第15話「海鳴りの仕掛島」(1983年6月10日)
冒頭、一見何の変哲もないビルの前に電のジープが停まる。

そして、無駄にかっこよくその非常階段を駆け登る電。
この後、ビルの人から「エレベーター使ってください」と叱られたと言う……
一方、

屋上にも、人目を忍ぶようにしてビルの中に入り込もうとしている、見覚えのある後ろ姿があった。
この後、ビルの人から「屋上で遊んじゃダメって言ったでしょう?」と叱られたと言う……
嘘はさておき、

期せずして電とその人物は、同じ部屋の別のドアの前までやってくると、ほとんど同時にドアを開く。

ポルターの声「いくら逆探知しても無駄だ、ギャバン、いつまでも強情張ってると星野月子の死体とご対面と言うことになるぞ。明日までに決心せよ」
だが、部屋には自動でテープが流れるようにセットされたレコーダーがあるだけで、もぬけの殻であった。

電「ここは単なる中継地点、アジトは他の場所に」
烈「うむ」
と言う訳で、今回も6話同様、烈が現役復帰して電と協力するというプロットなのである。
サブタイトル表示後、

ナレ「ギャバンが妹のように可愛がり、マドーが人質に狙った星野月子は幼稚園に勤めていた」
夜道を誰かに追われて逃げ惑う月子のイメージに、ナレーションが被さり、月子がマドーの手に落ちたことが示される。

電「マドーはどうして月子さんを?」
烈「星野スペースカノンは月子の父・星野博士が発明したレーザー砲だ」
その後、海に臨む岩場で、事件について話している二人。
あのビルのシーンの続きにしては、いささか場所がおかしいのだが、気にしない!!
烈「マドーはマクーの資料から俺が知っていることを突き止めた。そして月子の命と引き換えにその設計図を手に入れようとしている。月子の父・星野博士はマクーのハンターキラーに暗殺された。星野博士は死を予感し、星野スペースカノンの秘密を俺の父・ボイサーに託したんだ」

烈「父はマクーの地獄の拷問に耐えて、星野スペースカノンの秘密を守った。そして死んで行った」
烈の簡単な説明にあわせて、前作「ギャバン」の映像が流される。
相変わらず、良い顔してるね、三谷さん!!
偶然この日、家で食事をしていた三谷さん、いきなりテレビに自分の顔が出てきたので思いっきり吹いたそうです(嘘)
ここで、「ギャバン」では語られなかったスペースカノンのその後が明らかにされる。
烈「俺はバード星に設計図を持ち帰った」

コム「なるほど、これは素晴らしい発明だ、この増幅装置を使えばレーザーを数千倍に高めることが出来る。敵の手に渡らなくて良かった」
マリーン「ギャバンのお父様がそれこそ命懸けで」
ちゃんと、マリーンまで登場するのが良心的なドラマ作り。
いかん、マリーンの股間の皺が気になって、話が頭に入って来ん。
コム「ボイサーの死を無駄にしないためにも、この装置を地球を守るグランドバースの主砲に使いたい。いいな、ギャバン」
烈「はい」
そう、前作のキーアイテムだった星野スペースカノンは、本作の中でとっくの昔に活躍していたのである。
シリーズとしての利点を存分に活用した、上原さんらしい優れた着想である。
烈「星野スペースカノンの理論はプラズマカノンに応用された。その凄まじい威力はお前も知ってのとおりだ」
しかし、そもそも星野スペースカノンって、地球人が開発したものなのに、それを勝手にバード星に持ち帰って、勝手に実用化しちゃっていいものなのだろうか?
まあ、相続人である月子の了解は得てあるんだろうが……

電「明日までに決心せよ、そう言ってましたね」
烈「うん……」
月子を救いたいのは山々であったが、そう簡単に星野スペースカノンの設計図をマドーに渡すわけには行かず、絵に描いたようなアンビバレントな状況に立たされた烈であった。
と、同時に、
烈(これが小次郎さんだったらなぁ……) あんまり悩む必要もなかったのにと思う烈であったが、嘘である。
翌日、グランドバースにマドーからの最後通牒が送られてくる。
ポルター「今日こそはっきりしろ、イエスかノーか」
烈「……」

月子「ダメよ、ギャバン、渡しちゃダメ!!」
ガイラー「ええい、このっ」
特撮番組におけるお約束の台詞を口にする月子の頭を思いっきり叩くガイラー。
烈「月子!!」
月子「設計図を守って、ギャバン!!」
ポルター「どうするギャバン」
烈「……」
ポルター「ではこれで交渉打ち切りだ」
ポルター、返答しない烈に一方的に通告して背を向けるが、無論、駆け引きに過ぎない。

