俺が正義だ「巨獣特捜ジャスピオン」セレクション 第40話

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　第40話「リッチマン作戦・ダイヤ流星群の謎」（1986年2月10日）

　銀河魔女ギルマーザ、公園で新聞を読んでいる。まだ馴染みのない地球（日本）についての情報を集めているのだ。紙面には、政治家の賄賂や大学の裏口入学などの金がらみの記事が躍っていた。

　
　彼女のすぐ目の前では（ギルマーザの命令で）ブリマとギョールが子供たちにインタビューしている。
　ギョール「みんな将来の夢は？」
　子供たち「弁護士」「私は歌手、ベストテンに出たいの」「医者」「プロゴルファー」「女子プロレスラー」
　ブリマ「どうしてそんな職業選んだの？」
　子供たち「お金が儲かるからー！」

　それを踏まえて、

　ギ「この国の国民は金で動いています。政治家から子供まで全て金。理想も夢も金が基盤になっています」
　マ「戦略を思いついたようだな、ギルマーザ」
　ギ「光に打たれし5人の子供を捜すより、リッチマン作戦を実行した方が得策かと存じます。大金を掴んだ人間は働く意欲をなくし、精神的に堕落してしまいます。この国を滅ぼす一番の近道」

　サタンゴースも、リッチマン作戦にゴーサインを出し、その体から無限にダイヤのような鉱物を作り出す巨獣ダイヤゴラスを目覚めさせる。

　
　続いて、ギルマーザ子飼いの宇宙忍者が、その能力を駆使して無数のダイヤを特定の場所に埋めて行く。

　牛尾鉱山研究所（足尾銅山のもじり）の所長は、そのダイヤを発掘して大々的にマスコミに発表する。

　牛尾「これは宇宙から来たダイヤではないかと考えています。大量のダイヤモンド隕石が降り注いだと推定されます」
　記者「では、まだまだ発見される可能性も」
　牛尾「ちょっとこれを見て下さい」

　
　牛尾「これが牛尾式ダイヤセンサーを使って調べ上げた分布図です。これらのダイヤを掘り尽くすのには500年はかかるでしょう。皆さんもどんどん発掘して貰いたい」

　
　牛尾博士の隣にいる助手は、ギルマーザの変装だった。

　ギルマーザ、熟女の癖にコスプレが好きらしい。専門用語で「ありがた迷惑」と言う（註・言いません）。

　権威ある博士の発言が、無責任なマスコミの手で広められ、当然の帰結として、ダイヤを発掘しようとたくさんの人たちがその場所に押しかける。

　ジャスピオン、テレビでそのニュースを見て、調査へ赴く。
　血眼になってダイヤを探す人たちの中に、しくしく泣いている女の子がいた。

　
　ジ「迷子になったの？」
　ルミ「お父ちゃんを呼びに来たんだけど……」

　この女の子、なかなかの美形である。

　
　視線の先には、分布図とダイヤセンサーを持って熱心に土を掘り返している父親の姿があった。

　ルミの父を演じるのは、このブログ的にはフクシン君で有名な冷泉公裕さん。
　ルミ「お店ほったらかしなの、お母さんがひとりで頑張ってるけど、風邪気味だし……」

　
　見兼ねて、ジャスピオンは父親に話しかける。
　ジ「お嬢さんが心配しています。一度帰ってあげてください」
　父「うるせえな、朝から晩まで働いたって店の借金払うのがせいぜいだよ。それよりもダイヤだよ、ダイヤモンドだよ」

　周囲で、次々とダイヤを発掘した人たちの歓声が上がる。ほどなく、ルミの父親も一塊のダイヤを掘り当て、有頂天になる。

　ジャスピオン、足元にダイヤが転がっているのを拾い、アンリに分析させる。
　ア「ダイヤのようでもあるし、違うようでもあるし」
　ジ「どういうことだ」
　ア「ダイヤモンドは八面体か十二面体の筈なのに、これは六面体よ。屈折率も3.281、それにダイヤには電気伝導性がない筈なのに、それは……」
　ジ「つまりダイヤもどき？」
　ア「でもどんな専門家でも判定できないと思うわ」

