第120話「秘薬の謎をあばけ」(1977年1月11日)
今回もストーリーは特に面白くない。労咳に効くと言う高価な特効薬にまつわる話だが、それを売ってぼろ儲けしている悪徳医者をコム長官の西沢利明さん、その弟子を「キカイダー01」の池田駿介さんが演じている。

さらに、労咳の妻を持つ浪人を佐原健二さん、彼がその薬を買う為に金を借りに行った先の友人が、中山昭二さんと言う、「セブン」のタケナカ参謀とキリヤマ隊長の共演が実現!
二人とも時代劇では悪役が多いのだが、今回はどちらもエエモンである。
ちなみに浪人の妻は刀舟の患者なのだが、刀舟は彼女に「青汁」を勧めている。「青汁」って江戸時代からあったのか。
無論、悪徳医者が売ってる薬なので、その正体は何の効き目もないまがい物であった。刀舟と大介は苦労してその成分を分析するが、悪徳医者の弟子が良心の呵責に耐えかねて医者の下から逃げ出し、刀舟のところへ転がり込んでくる。
色々あって浪人も殺され、刀舟の怒りが爆発する。

白昼堂々、黒幕である旗本か何かの屋敷に乗り込み、まずは悪徳医者をばっさり斬る。
刀舟「てめえらに用はねえんだ!」
ワルモノ(田中浩)「貴様、何者だ?」
刀舟「やかましいやい! 悪党が雁首揃えやがって」
ワルモノ(高木淳一)「無礼者、ワシが何者か知っての狼藉か?」
刀舟「当たりめえのこと抜かすんじゃねえや、この野郎! てめえら人間じゃねえや、たたっきってやる!」 錚々たる悪の人たちも、刀舟先生の前ではチンピラ同然。

刀舟、この際だからと、屋敷にいた武士はひとり残らず斬り殺してしまう。

弟子「……」
で、その場には証人として付いてきた弟子もいて、刀舟の殺戮を余すところなく目撃するのだが、困ったことに刀舟はそんなことはちっとも気にしないのだった。
第125話「ろくでなし」(1977年2月15日)
兄を探して江戸に出てきた志乃と言う若い娘。

演じるのは、目元に何とも言えない色気を湛えた水原ゆう紀さん。
志乃は人相見に兄・一馬(岸田森)の行方を尋ねていたのだが、その人相見は岡場所の地回りと言った風情の源之進(工藤堅太郎)と同じ穴のムジナで、彼らは与太者たちに志乃を襲わせ、そこを源之進が助けようとしたところ、筋書きに入っていない大介が駆けつけて与太者たちをぶっ飛ばしてしまう。

そこで彼らは作戦を変更し、一馬の居場所を知っていると騙して志乃を盛り場へ連れて行き、勝手に馴染みの女郎屋に売り飛ばそうとするのであった。
だが、志乃は持病があるらしく、めまいを起こしてその場に倒れてしまう。大介が再び飛んできて、ひとまず彼女を女郎屋の一室に寝かせ、刀舟にも来て貰う。

大介「先生、擦り傷があるんですがなかなか血が止まらないんです」
志乃「いつもこうですから、心配ありません」
刀舟「いつも?」
一方、そこはあるお寺の門前町なのだが、寺社奉行によって、俄かにその一帯からの商家・民家の立ち退きの沙汰が下されることになる。源之進は志乃どころではなくなり、住民こぞって住職に相談に行き、とりあえずみんなで金を出し合って寺社奉行の役人に袖の下を渡し、立ち退き撤回をお願いすることになる。

で、その役人・堂上帯刀を演じているのが、毎度おなじみタイタンこと、浜田晃さんなのだった。ついでにその同僚・樋口が、悪魔元帥の加地健太郎さんと言うなかなか通好みの顔ぶれ。
堂上は、彼らの集めたはした金には目もくれず、世話役が連れてきた三人の娘に期待するが、

これがみんな白粉を塗りたくったブスばっかりだったので(管理人的にはアリだが)、

堂上「……」
タイタン、全力でがっかりするのだった。
ちなみにここでは「ぽよよ~ん」と言う、悪役にしては珍しくユーモラスな効果音が流れる。

樋口「汚らわしい、下がれ!」
汚らわしいのはお前らの方だ! 困った源之進たちは、こともあろうに病床の志乃を引きずり出して、役人への供物にしようとする。

無理やり着替えさせられた志乃は、病身に鞭打ってなんとか堂上たちに酌をする。
堂上も、いかにもうぶな志乃をすっかり気に入るが、

そこにいきなり刀舟先生が現われたので、思わず心臓が凍り付く。
もっとも、まだ時間が早かったので刀舟は彼らを斬らずに志乃だけ連れて穏便にその場を後にする。
堂上(あー、良かった、殺されなくて……)
一方、刀舟は志乃を棺桶寺で保護するが、洋書を調べて、志乃の病気が彼らの医術ではどうしようもない難病(血友病?)で、長くは持たないことを知り、暗い面持ちになる。
色々あって、漸く志乃は兄・一馬と再会を果たすが、

