第28話「BS初のミュージカル!!~歌って踊って殺人事件(後編)」(2004年7月11日)
●前編(27話)のあらすじ
説明するのが面倒臭いので直接エントリー(
前編・
後編)をお読み下さい。
●本編
ポン踊りの呪いで死んだかと思われた高村だったが、それは高村のたちの悪い冗談だった。

高村「君の心からの涙を一度見たかったんだよ」
泪「さぁいあくぅ~、ほんとに高村さんが死んじゃったと思ったから、だから、嬉し泣きしたのにぃ~」
高村「嬉し泣き?」
泪、咄嗟に背中を向けて、本気の涙を隠して心にもないことを言う。
その後、別の若者が櫓の上で音頭を取り、ポン踊りが再開される。
泪と高村も楽しそうに踊るが、再び雷鳴が轟き、櫓の上の若者が胸を押さえて苦しみ出し、その場に昏倒する。さらに、その友人が慌てて駆け寄るが、その友人も同様に突然死してしまう。
度重なる怪現象に、泪も高村も言葉もなく立ち尽くす。
柴田「鑑識としてはこれ以上の捜査は無理だ。崇りとしか言いようがないよ。東京に帰ろう」
泪「でも」
高村「そうか、分かった」
泪「えっ、分かっちゃったんですか高村さん?」
高村が指を鳴らすと同時に、

村人に扮したダンサーを従えて、高村の歌と踊りがスタート。

高村「僕に解けない謎はない~♪ だって僕はバーボン刑事~♪」

歌詞に合わせて泪のキュートなカットも挿入される。全部貼りたいところだが、きりがないのでこのくらいにしておく。
「そこらへんの酒と一緒にすると二日酔いするぜ!」
などの台詞は、1作目の愛(宮崎あおい)の決め台詞をもじったもの。
で、ひととおり踊った上で、「真犯人はあなただ、足利照子さん!」と、照子(ひふみかおり)を指差す高村。
高村は、さっき櫓で死んだ石亀と川尻が、共に照子に好意を持っていたことを照子が利用して二人の殺意を煽り、石亀と川尻が櫓の上で首を締め合って死ぬように仕向けたのだと、訳の分からない推理を得々と披露する。
泪に「お互いに締め合って殺すことなんて不可能ですよ。どちらかが先に死んじゃう訳だから……」とあっさり否定されるが、高村に「魔性の女」と呼ばれて傷付いた照子は、その場で舌を噛んで死んでしまう。
柴田「舌を噛み切ってる。即死だよ」(即死は無理じゃないかなぁ……)
泪「どうして自殺なんて」
村長「自殺じゃあらせんぞ」

と、ポン踊りを強行する若者たちを苦々しく見ていた村長が進み出る。
村長「照子殺したんはこんならじゃ。こんならが照子を自殺に追い込んだんじゃけ……おどれら人殺しじゃーっ!」
村長に扇動されて、村人たちも口々に「人殺し」と罵り出す。不穏な空気に、柴田は「とりあえず逃げましょう」と、二人を安全な場所へ連れて行く。
そこは川の近くの森で、三人は柴田の用意したテントの中で一晩過ごすことにする。

柴田「ごめんね、僕が誘ったばっかりに」
高村「なんだい、それ」
柴田「これは柴田家特製の虫除け、オズマ殺し……、この辺りには獰猛なサソリがいるからね」
テントの外から、「村からすべての水が消えるがや~」と男の声が聞こえる。

泪、何事かとテントの入り口から顔を覗かせるが、その瞬間、急に意識が遠のいてしまう。

次に目が覚めたときには、もう夜が明けていた。この寝起きのシーンがまた可愛いのだよ。ぐふふ。
既に起きてテントの外へ出ていた柴田が血相変えて戻ってくる。
柴田「大変だよ、川が消えた!」

二人が外へ出てみると、確かに昨夜近くを流れていた川がなくなっていた。
柴田「やっぱり崇りは存在するってことだよ」

老婆「崇りじゃ、崇りじゃ~♪」
村長「4人の若者が死んだんも、村から川が消えたんも、みぃんなこんならのせいじゃーっ」
「八つ墓村」の多治見要蔵スタイルの村長が、猟銃を構えて迫る。
村長は、もろこし大明神の怒りを鎮める為、泪をイケニエに捧げるのだ、などと言い出す。
泪は「私にポン踊りをさせて下さい。もし今度も推理が外れたら、イケニエにでもなんでもすればいいわっ」とタンカを切る。村長も「面白い、そん覚悟があるんじゃったら話だけは聞いちゃるけ」と、一旦銃を降ろす。

