第10話「ラブ・ウォーズ」(1984年6月19日)
の続きです。
哲也の回想が続く。

マリーナで、不良たちと踊るモナリザ。
哲也が現れたのを見て、わざと男と一緒に踊って見せるが、哲也は何も言わず立ち去ってしまう。
哲也「葉子は僕に救いを求めていた。だが舞楽の楽人のテストを控えていた僕はそんな葉子が煩わしかった。もしあの時、僕が兄として本気で叱っていたら、葉子はきっと立ち直ってくれたのに……悔やんでも悔やみきれない。葉子は僕にあてつけるように、ますます悪くなっていった」

「ますます悪くなった」と言っても、今度もただ踊るだけ。ポンポコリン!
もっとも、その後、夜の浜辺で乱闘をしている姿や、

80年代不良の王道・シンナー遊びをする姿が映し出される。
そして遂に、あの悲劇がモナリザの身の上にふりかかる。
不良仲間の運転するバイクの尻に乗っているモナリザ。
モナリザ「ぶっとばそー、(パトカーを)振り切ったら私の体を上げるからさー」
不良「よーし、約束したぜー」
だが、バイクが路上の石につまずき、派手に転倒してしまう。
映像では、どう見ても死にそうにない見事なスタントなのだが、男はあっさり死亡。
モナリザは軽傷で済む。

モナリザは自分を責め、「ごめんなさい」と言いながら自分の髪をハサミでジョキジョキ切ったりして取り乱す。見舞いに来た哲也に「私、人殺しよー」と縋り付いて号泣する。
なお、話を聞いていた笙子が、ぽろぽろと涙を流すのを見て、
(よし、このネタで全国講演するぞ)と決心する哲也であった。
その頃、多賀子は家に帰るや、夫や恭子に、哲也が音楽講師をしていたこと、哲也の妹も少年院にいたことなどをべらべら話す。
哲也は、笙子と一緒に庭に出ていたモナリザのところへ行き、話の続きをする。
哲也「葉子、お前は5年前のことを忘れたのか? 僕たちの前から姿を消した時、どんな誓いを立てたのか」
モナリザは、ベッドの上に「一生掛けて罪を償うつもりです。二度と非行には走りません」などと書かれた手紙を残し、忽然と姿を消してしまう。
哲也と路泰は懸命にモナリザの行方を捜し、

遂に、鎌倉の尼寺で尼僧の修行をしているモナリザを発見する。
……こら、そこ、笑うんじゃない!
二人は庵主からモナリザの決意を聞かされ、会わずに引き揚げる。だが、モナリザは尼僧としての修行を終える前に、再び姿を消してしまい、それ以来、哲也はモナリザの消息を全く知らなかったのだ。
モナリザ「哲也、私にとってあんたの両親は仇だよ」
哲也はその理由を聞こうとするが、モナリザは哲也の両親に「長沢真琴」と言う名前を言えば分かると、謎めいた言葉を残して去って行く。
哲也は帰宅すると、モナリザと会ったことを打ち明け、両親に「長沢真琴」の名を告げてみる。途端に二人は顔色を変える。信子はあくまでシラを切るが、路泰は「私たちにもう少し時間をくれないか」と、哲也に猶予を求める。

翌日、哲也はおアキにモナリザのことを知らせついでにジョーズを訪ねる。
と、例によって仕事をする気が全くない男谷が、恭子をつれて現れる。
恭子は菩薩様のような笑顔を絶やさず、「私はもう何も申しません、哲也さんはご自分の信念のままに生きて下さい。私は父や母が何と言おうと、あなたを信じてついていきます。私、父や母があなたを許さないと言うなら、家を出ます」と、あくまで哲也と結婚する気マンマンであることを知らせ、哲也を困惑させる。
しかし、「あなたと結婚する気はありましぇ~~~ん」とはっきり恭子に言わない哲也、どう考えても卑怯である。恭子をこれ以上傷付けたくないと言う大義名分があるとしても。

続いて、朝男たちがドカドカと入ってくる。
朝男「哲也さんかぁ、相変わらずモテモテぶりでなによりだぁ」

哲也「君も元気そうで何よりだね」
男谷(モテモテ……)
警察から追われている朝男、「朝から何も食ってない、こいつらになんか食わせてやってくれ」とおアキに頼む。おアキも義侠心に熱い女で、コンパの残り物(お持ち帰りされなかった人ではない)を出してやるのだった。

飢狼のように、残飯に群がる山崎以下、朝男の部下たち。
こんな場合でも、自分は小さなパンを齧るだけ、しかもちゃんとおアキに金を払うのが、朝男の美学である。

哲也たちが席を外そうとすると、
朝男「哲也さんよ、あんた
こんな美しい婚約者がいるのに、どうして笙子に夢中になるんだ?」
と、無遠慮な質問をする。
朝男「ほっ、野暮な質問だったぜ。その答えは俺がようく知ってる。何故って、俺もあんたと一緒だからさ」
朝男の意味深な言葉に、深刻な顔になる哲也。

恭子(美しい婚約者……美しい婚約者……美しい婚約者……美しい婚約者……美しい)
それどころではない恭子さん(嘘)。

男谷「哲也、相手にすんな」
朝男「男谷先生よ、あんたこのお嬢さんを哲也さんから奪っちまいなよ。惚れてんだろ?」

朝男の爆弾発言に、ハッとする男谷と、
恭子(美しい婚約者……美しい婚約者……美しい婚約者……美しい婚約者……)
延々と朝男の言葉を脳内でリフレインさせている恭子さんであった(嘘)。

初めてそのことに気付いたような顔をする哲也。
「よし、男谷に恭子さんを押し付ければ全て丸く収まる」と、考えていたかは定かではない。

朝男「あんたたち、もっと本音で勝負したらどうなんだよ」
男谷「バカなこと言うな、許さんぞ」
朝男「ほーら、怒った。ふっ、男谷先生、俺たちのことはほんのしばらくサツに黙っててくれ」
男谷は二人を押し出すように、店から出る。
男谷は二人に、「俺は君たちの幸せを願っている。あんな奴の言ったこと本気にしないでくれよ」とあくまで本心を隠す。
男谷「じゃ、俺はこれで、
北斗の拳の新台が入ってるんだ」

スロットに人生の全てを賭けている男谷の背中には、威厳すら感じられた(註・管理人の妄想です)。
長くなったので後は簡単に。
麻里は、イライラが募り、たまたま目に付いた笙子の友人たちに暴行を加える。
妊婦の景子にまで暴力を振るおうとする麻里を、笙子が止める。
笙子は、仕方なく、麻里のタイマンの申し出を受ける。

だが、麻里は笙子と戦う前に、「白百合組」を名乗る武装集団にボコボコにされてしまう。
そのリーダーで、影の総番長、どう見てもモナリザであった。
麻里は救急車に運び込まれながら、「朝男はあんたに渡さないよ、朝男はあたいが惚れた男なんだーっ」と叫ぶ。
笙子(麻里、あなたも恋する女なのね)
笙子はモナリザを庇う為か、自分が麻里をやったと認める。
とりあえず懲罰房に入れられるが、麻里のあまりにひどいやり方に義憤を覚えたトキ子の証言で、笙子の無罪が立証される。代わりに、「白百合組」のサブリーダー格の熊谷エリカが自分がやったと名乗り出る。
ラスト、激しく火花を散らす笙子とモナリザであった。