第37話「黒バラ館の男・父上は生きていた!?」(1986年8月28日)
前回、遂に鉄仮面を影の総統に奪われてしまい、失意の底に沈むサキ。
ナレ「梁山連合の活躍によって、ウルフレボリューションは未然に防ぐことが出来た……」
あれ、ウルレボ(略すな)って、総統が一方的に「もうやめるわ」ってやめたんじゃなかったっけ?

サキ(鬼界坊は鉄仮面に秘密があると言った。そして鉄仮面は奪われた……青狼会総統・恭志郎、うちの名は志織、同じ志の字を使う二人……、母上、うちらまこと兄妹じゃないがかね?)
サキは以前から胸に秘めていた疑問を、心の中で亡き母にぶつけるのだった。
と、お京と雪乃が、青狼会の本部の場所が分かったと言って駆け込んでくる。

さて、本部の執務室では、影の総統が、愛用のムチを振り回してコーフンしていた(註・いません)。
部下が鉄仮面を捧げて部屋に入ってくる。
あらゆる検査をしたが、鉄仮面の秘密はさっぱりわかりまへんと報告する部下の首にムチを押し当て、
総統「そんな筈はない。鎌倉がこの鉄仮面を追っている。相当な価値がこの鉄仮面には隠されてる筈だ。もう一度洗い直せ」

部下が退室した後、部屋の奥に向かって「そこに来ておるのか、蘭丸?」
蘭丸「はい」
総統はつかつかと蘭丸に歩み寄ると、ムチでその顎を押し上げながら、
「あのおいぼれめから、何か探り出せたか?」
蘭丸は、鎌倉の老人が黒バラ館なるところに閉じ込めているある男が、鉄仮面の秘密を知っているらしいと教える。
蘭丸「私の睨むところ、あれは恐らく志織様の……」
総統「あの人か?」
蘭丸「志織様になら鉄仮面の秘密を明かすかもしれません。……兄上に、志織様を利用し、倒すことが出来ますか」
蘭丸、兄の顔色を窺いながら鋭い質問を放つ。
総統「俺は必要とあれば、お前をも倒す。それは志織として同じこと。それがこの信楽恭志郎だ。信楽老によって悪に生きることのみ仕込まれた。人並みの情けや真心は、全て幼い時に叩き潰されたのだ! 俺は早乙女志織を利用して倒す。そして鉄仮面の秘密を得る。勝利の為ならどんな犠牲をも厭わん!」 いやー、しびれる台詞ですね。
こういう非現実的な強烈なキャラが、このドラマを支えているのは間違いない。
総統は部下を呼びつけ、サキたちに場所を知られたこの本部を放棄すると宣言し、撤退を命じる。
翌朝、サキたちは意気込んで本部の近代的なビルの中へ突入するが、既にもぬけの殻であった。
だが、ある一室に踏み込むと、あらかじめ用意されていたホログラムが映し出され、総統自ら、黒バラ館に幽閉されている男が鉄仮面の秘密を知っていると、わざと重要な手がかりを与える。
もっとも、サキは黒バラ館など、聞いたこともない。

で、西脇に尋ねると、
西脇「あそこに住んでいたのは、お前の……家族だ。あれはお前の生まれた家だ」
サキ「どういうことぞね」
西脇「あの惨劇の夜以来、あの館は放置され、無人になったとばかり思っていた」
西脇にも、そこに監禁されている男が誰か、見当が付かないと言う。
サキ「まさかそれは、父上じゃないじゃろがね」
西脇「そんな筈はない。お前の父は……亡くなった」
サキは黒バラ館へ行き、自分の目で確かめてくると言って、西脇と別れる。
さて、鎌倉の老人の屋敷。
蘭丸は、老人の座所に誰もいないのを見て、床の間の花瓶の中に隠しておいたテープレコーダーを取り出す。
だが、その様子は壁にかけられた面の穴から、老人にすっかり目撃されていた。さすが日本を牛耳る鎌倉の老人、恭志郎や蘭丸の魂胆などとっくに見抜いていたのだ。
老人「ふふふふ、蘭丸をつこうて黒バラ館のことを探り出したな、恭志郎。さてどうする? 見事鉄仮面の秘密を探り当てて見せるか……分かっておるな?」
老人は隠し部屋の壁越しに、部下たちに念を押す。

