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「ウルトラセブン」傑作選 第44話「恐怖の超猿人」 前編


 第44話「恐怖の超猿人」(1968年8月4日)

 パトロール中の警官二人が、生きたニワトリを両手にぶら下げたうろんな大男を見掛け、声をかける。

 警官「どうしたんだ、これは」
 男「……」
 警官「盗んできたのか? さ、交番まで来て貰おう」

 男は激しく抵抗し、警棒を素手でへし折ると言う凄まじいパワーを見せ付ける。
 で、警官も負けじと、いきなり発砲して男の腕を撃っちゃうのである。恐るべし日本警察。

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 手錠を掛けて一安心と思ったら、男の体毛が急に濃くなり、その顔もまるでゴリラのような異形のものに変貌を遂げる。そして手錠の鎖を引き千切ってしまう。

 普通だったら「ば、化け物だぁー」と叫んでトンズラするところだが、

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 多少驚きながらも、両側からゴリラ男の腕をとらえ、「来るんだ」とそのまま引っ張って行こうとするのがこの警官たちのタダモノではないところ。恐るべし日本警察。

 だが、ゴリラ男は容赦なく彼らを殴り殺してしまう。

 翌日、警察から捜査依頼を受けたウルトラ警備隊。キリヤマ隊長が凄惨な現場写真を示しつつ、事件について説明している。

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 キリヤマ「その力は人間の限界を遙かに超えている」
 ダン「すると、人間じゃないかもしれませんね」
 キリヤマ「目撃者の話によると、ゴリラのようなものが3メートルもある塀に飛び上がって塀伝いに逃げて行ったとのことだ」
 フルハシ「ゴリラねえ、なるほど、怪力な筈だぁ」

 キリヤマは結論を急ぐなとフルハシをたしなめてから、現場に残された血痕の写真を取り上げる。
 キリヤマ「これは犯人が警官に撃たれた時、傷口から出たものと見て間違いない。つまりこれは犯人の血液なんだ」
 フルハシ「ゴリラのでしょう?」
 キリヤマ「違う」
 ダン「ゴリラの血じゃないんですか?」
 キリヤマ「うん、人間の血だ!」
 キリヤマの言葉に一様に驚くダンたち。

 「目撃者の見間違いでしょう」と片付けようとするソガだったが、今回のキリヤマは妙にねちっこく、
 キリヤマ「では仮に人間だとして、3メートルも飛び上がれると思うか? しかも警棒を真っ二つにするほどの力……一体どんな人間が想像できる? 言ってみろ!」

 舌鋒鋭く問われ、ソガも俯いてしまう。

 キリヤマ「あ、ゴリラと見えてゴリラじゃない、人間の血液で人間とも思えん。では一体なんだ?」
 キリヤマの問い掛けに神妙な顔で考え込む面々。

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 貼りたいだけです。

 ここで、口をへの字に曲げて考え込むフルハシのアップに、お猿さんの顔をオーバーラップさせて次のシーンに移るのが、ユーモラスな演出。

 その舞台とは愛知県犬山市の日本モンキーセンターである。

 そして、そこで働いている飼育員(以下ゴリー)こそ、警官殺しのゴリラ男であった。
 ゴリー、近付いて来るポインターを見て、逃げるように走り出す。

 真山博士の助手・民子に知らせるが、民子は「ウルトラ警備隊……お前は仕事をしなさい」と指図する。

 ゴリー、何も知らないダンとアンヌと階段で擦れ違いながら仕事場に戻って行く。

 二人がここを訪ねた理由については劇中でははっきり示されていない。

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 アンヌ「(博士に)ちょっとご挨拶してくるわ」
 そう言いながら振り返ったアンヌ、目の前にゴリラの顔を見てギョッと立ち竦む。

