第29話「ウルトラ6番目の弟」(1972年10月20日)
冒頭、京浜工業地帯のコンビナートに忽然と超獣ギタギタンガが出現し、好き放題に暴れまわった挙句、TACが到着した時には既に姿を消していたという事件が起きる。
翌朝、廃墟となったコンビナートを隊員たちが検証している。
一帯には、超獣の酔っ払いが通った後のように、濃厚なアルコール臭が立ち込めていた。

吉村「外傷は全くありません」
竜「死体に傷がない……とすると」
美川「考えられるのはガスです」
竜「よし、付近一帯からの調査を始めよう」
今回はTACも超獣の姿を目撃していないので、まずは爆発の原因を特定するため、地道な調査が行われる。
今回から夕子タンがいないのが悲しいが、悪いことばかりでもない。
急遽ヒロイン枠に移行した美川隊員の露出が増えるからだ。
いや、衣装がミニスカになるとか言うことじゃなくて、出番が増えるってことね。
初っ端から、夕子の代わりに北斗と一緒にパンサーで周辺を走っている。

美川「この辺で調べてみる?」(註1)
北斗「……」
と、突然目の前に小太りの子供が飛び出して来たので、思わずアクセルをベタ踏みする北斗……じゃなくて、ブレーキを踏む北斗。
註1……ここで、とても下品なギャグを書こうとして、寸前で思いとどまった自分の自制心を褒めてやりたい管理人であった。
例・この辺でハメてみる? 幸い、事故にはならなかったが、

北斗「危ないじゃないか」
美川「だいじょうぶ、怪我なかった?」
ダン「チェッ、なんでブレーキなんか掛けたんだよ」
慌てて車から降りて心配する二人に、少年は意外な反応を示す。
北斗「何、じゃあ、君は自殺しようとしたのか」
ダン「バカだなあ、この年で自殺なんか考えることないだろう」
と、物陰にいた同年代の子供たちがぞろぞろ出て来て、険しい眼差しで小太りの少年を取り囲む。

子供「なんだい、えらそうこといって、やっぱりできやしないじゃないか」
ダン「ちがわーい、あの車が勝手に止まったから」
子供「言い訳なんか男らしくないぞ」
ごもっとも。 初登場シーンから、エキストラ子役に論破されてる時点で、新レギュラーとして梅津ダン少年を投入したのは、明らかなミスだったことが分かってしまう。
まあ、一応、そのお姉さんもいるけど、メインはあくまでダンだからね。
北斗、事情を察して穏やかに割って入ると、
北斗「そうか、君はこの連中と走ってくる車の前を横切って見せるって賭けをしたんだな?」
子供「こいつ、車があの塀のところまで来てから前を横切れるなんて生意気だよ、だいたい」
美川「あきれた、止まったからいいようなものの、撥ねられたらどうするの?」
子供「ダンの奴、いつもでっかいこと言うんだ、嘘つきだよ、ダンは」
ダン「俺は嘘なんかつかない」
子供「酔っ払い運転で死んだオヤジの息子だからな」
子供は残酷なもので、死んだ父親のことまで容赦なく持ち出して攻撃する。
ダンもカッとしやすい性質で、いきり立って子供たちと掴み合いの喧嘩になる。

北斗「おい、こら、よさないか、坊主」
ダン「俺は坊主なんて名前じゃない」
子供「ダンてんだ、こいつ」
北斗「ダン、良い名じゃないか」
子供「酔っ払いオヤジが付けた名前だもんな……変な名前!!」
子供たち、よほどダンが嫌いなのか、その名前までクソミソにけなす。
ダン、無言で相手の顔を見ていたが、
ダン「こんな名前、大嫌いだい!!」 子供たち(嫌いなんかいっ!!) てっきり「父ちゃんのつけた名前にケチつけるな」とか言うのかと思ったら、意外にも同意見だったので、思わずコケそうになる子供たちであったが、嘘である。