烈「待て!!」
所詮、ヒーローである烈には、か弱い女の子を見捨てるなどと言うことは出来ない相談なのだった。
電が可愛い女児を見捨てることが出来ないのと同じように。 ポルター「渡すのだな?」
烈「……」
その後、烈が都会の真ん中のカフェテラスに陣取り、マドーが接触してくるのを待っていると、

小次郎「烈ちゃんでねえか、いやぁあー、やっぱり烈ちゃん」
烈「小次郎さん」
小次郎「いやいやいや、久しぶりだなや」
旧知の小次郎が偶然現れ、親しげに烈に話しかけてくる。
ストーリーには全然関係ないが、スタッフの粋な計らいであった。
小次郎「元気だか」
烈「小次郎さんこそ」
しかし、烈、マクーを滅ぼして地球を離れることになった際、小次郎さんたちにはなんて説明してたのかなぁ?
小次郎さんが大して驚いていないところから見て、外国へ移住したとでも言っておいたのか。

電(変なのが出てきた……)
烈の周りに張り込んでいた電は、予定外の闖入者に思わず頭を抱える。
前回やった11話では、勘定にさえ入れてもらえなかった小次郎さんだが、ここでは、
「変なの」扱いされている。

烈「え、月子とデート?」
小次郎「んだ、先週映画に招待したらOKしてくれたの、もっとも、かれこれ2時間ぐらい待ってんだ」
烈「あのね……」
小次郎「いやいやいや、もう来ると思うんだ、マンション電話したら出なかったから」
あれこれ話しているうちに、よりによって小次郎さんが月子とデートの約束をしていたことが分かる。
前作のレギュラーにまで粉をかけていたとは、小次郎さん、無職の癖に抜け目がないのだった。
同時に、よりによってその(何度もしつこく誘ってやっと実現させたであろう)デートをマドーに邪魔されるとは、よくよく不運なお方であった。
と、烈の肩を叩くものがいる。振り向けば、

そこに、黒いドレスをまとったミスアクマ2が嫣然と微笑みながら立っていた。
烈「小次郎さん、また」
小次郎「なんだ、烈ちゃんもデートだったの?」
実にさりげないやりとりだが、劇中で二人が顔をあわせるのは、これが最後になったんだっけ? それともネクストジェネレーションで共演したんだっけ?
どっちにしても、テレビ版ではこれが最後になった訳である……よね?
烈は黒塗りのセダンの後部座席に座らされ、美女二人に左右から挟まれた形で連れて行かれる。

その、劇画の中から抜け出してきたような精悍なマスクを惚れ惚れと見詰めながら、探知機で烈のボディーチェックをするミスアクマ2であった。

胸元に仕込まれていた発信機はたちどころに見付かってしまうのだが、電や烈が、それに対する備えをしていないのがいささか不可解である。
さて、電はジープ、リリィはバイクでその車を追跡するが、マドーもその辺は心得ていて、途中で本物と瓜二つの囮の車両を走らせ、電とリリィを分散させる。
電が追いかけた車は途中で停止していたが、中は空っぽであった。
リリィが追いかけたほうは、廃墟の中に打ち捨てられていたが、こちらも無人。
しかも、お約束の時限爆弾と言うお土産までついてきて、

危うく爆死させられるところだった。
この後、コマンド部隊に攻撃されて死に掛かったリリィだが、電が駆けつけて救出、シャリバンに変身してシカケビーストと言う魔怪獣を撃退するが、肝心の烈の姿は何処にも見当たらず、結局、電たちの完敗であった。

一方、烈は手錠された状態で、とある島の地下に作られたアジトに連行されていた。

ポルター「まず出してもらおうか、設計図を」
烈「月子は何処だ?」
ミスアクマ1の丸山さん、JACの大先輩との共演で上がってるのは分かりますが、ちょっと気張り過ぎですよ~っ!!
ポルターの指示を受けたミラクラーが操作盤のスイッチを入れると、

背後のシャッターが開き、空中に宙吊りにされた月子の姿があらわれる。
烈「月子!!」
月子「ギャバン!!」
ミスアクマ2「出してもらおうか」
烈「……」
烈、体を屈めると、どこからか馬鹿でかいフロッピーディスク(5インチ?)を取り出す。

ミスアクマ2「何処に隠してたんでしょう?」
ポルター「それな!!」 ……と言うのは嘘だが、ほんと、5インチフロッピー(しかもケース入り)を足につけたまま歩くって、なかなか出来ないよ。
ミスアクマ2「解読します」
ミスアクマたちがフロッピーをガシャコンとドライブに差し込み、データの解析を始める一方、烈は電気椅子のようなものに拘束されようとしていた。

