第8話「おニャン子vs謎のDJ」(1985年12月26日)
以前、面倒臭かったのでスルーしていた第8話だが、やはり一応紹介しておく。
それにしてもサブタイトルの「おニャン子」の意味がさっぱり分からない。おニャン子の関係者がゲスト出演しているのかと思っていたが、それらしい名前は見当たらなかった。まぁ、レギュラーの吉沢秋絵は紛れもなくメンバーだから、必ずしも不当表示とは言えないんだけどね。ちなみに同じ「おニャン子」の文字がタイトルに入る9話と21話にはちゃんとメンバーがゲスト出演している。

横浜のとあるマンションの一室。
「スケバン刑事」に似つかわしくないアダルティな美女が、DJの語りに耳を傾けている。
DJ「ハマの夜、更けてきたぜ。勉強なんてやめちまえ! 仕事なんかほっぽりだせ! 横浜電波ジャック海賊放送、聖者が街にやってくるんだぜ。この街も変わるんだぜ。それじゃ今夜もギンギンに始めてみよう!」 その
痛い海賊放送が流すハードロックをバックに、ひとりで街をぶらついていたスケバン風の女子高生が突然、三人組のライダーに追い掛け回され、進退窮まって自ら海へ飛び込んで溺れそうになる……。
翌日、そのスケバン、引き止める仲間を振り切って街を出て行く。

そのことを女子高生たちが知らせに来た相手こそ、チャイナドレスをまとったゆうべの美女・李麗香(リ・レイファ)であった。
女子高生「止めないのかよ、また仲間がひとり減っちゃうよ」
麗香「行きたい奴は行けばいいさ、みんなもそうだよ、怖かったら横浜から出て行きな。でも私はこの街を捨てないよ」
麗香を演じるのは前田賀奈子さん。後に「光戦隊マスクマン」でピンクマスクを演じることになる。
……ま、「マスクマン」見たことないんだけど。
で、サキは西脇から、横浜を青狼会の魔手から守る為、横浜一帯を仕切るスケバンの麗香に接触してみろと命令を受ける。
次のシーンでは早くもサキは麗香の通うセレーヌ女学院の前で、彼女の写真を手に彼女が出てくるのを待っている。
制服姿の麗香のあとをつけるサキ。横浜マリンタワーなどを背景に入れつつ。
サキに気付いているのか、麗香は中華街へ行くと、小さな食堂の中に入る。サキが店の中を覗き込むと、彼女の姿は何処にも見えない。その店をカゴ抜けに使って、サキの尾行をまいたのだ。

もっとも、次のシーンでは、港に佇んでいる彼女の前に、サキがスーッと現れるので、一体今のシーンに何の意味があったのか、良く分からないのだが……。
麗香「あんた、何しに来た?」
サキ「おまんの手助けに」
二人は旧知の間柄なのかと思ってしまうやりとりだが、無論初対面である。
麗香「この海をどう思う?」
サキ「油臭い海じゃ。うちの故郷の土佐の海とはだいぶ違うちゃ」
サキの率直な言葉に、麗香も「この海をわかんねー奴に用はないよ、帰りな」と機嫌を悪くして立ち去ってしまう。
取り残されたサキの後ろから、お京と雪乃がやってくる。これまた、どうやってサキがここにいるのを知ったのか謎であるが。
再び海賊放送のブース。
DJ「ハマはナウい街だ。なんたって世界の横浜さ。聖者が街にやってくる。さぁ俺たちのハマに来い、そして俺と一緒にクレイジーになろう!」 ……

街を歩いていた三人、その放送をラジカセで聞いている二人の若者を見掛ける。
それにしても目に眩しいファッションだな。
黄色「海賊放送さ。今横浜じゃサイコーに受けてんだぜ」
雪乃「あのー、横浜にはまだ海賊さんがいらっしゃるんですか?」
相変わらずボケた発言をする雪乃。
お京「お前何にもしらねーんだな、海賊放送ってのはな、許可とらねーで勝手に流してる放送のことだよ」
麗香は、いきつけのスターダストと言うバーのカウンターにいた。
その店のラジオからも、あの海賊放送のDJの声が聞こえてくる。
麗香「またやってるねこの放送、ハマの良さなんか何も知らないくせに……切りなよ、頭に来るねえ!」

バロン「カリカリしなさんな、意外にウケてるんだぜ、この放送」
麗香「冗談じゃないよ、ハマの良さは一番あんたが知ってんだろう?」
麗香と親しいバーテン・バロンを演じるのは小峯隆生さん。