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 だがそれは展示されているゴリラの剥製に過ぎなかった。

 ダン「死んだんですか?」(そりゃそうだ)
 民子「ええ3ヶ月前に、アフリカから着いて3日目でした」
 ダン「じゃあ、ここにゴリラは?」
 民子「現在一頭もおりません」

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 アンヌはひとりで研究室へ行き、可愛く敬礼する。
 アンヌ「お元気そうですわ。3年ぶりくらいかしら。でもここにはゴリラがいなくて良かったですわ」
 真山「例の事件か」
 アンヌ「ええ、猿なのか人間なのかはっきりしていないんです」
 真山「早く犯人を捕まえて貰いたいねえ。でないとあらぬ疑いをかけられて困るよ」
 アンヌ「あらっ、私そんなつもりで来たんじゃありません」

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 その頃ダンは、金色に輝く体毛を持った神々しい猿の前に立っていた。
 ダン「これは?」
 民子「ゴールデンライオンタマリンです」
 ダン「ほーう」

 ダン、その猿を見詰めながら心につぶやく。
 (これが猿だろうか? 待てよ…………あ、やっぱり猿か)

 アンヌが戻ってきて、「モンキーアパートを見ましょう」と誘う。

 たくさんの猿が暮らす「モンキーアパート」を見物する二人。まるっきり観光気分である。
 と、近くで掃除をしていたゴリーの手を、一匹の猿が噛み付く。

 アンヌはすぐ駆け寄り、ハンカチで応急手当をしてやる。アンヌは女医でもあるのだ。

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 そのアンヌに、ギラギラして眼差しを向けるゴリー。

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 二人はすぐ見物を再開するが、背後から彼らの様子を窺っている民子の視線に気付き、ダンが振り返る。

 ちなみに、管理人の視線はアンヌの胸に釘付け。

 ダン「どうも気になる。あの大男にしても、助手にしても様子が変だ。これは調査の必要がありそうだぞ」
 アンヌ「どうするつもり?」
 ダン「一度何気ないふりで引き揚げる。それから戻って忍び込む」

 だが、二人が博士に挨拶している間に、ゴローがポインターのボンネットを開けて配線の一部を切ってしまう。ボンネットが開いたままなので、ダンたちもすぐ気付く。
 ダン「ちっくしょう」
 博士「こりゃいかん、良かったら泊まって行きなさい。これからの夜道は大変ですよ」

 ダンは元々センターを調査するつもりだったので博士の申し出を受ける。
 で、腕の通信機でキリヤマ隊長にアンヌと二人でお泊まりしますと報告する。

 そして日が沈み、夜が訪れる。

 博士と民子は、あの金色の猿の前に立ち、恭しく一礼する。
 終始無言だったが、猿から何らかの指示を与えられている風であった。

 ダンはひとりで車の修理をしていたが、早速ゴリーが襲ってくる。
 ダンも懸命に反撃するが、人間のままではゴリーに歯が立たず、あえなく気絶する。

 と、ムチを持った民子が現れ、「ゴリー、大事な実験材料を殺したわね?」と叱り付ける。
 お陰で、ダンはトドメをさされることなく、命拾いする。

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 アンヌは、建物内を探索していたが、地下の倉庫のような部屋に近付くと、中からムチの音と、何者かの呻き声が聞こえてくる。

 窓から中を覗き込もうとするが、すぐに民子が出てきてアンヌを無理矢理部屋の中に引っ張り込む。

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 ムチを手に、アンヌに迫る民子。

 この辺は極上のサイコサスペンスを思わせる怖さがある。

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 腰を抜かし、怯え切った顔であとじさるアンヌが可愛いのである。

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 ふと視線を転じると、ゴリーが天井から鎖で吊るされていた。

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 アンヌ「むごい!」
 民子「その男は人間の格好をした猿人間さっ。体は人間の物だけど、脳波は猿の物と交換されているんだ。この脳波交換装置によってね。お前の脳ミソも今夜猿のと換えてやるからね」

