「少女コマンドーいづみ」第10話 その3
- 2015/07/15
- 21:53
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第10話「花を売る女戦士」(1988年1月14日)
の続きです。
イサオを助ける為、敵の待ち構える倉庫へ潜入したいづみとマリコ。

いづみ「早く外に出なさい」
イサオ(モデルガンを取り出し)「僕も戦う!」
マリコ「これはゲームじゃないのよ」
いづみ「私がやられたら、お姉さん誰が守ってあげるの?」
と、頭上から、森の声が響く。
森「いづみ、銃を捨てろ! そうすれば、二人は助けてやる!」
いづみは、持参したサーモセンサースコープガンを何の未練もなく放り捨てる。ま、元々、イサオが盗んだものだから、返すのは当然だ。
森「いいか、このスコープは体温を感知してナイトビジョンに切り替わる。暗闇でもこいつが、目標を探し出してくれる。スイッチを入れろ。……行け!」
森は、仲間にそう指示して散開させる。
いづみは、イサオを説得してマリコと一緒に倉庫から逃がす。

森「こんな形で、組織の作り上げた最終兵器に出会えるとは思わなかったぞ、いづみぃ」
いづみ「やっぱり、組織の武器庫!」
森「こんな倉庫を毎晩見張っていた奴がいたお陰で、お前に会えた。テストを開始する!」
森の言葉と同時に、照明が完全に落ち、真っ暗になる。
テストと言うのは、スコープガンの性能テストのことである。
森「あの二人は、明日にでも事故で死ぬことになる」
と、言わなくてもいいことを言う。
それが「バイオフィードバック」の発動トリガーになる。いつものように石津の「バイオフィードバック、戦う意志がお前を最終兵器に変える!」と言う台詞がいづみの脳裏に響いて、バイオフィードバック戦士となるいづみ。
闇の中、自分の位置だけ敵に丸分かりの不利な戦いを強いられるいづみだったが、人間離れした反射神経と運動能力で、銃弾をかわしつつ、森の部下をぶちのめす。

最後に残った森に対しては、その怪力でパレットを持ち上げて投げ飛ばし、森の立っていた台座ごと崩して片付ける。
いづみが外へ出ると、マリコと、エアガンで武装したイサオが走ってやってくる。
マリコ「いづみさん……」
いづみ、マリコに大きく頷いて安心させてから、持っていたサーモなんとかガンを、「はい」と言ってイサオに差し出す。
いづみ「欲しいんでしょ? ……どうしたの?」
だが、イサオは拳を強く握り、
イサオ「要らない!」
いづみ「そうねえ、こんなもので守って貰っても、お姉さん喜ばないもんねっ」
イサオ、一連の事件を経験して、武器に頼ることの無意味さに気付いたのだろうか?

いづみ「じゃあ、捨てていい?」
イサオ、少し迷った末、首を縦に振る。
それを見て、とびきりの笑顔になるいづみ。その場所から、銃を海に向かって放り投げる。
イサオはそれのみならず、ホルスターに収めていたエアガンを片っ端から海へ投げる。もったいない。

物陰からそれを見ているのは石津さん。
石津(いづみに通用しない兵器など、いくら開発しても無駄か……)
こうして、サーモなんとかガンは開発中止の憂き目を見る。
また、森が口走ったように、事件の後にマリコたちに危害が加えられることもなかった。あるいはいづみに「バイオフィードバック」を起こさせる為に、石津がわざと森に言わせたブラフだったのかもしれない。

じゃれあいながら帰途に着く姉と弟。
二人の様子をやや羨ましそうに見ながら続くいづみ。
幸か不幸か、いづみの花屋さん生活も、たった一日で終わってしまった。

いづみ(この街で、私たちのすぐ隣でも、組織は動いている)

翌日、何故かまだ花屋で働いている佐織。事件とは無関係に、この仕事がほんとに好きなのだろう。それと一応、引き続きマリコたちの護衛も兼ねているのかもしれない。
イサオも、心を入れ替えて積極的に店の手伝いをしている。
店先で作業をしていた佐織に、ひとりの男性客が「すいません」と声を掛ける。視線を上げて、客の顔を見て、軽く目を見張る佐織。
佐織「あのう、バーガーインでお会いしたことが……」

そう、それは他でもない石津おじさんであった。ただし、あくまでバーガー・インの常連客としての顔である。
石津「ここに花を届けてくれないか?」
アドレスの書かれた封筒と1万円札を差し出す。藤原のセコさと対照的である。

万札を渡され、思わず笑みがこぼれる佐織。
佐織「はい、分かりました」
石津「よろしく」
爽やかな笑顔を見せて去っていく。
佐織、その客が、3年前、彼女を脅していづみが人殺しだと偽証させた男だと気付くことはなかった。
佐織、頼まれた豪華な花束を抱え、アドレスをつぶやきながら歩いていたが、
佐織「あれー、なんだー、この住所ってサキのことじゃない」
そう、他でもない、届け先はバーガー・インなのだった。
……ま、花束を用意してる時点で気付くと思うが。

店には、いづみも恵子も、健もいた。
恵子「なにそれ? お礼だったら花じゃなくて現金にして貰えば良かったのにー」
花束を見て、さもしいことを言う恵子。
佐織「違うんです、このお店に来たことあるカッコイイ人が、サキさんへって」
健「この店でカッコイイっつったら、悪いけどお前、俺しかいねえぞお前」
恵子「ぷっ」
健「何が可笑しいんだよ?」
しかし、「サキさん」って言うと、スケバン刑事のことを言ってるみたいである。
まぁ、この店の名前は、正にスケバン刑事の麻宮サキから来てるんだけどね。

健、封筒を開けると、「五条いづみ様へ」と書かれた素っ気無いメッセージカードが出てくる。
健「なんだよこれ、いづみにだぜ」

佐織「あー、その人いづみ先輩のこと好きなんだ!」
小学生のような反応だが、当たらずとも遠からず。
いづみ「だれ?」
佐織「ほら、お店にも来たこと、ある人ですよ」
恵子「どんな人、どんな人?」
佐織「カッコイイ人」
佐織、何故か「いつもひとりでビリヤードしてる人」と言う、分かりやすいフレーズを使わない。

健、気取った手付きで花束にカードを添えて、いづみに捧げる。
この健の(と言うか、湯江健幸氏の)動作ひとつひとつがモテるコツなのではないかと管理人は睨んでいる。

男性から花を贈られたことなど、多分、初めての経験だろう、満面の笑みを浮かべて花束を受け取り、その香を吸い込むいづみ。
それが、憎むべき敵からの贈り物だとは露知らず……。
11話へつづく。
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