壁の外には、例によってこんな人たちが控えていた。
変態しか出てこんのか、このドラマは? 次のシーンでは、早くもサキたち三人は黒バラ館の敷地内に立っている。
生まれ育った筈の場所だが、サキは外観を見ても何も思い出さない。
だが、中に入って、何かに導かれるようにある一室にやってきたサキは、壁に掛けてある一枚の絵を見て、

豁然と記憶を取り戻す。
サキ「12年前までのこの館の姿じゃ。その頃、この館はバラ館と呼ばれちょった。……思い出したぞね、うちは早乙女志織、考古学者、早乙女七郎の娘!」
熱い涙を流しながら往時の幸せなありさまを思い描くサキ。
美しい庭園を、母・道子、志織、恭志郎と一緒に歩いている父・七郎……、
それは他でもない、スーパーヒーロー、宮内洋氏ではないか! なんとも粋なキャスティングである。
ただし、今回はイメージシーンだけで台詞はない。
サキ「遂に思い出したぞね、うちは名無しじゃない、生まれの証も立たん娘じゃない。うちは早乙女志織じゃ!」 人目も憚らず号泣するサキ。
お京や雪乃が考えていた以上に、サキは自分が何者であるか、悩みに悩んできたのだろう。
しかし、西脇の仄めかす12年前の「惨劇の夜」についてはサキは何も思い出せないのだった。
もっとも、ずっと以前の第6話でサキは「惨劇の夜」について、かなり具体的なイメージが記憶として残っていると話してるんだけどね。
三人は建物内を徹底的に調べ、遂に地下牢に続く階段を発見する。
地下牢の前には、マタギみたいな男がいて、サキたちに襲いかかろうとするが、バナナの皮で滑って勝手に気絶する(本当)。
地下牢には、髪が伸び放題で垢だらけの男が、鎖につながれていた。

蝋燭の光にも怯えて縮こまる男に、「おまさんはうちの父上じゃないがね? うちです、早乙女志織です……」と優しく呼びかける。
その声に弾かれたように振り向いた男(睦五郎)は、サキの頬を手で包むように触っていたが、
男「志織……、志織様!」
サキ「様? おまん、おまんは……?」
サキの父親じゃなさそうだと分かってややテンションが下がるお京と雪乃、その背後に、いつの間に現れたのか、玄関に飾ってあった甲冑が立っていた。無論、中に敵が入っているのだ。

甲冑戦士の胸板に、豪快な蹴りをかますお京。
彼らは動きの鈍い甲冑戦士を逆に地下牢に閉じ込め、男を外へ連れ出す。

館の外へ出ると、今度はあの変態傭兵部隊がボウガンを撃ってくる。後ろからは、甲冑戦士が……。
お京と雪乃は傭兵たちと、サキは甲冑戦士と戦う。

甲冑戦士の剣を、ヨーヨーの鎖で受け止めるサキ。

甲冑戦士の振り回す剣を、華麗な動きでかわすサキ。踊ってるみたいで可愛い。
サキは男を連れてまた建物内に戻る。
しつこく追ってくる傭兵たちをあっという間に倒したのは、意外にも総統であった。

総統「ふふふっ、スケバン刑事、麻宮サキ……」
驚くサキの首にムチを振り下ろして、気絶させる。
総統「お久しぶりですな、源十郎殿」
男「あ、あなたは……」
どうやら二人は旧知の間柄らしい。
で、とりあえず男をムチでしばく総統。 会う人会う人、とにかくムチでいたぶらないと気が済まないらしい。あぶねー奴。