 ぶっきらぼうな口調で言う内容がこれまた怖い。

 そこへ博士が現れる。アンヌは思わず博士に抱き付くが(羨ましい)、博士はその体を突き飛ばし、不気味な笑い声を上げて彼も一味なのだと教える。

 博士「手術台に乗せろ。(ゴリーに)お前の勝手な行動によって我々の目的が危く警備隊に漏れるところだった。バカめが!」

 後編に続く。


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コメント

管理人様
これは書き直しをされた記事ですか?ご苦労様です。

第31話「悪魔の住む花」は「ミクロの決死圏」(1966年)
今作は「猿の惑星」(1968年)と当時のSF洋画にインスパイヤされた作品ですね。
スタッフの気概を感じます(6年後に「猿の軍団」なんてモノを作りますが・・・)

今作はアンヌ主役回で、アンヌの魅力がいかんなく発揮されてますね。アンヌ最高!

「脳波交換装置」は「狂鬼人間」の「脳波変調機」を思い出させます(シナリオは別人ですが)。
猿の脳波に換えられるORキチ〇イにされる・・・究極の罰ゲームだな、こりゃ・・

第46話「ダン対セブンの決闘」と同時制作で、共にタイアップ・ロケで
ロケハンで旅行し、共作で原稿料2人分貰い・・・うまくやったな上原&市川氏。

Re[1]:「ウルトラセブン」傑作選 第44話「恐怖の超猿人」 前編(09/09)  

影の王子様
>これは書き直しをされた記事ですか?ご苦労様です。

ありがとうございます。その瞬間、頭が真っ白になりました。

>今作は「猿の惑星」(1968年)と当時のSF洋画にインスパイヤされた作品ですね。

ああ、なるほど。こっちの方が先かと思ってました。

ミステリアスな話  

初めまして、ウルトラ711と申します。
この回は『ウルトラセブン』の全ストーリーの中でもミステリアスな話ですね。
この回はアンヌ隊員が主役と言ってもいいくらい目立っています。
アンヌ隊員が白衣の女に鞭で打たれて手術台に乗せられる場面が印象に残っています。
他にもアンヌ隊員が隊員服のベルトを外しているシーンも貴重です。
ゴリーがポインターのケーブルを切ったのはアンヌがずっと自分のそばにいて欲しかったからなのかもしくはダンとアンヌを猿人間に改造する為にゴーロン星人に操られた博士とその助手に命令されたのか気になります。

Re:ミステリアスな話(09/09)  

ウルトラ711様
はじめまして、コメントありがとうございます。

>この回は『ウルトラセブン』の全ストーリーの中でもミステリアスな話ですね。

怖いですよねえ。トラウマになりそう。

>ゴリーがポインターのケーブルを切ったのはアンヌがずっと自分のそばにいて欲しかったからなのかもしくはダンとアンヌを猿人間に改造する為にゴーロン星人に操られた博士とその助手に命令されたのか気になります。

なるほど、そう言えばどちらとも取れますね。あまり深く考えませんでしたが。

Re:「ウルトラセブン」傑作選 第44話「恐怖の超猿人」 前編(09/09)  

このやり取りを観るとアンヌと所長は、顔見知りのようですね😅ゴーロン星人はいつ頃地球に来たのでしょうか?いつの間にか進入するパターンが多いようですね😓

Re[1]:「ウルトラセブン」傑作選 第44話「恐怖の超猿人」 前編(09/09)  

ふて猫様
>ゴーロン星人はいつ頃地球に来たのでしょうか?いつの間にか進入するパターンが多いようですね😓

いつの間にか入り込んでいると言うのが外来種みたいで怖いですね。

No title

「恐怖の超猿人」は第44話?第45話?

警官

日本の警官は良くも悪くも職務に忠実ですね😅尤もそれが禍いとなってしまいましたがね。仮面ライダーの第62話でも似たようなシーンがありましたね

Re: 警官

ついてなかったですね。

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