美川「ひどい利かん坊、あの子のお母さんも大変ね」
美川隊員が何気なくつぶやくが、
子供「ダンのお袋なら、あいつを生んですぐ死んだよ」
子供「一年前酔っ払いオヤジも死んで」
子供「綺麗な姉ちゃんと二人暮らし」
北斗「……」
美川「……」
子供たちに割りとヘビーな事実を告げられて、なんともいえない目でダン少年の駆けて行った方を見遣るのだった。
……
序盤から、なんじゃ、この台詞の多さは……
しかも、書いてて全然楽しくない!!
その後、やっと仕事を始めようとした二人であったが、線路を挟んだ反対側の川のそばにダンがいるのに気付く。
美川「あら、何やってんのかしら?」

ダンの、長い竹ざおを持って、タイミングや距離を測っているような仕草を見て、

美川「まあ、あの川を飛び越えようとしてんだわ」
北斗「よせよ」
美川「どうして、あの川幅4、5メートルあるわよ」
だが北斗は、止めに入ろうとした美川隊員を鋭く制すると、ダンの行動を黙って見守ろうとする。
北斗「あの子はさっきの勇気をこの川を飛び越えることで試そうとしてるんだ。あの子は嘘つきにはなりたくないんだ」

で、ダンは見事に川を飛び越えて見せ、ハラハラしていた二人も思わず拍手するが、ダンは何も言わずに逃げるように走り去るのだった。

美川「一応、撃っとく?」
北斗「いや、弾がもったいない」
とでも言いたげな目でダンを見送る二人であった。
その後、本部で事件について話し合う隊員たち。

竜「工場の夜警二人はやはり急速な酸素欠乏状態で死んでいる。北斗と美川の調査でもあの付近に酸欠ガスが発生しやすいのは確かだな」
吉村「それじゃあ隊長は、あれは超獣の仕業ではないと?」
竜「いや、超獣が出たことは間違いない、だが、奴はどこへ消えたか?」
北斗「しかし、現場に残っていたあのアルコールの臭いはなんでしょうか?」
当然、事件の核心は、そのアルコールの匂いの原因にあると思われたが、結局ドラマではその点について特に詳しい解明はされないまま終わるのだった。ぽてちん。

竜「ここに興味深い資料がある」
美川「バツ印は昨夜の現場だとしてこの丸はなんですか?」
竜「うん、私が目をつけている、女子大生が住んでいるアパートだ」
じゃなくて、
竜「うん、この二年間、酔っ払い運転として片付けられていた交通事故だ」
山中「おお、アルコールの匂い……事故死」
で、視聴者には容易に想像のつくことだが、実はダンの父親も、酔っ払い運転をしていた訳ではなく、ギタギタンガに殺されていたのである。
無論、この時点では、北斗にもそんなことが分かる筈がなかった。
次のシーンでは、北斗が、ワンピースを着た若い女性に頼まれて、埃だらけになって取っ組み合っているダンと子供たちの喧嘩の仲裁に入る。

北斗「ひとりで大勢掛かるのはよせ、弱いものイジメは男のすることじゃない」
体で子供たちを止めているダンの姉・香代子のパンツがいかにも見えそうであったが、見えなかった。
ちくしょう。

北斗「ところで喧嘩の原因はなんだ?」
子供「ダンがまた大嘘ついたんだ」
ダン「嘘なんかつかない」
子供「こいつ、星が見えるなんていうんだよ」
北斗「昼間から星が? 何処に見える?」
ダン「あそこだよ、あんなにはっきり光ってるじゃないか」
実は北斗の目にも、昼間に見える眩しい星が見えていたのだが、ダンにもそれが見えると分かって驚きを隠せない北斗。
何故なら、それはウルトラ戦士にしか見えない(?)「ウルトラの星」だったからである。
だが、子供たちにも香代子にもそんなものは見えず(よくよく考えたら、そんなことありえないのだが……死兆星じゃあるまいし)、またしても嘘つき呼ばわりされたダン、子供たちとどつき合いながら向こうへ走っていく。
それを懸命に追いかける香代子の後ろ姿を見ながら、
北斗(見えないかな……) 男性として、自然な感情を抱く北斗であったが、嘘である。
その後、工場近くの土手を並んで歩いている北斗と香代子。