　ジャスピオンはダイヤモンドセンサーが何処で作られているのか、輸送トラックに忍び込んで探ろうとするが、そのトラックが爆発する。マッドギャランが先手を打って攻撃を仕掛けてきたのだ。

　ジャスピオン、メタルテックスーツをまとって爆発から逃れ、襲ってくる雑魚を切り伏せる。
　ジ「出て来い、マッドギャラン、出て来い、ギルマーザ！」

　ジャスピオンが呼びかけるが、シカトされる。

　牛尾博士は、ギルマーザのカスタネット魔術によって操られ、言われるがまま、ダイヤ熱を煽り続ける。

　
　牛尾「はーい、牛尾おじさんのダイヤモンド情報だよ。どうかな、みんな、ウハウハ儲かったかな？　では、今日もアツアツのホットニュースだよ」

　テレビのレギュラー番組まで持つようになった牛尾博士。調子に乗りまくっている。

　街頭テレビで、ジャスピオンもその番組を目にする。
　牛尾「今日からの狙いは、こことここ。おじさんの調査ではずっしり埋まっていることが分かった。詳しくは今日発売の分布図を買ってよ。ダイヤを掘ってウハハ、君も私も億万長者！　貧乏よサラバ、じゃまた明日の情報を楽しみにね、バッハハーイ！」

　
　ジ（バッハハーイて……）

　
　さて、ルミの父はあれだけでは満足せず、クリーニング店を抵当に入れて資金を作り、ブルドーザーで大々的にダイヤを掘るんだと言い出して、妻を困惑させていた。

　店を抵当に入れるより、最初に掘ったダイヤを売ればいいのでは？

　
　そんなやりとりを心配そうに見詰めているルミ。

　ルミの父は完全にダイヤに目が眩んで、妻の病気や、娘の心配など眼中に入らない。
　その後、本当にブルドーザーで地面を掘り返しているルミの父の姿が映し出される。

　更に、
　ナレ「ダイヤモンドフィーバーは全国に広がった。先生も生徒も、電車の運転手も、国会議員たちもダイヤフィーバーに参加した、一億総ダイヤ信者になってしまった」
　と言う事態になる。

　……でも、ダイヤが高いのは希少性があるからで、そんなにどんどん発掘されたら、あっという間に値崩れしそうな気がするのだが。

　
　街には、札束持ってゲーセンのゲームに興じるバカ1（筐体ごと買えっての）や、

　
　バカ2「これでタバコでも買いなさい」
　運転手「こんなに！」

　など、色んなバカの姿が溢れる事態に。

　運転手はこの後、500カートンほどタバコを買って、「そう言うことじゃない！」とバカ2に叱られた。

　ジャスピオン、ガービンタンクでギルマーザののアジトに突入し、監禁されている牛尾博士を救出する。

　
　ガービンタンクを追いかけるダイヤゴラス。巨獣とマシンの戦いは珍しい。

　
　最後は、ダイレオンで巨獣を倒す。

　ここでも、巨大ロボットバトルには珍しい大規模な爆発が織り込まれるなど、工夫が見られる。

　ダイヤゴラスが死ぬと、ダイヤもどきも、ただの石ころに変わり、ダイヤフィーバーは一瞬で終わる。

　
　熱狂から覚めたルミの父がこの上もなく沈んでいると、妻と娘が現れる。
　ルミ「お父ちゃん、元気を出して」
　父「ルミ！」
　母「もう一度やり直しましょう」
　父「済まない、世の中にうまい話はないってことがよく分かったよ」

　
　並んで帰路につく三人。

　ルミが、父親のぶかぶかのコートを着ているのが微笑ましい。

　その後、宇宙忍者とジャスピオンの戦いが描かれるが、これは蛇足だ。今回も、宇宙忍者の一人が倒されてしまい、ギルマーザの株がまた下がる。