「仮面ライダーBLACK」セレクション 第1話「BLACK！！変身」 その4

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　第1話「BLACK！！変身」（1987年10月4日）

　さて、待ちに待った変身シーンである。

　最初はほとんど無意識のうちに変身していたが、ここはしっかりとポーズを決めて変身する。
　そう言う知識は、改造手術の際にインプットされているのだろう。

　
　まず思いっきり体を捻り、

　
　十分に気合を溜める。

　
　それから左腕を斜め上に突き出し、

　
　それを反対側に回しながら、「へーん」

　
　最後に両手を同時に向かって左側へ勢い良く伸ばしながら、「しぃん！」

　倉田さんは手足が長いので、こういうポーズが実に様になる。迫力では藤岡弘氏（1号）や宮内洋氏（V3）には劣るが、その美しさは村上弘明氏（スカイライダー）以上であろう。

　ただし、最初と言うことで、最後のポーズはちょっと腰がふらついている。

　
　さて、赤い光が閃光となり、その中から変身ベルトが現れる。

　設定上、この赤いコアが、改造人間の魂であるキングストーンと言う特殊な石なのだ。

　そして、ライバルである信彦（シャドームーン）も同じキングストーンを埋め込まれている。

　
　ベルトからの光が全身を包み、

　
　光太郎の顔に特殊加工が施され、

　
　一瞬のバッタ人間の顔を経て、

　
　美しいBLACKの頭部に変わる。

　
　ちゃんと、ゴルゴムのメンバーであることを示すマークも強調される。

　
　ただ、そのあとの、オレンジ色の背景で一回転する部分の映像加工は、NG映像が間違って使われたんじゃないかと思えるほど、中途半端である。

　実際、これ以降使われてないと思うが……。
　最初の数話で、変身シーンに色々と試行錯誤の跡が見られるのは当然であろう。

　
　「仮面ライターBLACK！」

　ビシッとポーズを決めて名乗りを挙げるBLACK。

　いよいよ怪人との最初のバトルシーンになるのだが、これもまだ初回と言うことで、岡元次郎氏特有のアクションはあまり見られず、いかにもメリハリがついてない（やってることは凄いのに、見せ方が上手くない）。

　それに、BLACKの欠点のひとつ（だと自分は思うが）で、怪人は倒されても派手に爆発せず、光となって消滅してしまうだけなので、迫力がないんだよね。まぁ、キックされて爆発する方が、良く考えたら変なんだけどね。

　と言う訳で、本格的な戦闘シーンは次回たっぷり紹介しよう。

　戦いの後、克美と杏子が車でやってくる。彼女たちもあのメモを読んだのだ。

　
　総一郎の遺体を見付け、「お父様、お父様」と泣き縋る杏子ちゃん。

　二人に向かい、BLACKが光太郎の姿に戻りつつゆっくりと歩いてくる。

　ナレ「南光太郎は、暗黒結社ゴルゴムによって改造人間にされた。悲しみを乗り越え、人間の自由の為に人類の敵ゴルゴムに立ち向かう自由の戦士、仮面ライダーBLACKとなった」

　ナレーションは小林清志さん。この人選もなかなか新鮮であった。

　
　で、EDは、「Long Long Ago, 20th Century」で、こちらは坂井紀雄氏が歌っている。

　この曲がまた実に良いのである。

　「緑なす大地、四季折々の花、白い砂浜と可憐な桜貝～」
　「まだ人の胸に温もりがあって、まだ海の色がコバルトの時代～」

　と言う、特撮ヒーロー番組とは思えないリリカルな歌詞も、子供の頃は意味がよく分からなかったが、これは遥か未来の時代から、現在生きている20世紀（もう過ぎちゃったけど）のことを懐かしんでいるんだと気付いてからは、ますます好きになってしまった。

　我々が当たり前のように見ている自然の美しさが如何にかけがえのないものであるか、婉曲的に教えられている気がするのである。

　
　タイトルバックも、陽炎で滲む画面を、影のようなものが近付いてきて、それがバトルホッパーに乗ったBLACKだと分かる。

　
　そして途中で、バイクから降りて歩いてくると言う、これまた実にシンプルかつハイセンスな映像なのだ。

　「宇宙刑事シャリバン」のEDと並ぶ、特撮ヒーロー史上、最高のEDのひとつだと自分は思う。

　……と言う訳で、やたら長くなってしまったが、これにて1話は終了です。

　改めてレビューして感じることには、BLACKの魅力は「シンプル・イズ・ザ・ベスト」と言う一言に凝縮されているような気がするのである。