烈(コンピューターが回答を出すまで2分は掛かる、それまでになんとかしなければ……)
ここは、何か秘策を用意しておいて欲しかったが、結局、頼りになるのは己の鍛え上げられた肉体だけというJACイズム、あるいは、サニーイズムにのっとって、烈は行動を開始する。

要するに、ポルターたちがデータ解析に気を取られている隙にファイトローたちを振り払い、ミスアクマ1から手錠の鍵を奪い、ついでにパネルのスイッチを入れてシャッターを開き、月子を自力で助け出そうというものであった。
だが、さすがマドー、そんな簡単に逃げられるほど甘くはなく、

月子「ああーっ!!」
月子を自由にした途端、足元の床がパックリ開いて、月子がフトモモとパンツを丸出しにしながら落下していく。
これが、立花さん本人だったら、かなり美味しいシーンになっていたと思われるが、立花さんにこんな芸当が出来る筈もなく、これはスタントである。しかも、多分オ・ト・コ。
……
ぢぐしょおおおおおおっ!! それでも落ちた先の細い通路を抜けて外へ出る二人だったが、

ガイラー「ギャバン、星野月子を置き去りにする気か?」
出た途端、頭上からガイラーの謎めいた言葉が降ってくる。

何事かと見上げてみれば、これはびっくりドンキー、目の前に聳える崖の上に、他ならぬ月子が立っているではないか。
烈「……」
ギョッとして後ろを向くが、そこにはやはり月子が立っていた。
二人の月子の顔を見比べていると、

ガイラー「本物はこっちだ」
月子「ギャバン、逃げてーっ!!」
月子の横にガイラーが現れ、種明かしをする。
ちなみにこの時、風が吹いて月子の長いスカートがふわっとめくれて、ぼんやりとスカートの中が見えるのだが、なにしろあまりにスカートが長く、画像も小さいのでパンツまでは視認できなかった。
それにしても、「スピーチとスカートは短いほうが良い」って、お釈迦様はほんと良いことを仰られたものである。

それはさておき、ここで烈の背後にいたニセ月子が、邪悪系の笑みを浮かべ、

いきなり烈の首に腕を回す。

次の瞬間、その白くてか細い腕が、太くて醜いイホイボの腕に変わる。
そう、ニセ月子は他ならぬ魔怪獣が化けていたものだったのである。
それでも烈、魔怪獣相手に奮闘するが、
ガイラー「ギャバン、これを見ろ」
ギャバン「……」
人質を取られていることを思い出し、抵抗をやめる。
ただ、いくら宇宙刑事とは言え、生身の烈が魔怪獣と互角以上に戦うのはちょっと無理がある。
6話の反省に鑑み、地球上空にドルギランを待機させておけば、烈も蒸着することができ、マドーに対する切り札にもなったであろうに。
烈、今度こそあの電気椅子に縛り付けられ、ポルターの尋問を受ける。

ポルター「予想通りと言うべきか、レーザー増幅装置の部分が抜けている」
烈「へーっ、そりゃあ残念だったなぁ」
ガイラー「貴様ーっ!!」
飄々と空っとぼけて見せる烈にたちまちいきり立つガイラーを制すと、

ポルター「失望はしていない、残りはお前の記憶を探ればよいのだ」
烈「無駄だな」
ポルター「ポイントが抜けているとは言え、これはかなり信頼性のおけるものだ、と言うことは、お前の記憶も確かと言うことになるなぁ」
烈「……」
ポルターの鋭い指摘に、ギクリとする烈。
ポルター「はじめえっ!!」(発音が変)

ミスアクマ1&2「はい」
今回、千恵たちが出ないのは残念だが、ミスアクマたちの出番が多いのは嬉しい。
ミスアクマたちがスイッチを入れると、烈の体に高圧電流が流れ出す。
烈「うっ」
ポルター「星野スペースカノンのレーザー増幅装置のデーターは?」
烈「知らん」
ポルター「上げろっ!!」

烈「うわぁあああーっ!!」
月子「ギャバン!!」
……
いや、月子がいるんだから、月子を殺すと脅して口を割らせたほうが手っ取り早くね?
サイコ「殺しても良い、責めろ」
ポルター「ボルテージをもっと上げろ!!」
ヒステリックに叫ぶポルターの命令で、電圧は命に関わるほどに高められる。
常人ならとっくに屈服するか、気絶しているところだが、