志乃「半月前、父が死にました」
一馬「死んだ……はっはっはっは」
志乃「兄さん」
一馬「お前、そんなことを知らせにわざわざ江戸まで来たのか。とっくの昔にオヤジのことなど赤の他人だと思っていたよ」
剣の腕を生かして江戸で一旗上げると希望に満ちていた兄は、現実の厳しさに打ちのめされ、いつの間にかヤクザの用心棒を務めるような男に成り下がっていた。
一馬「伊豆へ帰れ、そして良い男を見付けて幸せになれ」
ただ、妹に対する思いやりだけは残っていて、そんな言葉を残して立ち去る。無論、妹の病気のことは知らないのだ。
源之進たちはもう一度志乃をさらって役人にあてがい、なんとか立ち退きをやめて貰おうとするが、そうこうしているうちに、役人と地元のヤクザ、そして寺の住職までもがぐるになって、立ち退かせたあとをヤクザの取り仕切る歓楽街に作り直そうとしていることを知る。
要するに、最初から金や女を差し出しても無駄だった訳だ。
が、志乃が気に入った堂上は、ヤクザたちに命じて志乃を迎えに行かせるが、そのヤクザの用心棒と言うのが一馬だったのだ。性根の腐った一馬は、自分の出世の糸口になるかもしれないと、こともあろうに妹を役人のところへ連れて行く。

堂上、念願の志乃をゲットしてご満悦の様子。
その頃、チンピラながら志乃の境遇に同情した源之進が、彼女を救い出そうとして逆に料亭の前で一馬やヤクザたちにずたずたに斬り殺されてしまう。
そこへ刀舟たちが駆けつけ、源之進の死を看取る。刀舟先生、物凄い顔で立ち上がると、料亭に歩を向ける。

そんな物騒な人がすぐそばまで迫っているとも知らず、志乃のおっぱいを揉み揉みしている堂上。
そのまま別室でベッドインしようとするが、志乃は「兄さん」と目の前の一馬に呼びかけながら、舌を噛んで自害してしまう。

その直後、刀舟が乗り込んできて、とりあえずヤクザを5人ほど一瞬で斬り殺すと、親分の襟首を掴み、
刀舟「てめえら人間じゃねえ! たたっきってやる!」 親分(あわわ……)
刀舟、親分、樋口、堂上をザクザク斬り刻む。

実に良い死に顔で、念仏を唱えているクソ坊主の体に覆い被さる浜田晃さんであった。

刀舟は、一馬にも切っ先を向けるが、
志乃「……」
まだ死に切っていなかった志乃が、最期の力を振り絞って兄を庇おうとする仕草を見せた為、その哀れな心に免じて許してやる。
刀舟「これが兄弟の血の繋がりってもんだ。おめえの妹は三月ともたねえ難病に罹っていた。おめえがまっとうな人間に返るならお志乃さんも浮かばれよう」

一馬「お志乃、お志乃ーっ!」
一馬もここへ来て漸く自分の愚かさを悟り、まだ温かい妹の遺体に取り縋って号泣するのだった。
第128話「鬼の涙が闇に散る」(1977年3月8日)
天誅と称して商家に押し入り、金を盗むだけでなく、家人を皆殺しにする鬼面党なる一団にまつわるエピソード。今回は、エピソードそのものは特に面白くないので省略する。
何と言っても今回の見所は、その鬼面党を追う同心・真崎(山本紀彦)の妹・お雪役で、

緑川ルリ子こと、前川(真樹)千恵子さんが出ていることであろう。
真崎「妹の雪です」
お雪「兄が大変お世話になりまして、本当にありがとうござました」
刀舟はひょんなことから真崎の怪我を治療してやり、是非お礼がしたいと真崎に自宅に招かれたのだ。
美しいが気の強いお雪は、何とか手柄を立てようとして躍起になっている兄をいさめ、刀舟の前で口喧嘩をしてしまうのだった。
それにしてもこんな可愛い妹と二人暮しなんて……
管理人はこの時ほど、山本紀彦さんになりたいと思ったことはない! もっとも、今回のヒロインは真崎の恋人・お園(今出川西紀)であり、お雪はあくまで脇役なので、出番は極めて少ない。
色々あって、お園はワルモノに殺され、刀舟がワルモノどもをぶった切り、真崎は世を儚んで出家して諸国放浪の旅に出るのだった。

お園の墓に手を合わせているお雪。

なお、藤吉と言う悪徳商人役で潮健志さんも出ているが、お雪と絡むシーンはなく、地獄大使と初代ライダーガールの夢の共演は実現せず。
第129話「御狩場絶唱」(1977年3月15日)

