第22話「12時00分ライダー死刑!?」(1975年8月30日)
冒頭、山の中を意味もなくバイクで走っていた茂の前に、

白いトンガリ頭巾とローブを着た5人のライダーが突っ込んでくるという、悪夢にも似たシュールな光景。
茂、逃げずに真っ正面からぶつかっていくが、ライダーは途中で霞のように消えてしまう。
その後も、同じ連中が茂の前に現れたかと思うと消え、消えては現われ、茂を翻弄する。
茂「分からん、一体何をしようってんだ」
茂が敵の意図を掴みかねて困惑していると、

茂「シャドウ!!」
シャドウ「どうした、城茂、だいぶしつこく付け狙われているようだな」
頭上の岩の上にシャドウがあらわれ、ほとんど友達感覚で、気さくに話しかけてくる。

茂「なにぃ」
シャドウ「待て、今お前と勝負するのはやめておこう。どうやらタイタンも必死のようだ、今度ばかりはお前も危ないぞ」
シャドウ、そう忠告するとトランプフェイドで姿を消す。
管理人、敵同士でありながら、ひたすらいがみ合うのではなく、時として協力者のように振舞うシャドウと茂の関係が大好きである。
一方、パワーアップマニアのタイタン、一つ目時代にもやっていた自身の強化手術をまた行っていた。
無事手術を終え、ベッドから起き上がったタイタンに対し、
首領「タイタンよ、ワシが信頼しているのはお前ひとりだ、期待を裏切るな」
タイタン「は、私はこの作戦に命を懸けるつもりで
30倍のパワーアップをしたところです」
いや、30倍って、さすがに強化し過ぎでは?
今までだってストロンガーと互角の実力だったのだから、30倍なら、ストロンガーを瞬殺できるレベルだろ。
ちなみに一つ目タイタン時代に、既に3倍の強化を施しているので、ウォーズマン方式で行けば3×30の90倍になってる筈だが……
首領「それでこそブラックサタン直属の大幹部だ、雇われ根性のシャドウとは比べ物ならんな」
タイタン「大首領、誓って、誓って仮面ライダーストロンガーを倒します」
前回「やかましい」とか言ってたくせに、おもねるようにタイタンの決意を讃える首領に、タイタンも跪いて、力強く断言する。
しかし、自分で雇っておいて、「雇われ根性」はないだろう……
一方、最近、行動を共にすることの多いおやっさんとユリ子。
食事の支度をしているユリ子をよそに、おやっさんがカツサンドをつまみ食いしてると、

ユリ子「おじさん!!」
立花「……」
ユリ子「もう、いつもこうなんだから、もう」
横からユリ子に怒鳴りつけられ、目を白黒させる。
しかし、これから食事にしようと言うのに、つまみ食いくらいで大声出さなくても良いと思うんだけどね。

立花「ごめん、ごめん」
ユリ子「いらない!!」
立花(チッ!!) 食べかけのサンドイッチを差し出して、逆間接キスを狙うおやっさんだったが、失敗する。
でも、まあ、住所不定無職なのに、こんな可愛い女の子と旅が出来るんだから、おやっさん、幸せモンだよね。
もっとも、それは茂もユリ子も同じことで、善玉レギュラーが全員住所不定無職って、なかなか珍しい設定ではある。
と、俄かに空模様が怪しくなり、雷まで鳴り出したので、二人は慌てて食事を片付け、すぐ近くにあった洋館に雨宿りをしに行く。
勝手に上がり込んでおいて、中が蜘蛛の巣だらけなのを見て「ひでえ家だなぁ」と悪態をつく住所不定無職のオヤジ……って書くと、最低の人間に見えてくるから不思議である。
部屋の中には、茶色い、人間ほどもある巨大な繭のような物体が転がっていたが、

案の定、その中から、芋虫風の奇械人ケムンガが誕生する。
ユリ子「ブラックサタンの奇械人!!」
ユリ子、タックルに変身し、前回、サメ奇械人を投げ飛ばした電波投げを繰り出すが、
ケムンガ「へっへっへっへっ」
ユリ子「効かない!!」
何故か、今度は全く通用しない。

ユリ子「悔しい!!」
以前、タイタン相手にも同じこと言ってたが、悔しいので「悔しい」と言う、大変素直なタックルさんでした。
いや、仮にもヒーローなんだから、悔しがるだけじゃなく、技を強化することを考えようよ。
いささか長ったらしいアクションの末、二人とも取り押さえられるが、そこへ、稲光とともに窓を突き破って飛び込んできたのが、茂であった。
ユリ子「茂!!」
立花「来てくれたのか」
ケムンガ「来たな、城茂!!」
ケムンガ、最初は幼虫らしく鳴き声だけで、てっきり喋れないキャラかと思ったのだが、途中で普通に喋り出す。
庭に移動して、奇械人や戦闘員と格闘する茂だったが、

