俺が正義だ「巨獣特捜ジャスピオン」セレクション 第45話 前編

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　第45話「おれはサタンゴースの息子だ」（1986年3月17日）

　41話から44話まで豪快にすっ飛ばしたが、その間にサタンゴースは脱皮して大サタンゴースになり、東京が巨獣帝国と化し、ブリマとギョールが戦死し、宇宙忍者も全員死亡する。一方、ジャスピオンはまだ5人目の「光に打たれし子供」を見付け出せないでいた。

　東京の各地には避難命令が出て、まるでゴーストタウンの様相を呈していた。

　
　スタッフ、撮影の後の掃除が大変だったろうな。

　その頃、マッドギャランは、ジャスピオンとの対決に備え、父・大サタンゴースと共に特訓に明け暮れていた。

　
　大サタンゴース「こんなお父さん、嫌か？」
　マッドギャラン「ううん、そんなことないさっ」

　などと言う微笑ましい会話が、父兄参観日の前日などに繰り広げられたのではないだろうか？

　
　父親のビーム攻撃をかわして、地面に刺さった剣を抜くマッドギャラン。

　
　大サタンゴースに斬りかかるが、それは大サタンゴースが特訓の為に作り出したミニサイズの幻影だった。

　大サタンゴースの本体は、崖の上から息子の成長ぶりを見下ろしている。

　
　大サタンゴース（幻影）の放ったビームを、剣で弾き返すマッドギャラン。ビームが剣に反射して、地面に弧を描くように爆裂するのがとてもかっこいいのである。

　
　さらにノーカットで空に舞い上がるマッドギャラン。「ジャスピオン」のこういう意欲的なアクションシーンは実に見応えがある。

　それにしても、ヒーローの特訓シーンは定番だが、悪の大幹部がこうやって真剣にトレーニングしている姿は、なかなかお目にかかれないだろう。

　大「今日はこれまで」
　マ「ありがとうございました、父上」

　
　その後、大サタンゴースが改まった口調で息子に語りかける。
　大「息子よ、我らはブラックホールから弾き出された負のエネルギー体から誕生したれっきとした生命体なのだ」
　マ「私は誇りに思っています。この銀河系は炭素生命体である人類だけの物ではありません」
　大「その通りだ。我らは新しい生き物、超生命体なのだ。我らとて、この美しい惑星で生きる権利はある。巨獣たちがはべるのどかな巨獣帝国で」
　マ「父上はこの地球で超生命体の歴史を作り上げようとしているのですね」
　大「もう一息なのだ。ワシは夢の為に命を賭けておる」
　マ「素晴らしい夢です」
　大「ワシは日本中をジャングルに変えて見せる。人間どもの文化を根こそぎひっくり返してやるのだ」
　マ「では私はあの目障りな奴を成敗致しましょう」

　悪には悪の理屈と理想があり、所詮、正義だの悪だのは相対的な物差しに過ぎないことを見事に示している奥深いやりとりである。サタンゴースたちのあくなき奮闘には、現実社会における様々なマイノリティの姿が投影されている気がする。

　
　大サタンゴース、いとおしそうに息子を掌に乗せる。
　大「お前はやがてサタンゴースに脱皮する。そして大サタンゴースに、無敵の王者となるのだ」
　マ「奴はたかが人類、私は超生命体です。ウハハハハッ」

　そこへギルマーザがやってきて、「一緒にジャスピオン倒しにいかへん？」と誘いに来る。

　マ「では父上」
　深々と一礼するマッドギャラン。これが闇に生を受けた父と子の今生の別れとなるとも知らず。

　ジャスピオンは、人気の少なくなった都内を走り回っていたが、既に住民が避難した地区で、美加と言う娘が飼い猫のコロを探しに家に戻ってしまったと騒いでいる夫婦に会い、その娘を連れ戻してくると約束する。

　
　いたるところから樹木が生え茂り、ジャングルのように変貌してしまったマンションの中を、「コロ！　コロ！」と猫の名を呼びながら走り回っている少女・美加。

　演じるのは工藤あかねさんで、「ジャスピオン」の中では屈指の美少女である。終盤になってからの登場なのが惜しまれる。

　
　地下の機械室の片隅で、頼りない鳴き声を上げているコロ。

　
　漸くコロを見付け、抱き上げて優しく撫でてやる美加。
　美加「こんなところにいたの、探したのよ、さ、行こ」
　コロ「にゃあ～」

　だがその時、地面が激しく揺れ動いたかと思うと、触手のように巨大な植物の蔓が壁や床を突き破って侵入してくる。
　美加「キャーッ、助けてぇーっ！」

　
　ジャスピオン、美加を探して廃墟のようなマンション内を走り回り、機械室でコロと美加を発見する。
　ジ「美加ちゃん、しっかりするんだ。怪我はなかったかい？」
　コロ「にゃーう」

　
　美加「コロ！　どうもありがとう、助けてくれて」
　ジ「心配してるよ、お父さんとお母さんが」

　マンションを出て、開けたところへ出たジャスピオンと美加。その前に、

　
　決着を付けるべく、マッドギャランが立ちはだかる。

　マ「勝負の時が来たようだな。地球は我ら超生命体の物だ。貴様に邪魔はさせん」

　
　互いに変身し、激しく切り結ぶ両雄。

　遂にジャスピオンとマッドギャランの最終決戦である！

　……ま、ほんとは一度マッドギャラン、倒されてるんだけどね、それはまあ、なかったことにしよう。

　
　ギルマーザが美加を人質に取るが、上空からアンリが現れ、ビームを乱射して美加を助ける。

　
　ジ「アンリ、美加ちゃんはもしかして5人目の子供かも……」

　
　美加を抱いて、再び上昇するアンリ。

　
　スペシャルビデオの中で、塚田さんはクレーンで吊られるシーンがとても怖かったと話しておられたが、確かにこれは怖い。逆にアンリが美加にしがみついているように見える。

　
　近くの林に着地したアンリと美加。アンリは「ねえ美加ちゃん、ちょっと手ぇ出してくれる？」と、美加の掌に銀河バイブルの断片を乗せる。「光に～子供」なのかどうか判別する為である。

　
　果たして、断片はたちまち黄金の鳥に変化する。やはり、美加こそ5人目の子供だったのだ。

　
　黄金の鳥は近くを旋回した後、元の断片に戻る。

　コロの姿勢が変わっているのはご愛嬌。それにしても猫は可愛いのう。

　アンリ「あなた5人目よ、光に打たれし5人目の子供！」（どうでもいい）

　つづく。