第6話「助けて― くもの巣館の恋人たち」(1980年)
冒頭、あまりに金がないので新宿副都心の高層ビルを陸橋の上から眺めるだけと言う、サイテーのデートをしている若いカップル。
と、芥川の「蜘蛛の糸」よろしく、頭上から太くて白いクモの糸のようなものが垂れて来たかと思うと、

女「キャーーーッ!!」
男「うわーっ、助けてくれーっ!!」
糸はひとりでに巻きつくと、二人の体を一緒に空中高く持ち上げる。
……
ああ、これが、70年代のミニスカブームの作品だったらなぁ。
ま、その場合、女優さんはジーパンを履くだろうが。
二人はそのまま行方不明となる。
その後も、衆人環視の中、若いカップルが(性的な意味でなく)昇天する事件が続発。
一也と良が空手の稽古から店に戻ってくると、谷たちがその事件を伝える新聞記事を読んでいた。
チョロ「兄貴、兄貴、これ見てよ」
一也「人間が空に?」
チョロ「おかしいよな」
谷「それもな、誰からも似合いのカップルだと祝福されている恋人同士ばかりなんだ」
と、ハルミが急にそわそわし出す。
ハルミ「ああ、私なんだか心配になってきちゃった~」
チョロ「え?」
ハルミ「私の親友がね、もう大恋愛の末に明日教会で式を挙げるのよ、ねえ、一也さん、一緒に来て私の友達を守って欲しいの、お願い」
無論、一也に否やはなく、ハルミ、チョロの三人で式に参加することになる。

で、その親友の花嫁さんがなかなか可愛らしいのである。
堀江美都子と榊原郁恵と遠藤真理子と戸島一実を混ぜたような感じである(混ぜ過ぎ)

ハルミ「おめでとう、良かったわね!! 式は無事に済んだわ、もう大丈夫よね」
チョロ「うん」
こうして見ると、ハルミもチョロもめちゃくちゃ良い人そうで、見てるだけで癒される。
「スーパー1」の成功は、この二人の人柄が醸し出すコミカル且つハートウォーミングな雰囲気に支えられている部分が大きいと思う。
だが、安心するのは早かった。
地面に、一瞬、蜘蛛の巣のような影か見え、梢が風もないのにガサガサ揺れたかと思うと、

何処からか飛んできた白いロープが二人の体に巻きつき、上空に引っ張り上げられる。
それにしても、ウェディングドレスを着た状態でこんな目に遭うとは、女優さんにとってはまさに天国から地獄であったろう。
二人は他の被害者同様、空の彼方に消え去るが、さすがの一也も手を束ねて見ていることしか出来なかった。
いや、物陰で急いでスーパー1に変身してレーダーハンドを使えば、行方を突き止められたのではあるまいか?
目の前でカップルを攫われてすごすご戻って来た三人に、谷は呆れたように声を荒げる。
谷「なんだよ、なんだよ、なす術なしかよ」
一也「お手上げです」
谷「犯人の手掛かりも何にもなしかぁ」
一也「手掛かりといえば、花婿・花嫁が空に消える前に、蜘蛛の巣のような影を見たんです」
谷「蜘蛛の巣?」
一也「谷さん、まだ漠然としか分かんないんですけど、これは……」
谷「ドグマか」
一也「おそらく」
一也が、自ら囮になると言い出すと、そばで聞いていたハルミがその恋人役に名乗りを上げる。
ハルミ「私じゃダメかしら」
一也「待てよ、ハルミ、まだ敵の正体も何も分かっていないんだ、そんな危険なこと、ハルミにさせられるかい」
と、一也は反対するのだが、だったら誰がやるんだってことになるんだけどね。
ひょっとして、チョロに女装させようとか考えたのではあるまいな?
ハルミ「だって私の親友が消えちゃったのよ、もう私、じっとなんてしてられないわよ。それに私、一也さんと一緒なら何が起こっても怖くない。お願いよ!!」
真剣な顔で訴えるハルミの熱意に負け、一也も遂に折れる。