で、このタイミングでまた歌って踊り出す泪。
曲は前回と同じ、「涙流して歩こうよ~♪」と言うもの。
若さと美しさが弾ける泪の踊りは必見であるが、これまたいちいち貼ってたらきりがないのでやめておく。
泪「謎は解けたよ、ワトソン君!」
いつもの決め台詞を最後に放つ。
だが、謎解きの前に、高村が柴田を呼び出し、内密の話をする。
高村「僕は東京に戻ろうかと思うんだ」
柴田「どうして?」
高村「このまま一緒にいると僕は銭形君を殺してしまいそうな気がするんだ」
柴田「どういうことですか」
高村「もろこし大明神の秘密を探ろうと、400年前からの過去帳を見せて貰ったんだよ、そしたら……」

民家の縁側で、過去帳を読んでいる高村。
実はこのシーンも、

松竹版の「八つ墓村」で、金田一耕助(渥美清)が昔の記録を調べているシーンを意識したものなのだ。
高村「銭形家は、このもろこし村を襲って林一族の落ち武者を殺した丹羽一族の末裔なんだ。そしてさらに恐ろしいことは、この僕の高村家は丹羽に殺された林一族の血を引いてるんだ。僕と銭形君は偶然にここに来たんじゃない。400年前から定められた運命なんだ」
柴田「そ、そんな……」
高村は万が一のことがあるといけないからと、銃を柴田に預ける。
この、事件の関係者が実は因縁に結ばれた家系だったと言うのも、松竹版の「八つ墓村」にあったなぁ。

それを踏まえて、泪が元気良くポン踊りを始めるのだが、それを見ていた高村が何かに乗り移られたようにがらりと表情を変え、止めようとする柴田を突き飛ばし、櫓に上がって行く。
そして柴田から取り返した銃で泪を撃ち殺し、自分も頭を撃ち抜いて自殺してしまう。
柴田「僕のせいだ。僕が二人を誘ったばかりに……」
ここで何故か、柴田がギターを抱えて歌い出すミュージカルパートになるのだが、当然カット。
だが、歌い終えた柴田の顔に、泪の涙が落ちてくる。
そして死んだ筈の泪が、柴田と村長たち村人全員をお仕置する。

村長「何が悲しゅうてわしらがこんな目に遭わにゃならんのじゃ」
泪「崇りなんて最初からなかったんです。崇りを作っていたのは、あなたたちですよね、村長さん」
泪は理路整然と事件の謎解きをしていく。
まず、消えた川の謎だが、あれは泪たちが眠っている間に、村の若者たちによってテントごと場所を移動させられていただけだったのだ。あのオズマ殺しは、泪たちの眠らせる為の薬だったのだ。
そして最大の謎、櫓の上の窒息死だが、なんてことはない、元々4人は死んでおらず、死んだふりをしていただけだったのだ。その都度、鑑識の柴田が嘘を言って、泪たちを騙していたのだった。わお。

泪「まさか柴田さんまで嘘をつくなんて、夢にも思いませんでした」
柴田「でも、高村さんが林一族の末裔だって話は……」
高村「目には目」
柴田「騙したんですか」
高村「お互い様でしょう」
泪「でも、柴田さん、どうしてこんな嘘をついたんですか?」
柴田によると、「ポン踊り」の本当の意味は「ポリス踊り」=「警官を騙すこと」なのだという。
50年前、警官をしていた柴田の祖父が騙され、25年前には柴田の父親が騙され、その都度実際に雨が降ったらしい。だが、今回は警官がいない為(柴田はあくまで鑑識員)、わざわざ泪たちを招いて騙そうとしたのだと言う。
村長「ほんじゃけい、東京もんの警察官にポン踊りをさすのは危険じゃけえやめえ言うたんじゃ。もうこの村には雨は降らん」
泪「大丈夫、雨を降らせればいいんですよね」

泪「皆の者、私の涙でうるみなさい!」
泪がそう叫んで右腕を突き上げると、ほんとに雨が降り始める。歓喜に沸く村人達。
泪は高村に「今日もろこし村は降水確率100パーセントなんです」とケータイを見せて種明かしするのだった。

で、ラストは当然、キャスト全員による踊り。

と言う訳で、歌い踊る黒川芽以ちゃんの可愛らしさが余すところなく堪能できるエピソードでありました。