第8話「ラブ・ララバイ」(1984年6月5日)
相模愛育女子学園にひとりで戻ってきた笙子、当然、園長たちから激しい叱責の言葉を浴びせられる。
園長「君が好き勝手なことをしてる間、みんながどのくらい心配したと思ってるんだ、ばかものーっ! 初めてここへ来た時、ワシは言った筈だ。困ったことがあったら相談しろと。君だけはそうしてくれると信じておった。ワシの目も狂ったもんだよ。君はワシ達の信頼を踏みにじった。脱走したんだ。これ以上何も言いたくない。君を2週間懲罰房に収容する」
その場にいた江田教官(ワルモノ)や大磯(ワルモノ)は、2週間では軽過ぎる、1ヶ月はぶちこむべきだと主張する。一方、瀬戸先生(イイモノ)やダメケイ(イイモノ)たちは1ヶ月は厳し過ぎると反対する。
だが笙子は園長に自ら「1ヶ月の処分を受けます」と申し出るのだった。
笙子があえてそんなことを言ったのは、1ヶ月も外界と切り離された環境にいれば、自然と哲也のことを忘れられると思ったからでもあった。
だが、

そのくらいで哲也の幻影は消えてくれず、それどころか、
小さくなって笙子の鼻の穴に入ろうとする。 
その哲也、葉山に呼ばれて、舞楽に関する一切の活動禁止を言い渡される。
哲也が不良少女(笙子)に夢中になって追い掛け回していることが舞楽業界で噂になっていて、葉山はその累が自分に及ぶことを恐れていたのだ。肝っ玉の小さい男である。
恭子「お父様、哲也さんは私と結婚すると仰って下さいましたのよ。ひどいわ、舞楽は哲也さんの命です」
哲也と結婚する気マンマンの恭子は、哲也を庇う。

その後、いかにも人工的な土砂降りの中を傘を差して歩く二人。
恭子「でも良かったわ、お父様は私とあなたが結婚さえすれば、舞楽界の復帰を認めるって言うんですもの。あなたの才能を高く買ってるのよ」
哲也「(自分の才能の凄さは)分かってます」
恭子「笙子さんは今、どうしてらっしゃいますの?」
唐突に、自分から恋敵の名前を持ち出す恭子。
その顔には、哲也と必ず結婚出来るのだと言う自信が満ち溢れていた。
恭子「あなたのことですもの、学園に電話して、笙子さんの消息くらい聞いた筈ですわ」
哲也「笙子さんは今、懲罰房です。もう11日目だそうです」
恭子「それくらいの処分は当然だと思います。あなたはほっておけないんでしょ? 行ってあげたら?」
哲也「恭子さん!」
恭子「私、きっと出来た奥様になりますわね」

恭子、自分の傘を捨てて、哲也に抱き付く。
恭子「信じてます、あなたを」 この笑顔が逆に怖い。

と、ここでまた笙子の回想コーナー。
例によって、他の不良グループたちと激しく喧嘩している。
男「曽我笙子は何処だ。出て来い!」
笙子「お前か、湘南猛虎会の会長ってのは?」
湘南猛虎会て……、ただのタイガース応援団じゃないの?

笙子は、その会長とタイマンをやって勝つ。

その後、善子が「私たちのグループ、名前もなかったけどさ、虎をやっつけたんだからさ、これからは悪いドラゴン、悪竜会って名乗ろうじゃない?」と提案する。
剛「だがよ、俺たちの縄張りはハマから湘南、つまり相模の国だ。相模悪竜会の方がイカスぜ!」
笙子「相模悪竜会? それで行こう!」
こうして、彼らは正式に「相模悪竜会」を名乗るようになったのだ。
それは懲罰房の中で笙子が見ていた夢だった。大磯に叩き起こされ、回想シーンが終わる。
笙子を諦められない朝男は、少年院の外の車の中から、麻里にトランシーバーで指示を出していた。もう一度麻里に笙子を脱走させようと言うのだ。
麻里「今は無理だよ。それよりあたいは魔物を探してんだ」
麻里は、笙子と一緒に脱走しようとした際、自分の首にロープを引っ掛けて邪魔をした謎のグループに「魔物」と言う名前をつけて、その正体を突き止めようと躍起になっていた。だが、その手掛かりは、麻里が一瞬だけ見た、彼らがつけていた赤いスカーフしかなく、なかなか見付からないでいた。

トキ子「魔物を突き止めてどうするのさ?」
麻里、テルテル坊主を見ながら、
「分かりきったこと聞くんじゃないよ。
縛り首さ、ふっふふふふふ、自殺に見せかけてね」
麻里さん、その笑顔、ヤバイです。 哲也は悪竜会のメンバーと共に、少年院を訪れ、園長に懲罰の停止と笙子との面会を要求する。
笙子の懲罰房暮らしは、既に13日目を迎えていた。
哲也「懲罰としてはあまりにも厳しすぎると思います」
園長「しかし、一度決定した処分はおいそれとは変更する訳にはいかんのです。実は私も心配でしたな。今度ばかりは笙子君も耐え抜けるかどうか……もし笙子君が無事に懲罰を終えたら、面会を許可しましょう」
哲也「あと17日……」
哲也は園長を信じて引き下がるしかなかった。
その頃、笙子の隣の懲罰房に入れられていた女の子が、独房暮らしに耐えられなくなって暴れ出していた。鬼の大磯は半狂乱の女の子をなおも独房に押し戻そうとするが、瀬戸先生は彼女が高熱を出しているのを知り、慌てて医務室へ連れて行かせる。

その様子を見ていた笙子の同室の友人たちが、笙子を懲罰房から出してくれと嘆願する。
無論、生徒の悶え苦しむ姿を見るのだけが生き甲斐の大磯と江田(管理人の偏見です)がそんなことを聞き入れる筈もない。
去っていく大磯を物凄い目付きで睨む弥生(右端)であった。

その後、景子が「ハンストしよう」と言い出す。
景子「あたいたちの楽しみは食べることだけだけどさ、笙子はもっと苦しんでんだ。食い物くらい抜こうよ」
景子の提案に、五月たちはすぐ賛成するが、シビアなモナリザは「半端でやめるくらいならハンストなどしないほうがマシよ。笙子を取り戻すまではたとえ飢え死にしても続ける。それくらいの覚悟があんたたちにあるの?」と、冷たく言い放つ。
モナリザの言葉に黙りこくって顔を見合わせる景子たち。

モナリザ「あるのなら私も加わる。どう、どうなの?」
そう念を押した上で、結局モナリザも参加してみんなでハンストを行うことになる。

具体的には、常にこんなプラカードをぶら下げて、何も食べずに授業を受けたり、野外活動をしたりするのである。
そんな彼らの苦闘を、大磯と江田の外道コンビや、麻里たちは冷ややかな目で見遣る。
笙子は懲罰房の窓から彼らの様子を見て、心苦しく思う。

笙子「先生、やめるように伝えて下さいました?」
江田「ええ、でもあなたをここから出さない限り、死んでもやめないって言うの」
笙子「死んでも?」
江田「あなたを出して上げられる条件がひとつだけない訳じゃないわ。もしあなたが懲罰房より苦しい罰を受ければね。それならみんなも納得するでしょう」
笙子「仲間たちの為なら何でもします。私は何をすればいいんです?」
江田「うっふふふふふ、この学園には懲罰房より苦しい罰則はないわ」 世にも嬉しそうに笑う江田。
あんたほんとに教官か? どっかの病院から逃げてきて、教官になりすましてるんじゃあるまいな?
つづく。