ハルミ「あーあー、これがほんとなら嬉しいんだけどなぁ」
だが、一也と恋人同士を装って街へ繰り出したハルミのぽつりと漏らした言葉で、「役得」目当てだったことが分かる。
無論、ハルミが親友のことを心配しているのは嘘ではないのだが、相手がチョロだった絶対引き受けなかったであろうことも、また事実であった。
一也「え、何が?」
ハルミ「うんー、もう、こうしてることがよ。でも、ま、芝居でも良いとするか」
ヒーローの宿命で、そういうことには不自然なほど鈍感な一也の問い掛けに、ハルミがじれったそうに答えた直後、彼らの足元にあの蜘蛛の巣のような影が出現する。
ついであの太い糸が飛んできて絡まり、二人の体をぐんぐん持ち上げる。
ハルミ「きゃっ、わっ」
一也「ハルミ、落ち着くんだ!!」
敵の正体を突き止めるのが目的なので、一也は抵抗もせずにハルミと一緒になすがままに上空に引っ張り上げられる。
しかし、今回の作戦、一也にしてはいささか迂闊だったように思える。
第一に、攫われたカップルが実際にどんな目に遭っているのか分からず、ひょっとしたら、一也がそうされたように、単に高空に持ち上げてから墜落死させるのが目的だったかもしれないのだから、ハルミにパラシュートも持たせずにそんなことをさせたのは、あまりに危険が大きい。
第二に、攫われた後のことを考えれば、ハルミの体に発信機のようなものを取り付けておくべきなのに、それも怠っていた。ま、自分もペアで連れ去られるつもりだったから、その必要はあるまいと考えたのだろうが……
第三に、予告編では「変装して」と言っていたが、実際は全くのノーメイクで囮になっている。既にドグマと何度も戦っているのだから、自分の面が割れていることくらい予想されてしかるべきなのに、これもいささか間抜けであった。
それはともかく、二人の体が高層ビルの屋上あたりまで持ち上げられると、上昇が止まり、

一也「その姿は、ドグマ怪人だな」
スパイダーババン「いかにも俺様はドグマA級怪人、スパイダーババーン様だ」
ついで、目の前の何もない空間に、スパイダーババンと言う怪人があらわれる。
その台詞で、ドグマでは、将棋の順位戦のように、A級だのB級だの、怪人にランク付けがされていることが分かる。
スパイターババン「囮になって、アジトを突き止めようとしてもそうは行くか。貴様はここから地上へ突き落としてやる」
一也「なんだとっ!!」
予想外の展開に、思わず目も眩む高さの足元を見る一也。
まあ、さっきも言ったように、こんなこと、予想できないほうがおかしいのだが、スパイダーババンは一也をアジトに連れて行くようなことはせず、糸を切って一也だけ墜落死させようとする。
ハルミ「一也さーん!!」
だが、欲を出して、ハルミだけそのままにしたのが痛恨のミスで、一也は落下中に変身ポーズを決め、スーパー1となって無事に着地する。
もしスパイダーババンがハルミごと落としていれば、一也も変身する余裕はなく、ハルミを守るのが精一杯だったろうに……
もっとも、後に描かれる玄海のむちゃくちゃな修行から見て、仮に一也が変身せずに落下していたとしても、即死するようなことはなかっただろう。
それはともかく、

