第29話「超能力刑事の急襲」(1980年8月16日)
アスレチッククラブで、見慣れないひとりの男がポラロイドカメラを額に当てて、汗を流して唸っている。

その様子を固唾を飲んで見詰めているデンジマンの5人。
やがて男が「あーっ!」と叫んでシャッターを押す。
出てきた写真に、映る筈のない画像が浮かんでくる。そう「念写」である。
青梅「待てよ、見たことあるぞ」
緑川「第7埠頭、13番倉庫だ」
赤城の掛け声で、出動するデンジマン。

そこでは、折しもベーダーが大量の武器を取引しているところだった。
そこへデンジマンが突入。ケラーとミラーは逃げたが、戦闘員と武器密輸商人はお縄になる。
意気揚々とアスレチッククラブへ戻ってくる5人。
赤城「伊崎、お前の念写通りだったよ」
青梅「ベーダーの密輸現場に乗り込めました」
伊崎「おー、それはトレヴィアン!」
あきら「すっごい超能力ですね。離れた場所の物を写真に出来るなんて!」
伊崎「はっはっはっはっ」

ナレ「赤城と幼馴染のポール伊崎はフランス警察の特捜刑事である。彼はその念写力で多くの犯罪を解決してきた。その伊崎がひょっこり日本へ帰ってきたのである」
ポール伊崎を演じるのは、「バトルフィーバーJ」でバトルフランスこと志田京介を演じていた倉地雄平さん。つまり、青梅役の大葉健二氏とは、「J」での戦友になる訳だ。自分は「J」より先に「デンジマン」を見たので、最初に見たときはどういう人なのか全然知らなかったが。
倉地さんは、「ギャバン」でも大葉氏と共演(22話)している。

パリでの伊崎の様子。……若干、違和感があるが。
赤城に日本に来た目的を聞かれ、
伊崎「実はある場所を探してるんだ。近頃しきりと脳裏に浮かぶんだ。朝も昼も夜も。ヨーロッパ中探したけど、そんな場所はなかった」
赤城「どんな場所なんだ?」
伊崎「うん」
論より証拠、伊崎は再びポラを額につけて、念写を行う。

その写真を見て、赤城たちは驚く。なんとそれは、彼らの基地デンジランドの外観だったからだ。
赤城は伊崎を信用しているので、すぐにデンジランドへ連れて行く。

伊崎「何故だ。こんな場所に来たこともないのに?」
赤城「伊崎、お前、もしかしてデンジ星人の子孫かも」
伊崎「なんだそりゃ」
赤城「今から3000年前に地球にやってきた宇宙人だ。お前の念写力だって!」
だが(当たり前だけど)伊崎は頭からバカにする。
伊崎「おいおい赤城、気は確かか? なになに、3000年前に宇宙人がやってきた? あっはっはっはっ」
赤城「伊崎、証拠を見せてやる!」
赤城は今度は伊崎を基地内部へ案内する。
伊崎「おお、凄いメカニズムだな」
赤城は、デンジ犬アイシーに頼んで、デンジ星人について伊崎に一からレクチャーして貰う。
アイシーは、スクリーンにイラストや映像を映して伊崎に見せる。
ナレ「デンジ犬アイシーの故郷デンジ星はベーダーに襲撃され滅ぼされてしまった。デンジ星から脱出したデンジランドには、デンジ犬アイシーが乗っていた」
そして、1話の、赤城たち5人がアイシーに見出されてデンジマンになるくだりが回想される。
また、デンジランドとは別に脱出したデンジ姫についても一通り説明される。放浪の末、デンジ姫は地球を訪れ、この地で没したのだ。で、デンジマンたちはその子孫と言うわけだ。赤城は、伊崎もそのひとりだと断じる。

赤城「お前がデンジランドを幻想したのも、祖先の記憶が甦ったのに違いないんだ」
アイシー(何も考えてない)
一方、ベーダーたちは伊崎の念写によって、武器の取引が阻止されたと知り、伊崎を抹殺しようとする。

ヘドラー将軍の命を受けて、ケラーとミラーが伊崎の車を呼び止める。
まともな服が着れてとても嬉しそうなケラーとミラー。
ケラー「タクシーが来ないの、お願いできます?」
伊崎「ウィ、マドモワゼル、どうぞ……オー、トレヴィアン、フランスの香水をお使いですね」
ミラー「ええ、シャネルの5番よ」
伊崎「オー、モンローね」
などと、しょうもない会話を交わした後、伊崎は毒の香水を嗅がされて、あっさり気絶。
ベーダーの基地へ連れてこられ、洗脳され、デンジマンたちを侵略者であり敵だと思い込まされる。
さらに、サビムシラーと言うベーダー怪人の卵を体内に植えつけられる。それをデンジランド内で孵化させて、デンジランドを破壊させようという魂胆であった。

解放された伊崎は、赤城を銃で撃とうとするが、逆に捕まる。
伊崎「お前たちは人類の敵だ。許せん!」
あきらがデンジマンに変身して、デンジスコープで伊崎の体を調べるが何も異常は見付からない。
赤城たちは再びデンジランドへ伊崎を連れて行く。
だが、そこの機材で本格的な検査をするかと思いきや、
赤城「これから俺たちの戦いの記録を見せる。よく見て欲しい。俺たちが人類の敵かどうか、よく見るんだ」
と言って、またまた過去のフィルムの上映大会となる。
今回、部分的には、総集編のような感じである。
総計3分近くに及ぶ名場面集を見せ、
赤城(嬉しそうに)「どうだ、分かってくれたか?」
しかし、伊崎の反応は、
「はっ、バカバカしい」の一言。
この3分はなんだったんだ……?

赤城「ばかやろーっ、これだけ言ってもまだ分からないのかっ」
結局最後は、鉄拳制裁。

その後、伊崎の体内のサビムシラーの卵が孵化を始める。赤城たちは慌てて伊崎を外へ連れ出す。
あとは伊崎の体内から出てきたサビムシラー成体をデンジマンが倒して終了。
伊崎の洗脳も、赤城に殴られたショックで解けたのだった。めでたしめでたし。