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　第2話「恐怖蝙蝠男」（1971年4月10日）

　本郷は、籍を置く城南大学の生化学研究室で、同僚の岸森と共に感染者の血液の分析を行っていた。

　岸森によれば、血液に含まれていたビールスは頭脳を持つビールスで、外部からの刺激に反応するらしい。感染者は、そのビールスを介して、蝙蝠男の発する音波によって支配されているのではないかと本郷は睨む。

　
　門の外に、変装したルリ子と、友人のひろみが張り込んでいるのには全く気付かず研究所を出て行く本郷。

　
　ルリ子「あの人なの、お父様殺したの」
　ひろみ「えっ、すぐに警察に届けましょうよ」
　ルリ子「ダメ、証拠は何もないのよ」

　島田陽子さん、さすがに若いなぁ。

　二人が尾行すると、本郷は意外にも、二人がバイトをしているアミーゴの中へ消える。

　すぐ踏み込んで立花藤兵衛を再び問い詰めるが、おやっさんは、例によってのらりくらりとルリ子の追及をかわし、そらっとぼける。

　
　そんなおやっさんの態度に、明らかな不審の目を注ぐルリ子。

　ルリ子（マスターは何かを知っている）

　ルリ子は今度はおやっさんを尾行する。彼の行く先に、本郷がいると考えたからだ。

　おやっさんが足を向けたのは、問題のあのマンションであった。

　住民たちは一室で眠り続けていた。その中のひとりは本郷に縛り上げられていたが、実は蝙蝠男なのであった。活動停止している蝙蝠男を殺すのは簡単だが、殺しても感染した人間が元に戻るとは限らず、手が出せないようだ。

　猛「犠牲者はどんどん広がる」
　立花「人間が自分の意思通りに生きられなくなったらそれこそ大変だ。で、どうする？」
　猛「立花さん、俺は戦う！　ショッカーの被害者は、俺を最後にしたいんだ！　ルリ子さんに疑われているのは悲しいが、それもいつか……」

　本郷は、とりあえず蝙蝠男を車で研究室へ運び出そうと車を取りに行く。

　我らがドジッ子ルリ子ちゃんは、抜き足差し足忍び込み、背中を向けて見張りをしていたおやっさんを、本郷と間違え、花瓶で思いっきり殴って気絶させてしまう。

　うーん、さすがに、本郷とおやっさんを見間違えると言うのは不自然だ。

　ちょうどその時、蝙蝠男の自己催眠が解けて、意識が戻り始める。

　ルリ子はそれが怪人だと気付かず、「あなたはどうして本郷猛にこんな目に合うんです？」と訊く。

　蝙蝠男は彼女が緑川博士の娘だと知ると、本郷が博士を殺した証拠を持っているとデタラメを言い、ルリ子にロープを解かせる。自分でロープも外せない怪人と言うのもちょっと情けないが。

　
　で、当然こうなる。

　本郷も悲鳴を聞いて部屋に飛び込む。

　蝙蝠男「この娘の首筋を見ろ！」
　猛「ルリ子さんにビールスを……」

　
　ビールスはあっという間にルリ子の体を支配し、他の住民同様、不気味な模様がルリ子の美しい顔を覆い始める。

　ルリ子「体が痺れていく」
　首領の声「ははは、苦しめ、苦しむのだ。お前の父・緑川博士は、ショッカーの裏切り者として始末された。裏切り者は死、それがショッカーの掟だ」

　突然、首領の声が響き、親切にもルリ子に、博士を殺したのが本郷でないことを教えて上げる。

　まぁ、首領にすれば、ルリ子のような小娘など眼中になかったのだろうが、結果的に本郷の心理的負担を取り除いてやったことになる。

　首領は、ルリ子や住民たちの命と引き換えに、本郷にショッカーに戻るよう要求する。

　猛「確かに助かると言う証拠を見せてくれれば潔く条件を飲む！」

　本郷の言葉を信じ、蝙蝠男は自分の爪で感染者の一人を引っ掻き、その人を元の体に戻して見せる。爪の中に、血清が入っているのだ。

　それを見た途端、

　
　猛「そうか、血清は貴様の体にか」
　立花「そうとわかりゃこっちのもんだ！」

　いきなり約束を破って蝙蝠男に攻撃を仕掛ける腐れ外道のような二人でした。

　「仮面ライダー」では、悪の組織よりむしろヒーローの方が裏切り行為を頻繁に重ねている印象がある。まぁ、悪の組織との信義を大事にしてもしょうがないんだけどね。

　変身しつつ屋上へ上がり、怪人や戦闘員と戦うライダー。

　今回のきめ技は、怪人の体を持ち上げて高所から投げると言う「ライダー投げ」であった。

　別名、「なげやり」とも言うが、嘘である。

　怪人は地面に叩きつけられ、画面が真っ赤に染まる。

　だが、ライダーはその際に怪人の腕だけもぎ取っていた。

　血清入りの爪で、ルリ子たちの体を引っ掻くと、全員元の姿に戻って事件解決。

　
　それを見届けると、本郷はそそくさと出て行こうとする。

　立花「本郷、ルリ子さんの誤解は解けた筈だよ。もう逃げなくてもいい」

　おやっさんが言葉を掛けるが、本郷ははにかんだ笑みを浮かべて振り返り、「立花さん、ルリ子さんの心は解けたかもしれないが、俺の体は、俺の体はそのままなんだ……」とつぶやいて、部屋を出て行く。

　自分が改造人間であることを告白したように台詞だが、無論、この時点でルリ子がそれに気付く筈もなかった。

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