スパイダーババンは、気絶したハルミの体をお姫様抱っこして、ついでに存分に柔らかな胸の感触を楽しみつつ、空中を横滑りしてビルの向こうに姿を消す。
ライダー「バカな、何故奴は空に立てるのだ?」
ここから、前回も登場したブラックライダーたちとのチェイス、および、戦闘員たちとのバトルとなるが、めちゃくちゃとってつけたような編集で、視聴率対策なのは明らかであった。
前回、チェイスシーンは長かったが、アクションシーンはあんまりなかったからね。
ただ、間に余計なモノを入れたせいで、
ライダー「
一刻も早く、奴らのアジトを突き止めなければ!! レーダーハンド!!」
続くスーパー1の台詞が、めちゃくちゃ空しく聞こえてしまうのだった。
なにが「一刻も早く」だっ!!
しかも、肝心のレーダーハンドが、
ライダー「しまった、レーダーアイが故障している」 と言う、ほとんどギャグの世界に突入しているような、トホホなオチとなるのだった。
つまり、一也の作戦はものの見事に、完膚なきまでに、いっそ清々しいくらいに完璧に失敗に終わったわけである。
これでハルミがドグマに惨殺でもされた日には、谷に絞め殺されているところである。
いくら新米ライダーとは言え、一也、ちょっとミスが多過ぎないか?
この後、敵の罠に嵌まっちゃうし。
一也がブルーバージョンを意味もなく走らせていると、谷から通信が入る。
谷「一也、どうだった」
一也「奴らは俺が行くのを計算に入れて計画を練っていました」
……いや、計算に入れるも何も、一也だってことがバレバレだったんだから。
ハルミのことに一切言及しないことと合わせて、一也の台詞には、自分の失敗を隠したり、失敗を正当化したりしているようなところがあって、ちょっとヒーローらしくない。
ま、ハルミの安否を聞かない谷も谷なのだが……
谷「事件の発生した地域を調べたんだが、別段変わったことはないんだ。ただ、倉庫街にKM産業と言う会社が新しく研究所を作ったことぐらいなんだ」
一也「わかりました、確認します」
と言う訳で、一也は一縷の望みに縋ってKM産業の研究所へ向かうのだが、これも、あまりにご都合主義的だよね。
だって、東京なら毎日のようにガンガン工場や研究所が建ってるだろうに、その中で、谷がその会社だけを怪しいと睨んだのは、どう考えても変だからである。
なので、一也の名誉を挽回するためにも、ここは普通にハルミの体に発信機を取り付けていた……で、良いんじゃない?
それはそれとして、谷の睨んだとおり、そこがドグマの地上基地で、ハルミを含めて、攫われたカップルは全員その中の倉庫に集められていた。

スパイダーババン「ドグマ式相性テスト、ナンバー2、耐久テストを行う、ぶらさがりはじめーっ!!」
そこでは、ゼッケンを胸につけ、男女別にされたカップルたちが、天井から垂れるバトンを掴み、長い台の上に立たされていた。
なんか、某企画系エロビデオを彷彿とさせるような絵面である。
スパイダーババンの指示で、全員、台から足を離してバトンにぶら下がる。
スパイダーババン「このテストに耐えられないものは奴隷に格下げする」

下から見上げたこのアングル、なかなかエロティックなのだが、全員露出度の低い服を着ているのがとても残念だ。
それにしても、攫った男女の相性を調べる「悪の組織」など、前代未聞である。
しかもその目的と言うのが、
メガール「スパイダーババンよ、我がドグマの理想社会のモデルケース、ドグマの美しい村の建設は、着々と進んでいるようだなぁ」
と言う、これまたおよそ「悪の組織」とは思えぬぶっ飛んだものであった。
ま、これも、ナチスが障碍者を虐殺したT4作戦などにつながる、優生思想がモデルとなっているのだろう。
名称については、武者小路実篤の「新しい村」から来ているのだろう。
ネーミングといえば、スパイダーババンの「ババン」って、ひょっとして、ドリフの「ビバノン・ロック」(いい湯だな)から来てるのかしら?
話を戻して、
スパイダーババン「はい、メガール将軍、ただいまのところ、ドグマ社会の適合性、生存能力と知能指数、教養度の検査が終わり、次に肉体検査をすれば完了でございます」
「肉体検査」と言う言葉に、一瞬、女の子たちが裸に剥かれて立たされているシーンを想像してしまった人、あとで職員室に来るように。

ハルミ「ちょっと、なんのためにこんなことさせんのよ」
スパイダーババン「黙れ、質問することは許さん、この女に強い電流を流せ」
まさに口は災いの元、ハルミは余計なことを口走ったせいで、電気ショックの罰を受ける。