香代子「私たちの父はあの工場の技師だったんです」
北斗(バッグの紐が乳首を押さえている……) 香代子「それが一年前、事故を起こしちゃって……不思議なことに父の死体には何処にも怪我はなく、あたりには物凄いお酒の臭いがしたって……ダンは父さんが大好きだったんです、ダンって名前も決断のダン、断固としてのダンだって昔はとっても気に入ってたんです。父の口癖でしたわ、ダンて名前に負けるな、男らしく生きろ、正しいものは必ず勝つ」
北斗「俺の親父に似てるなぁ」
香代子「父の口癖はもうひとつ、自分のための嘘はつくな、だからダンは嘘つきって言われることが大嫌い。父の付けてくれたダンって名前にも、すごーく誇りを持ってたんです。それがこの頃、なんだかおかしくなっちゃって」
……
どうでもいいが、台詞が長い!! いくらなんでも長過ぎる。
なお、ダンと同じくレギュラーとなる香代子を演じるのは宮野リエさん。
まあ可愛いといえば可愛いが、レビューの原動力になってくれるほどではない。
その後、ダンが、またあの星が光るのを見たと言い出し、
ダン「俺の耳にはっきり聞こえたんだ、今夜ギタギタンガはまた現れる、地底人に操られて工場を襲うって」
子供「お前の姉ちゃんが働いてる工場かよーっ」
ダン「そうだよーっ」
子供「第一、あの超獣に誰がギタギタンガなんて名前付けたんだよ」 ごもっとも。 だーかーらー、レギュラー子役がエキストラ子役にいちいち論破されてんじゃねえよ!!
まあ、ネーミングライツの件はともかく、なんでダンにそんなことが予知できたのか、これも劇中では説明されないままなのがもどかしい。
もし、(北斗に向けられた)ウルトラの星からの助言を受けたとすれば、当然北斗だって知ってなきゃおかしいからね。
で、当たり前だが、誰もダンの言うことなど信じてくれず、キチガイ扱いされるだけだった。
夜、果たして、香代子の勤めている工場にギタギタンガがあらわれ、

顔の脇から突き出している二本の角からガスを噴射して、

一瞬でその一帯を火の海に変えてしまう。
いつもながら、惚れ惚れするような爆破シーンである。
今度はTACも間に合い、地上から攻撃を加えるが、

声「聞け、地球人、俺は地球の底に住む地底人だ、これ以上地下水を汲み上げるのを即刻中止せよ、地底人は非常に迷惑している!! 俺は今まで何度も酸欠ガスを発して何度も警告した、だが、貴様たちの地下水汲み上げは一行にやまない。通告する、今から10時間以内に地下水汲み上げを中止せよ、中止しないときは、このギタギタンガにお前たちを全滅させるぞ!!」
ここでギタギタンガを操る地底人アングラモンからの警告メッセージが届けられる。
そう、今回の話は、「ノンマルトの使者」同様、地球に住む人間以外の種族が、人間の横暴に業を煮やして反撃に出たという、実は人間のほうが悪だったという、コペルニクス的ストーリー……の筈なのだが、このギタギタンガの警告を、竜隊長も隊員たちも、
シカトで通しているので、全然そうはならないのだった。
まあ、当時は(今もだが)公害がひどかったから、それに対する反省も踏まえた設定で、いかにも長坂さんらしい着想だが、完全にアイディア倒れになっているのが残念だ。
もっとも、ほんとはそっち方面に話を広げようとしたけど、上から却下されて、心ならずも中途半端な内容になってしまったということはありうる。
しかし、地底人サイドも、何も言わずに酸欠ガスを放出したって、人間にそんなことが分かる筈がないのだから、もうちょっと別のアプローチを考えて欲しかったものだ。
あと、地底人の説明だけでは、酸欠ガスとアルコール臭の関係も分からず、それも歯痒い。
ちなみに「マスクマン」のアングラモン戦闘機って、これから来てるのかな?
翌日、パンサーでパトロール中の北斗は、工場のそばをしょんぼり歩いている香代子を見かけ、声を掛ける。