烈(父さんも、父さんも、こうしてぐわぁんばったんだ……)
歯を食い縛って拷問に耐えているサニー千葉の面影を脳裏に描いて、自分を奮起させる烈であった。
で、信じがたいことだが、ここでやっとCMです。
CM後、グランドバースで空から探索を行っている電とリリィ。

電「この島は?」
リリィ「鬼首島、元マクーの要塞だった島よ」
電「ここだっ!!」
……え、なんで?
たったそれだけでアジトだと決め付けちゃうのは、さすがに乱暴ではあるまいか。
せめて地下に熱源反応があるとか、そう言う科学的裏付けが欲しかった。
それはそれとして、

電「……」
リリィ(何処見てんのよ……) ま、ヒーロー番組のお約束と言うことで、大目に見てやってつかぁさい。
と言う訳で、うれしはずかしビキニスタイルでの潜入が開始されるが、
残念、ビキニはビキニでも、電のビキニでした~っ!! ……
待て、落ち着け、話せば分かる!! 大き目の石を投げるのはやめなさい!!
でも、ほんと、ここは万障お繰り合わせの上、リリィの水着姿をサービスして欲しかった。

ポルター「あと一息で星野スペースカノンの設計図は完成する!! もお一息だ!!」
ちなみに、こうやって、烈をいたぶりながら目をキラッキラさせているポルターの画像を並べると、あたかも、電のプリティーなお尻を見てコーフンしているようにも見える。

ミスアクマ2「これ以上あげると脳細胞が爆発します」
ポルター「構わぬ、上げろーっ!!」 ミスアクマ2(むちゃ言うな)
半狂乱になって叫ぶ上司に、心の中でツッコミを入れるミスアクマ2であったが、嘘である。
次の瞬間、

突然部屋が真っ暗になる。
ポルター「どっ、どうしたのだ?」
ガイラー「ほれ見ろ、ブレーカーが落ちちまったじゃねえかっ!!」 ポルター「ごみ~ん」
じゃなくて、電の仕業であった。
電は混乱している敵陣に飛び込むと、烈と月子を救出して、アジトから連れ出す。

シカケビーストの追撃をかわし、洞窟の外の岩場へ出る三人。
うーむ、絶望的な長さだ。
80年代の特撮の一番残念なところは、全般的にスカートが長いってことだろうなぁ(例外あり)
あと、聖子ちゃんカットも。
この後、リリィがシャリンガータンクで現場に現れ、電のピンチを救って烈と月子を回収する。
電がシャリバンに変身してガイラーたちと戦う一方、烈はメカを操作して地下アジトを完膚なきまでに叩き潰す。
そしていつものように幻夢界に場所を移し、ルーティンをこなして事件解決。

月子「ねえねえ、あれ可愛い」
リリィ「どれ?」
ラスト、みんなでショッピングを楽しんでいる電たちの姿。
小次郎さんも呼んでやれよ……
月子「ねえ、このワンピースいいかしら」
烈「いいよ、買いな、買いな、何でも好きなの」
気前良く勧めたあと、
烈「高っ!!」
値札を見て思わず叫ぶ烈。

烈「おい」
電「はい」
烈「金貸してくれよ」 電に顔を寄せると、小声で頼む。
いいよねえ、烈のこういう、三枚目っぽいところ。
電「隊長、お金もないのに気前が良過ぎるんですよ」
電が呆れた様子で忠告するが、烈は相手の額に自分の額をガッチンコさせて、
烈「いや、月子もショッピングできなくなるだろ」
電「そうか、月子さんはバード星へ行くんでしたね。宇宙刑事として訓練を受けるために」
彼らのやりとりで、月子が地球を離れ、バード星へ移り住む予定であることが明かされる。
無論、今後もマドーに狙われることが予想されるので、その対策の意味もあったが、月子自身、兼ねてから、宇宙刑事になって烈の支えになりたいという気持ちがあったのだろう。
しかし、見るからにめちゃくちゃドン臭い月子さんに宇宙刑事はちょっと無理なんじゃないかと……
せいぜい、銀河連邦警察の婦警あたりが妥当かと。
でも、前作のレギュラーの進路が、次回作の中で決められるというのは面白い展開である。
烈「だから、せめて思い出にと思ってね」
電「わかりました、お使い下さい」
電も烈の気持ちを汲んで、快く自分の財布を渡すのだった。
ただ、バード星にもショッピングセンターくらいあると思うんだけどね。

大量の荷物を抱えて、二人のレディーのあとからよたよたついていく電と烈のトホホな顔を映しつつ、終わりです。
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