スパイダーババン「ドグマ式相性テストナンバー3、大音響適合テストを行う。はじめ!!」
ついで、彼らを並ばせ、暴走族の出す騒音のような大音量を浴びせるという、ぜんっぜんエロくない上に、さっぱり意味の分からないテストが行われる。
さすがにこれは相性とは関係ないのでは?
CM後、再びメガール将軍が視察に訪れる。
メガール「君たちは我がドグマの美しい村の名誉村民として来て貰ったエリートなのだ」
メガール、男女別々の檻に入れられたカップルたちに重々しく訓示するが、
ハルミ「何が名誉村民よ、早くここから出して!!」
無論、若者たちは大ブーイング。
しかし、ハルミ、一也のことを全然心配している様子がないのは、かなり変である。
いや、心配も何も、あの高さから落ちたらまず助からないと思うのが普通なので、一也が死んだものと思って悲嘆に暮れてなきゃおかしいんだけどね。
スパイダーババン「しずまれ、しずまれ、メガール将軍のお言葉を最後まで聞かんか」
まるで校長先生をフォローする教頭みたいな口調で若者たちを黙らせるスパイダーババン。
メガール「お前たち人間どもは好きとか嫌いで結婚相手を決めるようだが、それは愚かなことだ。我がドグマは全ての能力を調査し、ドグマ式相性テストで相手を決める」
女「いや、私、ミツルさん以外の人と結婚するなんて絶対にいや!!」
と、皆まで聞かずに女性のひとりが叫ぶと、男性の檻の近くに移動して手を伸ばし、ミツルなる男と手を取り合うが、

メガール「それが愚かだというのだ。感情で相手を決めるから不幸になるのだ」
……うむ、悪にしては一理ある発言だ。
実際、日本にも「お見合い」と言う、似たようにシステムがあるから、それほど奇矯な発想とは言えまい。
そう言えば、これって合……いえ、なんでもないです。
が、恋愛中の男女がそんな言葉で納得できる筈もなく、
女「そんなのってないわよ」
ミツル「勝手なことを言うな!!」
メガール「黙れ!!」
スパイダーババン「ええい、この」
女「いや、いやっ」
スパイダーババン、二人の手を無理やり引き離す。
よく、男女の仲を引き裂くという表現を耳にするが、これだけ文字通りのシーンはなかなかお目に掛かれまい。
校長先生の話はまだまだ続く。
メガール「我がドグマは優れた子孫を残すために一番いい組み合わせを作ってやっているのだ」
恩着せがましいメガールの言葉に、当然ハルミたち反発する。
ハルミ「勝手に組み合わせなんか作らないでよ!! 私たちはみんな自分の意志で決めるんだから!!」
女たち「そうよ、そうよ!!」
スパイダーババン「ええい、黙れ」
メガール「今はそう考えてもすぐに我らに感謝するようになるのだ」
校長先生の話がやっと終わるが、休む間もなく次のテストとなる。
こう書くと、ほんとに学校みたいである。

スパイダーババン「大暴風雨に対する忍耐力のテストだ、やれーっ!!」
で、今度は巨大な送風機で猛烈な風と水を浴びせるという、これまた相性関係ねえだろ!! 的なトンデモなテストであった。
なにかっちゅうと耐久力調べるのやめい!!
ただ、水をぶっ掛けられると聞いて今度こそエッチなシーンになるのではないかと期待したが、

ちびっ子向け特撮ドラマで、女の子がずぶ濡れになってブラが透けるなんてシーンが出てくる筈もなく、水は主に男たちに浴びせられ、またしても期待は裏切られる。
どうでもいいが、拉致された時の服装のままテストを行うのだから、ドグマも結構いい加減だよな。
ハルミの親友なんか、ずーっとウェディングドレス着てやってるんだから、物凄いハンディである。
そのうち、やっと一也が救出に現れるが、死んだと思っていた(筈の)一也の顔を見ても、ハルミがフツーの反応しか示さないのが、かなり物足りない。
一也は見張りの戦闘員を倒すと、
一也「下がっているんだ。はぁーっ……」

一也「とあーっ!!」
手刀で鉄格子を切り裂くという、バイオニックジェミー(古っ!!)も真っ青の芸当を見せる。
だが次の瞬間、天井から飛んできた蜘蛛の糸が一也の体に巻きつき、その自由を奪う。
スパイダーババン「来たな、沖一也、切れまい、その糸はドグマの超科学が生み出した鋼の蜘蛛糸だ。貴様を地獄に送ってやる」
こうして、実に三週連続で敵の手に落ちた一也であったが、相変わらずドグマは過去の失敗から学ぼうという意識が希薄で、

