「ウルトラセブン」傑作選 第40話「セブン暗殺計画 後編」 前編

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　第40話「セブン暗殺計画　後編」（1968年7月7日）

　前回、ガッツ星人の緻密な作戦によって力尽き、巨大な透明の十字架に磔にされたセブン。
　ガッツ星人は敢えて即座にセブンを殺さず、翌日の夜明け（午前5時21分）と共にセブンを処刑すると通告する。地球征服を目的とするガッツ星人は、守り神セブンを人類の目の前で処刑することで、人類から侵略に抵抗する気力を奪おうと言う魂胆なのだ。

　一方、宇宙ステーションを経由して謎の信号がウルトラ警備隊へ送られてきた。

　
　ソガ「まさか地球の危機につけ込んで新しい侵略者がのさばってきたんじゃないだろうな？」

　アンヌは、セブンのこともそうだったが、行方不明のダンのことでひとり心を痛めていた。

　怪電波は、妨害電波によって途絶してしまうが、タケナカ参謀はアマギに受信した部分を分析するよう命じる。アマギはその電波が囚われのウルトラセブンから発せられていたことを突き止める。

　キリヤマ「セブンは生きていたのか？」（夜明けに処刑するって言うたやん……）
　アマギ「はい、しかし、マグネリウムエネルギーがないと体を動かすことが出来ないと言ってます」
　タケナカ「マグネリウムエネルギーと言ってもまだ世界の何処でも合成に成功していないだろう」
　アマギ「これを見て下さい」

　
　タケナカ「水素の4個の原子を融合させてヘリウム1原子に変化させた時にそのエネルギーを固定させる……、しかし困ったな、さっぱり意味が分からんぞ」

　じゃなくて、
　フルハシ「なんですか？」
　アマギ「うん、その水素を融合させるのにダイモード鉱石が必要らしいんだ。それから後は妨害電波で消されてしまった」
　タケナカ「ダイモード鉱石はアフリカ産の宝石なんだが、アフリカの原住民の一部でしか使われていない代物だな。果たしてこの日本で持ってる人がいるかどうか……」
　眉間に皺を寄せてつぶやくタケナカ。

　ここで、何かを思い出したようにアマギが「アフリカの原住民！」と大声を上げる。

　
　アンヌも「そうよ！」と叫んでフルハシを見る。

　
　フルハシ「アフリカの原住民と俺とどういう関係があるんだい？　そりゃあまあ俺の面はねえ……、ハッ、そうだっ」
　遅蒔きながらフルハシも思い当たる。

　つい最近、夏彩子と言うガールフレンドから他ならぬダイモード鉱石をプレゼントされたことを。

　
　早速、その鉱石を使ってマグネリウムエネルギー（と同等のエネルギー）を取り出す実験が行なわれる。
　ソガ「β線照射！」

　気密室のような精密な装置の中で、ロボットアームが鉱石を作業台に乗せる。
　こういう極上のセットは、半世紀近くたった今見ても色褪せることはない。

　
　詳しいことは不明だが、ダイモード鉱石から取り出したエネルギーの結晶の威力が試される。

　キリヤマ「硬度7」
　装置にセットされた結晶がエネルギーとなって発射され、硬度を設定された円盤状の金属を破壊できるかどうかが調べられる。

　

　

　
　硬度7の円盤は見事に砕け散る。

　この時、発射装置を操るソガが一番ビクッとしているのがツボであ。キャプでは分かりにくいが。

　その後、徐々に硬度を上げながら実験が続けられる。
　キリヤマ「硬度15、これが割れればマグネリウムに劣らないエネルギーを確保したことになるんだ」

　
　だが、エネルギー弾は無情にも硬度15の金属板に跳ね返される。
　鉱石の量が足りないのが原因らしい。

　フルハシ「そうだ、だいじょぶですよ。半分は夏君が持ってる筈だから！」

　夏彩子はプロのラリー選手らしいが、アフリカのレースに参加した折、土地の有力者から貰った鉱石を半分フルハシに贈ってきたのだ。そして、幸いにも、彩子も既に帰国していた。

　
　そこがどういう施設なのかさっぱり分からないが、夜間の走行練習を終えた彩子が車から降りてくる。
　記録員「はい、記録です」
　彩子「どうも、わぁー良かった。じゃ、お願いね」

　その胸にはこれ見よがしにダイモード鉱石のペンダントがぶら下がっていた。

　ひとりで地下駐車場のような場所を抜けて宿舎へ向かう彩子。
　誰かにつけられているような不穏な空気を感じ、後ろを振り返りながらゆるゆる進む。

　
　自分の靴音が反響しているだけかと思いきや、前方に怪しい影が蠢いているではないか！

　ここで、このエピソード特有の独特の音楽が流れ、雰囲気を盛り上げる。言葉で説明するのは困難だが、どことなくバランスの崩れたような旋律が印象的である。

　
　怯えまくって彩子が自室に駆け込み、一安心と思いきや、背後にはガッツ星人がうっそり立っていた……と言う、心臓ドキドキのシーン。

　
　彩子「ぎゃあああああーっ、（息継ぎ）ああああああああーーーっ！」
　和製スクリームクィーンの称号を直ちに授与したい熱演を見せるのは、新井茂子さん。中田博久さんの奥さんだそうです。

　しばし後、フルハシとソガがポインターでその施設を訪れる。
　だが、彩子の姿は何処にも見えない。部屋に落ちていた彼女のヘルメットを拾い上げ、
　フルハシ「そうか、ガッツの奴、セブンの通信を解読して彼女をさらって行ったんだ」

　
　フルハシたちはダメモトで周囲を捜索していたが、意外にも彩子は無傷で路上に放り出されていた。
　が、フルハシたちは気付かずに轢き殺してしまう。

　フルハシ「あーあ」
　ソガ「不可抗力、不可抗力！」

　え、真面目にやれ？　分かりました。

　ポインターから降りて、彩子を抱き起こす二人。
　フルハシ「夏さん！」
　ソガ「夏さん、このペンダントはどうしたんですか？」
　フルハシ「地球を救うにはどうしてもあの鉱石が必要なんですよ」
　彩子「……ああ」

　
　彩子「分かりましたわ。あの変な動物はそれで私のことを」
　フルハシ「しかしあれを盗まれたんじゃあ……」
　彩子「あは、あれはうちにしまってありますわ」
　ソガ「でもこれは？」
　彩子「ガラス玉、なくすといけないから、うふっ、練習の時はイミテーションしてますの」

　意外な事実に、思わず笑い崩れるフルハシとソガ。

　
　フルハシ「ははははははっ……、ざまあみろ、ガッツ星人め、ガラス玉を持って行きやがった。はっはははははっ……、シーッ！　聞かれたかなぁ？」

　カメラに向かって喋るフルハシがユーモラス。

　しかし、ガッツ星人が鉱石を奪うだけで彩子を生かしておいたのはいささか不自然だ。

　夜明けまで1時間。
　彩子の持っていた鉱石を使い、アマギやソガが夜を徹した作業を続け（アンヌやキリヤマはそれをずーっと見続け）、遂に硬度15の金属板を貫く威力を得ることが出来た。

　
　手を叩いて喜ぶアンヌが可愛いのである！

　タケナカ「みんな、いいな、破滅の道を選ぶのは、地球人かガッツか、これが我々の最後の作戦だ！」

　留守番のタケナカがカッコ良く吠える。

　つづく。