男・強さ・優しさ・力・勇気・輝き「宇宙刑事シャリバン」第38話 前編

【楽天ブックスならいつでも送料無料】宇宙刑事シャリバン 8 [ 渡洋史 ] 価格：3,061円（税込、送料込）

　第38話「乱心ささやきクーデター　暗雲の幻夢城」（1983年11月25日）

　魔王サイコにシャリバン打倒の作戦計画のプレゼンをしているポルターとガイラー。
　ポルター「シャリバンめは明日もこの地区をパトロールするでしょう」
　ガイラー「ワシには秘策がございます。今度こそ必ずシャリバンめを！」

　悪の組織の大幹部の言う「今度こそ」ほど当てにならないものはない。

　サイコ「ガイラー将軍、作戦はドクターポルターと良く相談して決めること！」
　先生が遠足の前の小学生に言うようにガイラーに注意するサイコ。

　
　そこへススーッとレイダーが現れ、
　レイダー「私には良く見える。乱心、囁き、クーデター、この城に暗雲が渦巻いておる」
　サイコ「クーデター？」

　突然、穏やかならぬことを言い出す。
　これは、マドー内部に不和を引き起こさせる、レイダーのマドー乗っ取り計画の布石なのだ。

　ポルター「たわけたことを。魔王様、この幻夢城には裏切りも陰謀もございません。魔王様に忠誠を誓う者ばかりでございます。命賭けて誓います！」
　ポルターの言葉は、最終回で実証されることになる……。

　ただ、彼らが一番怪しい新参者のレイダー自身に疑いの目を向けないのは、ちょっと不自然な気がするけどね。

　
　殺風景な自室に下がり、酒をかっくらって憂さ晴らしのように剣を振り回しているガイラー。

　しっかし、全銀河征服を狙うマドーの大幹部の部屋にしては、あまりにみすぼらしい。

　
　と、陰にこもった笑い声が響き、レイダーが幻のような姿を見せる。
　レイダー「お人好しのガイラー将軍、何故、たかが将軍の座に甘んじてる？　大幹部の座を狙わないのだ？」

　……あれ、ガイラーって大幹部じゃなかったの？　正確にはポルターだけが大幹部らしい。

　レイダーは、ガイラーひとりの力でシャリバンを倒せば、ポルターもガイラーに膝を屈するしかないと囁きかける。

　
　レイダーの姿が消えると、ガイラーはハッと我に返る。
　ガイラー「夢か、妙な夢を見た？」

　お前は立ったまま寝るのか？

　一方、同じく自室でくつろいでいたポルターのところへもレイダーの幻影が出現し、「ガイラー将軍に気を付けろ、チャンスがあればお前を倒し大幹部の座に就きたいと考えている」と、親切ごかしに忠告し、ポルターの心に疑心暗鬼の種を埋め込む。

　
　さて、電はポルターたちの読み通り、パトロールの為、山道に踏み込んでいた。

　電の目の前で、数羽の鳩が羽ばたく。

　
　電「鳥たちが落ち着かないなぁ」

　あんたのせいでは？

　近くの湖（川？）で、ペダルボートなどに乗って遊んでいる子供たちと引率の女教師の歓声が聞こえる。

　と、水中から魔怪獣アシュラビーストが現れ、子供たちを襲う。
　電は彼らを引き連れて逃げ、空き地にぽつんと立っている山小屋を見付け、その中へ隠れる。

　
　だが、マドーは彼らがそこへ逃げ込むことを最初から計算に入れていた。
　山小屋を、重火器を持ったファイトローたちが包囲する。

　ミスアクマ1「全員配置につきました」
　ガイラー「よし、ワシの合図で一気にシャリバンを倒す」

　
　ガイラー、剣を抜いて号令しようとするが、再びレイダーの囁き声が聞こえる。
　見れば、刃にレイダーの幻影が映り、
　レイダー「ガイラー将軍、ガスの元栓締めて来たか？」
　ガイラー「う゛っ……」

　じゃなくて、
　「自分だけの力でシャリバンを倒せば良い」と、しつこくガイラーの心をかき乱す。

　レイダーの陰々滅々とした声には不思議な魔力があるようで、ガイラーは「シャリバンはワシひとりの手で討つ。作戦は変更するぞ」と独断し、ひとりで小屋に降りて行く。

　ガイラー「隠れても無駄だ。ワシと一騎打ちの勝負をしろ」
　と、何とかの一つ覚え、「剣を地面に突き刺して衝撃波が走る」攻撃を仕掛ける。

　電も小屋から出て、すぐ「赤射」する。

　
　改めて見ると、やっぱりシャリバンはかっこいいぜ。

　激しく斬り結ぶシャリバンとガイラー。

　
　高所から見ていたミスアクマ1と2は、将軍に代わってファイトローたちに砲撃を命じる。

　彼らはポルター直系の部下なので、あくまでポルターの計画に沿って行動しているのだ。

　
　別アングルから同じショット。

　シャリバン、小屋の中へ飛び込む。
　ガイラー「余計な手出しをしおって貴様ら！」

　
　委細構わずミスアクマ1は「撃てーっ」と命じ、集中砲火を浴びた山小屋はたちどころに崩壊する。

　だが、同時に「シャリバンプロテクション！」と言う電の声が響き、

　
　視界が晴れると、コンバットスーツから発せられたバリアが子供たちを防護していたことが分かる。

　

　

　
　電はすかさずクライムバスターを四方に撃ち、重火器を構えるファイトローたちを殲滅する。

　作戦は完全に失敗に帰す。

　当然、その後、ポルターは激しくガイラーを叱責する。
　ポルター「乱心したか、ガイラー将軍、作戦を勝手に変更したりして」
　ガイラー「いや、ワシはこの手でシャリバンを討ちたかったんだ！」
　ポルター「作戦通りならシャリバンを討てた筈だ！」

　……そうかなぁ？　たとえ砲撃を加えたとしても電は一瞬で「赤射」してしまうから、無理だっただろう。ただ、少なくとも子供たちは助からなかったかもしれないが。

　ポルター「魔王様、ガイラー将軍をレイダー同様、謹慎処分に」

　
　サイコ「謹慎せよ、ガイラー」
　ガイラー「魔王様！」

　ガイラーは憎々しげにポルターに一瞥をくれると、荒々しく広間から出て行く。

　以前からあまり仲の良い二人ではなかったが、レイダーの離間策にまんまと引っ掛かり、その関係はかなり険悪なものとなってしまう。

　ポルター「魔王様、シャリバンめに第二の罠を仕掛けたいと思います」
　サイコ「カーオッ！」（註・なんでも好きなようにやれ、ワシはもう知らんの意）

　果たしてポルターの次の作戦は？

　後編に続く。