第11話「ネバー・クライ」(1984年6月26日)

妊娠中の景子のお腹に耳をくっつけている弥生とさと子。
ごく短いカットだが、弥生(右)が実に表情豊かで、見てるだけで楽しくなる。

ミドリ「ね、聞こえた?」
弥生「全然わかんない。景子の赤ちゃんさ、ほんとに心臓ついてんのかなぁ」
さと子「聞こえる、聞こえる、ドッキンドッキン、凄い迫力じゃん」
弥生「ばーか、それ景子の心臓じゃん」
子猫のように、景子の体にまとわりついている女の子たちが可愛いのである! 特に弥生。
彼女たちがウキウキしているのは、その日、巡回映画が予定されていたからでもある。
弥生「ねーねーモナリザ、景子の赤ちゃんの心音聞いてみてよ」
弥生が、無言でブラッシングをしていたモナリザにも声を掛けるが、
モナリザ「景子、赤ん坊なんて生まない方がいいよ、間違いで生まれて子供なんてどうせろくでもない人生しか待ってやしないんだ」
と、冷たい助言をする。
笙子「モナリザ!」
モナリザ「生まれて地獄を見るくらいなら、闇に流された方が幸せな子供だっているんだ。……私は生まれて来たくなんてなかった。私さえ生まれなければ……」
沈んだ面持ちでつぶやくモナリザに、笙子は悲しい瞳を向ける。
それはそれとして、巡回映画の時間である。
アニメ(999あたり)であろうか、それとも純愛映画であろうか、もしくはコメディ映画であろうか?
いいえ、違いました。

野生動物の交尾シーンばかりを集めた、
「変態アニマルポルノ大全集」でした!
普通の少年院なら暴動が起きそうなプログラムであったが、多感な女の子たちばかりのこの学園では、女の子たちは割とキャアキャア言いながら映画を楽しんでいる模様。
ナレ「……このように性の結合はその種族の次代を担う生命の誕生の為の厳粛な儀式なのです」
と締めるナレーションを担当しているのは、エヴァでお馴染み清川元夢さん。
江田「それでは皆さん、これから園長先生のお話があります」

と言う訳で、3度の飯より長話が好きと言う園長の独演会が始まるのであった。
園長「ど(以下略)」
以上、園長のありがたいお話でした。
……え、真面目にやれ? 分かりました。
園長「どう(以下略)」
以上、園長のありがたい……、あっ、やめて下さい、石を投げるのはやめてっ!
で、その真面目に書く気にもならないクソ長い話を要約すると、
・両親の愛がなく生まれた育った子供は幸せだろうか?
・少女たちには、自らを卑しめず、自分の子を卑しめない母親になって欲しい。
・そうなって初めて、少女たちは自分の親を許すことが出来るようになるだろう。
・呪われてこの世に生まれてくる子どもはひとりもいない。
また、園長に感想を聞かれた景子が「自分の子供を可愛がらない人間って動物以下だと思います」と答えたところ、後ろの席の弥生が「動物以下になんなよ、育てるのが面倒でコインロッカーにポイッと捨てちゃったりしてさ」と、彼女にしては珍しく配慮に欠ける発言をし、

景子とマジ喧嘩に発展すると言う貴重なシーンもある。

うれし恥ずかし健康診断の日。
きゃぴきゃぴの不良少女たちが廊下に並んで順番を待っている。
「頼む、頼むから診察室に入れてくれ! 金なら払う!」 などと思わず叫んでしまいそうになる光景である。
モナリザが順番を待っている頃、哲也が両親を連れて愛育女子学園の門をくぐろうとしていた。
彼らはモナリザ、いや、葉子に会いに来たのだ。世間体ばかりに気にする信子はいかにも気乗りしない様子だったが、路泰は「私たちは葉子の親なんだよ」と、決然と前に進む。
廊下で、先に診察を終えた笙子が、偶然三人に鉢合わせ。
哲也「お父さん、笙子さんです」
路泰「ああ……」
考えれば、笙子と路泰が顔を合わせるのはこれが初めてであった。
路泰は一礼するが、笙子を目の敵にしている信子は目をあわせようともせず、ずかずか通り過ぎて行く。

そして男性視聴者へのサービスカット。
哲也たちは理事長に会い、前回明らかになった、モナリザが非行に走った経緯について説明する。
その上で、彼らはモナリザがどんな罪を犯してここへ収容されることになったのか、教えてくれと嘆願する。
以前哲也に訊かされた時は拒絶した園長であったが、家族総出で頼まれては答えざるを得ない。
園長は深刻な顔でブラインドの前に立ち、
「殺人です」とぽつり。

哲也「殺人……葉子が?」
園長「長沢真琴は、神奈川県座間で暴力団員1名を刺殺、2名に重傷を……」
だが、正当防衛と言うことで、殺人罪が適用された訳ではないとのこと。
それでも、家族にとっては衝撃的な事実で、信子は例によってそのままスーッと気が遠くなる。

そして偶然にも、園長室に入りかけたさと子と弥生が、その会話を立ち聞きしてしまう。
びっくり顔の弥生が可愛い……。
園長は逆に「何故モナリザが長沢真琴と名乗っていたのか?」と哲也たちに問い掛けるが、哲也に揺り起こされた信子は「私たちに分かる訳がないじゃありませんか。もう帰りましょう、殺人なんて恐ろしいことをしたら葉子はもうおしまいです」とヒスを起こし、引き止める哲也の手を振り払い、駄々っ子のように部屋を出て行ってしまう。

弥生たちはその足で笙子のところへ行き、その重大ニュースを伝える。
笙子「いいこと、このことは誰にも話しちゃダメよ。口が裂けても話しちゃダメ」
弥生「だいじょぶ、だいじょぶ、あたし、口が固いから」
さと子「私も約束する!」
口を固く結んでいる弥生が可愛いのである。……って、今回こればっかりだな。
しかし、いかにも口が軽そうな二人、

案の定、舌の根が乾かないうちに「あんただけに話すんだからね」などとと前置きしつつ、友人たちにべらべら喋ってしまう。

弥生「いよー、ねー、凄いでしょ、でも、絶対ナイショよー」
みどり「笙子、ちょっとちょっと!」
弥生「バカッ、もう笙子は知ってるの!」
弥生のくるくる変わる表情にうっとり見惚れてしまう管理人でありました。
キャプでは伝わり切らないのがもどかしいのです。

笙子「弥生、あなたみんなに話したのね?」
弥生「だって私さぁ、思ってることをみんなぺらぺら話しちゃわないとなんか落ち着いていられないんだよね、てへっ」 笙子(殺したろか、このアマ)
さすがの笙子も腹を立て、弥生を平手打ちする。
直後、部屋に入ってきたモナリザ、みんなの様子がおかしいのに気付き、何があったかを悟る。
一方、哲也たちは、車でそのままジョーズへ。
おまいら、ほんと、他に行くところないのか? と怒鳴りたくなるが、今回はちゃんと理由があって、モナリザの過去について知っているおアキに会って、漏れなく事情を聞こうという哲也の提案なのだ。
だが、信子は「あの子は家族なんかじゃありません!」と言い放ち、ひとりでタクシーを拾ってさっさと帰ってしまう。
わがまま美熟女・信子に萌えるわーと言う人、僕と友達になりませんか? え、あっち行け?

物語も中盤になって、やたら秘められた過去を明かす人が続出中のこの番組、おアキも哲也と路泰に迫られ、「こうなった私も話さなくちゃならないねえ、ヨシ坊、あんたも聞いてなさいよ」と、前置きして、重い口を開く。
ヨシ坊、可愛いね。
おアキの告白は後編で。