なおも麗香がハマの良さについて力説していると、これまたどうやって居場所を知ったのか、サキたちが現れる。恐らく、西脇から麗香に関する情報を得ていたのだろう。

麗香は、目の前にあったバラを手に取ると、サキ目掛けて投げる。
管理人としては「セーラー服反逆同盟」のミホのバラ投げを連想せざるを得ないが、ひょっとしてこれが元ネタだったりして。

サキも、それをしっかり受け止める。この驚き顔が妙に可愛い。
ついで、それを投げ返し、カウンターの上にいた
ゴキブリを刺し殺す。
麗香、カウンターの上をゴキブリが這いまわるような店の常連だったのか?
ま、それはさておき、麗香の態度は相変わらず強硬で、「帰れ」の一点張り。仕方なくサキは一旦引き揚げる。
ここで一転、「影の総統」が美智雄から報告を受けているシーンになる。美智雄は横浜を青狼会の支配下に置こうと画策しているのだった。唯一彼らに敵対するのが、麗香たちのグループだった。
DJ「カナリヤが一羽、青い街へ飛んで行く。コンドルよ、爪を研げ!」
DJの言葉に操られるように、青狼会配下のチンピラたちが、麗香の仲間の一人を追いかけ、暴行を加えようとする。どうやら、ハマの青狼会は、この海賊放送の指示で行動しているらしい。
サキたちはチンピラたちから彼女を助けて逃走する。

一方、バロンは「赤いチャイナドレスにゴールドのブレスレット、麗香にはお似合いだぜ」と、ブレスレットを麗香にプレゼントする。彼女も気に入って、すぐ手首に嵌める。
その直後、サキたちが駆け込んでくる。
再び激しく火花を散らす両雄。
しかしDJが「全てのカナリヤは砦に集まっている。全てのコンドルよ、爪を立てろ!」などと、即座に指示を出し、チンピラたちをスターダストへ集結させる。

一触即発のサキと麗香だったが、雪乃が、チンピラたちに囲まれていると教え、一時休戦となる。
この店、「あぶない刑事」にやたら出てきたなぁ。

サキは自分が囮になってひきつけている間に、他のものたちを逃がそうと申し出る。
リーダーとして、麗香も負けじと囮役を買って出る。
このバラを口に咥えた戦闘スタイルとはとても綺麗でカッコいい。

背中を合わせ、大勢のチンピラたちと戦う二人。「スケバン刑事2」では、最強のコンビかもしれない。
チャイナドレスって良いよねっ! ……見えそうで見えないところが 
その後色々あり、海のすぐ近くに身を隠している二人。
麗香「横浜は華やかな街に見えるけど、裏に回ればどぶ川が流れてるし、得たいの知れない奴らがうろうろしてる。決して綺麗な街とは言えないよ。でもね、ここは私の育った街なんだ。空気に、風に、色々な思い出が染み付いてんだ。表通りも裏通りも全てを含めて私はこの街を愛している。だからこのハマを捨てたくないのさ。あんたみたいなよそ者にこんな気持ち分からないだろうね」
サキ「……分かる。うちも土佐の海を愛しちょるきに。嫌な思い出ばっかりじゃけんど」
少女時代のサキ(鉄仮面)と、母・道子の姿が僅かの間映し出される。
戦いを共にして、漸く心の通い始めた二人だったが、DJは的確に二人の位置を探り出し、その都度チンピラたちに知らせていた。
倉庫の中に身を潜めていたサキと麗香。サキはふと、最初はなかった麗香のブレスレットに気付き、それに発信機が仕込まれていることを知る。

そこへチンピラたちがしつこく襲ってくる。身構える二人。
いやー、チャイナドレスって良いよねっ! DJの正体が他ならぬバロンだと悟り、闘志を燃やす麗香。

主題歌をバックに敵のところへ殴りこむ、いわゆる「出陣」シーンとなるのだが、ここではサキと一緒に麗香も参加するという異例の演出となる。
大人気ないバロン、本物の銃をぶっ放してくるが、最後はサキのヨーヨーの前に敗れ去る。

ラスト、別れ際に「借りは必ず返すよ、何かあったときは呼んでおくれ」と告げる麗香。
終盤の戦いに彼女も参加したら華やかで良かったと思うが、結局このまま再登場することは無かった。