第1話「マッハバロン暁に出撃す」(1974年10月7日)
の続きです。

性急な陽は、国際救助隊KSS(キス)のある雑居ビルを訪ね、村野博士に会おうとするが、メンバーから手荒い歓迎を受ける。
岩井「博士、無作法な坊やをとっちめてたところです」
村野「陽君じゃないか」
岩井「ご存知なんですか?」
村野「嵐田会長のお孫さんだよ」
岩井「へー、会長の? この坊やがね」
竜之介は、KSSの会長らしい。ただの危ないジジイではなかったのだ。
だが、陽がマッハバロンやララーシュタインのことを口にすると、何故か村野は、彼を追い返すようメンバーに指示する。
噴水の中に叩き込まれて、怒り心頭の陽。

と、紅一点の小杉愛(木下ユリ)が親切にタオルを差し出す。
ユリ「この辺りでマッハバロンのことを口にするのはタブーなのよ」
陽「知ってんのか、マッハバロンのことを?」
ユリ「うん、マッハバロンとは人類が侵略のピンチに晒された時、忽然と現れ我々と戦うスーパーロボット! 私が知ってるのはそれだけよ。どうぞ」
陽は、「KSSの世話なんかなりたくねえやっ」と、タオルを投げ返す。
ユリ「折角持って来て上げたのにぃ」
ユリ、「レッドバロン」の松原真理ほど綺麗ではないが、その持ち重りのしそうな巨乳は、それを補って余りある破壊力を秘めている。だが、その真価が発揮されるのはまだ先のことである……。
ララーシュタインは髪の毛を緑色に変えつつ、陸軍参謀タンツにKSS本部の破壊及び陽の抹殺を命じる。
海中から、ハイルV2号が出現する。それはかつて陽の両親を海に沈めたハイルV1号の後継機であった。

村野「諸君、いよいよ戦う時が来た。日頃の訓練の成果を存分に発揮して貰いたい!」
三人「キスサー!」
ピースサインを顔の前に掲げるようにするのが、KSSにおける「了解」の合図。実におしゃれだ。

村野たちは海底深くまで通じる長い秘密エレベーターに乗り込み、密かに海底に建設された海底基地へ移動する。日頃彼らがいる雑居ビルは表向きの姿に過ぎなかったのだ。
そのビルは、ハイルV2号によってあっという間に粉砕される。……他のフロアの人たちは? ま、いいか。
譲司「海から攻撃されるおそれは?」
村野「その心配はない。既に全基地がバァリアで包まれていて攻撃されてもビクともせん」
岩井(ガンさん)、譲司、ユリの三人は鮮やかな色使いの制服に着替え、単座戦闘機KSSバードに乗り込み、海上に浮上したカタパルトから大空へ出撃する。

三人がハイルV2号を攻撃している間も、村野はイライラと何かを待っている様子。
このピースサイン型の椅子、いくらなんでも凄過ぎ。これ考えた人、天才だね。
ちなみにこの椅子、翌年の「少年探偵団BD7」でも使い回されていたな。
やがて、電話が鳴り、待ちに待った知らせが届く。いよいよマッハバロンが完成したのだ。

村野はすぐ竜之介のもとへそのことを伝えるが、その最中にロボット帝国の兵士たちがどかどかと入り込み、無残にも銃弾を浴びせる。
陽「おじいちゃん!」
瀕死の竜之介は、10年前に陽が身につけていた救命胴衣を取り出して陽に渡し、「お前の父・陽一郎はそのチョッキの中にマッハバロンの設計図とララーシュタインの野望を書き記して脱出させたのだ。マッハバロンの計画をお前に隠したのは、完成までに秘密の漏れるのを恐れたからだ。マッハバロンは人類を守る唯一の砦なのだ……分かるか、陽?」
陽「うん、ごめんね、俺、反抗ばかりして」
竜之介「分かってくれればいい、すぐに行け、マッハバロンと共にララーシュタインの野望を砕け!」
陽「おじいちゃん!」
竜之介は、孫の腕の中で息を引き取る。

陽が、マッハトリガーと言う、マッハバロン内部に入る為のスーパーカーに乗ると、車は自動コントロール装置で海底基地に続く秘密トンネルの中へ陽を誘導する。

そして、陽の眼前に遂にマッハバロンの雄姿が聳え立つ。

マッハトリガーが、マッハバロンの右足爪先から中に入ると、座席の部分だけが垂直に上昇し、

陽を頭部のコックピットまで運ぶ仕組みになっている。
「レッドバロン」は、操縦者が
ジャンプしてロボットの肩口まで上がってコクピットに入るという豪快な方法だったが、「マッハバロン」では、このようにディティールに拘った合理的な方法が採られている。

その出撃シーンも凝りに凝っていて、まず透明なチューブが機体を覆い、その中が水で満たされた後、ロケットを噴射して、

海底基地から発進すると言う段取り。
管制室の声も、「レディトゥスタート、エンタイアリィウォーターゲートオープン」などと、「ウルトラセブン」を思わせるような英語が使われている(カタカナで書くなよ)。

陽は、撃墜されてパラシュートで脱出したユリを助けた後、両親を殺した憎きハイルV2号と戦う。
レッドバロン以上に多彩な武器を内蔵したマッハバロン、くるくる顔を回転させてから、口から炎を放つ「アトミックファイヤー」、同じくミサイルを放つ「カノンショッター」、胸部からミサイルを撃つ「バロンスマッシュ」などを矢継ぎ早に披露する。
この頭が回転して色んなギミックが出てくるというのは、「レッドバロン」の最後に出てきたデイモスZからの発想だろうか?

そしてとどめは、中性子と1億ボルトの高圧電流を放つ「マッハコレダー」で決まり。
「トップをねらえ!」のガンバスターの使う「バスターコレダー」の名はこれに由来する。

緒戦を簡単に制した陽、改めてKSSメンバーの一員となり、隊員に紹介される。
岩井「岩井明、ガンさんと呼んでくれ」←自分で言うな
譲司「白坂譲司、譲司と呼んでくれ」
愛「小杉愛です。さきほどはありがとう、でも、女だてらってことやめてください」
陽「いや、女の子と言うのはだな……」
愛「うん、あなた、封建的よ!」
岩井「はははっ、やめろよ、お前たち、会う早々喧嘩することはねえだろう」
和やかなムードに包まれるメンバーだったが、陽が彼らの仲間として本当に認められるのはまだ先のことである。
さて、EDであるが、

OPとうってかわったしっとりしたバラード。メロディも良いが、
「マッハバロン 眠れ眠れ お前が静かに眠れる世の中が 平和で一番素晴らしい時」
「お前の使命を終わらせてあげたい 戦う機械でなくしてあげたい」
と言う、巨大ロボットの存在をいきなり否定してしまう歌詞がまた素晴らしい。
なお、作詞は、OP・EDとも阿久悠氏である。