スパイダーババン「これより、ドグマ刑罰地獄落としの罰を与える。ロープを一本一本切り落とせば、お前は人斬り扇風機にずたずたにされるのだ」
底に羽が鋭い刃となって猛スピードで回転しているタービンがある穴の上に、一也を何本ものロープで吊るし、そのロープを一本一本切って楽しみながら一也を処刑するという、いかにも脱出して下さいといわんばかりの確実性に乏しい方法を選ぶのだった。
それでも今回は、機械任せではなく、人力でロープを切っているので、多少は期待が出来たのだが……
あと、毎回言ってる気がするけど、改造人間の一也が、それくらいの仕掛けで死ぬだろうか?
もし落ちても、せいぜい足を怪我するくらいじゃないのかなぁ。
あるいは、前半でやっていたように、落下中にスーパー1に変身するという手もあった筈だ。
一也(もはやこれまでか……このロープが切れたら)
それでも一也はドグマの顔を立てて、内心で絶望してみせる。
と、一也の脳裏に、かつて山篭りをしていたときに行った荒行の光景がありありと浮かび上がる。
深い谷に渡された吊り橋の上からぶら下がり、弁慶の持つロープ一本で支えられている一也。

玄海「一也、死ぬと思う心に怯えるな、怯えれば見るものは見えず、聞くものは聞こえんぞ、心を空しゅうして心身を大気と一体化せよ。しかるのち、身を天命に委ねるのぢゃ!!」
一也「えーっとぉ、それは落ちて死ねっていうことなんですかぁ?」 ……と言うのは嘘だが、吊り橋から落としたら、どんな武術の達人だろうが死ぬっつーの。
一也を転落死させてしまい、警察の取調室で若い刑事に説教されて小さくなってる玄海の姿を思い浮かべ、思わずふふっとなってしまった管理人であった。
で、弁慶がロープから手を離したので、一也はまっさかさまに谷底へ。
だが、一也は落下の途中で横の崖に飛びつくことで、奇跡的に死を免れるのだった。
……
いや、だから、自由落下運動してる人間に、そんなこと無理ですってば!!
それはともかく、一也が思い出に浸っているうちに、ロープはどんどん切られ、
スパイダーババン「いよいよ最後の一本だ」
一也(助かる道はたったひとつ、あの人斬り扇風機の心棒に飛び降りることだ)
で、スパイダーババンが思い切りよく最後の一本を切り、一也の体が穴の中を落ちていくのだが、

スパイダーババン「はっはっはっはっ……」

スパンダーババン「……」
閉めるんかいっっっ!!! そう、呆れ返ったことに、スパイダーババンは一也の死を見届けずに蓋を閉めちゃうのである!!
さすがにこれは不自然だろう。
ま、顔の割りに繊細な神経の持ち主で、ズタズタに切り刻まれる一也の死体を見たくなかったのかもしれないが……
それはともかく、一也はあの修行の感覚を思い出し、見事に心棒の上に降り立つのだった。
ただ、位置的に、何もしないでも心棒のうえに落ちていたような気もするんだけどね。
で、前回、死体確認をちゃんとしろとテラーマクロが言っていたにも関わらず、スパイダーババンは一也の死も確かめずに次の仕事に取り掛かるのだった。
これのどこがA級怪人なのか、教えてもらいたいものである。
スパイダーババン、男女を倉庫の外に立たせ、ドグマ式相性テストの結果に基づく、新たなカップルの組み合わせを発表する。

スパイダーババン「これから理想的なカップルを発表する、ナンバー14……」
これって、なんかもう、まるっきりバラエティー番組のノリだよね。

最初に呼ばれたのはハルミで、そのお相手に選ばれたのは、リーゼント頭の、とりとめのない顔をした兄ちゃんだった。
ハルミ「私、まだ結婚する気なんてないわよ」
女「ヨシオさん、いやだと言って、ねえ、ヨシオさん」
ヨシオ「……」
ヨシオ、言ったれよ。 ひょっとして、彼女よりハルミの方が良いかなとか思ってるのかもしれない。
若者たちの抗議の声には取り合わず、次々と番号を読み上げ、強引にカップルを成立させてしまうスパイダーババン。
ところで、今まであえて突っ込まなかったけど、本来連れてこられる筈の一也が抜けているのだから、男女の数はぴったり揃わないんじゃないかなぁ?