北斗「香代子さん、どうしたんです?」
香代子「工場を首になっちゃったんです」
北斗「どうして?」
香代子「同僚の財布から金を抜いているのがバレちゃったんです」 北斗「なるほど」
じゃなくて、
香代子「ダンが予言したとおりギタギタンガが工場に現れたから、私たちが何かギタギタンガに関係があるんじゃないかって疑われて」
北斗「ひどい八つ当たりをする会社だ」
香代子「私のことは良いんです、でも、ダンが……」
しかし、彼らが何か悪意を持っているのなら、わざわざそんなことを前以て警告するだろうかと言う疑問があるし、よりによって自分が働いている工場を狙わせるだろうかと言う気もするが、まあ、いかにも「臭いものには蓋」と言う、日本人的な対応ではあった。
北斗はさすがにショックを受けてメソメソ泣いているダンのところへ行き、
北斗「君が昨日見た星は、今見えるか?」
ダン「……見えないよ」

北斗「そうだ、今は見えないな、あの星はな、負けるもんかって思ったときにだけ見える星なんだ」
ダン「負けるもんかってえ?」
北斗「今まで君が星を見たとき、きっと心の中で負けるもんかって叫んだ筈だ、あの星はウルトラの星だ」
ダン「ウルトラの星ぃ? でも俺にはもう見えないよ」
北斗「今は君が負けそうになっているからだ、どんな時にもへこたれず、負けるもんか、負けるもんかって頑張れば、ウルトラの星は君にもずーっと見えるようになる」
この北斗の説明も、いまひとつピンと来ないんだよね。
「負けるもんか」って思ったときにだけ見えると言われても、あまりに曖昧で掴みどころがなく、「はあ、そうですか」と答えるしかないではないか。
CM後、北斗はダンの父親が事故った時の資料写真を見て、それを撮影した人のところへ行き、他のネガも借りうける。
そして新たに現像した写真を持ってダンのところへ行き、

北斗「よく聞くんだ、君のお父さんは酔っ払い運転なんかで死んだんじゃないぞ」
ダン「えっ」
北斗「あの事故を写真に撮った人からネガを借りて調べてみたんだ」
そう言って数枚の写真を見せる。
それは七五三の女の子を写したもので、左手から飛び込んで来たダンの父親の車が背後の塀にぶつかる様子がまざまざと映し出されていた。

