第38話「乱心ささやきクーデター 暗雲の幻夢城」(1983年11月25日)
の続きです。
隠顕自在のレイダー、ガイラーの私室に入り込み、酒瓶に得体の知れない薬を投入する。
ぷんすかしながら戻ってきたガイラー、何も知らずにその酒をラッパ飲みする。

電は、小次郎さんに呼ばれて彼の愛車(スズキEPO)の修理をさせられていた。
電「全く、こんな故障くらいで人呼び出して!」
小次郎「ま、ま、いいから、いいから」
千秋「あれ、けん玉って難しいわねえ」
後ろでは、千秋たちがけん玉やメンコなど、当時としてもかなりレトロな遊びに興じていた。

小次郎「ちょっと千秋ちゃん、そう持つんじゃねえんだ、けん玉はぁ、こう持ってね……」
と、次々と技を決めていく小次郎さん。
意外な才能があったものだと感心してしまうが、これは鈴木正幸さん自身の特技らしい。

千恵も明も目を丸くして本気で感心する。

小次郎「メンコ、ビー玉、けん玉はね、村中で一番だったんだ」
電「だけど、勉強も村中でビリだったんだよね?」
小次郎「ほほ、うんだ」
千秋「うふふふふ」
小次郎「うっ、何がおかしいんだ、電ちゃん」
茶々を入れられ、電を小突く小次郎さん。
ストーリーには全く関係のないシーンだが、でもこういうシーンは絶対必要なのだ。
そこへ「こんにちはー」と、この前、電が助けた女性教師がにこやかに声をかける。
電は、(日曜なのだろう)人気のない小学校へ招かれる。

彼らの教室へ入ると、電が助けた子供たちが勢揃いして、こんなパーティーを用意してくれていた。
これを専門用語で「ありがた迷惑」と言う。
電、さすがに恥ずかしそうに頭をかくが、素直に席に着く。
「これ、生徒たちの手作りなんですよ」と、どう見ても既製品のクラッカーを出され、早速口にする電。

その頃、幻夢城では、完全に酔っ払ったガイラーがよたよたと広間に入ってくる。
無論、レイダーの投入した薬のせいで、単なる深酒以上の錯乱状態にあるのだ。
ガイラー「怖いのだろう、ワシに取って代わられるのが……」
ポルター「酔ってるな、ガイラー将軍」
ガイラー「飲まずにいられるかっ。ふん、女は怖い。なんだかんだと難癖つけて、ワシを失脚に追いやろうとする。だがな、貴様ごときの陰謀に乗るワシではないぞ。魔王様も魔王様だ。
女に甘い」
その一言が魔王サイコの心のデリケートゾーンに触れたようで、ガイラーはいきなり落とし穴に落とされ、

そのまま地下牢へぶち込まれる。

一方、教室では、椅子取りゲームが行われていた。
電(やっとれんな、しかし)
子供たち(日曜だってのに、やってられねえ)
だが、子供たちと一緒にぐるぐる回っていた電、急にめまいを覚えて倒れ込んでしまう。

それを見て先生、気遣うどころか心地良げに笑い声を上げる。
男の声になって「しびれ薬が全身に回ったようだな」
そう、女教師はアシュラビーストが化けたニセモノだったのだ。
子供たちも、ファイトローが変身したものだった。

電、廊下の窓からビーストに放り投げられる。
しかし、空中で「赤射!」と叫び、

コンバットスーツをまとって飛び上がり、屋上の一角に着地して、ポーズを決める。
あの、しびれ薬は……?

ビーストやファイトローと拳を交える電だったが、ふと見ると、本物の教師や子供たちが人質にされていた。
……と言っても、悲しいかな、ビーストやファイトローは基本的に喋れないので、電に具体的な要求が出来ないのであった。
それでも、電は相手の意を汲んで抵抗をやめる。
と、何処からかブーメランが飛んできて、子供たちを押さえているファイトローたちを薙ぎ払う。

それは、前々回登場した宇宙戦士ベル・ヘレンであった。
電「ヘレン!」
ヘレン「シャリバン、助太刀するわよ」
電「子供たちを避難させてくれ!」
シャリバンは、基本的にひとりで戦うヒーローなので(リリィがたまに加勢することもあるが)、このシーンにおけるヘレンの頼もしさは尋常ではない。
次の「シャイダー」では、毎回のようにアニーが一緒に戦っているので、こういう感覚は味わえないんだよね。強い相棒と言うのも、特撮ヒーロー番組においては考え物だなと考えさせられた次第である。
その後、戦いの場は幻夢界へ移行。

その戦いの最中、地下牢から抜け出したガイラーが、広間に殴り込みをかけるという異例のシーンが挿入される。剣を振り回して、ポルターに襲いかかるガイラー。
無論、そんな勝手な真似をサイコが許す筈もなく、きついお仕置をされる。

電はアシュラビーストにかなり苦しめられるが、最後は「レーザーブレード!」でけりをつける。

その後、サイコは「ひとつの椅子を用意した。この椅子に座るものはワシの後継者だ」とポルターたちに告げる。そしてその椅子の下には、虚ろな目をしたガイラー将軍のぶざまな姿があった……。
サイコ「だが、誰が座るかまだ決まってはいない。この椅子を目指して励むのだ」
仁義なき権力の椅子取りゲームの開始を宣言したサイコ。
しかし、この椅子の存在はその後もポルターたち生え抜きの幹部の結束を乱すことにしか役立っておらず、マドーの分断と乗っ取りを企図するレイダーを利するだけの結果に終わったようである。
もっとも、さすがにこの時点ではレイダーがそんな野望を抱いていることはサイコも気付いていなかっただろうが。