スパイダーババン「ははは、理想的なカップルの誕生だ、お前たちはドグマ美しい村の名誉ある村民だぞ」
若者たちを前にして、満足そうに訓示するスパイダーババンであったが、
ライダー「スパイダーババン、お前たちの勝手な美しい村など、断じて作らせんぞ!!」
どこからか、一也の凛とした声が聞こえてくる。
ふと見れば、上空の何もないところにスーパー1が立っているではないか。
スパイダーババン「お前はスーパー1、何故空に?」
いや、驚くべきはまず、スーパー1が生きていたってことじゃありませんか?
もっとも、それを言うとハルミに一也がスーパー1だとバレちゃうからね。
ライダー「スパイダーババン、俺が何故空に立つことができるか、お前なら分かるな。謎解きは簡単……チェーンジ冷熱ハンド、冷凍ガス発射!!」
スーパー1がグリーンハンドから冷凍ガスを目の前の空間に吹き付けると、今まで見えなかった糸が見えるようになる。
ライダー「特殊蜘蛛の巣を張り巡らして、その上に乗り、いかにも空を歩くように見せかけていたのさ」
スパイダーババン「おのれ、この殺人糸を食らえーっ!!」
スパイダーババン、左手の指先から勢い良く蜘蛛の糸を射出するが、冷熱ハンドの超高火炎であえなく焼かれる。
この後、ラス殺陣となり、スパイダーババンを倒して事件は解決する。
嬉しそうに手を振るハルミたちに対し、

ライダー「ドグマの検査など気にするな、その代わり、幸せになるのも不幸せになるのも、君たち自身の責任だ!!」
ハルミ「ナニ言ってんの、あの人?」 ライダー「……」
調子に乗って上から目線の説教を垂れて、変な空気にしてしまうスーパー1であったが、嘘である。
ただ、せっかくハッピーエンドなんだから、ここは余計なことは言わないほうが良かったかな、と……
ま、当時40才くらいの江連さんの、日頃抱いていた無軌道な若者たちへの本音がつい出てしまったのかもしれない。
ハルミは振り返って、元の鞘に戻ったカップルたちを見ると、
ハルミ「私はこれからだわ、ライダー!!」
ライダー「みんな幸せを祈る!!」
エピローグ。
夜、着物姿のハルミが風呂敷包みを抱えて上機嫌で店に戻ってくる。
改めて行われた親友の結婚披露宴に出た帰りであろう。
その艶姿に谷も心底感心したように、

谷「ハルミ、綺麗だよ」
ハルミ「うふふふっ」
チョロ「わー、美人っぽい」
ハルミ「ぽいってことないでしょう」
チョロ「いやははははは」
浮かれていても、しっかり突っ込みを入れるハルミであった。

で、ハルミの持ち帰った折り詰めが出て来るのだが、紅白かまぼこがえらく大きく感じられるのだった。
同時期の「熱中時代」でも、谷隼人が馬鹿でかい紅白カマボコを食べるシーンがあったが、やっぱり、かまぼこは、昔のほうが大きいようである。
ま、今はかまぼこのみならず、ありとあらゆる食品がシュリンクしている時代だけどね。
そこへ一也が帰ってきたので、ハルミはいそいそと座らせ、
ハルミ「あのね、この尾頭付きの鯛は一也さんの分よ、親友のミチがね、くれぐれも一也さんによろしくって」
一也「うん」
と、言うのだが、カップル発表のシーンでは、新郎は新婦のことを「アキコ」って呼んでましたが……
ハルミ「あーあ、私も早くお嫁さんに行きたくなっちゃったなぁ」
ふとそんな感想を漏らし、

ついでに意味もなく寄り目になるハルミが可愛いのである!!
以上、今回も「仮面ライダー」とは思えぬ異色の作戦が展開する、なかなかの力作であった。
- 関連記事
-
スポンサーサイト