ついさっきまで雷が鳴ってたのに、一瞬で快晴になっちゃうのは、さすがにどうかと思う。
それとも、あの雷雨は、タイタンが妖術で作り出した幻だったのだろうか。
茂、ストロンガーに変身して戦うが、
ライダー「電タッチ!!」
ケムンガ「俺は不死身のケムンガだ、電気など感じるもんか!!」
ケムンガ、どうやら耐電性の体を持っているらしく、タックルの電波投げが効かなかったのも当然であった。
それでもなんとかケムンガを撃退するが、どうやら時間を掛け過ぎたようで、部屋に戻ってみると、おやっさんとユリ子の姿が消えていた。
茂がバイクのところに戻ると、再びシャドウがあらわれる。

茂「貴様、二人を何処へやった?」
シャドウ「お前がおびき出された隙に、タイタンが攫って行った」
茂「なんだとぉ、二人は何処だ、言え!!」
ヘルメットのひさしが、シャドウのフードに当たるくらい顔を近づけ、吠えるが、
シャドウ「それを教えてやるほどお人好しではない」
茂(じゃあ、何しに来たんだよ?) ほんと、何しに来たんでしょう?
単に茂とお喋りがしたかっただけなのではあるまいか。
茂、ならばと、力尽くでシャドウの口を割らせようとするが、変身前の茂に自由に出来る相手ではなく、あっさり逃げられる。
CM後、

立花「おーい、なんとかしてくれ、うう……」
タイタン「生意気にブラックサタンに逆らった罰だ、ふっはっはっはっ」
おやっさんとユリ子が、背中合わせにサランラップのようなものでグルグル巻きにされ、アジトの天井から吊り下げられている。
それにしても、夏場のユリ子の衣装、もうちょっとどうにかならなかったかなぁ……
水着などと贅沢は言わないから、せめて18話のブルマ風短パンとTシャツで通してくれれば良かったのだが、ほとんどが、ジーパンや今回のショートオールなどの、色気のカケラもない衣装なのは淋し過ぎる。
タイタンが、身動きできない二人をいたぶって喜んでいると、いつの間にかシャドウが立っており、しきりに笑い声を立てる。
タイタン「シャドウ、何しに来た?」
シャドウ「作戦は上手く運んでいるようだな」
タイタン「余計なお世話だ。何が言いたいんだ」
シャドウ「別に……だが、問題はこれからだな」
タイタン「貴様、まさか邪魔する気では……」
シャドウ「邪魔はせん、する必要もない、だが、これだけは教えよう、城茂は奴の独特の能力でもうこの方角を嗅ぎつけたぞ」
シャドウの忠告に、タイタンは直ちにオートバイ部隊を出動させて茂を迎え撃たせる。
その一方、タイタンは急いで二人の体をアジトの外へ運び出させる。

その際、戦闘員の肩に担がれたユリ子のお尻が見えるのが、今回唯一の収穫であった。
トラックの荷台に二人が積まれ、処刑場所に向かって走り出す。
さっきまで起きてたのに、いつの間にか失神しているユリ子をおやっさんが起こそうとするが、どうしても目覚めない。
それでも、自力で手首の縄を切り、荷台から転げ落ちるようにして、なんとか脱出するおやっさん。
続いて、バイクを走らせるストロンガーの眼前に、ふらふらになったおやっさんが飛び出してきて、路上にぶっ倒れる。
ストロンガーはその体を抱き起こし、
ライダー「だいぶ痛めつけられたようだが、良く逃げられましたね。で、ユリ子は?」
立花「それが、残念だが助けられなかった。奴ら、ユリ子を反逆者として処刑するつもりなんだ。早く助けに行かないと……」
這ってでもユリ子の元へ行こうとするおやっさんを助け起こしながら、
ライダー「私が行きます」
だが、おやっさん、カブトローにしがみつくように立ちながら、

立花「これは俺の責任だ、ユリ子をあのままにして俺がおめおめ生きていられるか」
ライダー「それで、場所は?」
立花「いや、俺が案内する。頼む、連れてってくれ」
いつになく執念深く、おやっさんが同行を申し出て、ストロンガーもその熱意に負けておやっさんを乗せて出発する。
ちょっと考えれば、途中で逃げたおやっさんが処刑場所を知ってる筈がないのだが、直前のシーンとの繋がりが自然なので、視聴者は全く怪しまない。
色々あって、二人は、採石場の、こんもりした丘の上に立てられた十字架に縛り付けられているユリ子と、その周りでストロンガーが来るのを今や遅しと待ち構えているタイタンたちを背後から見下ろす場所までやってくる。

タイタン「来い、ストロンガー、やつがユリ子に近づいたら、一斉射撃だ、いいな、バズーカ部隊?」
見れば、丘の後方の物陰に、銀色のバズーカ砲を持った戦闘員たちがスタンバイしていた。
ライダー「行くぞ」
ストロンガーは、義経の鵯越の奇襲よろしく、一気に断崖を駆け下り、敵の不意を衝くのだが、その際、おやっさんを後ろに乗っけたままと言うのは、ストーリー上の都合とは言え、いささか変である。
タイタン自慢のバズーカ部隊も大して役に立たず、蹴散らされる。
おやっさんを乗せて、タイタンの前までやってくるストロンガーであったが、