ダン「ぶつかる前の写真を見ろ、塀の上に何かが出ている。これはギタギタンガだ。」

北斗「ギタギタンガは酸欠ガスでこの女の子を襲おうとした。君のお父さんは車からそれを見て女の子を救うためにギタギタンガの注意を逸らそうと、車をわざと突っ込んだ」
ダン「……」
どうでもいいが、写真の女の子の驚きに目玉をひん剥いてる様子がおかしい。
北斗「君のお父さんはうまく逃げるのに失敗してしまった、だけどね、ダン、やっぱり君のお父さんは昔君が信じていたように、勇気があってとっても強い人だったんだ」
だが、物証まで揃えて説明したというのに、ダンは救いがたいほど頑迷で、
ダン「北斗さんの言ってることは嘘だ。その時、父さんだって負けるもんかって思ったはずじゃないか、父さんにだってウルトラの星が見えたはずだ、それなのになんで父さんは殺されたんだ? どうしてウルトラマンAは来てくれなかったんだ?」
と、訳の分からない理屈で反論する。
いや、この台詞、変でしょ。
「負けるもんか」→「ウルトラの星が見える」
は、分かる。
でも、
「ウルトラの星が見えた」→「Aが助けに来てくれる」
とは、ならないよね。
それでも北斗、あえてその矛盾は指摘せず、なんとか説明を試みるが、
北斗「多分君のお父さんはギタギタンガを見てもう駄目だと思ってしまったんだ。きっと頑張りの心を捨ててしまったんだよ」
議論の土台からして不合理なので、その説明も、ますますもって意味不明なものにならざるを得なかった。
当然、ダンが納得する筈もなく、
ダン「嘘だ、お前の言ってることはデタラメだ!!」 ダン、こともあろうにウルトラ戦士を「お前」呼ばわりして写真を相手の頭に叩きつけると、さっさとその場から走り去ってしまう。
北斗(撃ちたいわ~、その背中、思いっきり撃ちたいわ~) 子供好きの北斗も、そのあまりにひどい仕打ちに新鮮な殺意を覚えるが、嘘である。
たぶん。
今回のシナリオの致命的な欠陥は、そもそも、小太りのクソ生意気なお子様の心がどうなろうと、視聴者はあんまり気にしないという点であろう。
要するに、特撮のゲスト主役は可愛い女の子に限るということである。
たとえば「ウルトラマンタロウ」の傑作「ウルトラのクリスマスツリー」の主役が天野美保子さんじゃなくて、このダン少年であったら、たちまちその価値も暴落するというものだ。
ちなみに、香代子は事故のことを説明するのに、
「不思議なことに父の死体には何処にも怪我はなく……」って言っていたが、写真から推測される状況と明らかに矛盾する。
いくら酸欠ガスで即死したとしても、この世には慣性の法則と言うのもがあるのだから、車が急に止まれる筈がなく、エアバックもない当時、車ごと塀に突っ込んで、ドライバーが無傷で済む筈がないからである。
その後、ダンが父親の墓の前に立っていると、
ダン「あ、地底人だ」
その目の前をフツーにアングラモンが通り過ぎていくという奇跡が起きる。
さすがにそれはないんじゃない?

ダン「ようし、父さんの仇を取ってやる」
何も気付かず、墓地の石段をヨタヨタ上がっていくアングラモン。

アングラモン「出て来い、出て来い、ギタギタンガ!!」
地球人が地下水の汲み上げをやめなかったので、痺れを切らしたのだろう、岩山の中に潜んでいたギタギタンガを呼び出し、攻撃を開始させる。
アングラモン「暴れろ、ギタギタンガ、今こそ地球人を全滅させるのだ」
と、漸くダンの存在に気付いたアングラモン、直ちにダンを殺そうとするが、逆にパチンコを胸に打たれてたじろぐ。
ダン「しめた、胸が急所なんだ」
ぜーぜー言いながら迫るアングラモンに押されて後退し、

崖を滑り落ちそうになるが、途中に生えている木にしがみついて、なんとか堪えるダン。
で、てっきりこれは、安全な低い場所で撮ってるのかと思ったら、

カメラが引くと、こーんな崖の上にぶら下がっていることが分かり、「おいおい、マジか?」となる。
どう見ても、スタントじゃなくて子役本人だしなぁ。
アングラモン、TACが出動したのを見て、「ギタギタンガが危ない」とダンを殺すのをやめてその場を離れていく。
だいじょうぶですよ、危なくないですよ~。
だから、ちゃっちゃとそのお子様の息の根を止めましょう!!
さて、北斗はひとりパンサーで現地に駆けつけるが、

そこで、木にぶら下がっているダンの姿を発見する。
ここも、ロングから一気にダンの姿にズームアップしているのだが、どう見てもほんとに子役が演じているようにしか見えない。
まあ、勿論、命綱は付けてるんだろうが、今では考えられない撮影である。
それにしても、これがミニスカの女の子だったらなぁ……
北斗、急いで崖を這い登りながら、

