第51話「死人たちは二度死なない」 いよいよ最終回、ハングマンたちの今回の任務は、内閣まで巻き込んだ大規模な疑獄事件に絡む殺人事件の解明である。
泥酔させられて轢死と見せかけて殺された山岸と言う男は、検察側の切り札とも言うべき重要証人だった。

大事な証人に死なれ、悔しがる東京地検の検事正・村上を小池朝雄、特捜部のトップ・高柳を土屋嘉男が演じる。重厚な配役である。
二人は、何処から情報が漏れたのか、それを気にしていた。

で、ぶっちゃけると、被告側の帝都物産の南條弁護士の差し金で、ジャーナリストを名乗るスケコマシ西岡(藤木敬士)が、村上の妻(田島令子)をたぶらかし、もっともらしい口実で彼女に夫の機密情報を盗ませていたのだ。
村上夫婦の関係は冷え切っていて、村上の妻はすっかり西岡に夢中だった。
……そう言えば、こないだテレビに藤木さんが出てたなぁ。すっかりまろやかなおじいちゃんになられていたが。
ハングマンたちもまず南條に目をつけ、その動向をマークする。だが、同じく南條の内偵を進めていた高柳たちに目撃され怪しまれる。
鋭敏なハングマンたちは割と簡単に西岡の存在を突き止める。
西岡が村上の妻に呼び出され、喫茶店で話している内容もしっかり盗み聞きする。村上の妻は、夫と別れて西岡と結婚したいと迫るが、最初からその気のない西岡は手の平を返すようにすげなく断る。村上の妻はやっと自分が西岡に利用されていたことを悟る。
タミーとパンが、村上の妻を尾行していたが、村上から妻の素行を調べて欲しいと頼まれていた高柳たちにまた見られ、しかも車のナンバーまで知られてしまう。タミーたちは、自分たちも検察に関心を持たれていることには一切気付かない。
ハングマンたち、そして村上や高柳も、情報を盗んだのが村上の妻だと確信するが、村上の妻は自責の念に耐えられず、自殺してしまう。

村上は事件の捜査を打ち切ろうと高柳に告げるが、それは自分の保身の為だった。
高柳「検事、ハングマンってのを御存知ですか? 非合法手段で犯罪を摘発する正体不明のグループです。どうやら実在するようですな」
村上「その連中が動き出したって言うのかね」
高柳「おそらく」
村上「冗談じゃないよ、そんな連中が家内のスキャンダルを暴き出したら私の立場はどうなるんだ! 検事長の椅子どころじゃないよ、検事として私は完全失脚だよ! 高柳さん、そいつら何とか逮捕してくれ!」

さて、そんなことが進行しているとは露知らないハングマン。アジトとして利用している市営アパートの一室に、タミーが食料品の買出しから戻ってくる。
マイト「あー、僕ちゃんの口に合いそうにないけど……」
と、マイトが手にするのは、
ぺヤングであった。
ところが、アパートの前を通り掛かったミニパトが、極秘手配中のタミーの車を発見する。連絡を受けて、高柳たち警察がアパートの周りに押し寄せる。

そこへデジコンが別の車で帰ってきて、何気ない顔でそこを通り抜けると、慌てて裏口からアパートへ入り、仲間に急を知らせる。
マイトたちは高柳たちが彼らのアジトへ向かうのと入れ違いにアパートから離れる。

パン「タミー、お前さんの車、やばいよ!」
タミー「だいじょぶ、運転には自信あるんだから」

タミー、無謀にも警官たちの大勢いる前で素早く車に乗り込み、走り去ってしまう。
だが、さすが特捜部を指揮する高柳、既にタミーの車に探知機を取り付けていたのだ。

その夜、ハングマンは別のアジトに身を潜め、カップ麺で腹ごしらえをしていた。
マイト「サツも我々の存在に気がついてきたようだ」
タミー「そうね、こう私たちに鼻先を明かされたんじゃ、サツも頭に来るわね」
パン「そろそろ店仕舞いかな、こりゃ」
が、そんなことを言ってる間にたちまち警察に包囲されてしまう。高柳たちが突入するが、マイトが偽ダイナマイトで時間を稼いでいる間に、なんとか逃げ出すのだった。
警察に追われる身でありながら、ハングマンは南條弁護士や西岡たちを拉致すると、

目隠しをして線路に縛り付け、彼らが殺した山岸同様、電車に轢かせて殺すぞと脅し、彼らのやったことを全て白状させる。

無論、それは、電車の音や踏切の警報だけを聞かせ、あたかも電車が迫っているように思わせる彼らのトリックだった。

翌日、ハングマンは都心のど真ん中の公園に悪人たちを晒し者にした上、昨夜の告白(テープ)を拡声器で大々的に流す。
彼らの罪状は明らかになるが、同時に村上の妻が情報を流していたことも暴露されてしまう。
村上「これで私は完全に失脚だ。やられた、見事にやられたよ……」
村上、出世の夢は諦めたが、「検事として最後の仕事は奴らを検挙することだ!」と、ハングマンに対する憎しみを滾らせる。
警察による徹底的な捜査が行われ、マイトたちの個人の住居も次々と突き止められて行く。彼らは何とか警察の手を逃れ、ゴッドの前に集まる。

マイト「ゴッド、ここも二、三日のうちにやばくなりますぜ」
ゴッド「……組織はひとまず解散する」

デジコン「解散? 指紋まで消したのに……」
タミー「年収4000万の失業か……」
パン「アジトを突き止められたんじゃあ、解散もやもえんわ」
ゴッドは臨時ボーナス1000万と、海外高飛びの為のパスポートをメンバーに渡す。

タミー「ちょうどいいバカンスになるわ、私はニースにでも行こうかな」
デジコン「俺はニューカレドニアにでも行ってたっぷり泳いでこようかな」
だが、パンだけは海外に行くのは嫌だと、パスポートを返上する。既に、昔のツテで別の戸籍を取得したと言う。
ゴッド「とにかく長い間ご苦労だった。警察を刺激しただけでも諸君の功績は大きい」

ゴッドの差し出した手を、4人ががっちり掴む。

タミー「楽しかった!」
デジコン「また呼んで下さい」
パン「足のある幽霊としては結構な暮らしをさせて頂きました」
マイト「ゴッドもお元気で」

ゴッドのオフィスから外へ出て、最後の別れを交わす4人。

デジコン「じゃあな」
タミー「バーイ!」
パン「ふっふふふふ」
マイト「はははははっ」
トランペットが哀愁を帯びたテーマソング(あ・れ・か・ら)を吹き鳴らす中、ひとりひとり雑踏の中へ消えていくハングマンたち。
最後にひとりひとり、夕陽を背ににっこり笑って見せる。

タミー、可愛い。
読者の中には、「お前、タミーの画像が貼りたいだけじゃねーのか」などと言う人もいるだろうが、それに対しては「そうだ!」とだけ答えておこう。
と言う訳でこれにて「ザ・ハングマン」のレビューは終わりです。
ただし、ほぼ同じメンバーで「ザ・ハングマン2」が始まるので全然寂しくはない。