第18話「運が良ければ次期社長」(1979年10月21日)
の続きです。
カーテンの裏に隠れていた麻生たちだが、結局ダーツに見付かってしまう。仲間に身辺調査をされていたと知って、ダーツは激怒する。

麻生「いや、この通りだ、すまん」
ダーツ「すまんで済む問題と、済まん問題があるぜ」
麻生「どっちだ?」
ダーツ「済まん!」

智子「分かった、あなたたちを雇ったのはパパね。そうでしょ」
ダーツ「智子さんのオヤジさんが? ほんとに?」
麻生「うーん、まぁ……」
ダーツ「引き受けるほうも引き受けるほうだぜ」
智子は、警察に電話してやると息巻くが、麻生もさっき盗み聞きした2億円のことを持ち出して牽制する。
で、三人は何とか警察沙汰にならないうちに引き揚げる。
転んでもタダでは起きない麻生、帰りの車の中で、「罪にならないというんなら、これは頂きたいな」と言い出す。ジュンもナビも乗り気になるが、ジュン、麻生に「トップ屋のお姉さんとデートだな」と言われ、急に元気がなくなる。
こうして、ジュンは菊村コンツェルンの情報を得る為、トップ屋のお姉さんこと、谷村女史(結城美栄子)とデートすることになる。
服の見立てをしながら、ジュンから話を聞いた谷村女史は即座に「政治献金ね」と答えを出す。
また、菊村コンツェルンは暴力団と繋がりがあるから、関わらない方が良いとアドバイスする。

谷村「わー素敵、このウェディング! 女の夢よねえ、この純白のドレスは……私が着たらおかしいね」
ジュン「いや、似合いますよ、谷村さん着たら、クレオパトラみたい」
谷村「うひひひひっ! ねえ、ジュン、あなた年上の女房なんか、嫌い?」

急に真顔になって尋ねる谷村女史に、思わずたじろぐジュン。
ジュン「す、好きですよ」

ジュンの言葉にニンマリする谷村女史。可愛い……。

仕事の話をさっさと切り上げ、実に嬉しそうに手を叩く谷村女史。
谷村「さてと、情報提供に何を買ってもらおうかなっ」
ジュン「お好きなのどうぞ、4万円以下ね」
谷村「いいわよ、4万円プラス、ジュンとのデート5回!」
ジュン「5回、ハハ……」

一方、ナビは「たけや、さおだけ~」と、さおだけ屋に扮して菊村の屋敷の前で張り込む。
この呼び声を聞いたことはあるが、実物を見るのは初めてだぜ。
その2億円らしいジェラルミンケースを持った男たちの車、続いて、ダーツと智子の車が屋敷に入って行く。

ダーツと智子が応接間に行くと、菊村ともうひとりの男が2億円を前に何か商談をしている。
智子は、ダーツを父親に紹介してから、2階の自分の部屋に上がる。
役名はないが、この男は潮会の組員らしい。演じるのは西沢利明さん。
ナビの報告を受けて、麻生たちはその2億円をなんとか頂戴しようとする。だが、ひとりユーコは正当な報酬の70万で満足して、そんな危ない金には手を出すべきではないと反対する。
麻生「しかしこんな大金を目の前にして黙って指をくわえて見てることはない。良い手がある」
ジュン「どうすんの?」
麻生「二人(ダーツと智子)が金を取るのを待つ。その金を横取りする。横取りしてから社長に返す」
ジュン「分かった、お礼の1割2000万!」
ユーコ「でも、それじゃダーツが……」