北斗「隊長、一時隊列を離れることを許可してください。ダン少年が危ないんです」
正直、そんなことしてる場合かよと思うが、律儀に上司に許可を求める。
お前はスペクトルマンか?
で、竜隊長も、ローラのように「オッケー」と軽く許可するのかと思いきや、
竜「勝手な行動は許さん!!」 耳を疑うような言葉を返すのだった。
竜「攻撃が遅れたら、何千人もの人が殺されるんだ」
ま、一応、それに続けて大義名分的台詞を口にするのだが、仮にも怪獣やっつけ隊の隊長が言うべき台詞じゃないよね。
それに、北斗も戦闘機に乗っているのならともかく、目下地上にいるんだから、北斗が攻撃に加わらなくても、特に影響はないのでは?
そもそも、こんな時にわざわざ上司に許可を求めるという、北斗の行為が不自然なのだ。
北斗「ダンの命も同じです!!」
実際、命令に背いてダンのところへ向かうのだから、結果は同じことだし。
TAC、ともかく攻撃を開始するが、そこへ巨大化したアングラモンも応援に駆けつけ、TACの攻撃を胸で受けてギタギタンガを守るという、麗しいペット愛(?)を見せつける。
……
いや、胸が弱点じゃなかったの?
アングラモン「ギタギタンガ、TACは俺が引き受ける、思う存分暴れまわれ!!」
アングラモンのビームを受けて、TACの戦闘機は次々撃ち落とされていく。
全員パラシュートで脱出するが、こう毎週のように使うのでは、出入りのパラシュート屋さんも大変ねえ。
それ以上に大変なのが、毎週のように戦闘機を修理せねばならない技師の人たちである。
一方、北斗、ダンに、自分のことはいいから戦ってくれと言われ、ほんとにダンをそのままにして戦列に復帰してしまうのだった。
で、何気に今回が北斗が初めてひとりで変身する回であり、気になるその変身シーンだが、

ウルトラリングを嵌めた両手を胸の前でクロスさせ、

北斗「だあっ!!」
それを勢い良く広げ、

北斗「でゅわーっ!!」
再び胸の前に持ってきて、

その拳の間から青白い光が放射され、Aに変身するという、もろに「仮面ライダー」っぽい変身シークエンスなのだった。
なんとなく「変身!!」と叫びたいのを我慢しているようにも見える。
ここからラス殺陣となるが、二体の強敵を相手に一方的にボコられ、あっという間にカラータイマーが点滅を始めるA。
それでも、自力で崖から這い上がろうとするダンの頑張りが乗り移ったように、猛然と反撃に出て、まずはギタギタンガの体を投げ飛ばして木っ端微塵に破壊する。
ギタギタンガ、外見の割りに虚弱な超獣だったようで、ひょっとしたらTACでも勝てていたかもしれないなぁ。
ついで、アングラモンの地震ビームで地割れの中に落ちそうになるAであったが、なんとか耐え、
ダン「地底人の弱点は胸だよーっ!!」
と言う、ダンの助言を思い返し、

空中に飛び上がると両手からビームを放ち、

アングラモンの急所である胸を狙い撃ち、その体を炎上させる。

地球人の横暴に抗議するためにやって来たのに、生来のコミュ障から抗議の声を受理してもらうことさえ出来ず、やむなく実力行使に訴えたが、宇宙人に生きながら焼き殺されるというひどい目に遭うアングラモンさんでした。
なお、これっきり地底人からのクレームが来なくなったのは、地球人およびAの凶暴さ、残忍さが骨身に沁みたからであろう。
ラスト、北斗とダンが夕空を見上げながら話している。

ダン「父さんもきっと喜んでるね」
北斗「そうさ、ダン、君は最後まで負けるもんかと頑張り続けた。ウルトラの星が見えて、それでもまだへこたれずに頑張り続けた」
ダン「そしたらAが来てくれるんだ」
北斗「ああ」
ダン「あ、見える、北斗さん」
ダンが指差したほうを見れば、北斗の目にも、黄昏色に染まる空に燦然と輝くウルトラの星が見えた。
北斗「君にもウルトラの星がずっと見えるようになったか」
ダン「消えないよ、今度は消えないよ。北斗さん、俺はウルトラ6番目の兄弟になったんだ、ね?」
しかし、ダンはダンで、なんで北斗にもウルトラの星が常に見えるのか、疑問に感じないのだろうか?
以上、ゲストが小太りの男児で、ストーリーが退屈で、おまけに台詞が長くて突っ込みどころが多いという、四重苦のようなレビューであった。
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