ポルターの吉岡さん、リリィの降矢さん、千明の中川さんのメイン3人がいずれも美形なのが◎
い~やぁ、歳取ると女性キャストばっかし凝視しちゅうんですよ!


Re[1]:「宇宙刑事シャリバン」 第51話「赤射・蒸着」 後編(05/06)  

影の王子様
>尺の都合で仕方ないけど、戦い終えた電が勝平一家に別れを告げるシーンがあれば・・・

確かに何もなかったのは寂しいですよね。

Re:三大ダブルヒーロー!!  

このお話でのシャリバンとギャバンの「ダブル宇宙刑事」の共演は、僕的には正に「ダブルライダー」、「ダブルマジンガー」と並ぶ三大ダブルヒーローと言っても過言ではないものです!!本郷と一文字のダブル変身、「グレートマジンガー」終盤での兜甲児のパイルダーオン&剣鉄也のファイアーオンにも負けないかっこよさがギャバンの蒸着&シャリバンの赤射にはあります。
更にダブルライダーに反撃する様子も見せず二つのバケモノ顔(蛇だらけ顔と一つ目顔)を晒して自爆してしまったゲルショッカー首領や万能要塞デモ二カごとダブルマジンガーたちに爆殺されてしまった地獄大元帥とは異なり、イガクリスタル降臨までシャリバンとギャバンを徹底的にやり込めたサイコ&サイコラーは、「宇宙刑事シリーズ」のみならず上記に挙げた三大ダブルヒーローの中でも最強の対戦相手と言えるでしょう!!

Re:祭り果てての寂しさよ。  

でも戦いを終えた後、みゆきさんたち同志とイガ星へ旅立っていくシャリバンを、海風に髪をなびかせながら一人っきりで見送るリリィを観ていると
「祭り果てての寂しさよ。」
と言う気持ちが込み上げてきます。彼女のかっこいい制服姿もこの時ばかりは物憂げに見えます。一方で、コム長官は当分マドー級の悪党が地球に現れるまいと考え地球の守りは暫くはリリィ一人でも大丈夫だろうと判断したのでしょうがまさかのフーマ登場に急遽シャイダーと入れ替わりになったのでしょうか?引き継ぎの際
「心配いりませんよ、リリィ先輩!地球の事も、アニーの事もっ!!」
と胸を張るシャイダーに
「違うわよ。アニーの事は心配いらないの。心配なのはあなたの方よ。」
とリリィに痛い処を突かれ思わずズッコケるシャイダーと反対にそれを見てちょっぴり
「~♪」
となるアニーを想像すると可笑しいです(笑)

Re[1]:祭り果てての寂しさよ。(05/06)  

笑太郎様

長文コメントありがとうございます。

自分は配信は見てないのですが、なかなか盛り上がったみたいですね。

>でも戦いを終えた後、みゆきさんたち同志とイガ星へ旅立っていくシャリバンを、海風に髪をなびかせながら一人っきりで見送るリリィを観ていると
「祭り果てての寂しさよ。」
と言う気持ちが込み上げてきます。

確かに相棒がひとりだけ残ると言うのは、ちょっと寂し過ぎますね。どうせならリリィも一緒に行かせてやればよかったのに>スタッフ

Re:「宇宙刑事シャリバン」 第51話「赤射・蒸着」 後編(05/06)  

こうしてみるとリリィだけは地球に残る事を選択したようですね😅“私もイガ星に行きたかった”と
言う台詞が哀愁を掻き立てるようですね

Re[1]:「宇宙刑事シャリバン」 第51話「赤射・蒸着」 後編(05/06)  

ふて猫様

一緒に行けば良いのにと思いました。

サイコ&サイコラー墜つ…

こんばんは。当時の一部スチールでは、サイコが玉座から立ち上がった姿が撮影されていました。個人的には、直接サイコの戦闘シーンがある50話&51話にてサイコが実際に立ち上がって戦う描写があった方が良かった気がします。

そして、サイコの声を担当した飯塚昭三さんですが、前作「ギャバン」にて病気でドン・ホラーの声役を中途降板した後に本作で復帰したのですが、序盤は回復しきっていなかったのか、声にエフェクトをかけてごく少数のセリフと唸り声だけでの演技でした。当時の東映、せめてドン・ホラー役の後任を務めた渡部猛さんか、史実では「NEXT GENERATION」にてナレーションを務めた小林清志さん、史実では宇宙刑事シリーズには未出演の加藤精三・清川元夢・田中信夫・岡部政明各氏のいずれかあたりに担当させた方が良かったのでは、とも思いました。

Re: サイコ&サイコラー墜つ…

こんばんは。

> そして、サイコの声を担当した飯塚昭三さんですが、前作「ギャバン」にて病気でドン・ホラーの声役を中途降板した後に本作で復帰したのですが、序盤は回復しきっていなかったのか、声にエフェクトをかけてごく少数のセリフと唸り声だけでの演技でした。

そうなんですか。知らなかったです。

そう言えば、なんとなく弱々しい気もしました。

また会う日まで

シャリバンは魔王サイコを倒した後イガ星に帰ったんですねでもいつか地球に帰ってきてくれる日を楽しみにしていますありがとうシャリバン

Re: また会う日まで

感動的なフィナーレでしたね。

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