麻生「はいっ」
三人「裏切り者は~暗い鉄格子~♪」
声を揃えて歌う麻生たち。そして、実際に牢獄に入れられているダーツの姿が映し出される。

ユーコ「すぐにお金に目が眩むんだから」
麻生「はいっ」
三人「俺たちは~走り出したら止まらない~♪」
ユーコ「もう、知らない!」
今回の多岐川裕美さん、いつにもまして綺麗な気がする。
その夜、麻生たち三人は菊村邸の前に車を停め、様子を伺っている。屋敷の周りには潮会の組員がいて、警戒していた。
菊村は、ある政治家と電話で話している。電話を切ってから、
菊村「政治家は物分りが良い。なにしろ見返りが早いからな」
やはりあの2億円は賄賂性の高い政治献金のようだった。
そこへダーツと智子が顔を出し、ダーツが挨拶をして帰っていくところをはっきり示す。
だが、ダーツは門を出た後、塀を乗り越えて再び邸内に。そして、智子が頃合を見計らって悲鳴を上げ、菊村たちが2階へ上がっている間に、しのび装束に着替えたダーツが部屋に忍び込み、まんまと2億円のケースを奪うことに成功する。
屋敷の外で待ち構えていた麻生たちが、そのケースを取り戻そうとするが、ダーツは彼らを振り払って車で逃走する。麻生たちも続き、騒ぎに気付いた潮会の連中もすぐ追跡する。
一方、智子は金を奪われた父親が予想外に凹んでいるのを見て、ショックを受ける。
しかし、菊村コンツェルンの社長ともあろうものが、2億円盗まれたくらいでそんなに落ち込むかなぁ?

激しいカーチェイスの末、ダーツは操車場に逃げ込む。
忍者顔負けの身軽さで、ケースを持って列車の屋根の上を走るダーツ。
潮会に追い詰められてピンチになるが、そこへ麻生たちが助っ人に現れる。
麻生、得意のブーメランで組員達のピストルを弾き飛ばす。

麻生「こいつは俺たちの仲間だ、殺させる訳にはいかん」
ナビ「憎いねえ~、ダーツ、感動しろ」
ダーツ「余計なとこしゃしゃり出てきやがって」
だが、西沢利明が隠し持っていた銃を取り出したことで、事態は一変。
西沢「てめえら、はじからバレンタインの虐殺だ」
組員「良い子だから、背中を向けてずらっと並びな」
「バレンタインの虐殺」とは、アル・カポネによる「聖バレンタインの虐殺」のこと。

麻生「ああ、こんなところで死ぬのか」
ナビ「元はと言えばダーツが悪い」
ダーツ「そりゃないでしょ、なりゆきなんだから」
ジュン「なりゆきで短かった僕の人生」
一同「お母さん、先立つ不幸をお許し下さい!」
シリーズ中、麻生たちが最も死に近付いた瞬間であったが、そこへパトカーのサイレンの音が福音のように響き渡る。

たちまちグニャリとなる組員のピストル。
前半のダーツの巨大葉巻と言い、今回の小道具は気合が入っている。
金沢とゴリラが突っ込んできて、組員達は逮捕される。いつもなら、2億円も没収されるのが普通だが、今回は見事警察の目を逃れて2億円を持ち帰ることに成功する。

ユーコ「いくら黒い札束でも返さなきゃね、キャプテン」
麻生「いやー、ちょっと待てちょっと待て、今、良心と戦ってるんだ」
ナビ「両親と喧嘩しても兄弟とは仲良くしようぜ」
麻生「これだけあれば……」
2億円の現金を前に、気持ちが揺らぐ麻生。
だが、そこへ智子がやってきて、2億円を父親にそのまま返してやりたいと言い出す。
勝手な言い草に、さすがにナビたちも怒る。
ナビ「翔んでる不良少女は、最後まで翔びなさい!」
智子「だってあたし、もうそう言う気持ちになれないんだもの!」
智子、その場にしゃがみこんでシクシク泣き出す。
女の涙に弱い麻生たち、結局智子の言うとおり、2億円を菊村に返すことにする。
それでもまだ、ダーツと智子が結婚する望みは残されていた。ところが、改めて事務所にやってきた智子は、「パパとちゃんと暮らすことにしたのよ。自分でもよく分からないんだけど……」と、ダーツに別れの言葉を告げて去って行く。
お礼の1割2000万も貰えず、がっくりする麻生たち。

それでも、今回は70万と言う報酬があった。
ユーコ「(経費など)差引残高、みんなの手元には3万円ずつ入ったんだから」
と、スーッと谷村女史が現れて、その3万円から1万円ずつ抜いて帽子に入れていく。

谷村「情報提供のお礼として4万円、頂きまーす!」
いいなぁ、谷村女史。

「お、お姉様! 俺たちは天使だっ!」
今回は時間的余裕がなく、早口で決め台詞を放つ麻生たちであった。
と言う訳で、ストーリーは平凡だが、細かいギャグが散りばめられ、谷村女史の魅力が炸裂する、捨てがたいエピソードであった。