女衒の男に連れられて千住の外れの御狩場(将軍が狩猟を行う場所)を通り掛かった、ボーイッシュな娘・つる。演じるのは丸山秀美さん。
つるは、越後の貧農の出身で、口減らしのために20両で売り飛ばされたかわいそうな娘なのだった。
嫌がるつるの手を掴んで引っ張っていく女衒をいきなり殴ったものがいる。もっともそれは正義の味方ではなく、それどころか魔神提督こと中庸介さんであった。彼は御狩場を見廻る鳥見衆のひとりで、つるがそこに立ててあった立て札を倒したことに怒り、女衒を痛め付ける。
だが、激怒した女衒が逆に鳥見衆を刺し殺し、その隙に乗じてつるはその場から走り出す。
つるは追いすがる女衒の手から何とか逃れるものの、女衒の手から飛んだ年季証文が風に運ばれ、ちょうど御狩場を巡視していた役人の手に落ちる。
幸い、つるは、その役人たちに見付かる前にお蘭とお千に保護される。

仁助「先生、怪我人だーっ!」
刀舟「毛ガニ? 変なカニだなぁ、なんでもいいから早く持って来い」 一方、瑞光院には土地の百姓で仁助(和崎俊哉)と言う男が、あの女衒を担ぎ込む。
昼間からすっかり出来上がっている刀舟が、寝ぼけながら頓珍漢な返事をするのが最高に笑えるのである。
もっとも、女衒は鳥見衆に額を強く打たれており、刀舟が診た時には既に息絶えていた。

その後、お蘭たちに連れてこられたつるが、女衒の死体と対面する。
善人の仁助はすっかりつるに同情し、つるを自分の家に連れて行く。
一方、鳥見役人によって、無辜の農民が捕まり、中庸介殺害の罪を着せられて斬殺されてしまう。その上、役所は、その連帯責任として村人からなけなしの金を罰金として徴収する。
さらに、お蘭が鳥を殺したとして鳥見役所にしょっ引かれて拷問され、殺された農民の女房も半狂乱になって役人に食って掛かり、これまた斬り殺されてしまう。
もっとも、お蘭はほどなく大金と引き換えに釈放される。
御鷹匠支配頭の村田重三郎(大村文武)は、そうやって農民たちから金を巻き上げては私腹を肥やしていた。
正直、もうこの段階で刀舟が乗り込んでいって皆殺しにされても良さそうな非道ぶりであった。
村人たちは村田のあくどいやり方に耐えかね、直訴を企てる。そこへつるが現われ、ことのきっかけは自分が立て札を倒したことだと言って、自分がその直訴状を運ぶ役を引き受けたいと熱弁を振るう。

村長「だが、直訴は命懸けだぞ」
つる「おらにはもう行き場はねえ、恐ろしいものなんか何もねえ!」
村人たちもつるの熱意に打たれ、つるに直訴状を託す。だが、それを察知した役人は村の出入り口を厳重に固め、往来を監視する。つるはあえなく鳥見役人たちに見付かり、役人たちは彼女があの証文で売られた娘だと分かると、本来つるが行く筈だった女郎屋のようなところへ連れて行き、つるを引き渡して礼金をせしめる。
その後、色々あって、仁助の妻も殺され、つるが直訴状を持っていることを知った役人たちがつるを追い掛け回した挙句、斬り捨てる。
だが、そこへやっと刀舟と大介が飛んできて、

不浄役人たちを斬り殺し、今までの鬱憤を晴らす。
刀舟は、仁助が鳥見役所に捕まっていると知るや、その足で役所に殴り込む。

刀舟「(前略)てめえら人間じゃねえ、たたっきってやる!」
親玉のところまで一気に踏み込み、いつものタンカを切る刀舟。

村田「斬り捨てい!」
二人のアップがカットバックされるのだが、この村田さんと言うのがものすごーく弱そうで、ほとんどいじめられっ子が泣きたいのを我慢しているようにしか見えず、もう戦う前から勝負の行方は誰の目にも明らかなのだった。チーン。