立花「……」
この時、おやっさんの目が妖しく光ったかと思うと、いきなり、ストロンガーの背後から襲い掛かってくる。
そう、そのおやっさんは奇械人の化けたニセモノだったのである!!
実に鮮やかな引っ掛けで、管理人も、今まで何度も見てるのに、今回レビューのためにチェックした際、この瞬間まで全く気付けなかったほどである。
ま、単に、私の記憶力がポンコツだと言う説もあるが……

ライダー「何をするんだ、おやじさん」
タイタン「見ろ」

タイタンの指図で、何処かに隠されていた本物のおやっさんが引き出され、ユリ子と背中合わせに十字架に縛り付けられる。
ニセのおやっさん、ライダーの右手を掴んで地面に叩きつけると、ケムンガの姿に戻る。
つまり、おやっさんは一旦は逃げたが、すぐ捕まり、代わりにケムンガがおやっさんのふりをしてストロンガーの前にあらわれたのである。
ただ、それならそれで、その時のシーンを再現してくれないと、特に幼い視聴者にはちょっと分かりづらかったのではあるまいか。
もっとも、そのトリックでストロンガーが捕まったのならともかく、特に自由を奪われたわけではないので、作戦にはあまり影響がなかったのが、ちょっと悲しい。
ストロンガー、ケムンガ、ついで百目タイタンと戦う。

ストロンガー「電キック!!」
タイタン「キック返し」
ストロンガーが必殺の「電キック」を放つが、タイタンは両手で受け止め、投げ飛ばす。
この、何の気負いもなく普通に必殺技を防いでいるあたり、タイタンの底知れない強さにゾクゾクする管理人であった。
ならばと、相手を弱っちいケムンガに変えて、気持ち良くボコるストロンガーであったが、
ライダー「う、なんだこれは?」
いつの間にか、背中から白くて太い糸が生えており、それが地面にくっついて後方に引っ張られる。
ケムンガ「それがお前の命取りだ」
ケムンガ、一回転して糸の端を掴むと、

ケムンガ「バカモノ、さっきお前の肩に卵を産み付けておいた、その卵が孵って糸を吹いたのだ」
と、割りと気持ち悪いことを言い出す。
つまり、ニセおやっさんとしてライダーの背中にしがみついているときに、こっそり卵を植えつけたということなのだろう。
だとすれば、おやっさんに化けていたことにもちゃんと意味があったことになる。
ただ、芋虫、つまり幼虫をモチーフにした奇械人が卵を産み付けるというのは、いかにもイメージが湧きにくく、ここは単に粘着性の強い糸をくっつけておいた……で良かったのではあるまいか。
それはともかく、ケムンガは糸を手繰り寄せてストロンガーに抱きつき、白い液を噴射して繊維状に変化させ、相手の体もろとも、全身を真っ白な繭で包み込んでしまう。

タイタン「はっはっはっはっ、かわいそうに、とうとう繭に閉じ込められたな」
作戦図に当たり、愉快そうに笑うタイタンの背後で、バンザイするように勝利のパラパラ風ダンスを踊っている戦闘員たちの姿に、めっちゃ癒される管理人であった。
タイタン「このケムンガの繭は頑丈だ。貴様にも破ることは出来んぞ、ふっふっ」
タイタン、繭をポンポン叩いてストロンガーに語り掛けると、再び人間の姿に戻り、ユリ子たちに向き直る。

タイタン「さて、これよりまず反逆者の第一、ライダーストロンガーの処刑を行う。岬ユリ子、次はお前だ。そして協力者の立花藤兵衛だ。良く見ておけ」
そして二人に向かって話すのだが、「岬ユリ子、次はお前だ」の台詞を言いながら、タイタンの指は明らかにおやっさんに向けられている。
また、「立花藤兵衛だ」のあたりで、ユリ子が顔を捻じ曲げて何か言ってるのだが、声が抜けている。
ついで、数人の戦闘員が繭を担いで運び、無数の爆弾の上に置く。
タイタン「あそこには超エネルギー爆薬が仕掛けてある。ライダーストロンガーを木っ端微塵にするには、ちと大袈裟過ぎたかな、はっはっはっはっ」
タイタン、即座に導火線に煙草で火をつけるが、それだとケムンガまで一緒に吹っ飛んでしまうのだが、良いのだろうか?
そりゃまあ、ライダーを殺せるのなら奇械人の一人や二人どうなっても構わんと言うのがタイタンの本音だろうが、ケムンガの力なら、ストロンガーだけを繭に封じ込めることも可能だったような気もする。
さて、刻々と導火線が短くなっていく中、

タイタン「いよいよ、ライダー最期の時だ」
咥え煙草で勝利を確信するタイタンと、絶望のあまり導火線から目を逸らしてしまうユリ子とおやっさんの姿を映しつつ、次回へ「つづく」のだった。
以上、ストロンガーとタイタン軍団との息詰まる戦いが見応え十分、そして、なんと言ってもニセおやっさんによる、鮮やかな「騙し」がひときわ印象に残る力作であった。
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