刀舟の怒りの剣は唸りを上げて冴え渡り、わずか7秒で7人の家臣を薙ぎ払う。

憎んでも飽き足りない村田に対しては、まず正面から一太刀、

ついで、後ろを向いたところを斬り下げ、

さらに渾身の力でトドメの一撃を振り下ろす。
……
ああ、すっきりした。
やっぱりこれが時代劇の醍醐味だよね。
なお、つるは幸い命を取り留め、仁助も無事であった。
第131話「さらば刀舟江戸の街」(1977年3月29日)
いよいよ最終回である。あるのだが、ストーリーそのものは大して面白くないので、ハイライトシーンだけ紹介する。
それでも、大塩平八郎の乱の直後とか、大御所となった11代将軍家斉と、12代将軍家慶との権力争いなど、史実に即した出来事や人物が登場するのが異彩を放っている。
家斉と言うのは、ほら、めちゃくちゃたくさん側室がいて子供が50人もいたという別名オットセイ将軍と呼ばれている(呼ばれてへん、呼ばれてへん)将軍である。
で、そのオットセイが不慮の事故で重傷を負い、御典医にも手の施しようがなく、名医と評判の刀舟に白羽の矢が立ったのである。が、例によって権力などと言うものを毛嫌いしている刀舟は、相手が将軍だろうと構わず、治療を断ってしまう。
しかし、家斉の側近・水野忠篤の家臣・横井蔵人(藤巻潤)の執拗な要請に折れて……と言うより、横井の熱誠と人柄にほだされて、治療を引き受けることになる。
で、刀舟は手術を行って見事、家斉の命を救うのであった。
だが、刀舟は瑞光院で、家慶派の刺客たちに襲われる。

刀舟「てめえらぁ(カッ! と言う効果音)、きたねえ真似しやがって(カッ!)たたっきってやる!」
今回はさすがに幕府の要職にあるものを「たたっきる」訳にも行かず、いつもより時間的に早いが、その刺客たちを相手にした立ち回りが、刀舟にとって最後の「悪人狩り」となってしまう。
その後、瑞光院に家斉みずから、行列を作って刀舟に礼を言いに来る。
もっとも、家斉は最初から最後まで顔は見えず、キャストも設定されていない。

水野「大御所様がじきじきお言葉を下さるとのことである。ありがたく賜れよ」
幕府の大物・水野がにこやかに先触れを務めるが、
刀舟「いらねえよ」 刀舟のにべもない返事に、水野も家臣たちも色めき立つ。

水野「待て! 天下の大御所様に対してなんたる雑言!」
家臣「気が狂うたのか、叶刀舟?」
さっさと門の中へ引っ込もうとする刀舟に、家臣たちが口々に怒りの声を上げる。

刀舟「やかましいや」
刀舟、閻魔大王みたいな顔でギギギと振り向くと、一世一代のタンカを切る(効果音付き)。
刀舟「てめえら勝手に押しかけてきやがって、ありがたく言葉を賜れだと? 笑わせんじゃねえや、この野郎!(カアアッ!)
てめえら、権勢欲にうつつを抜かすてめえらにとっちゃ、そのカゴの中にいる大御所って人だけが大切だろうが、俺にとっちゃ、病人は(カアアッ!)
大御所だろうと町人だろうと医者の取る脈に変わりはねえんだい!(ベベベン!)
てめえらのくだらねえ権勢争いの為に関わりのねえ百姓・町人までが、とばっちりを受けるんだ。おい!(ベベベン!)
天下万民あってこその大御所だ。将軍だってことも忘れやがって!(カーッ!)
」 続いて、「たたっきってやる!」ってなったら、凄いことになっていたと思うが、さすがに刀舟もそこまで無茶はせず、「とっとと帰んな」と、精一杯穏やかな口調で言ってのける。
水野「無礼者、斬れ、斬り捨てい!」
さすがに水野忠篤も激怒して、家臣たちに命じ、一触即発の状態になるが、大御所の「よい、捨て置け」の一言で、何とか収まる。
……ま、そのまま斬り合いになっていたとしても、余裕で刀舟先生が勝ってたと思いますが。
だが、刀舟は、一人残って腹を切った横井の「今後も次々と刺客が送られてくるだろうから、江戸を捨ててくれ」と言う命懸けの頼みを入れて、遂に千住から、瑞光院から去ることを決意するのだった。

誰もいない瑞光院を見て、限りない愛着を込めて、素晴らしい仲間たちのことを思い出す刀舟。
ここで、ちゃんと現レギュラーだけじゃなくて、非業の死を遂げた弥九郎や、江戸を去ったお竜のことも回想するのが、刀舟先生の優しいところなのである。
結局、刀舟は「旅に出る」と言う素っ気ない手紙を残して、瑞光院を去って行く。
半兵衛たちは深い悲しみを覚えながら、いつかきっと刀舟が帰ってくることを確信するのだった。
いよいよラスト、夕陽を浴びながら当てのない旅に出た刀舟の姿に締めのナレーションが被さる。
ナレ「叶刀舟、生国年齢、ともに不詳、蘭方を極め、無外流抜刀術の達人、庶民をこよなく愛し、その性格、豪放にして磊落、別名あり……人呼んで、破れ傘刀舟」 ……以上、DVDのチェックから数えると、書き上げるのに1年以上かかってしまいましたが、「破れ傘刀舟悪人狩り」のセレクトレビューでした。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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