第30話「捨てられる子供たち 変身するママ」(1983年9月30日)

電、公園で、赤ん坊をあやしている小さな女の子を見掛ける。
ゆきえ「もうやんなっちゃう、泣き止まないんだもの」
電「ミルク、ミルクだよ。きっと腹ペコなんだ。ママは?」
ゆきえ「いないの、ママ」
電「買い物かい?」
電の問い掛けに、うつむくゆきえ。

電、とりあえず鈴木家に二人を連れて行き、千秋に赤ん坊の面倒を見て貰う。
千秋「よっぽどお腹空かしてたんだわ、見て」
千恵「かわいい~」
ゆきえの母親は、最近、異次元美容センターと言うところへ通い詰めらしい。
電は、ゆきえを連れてその美容センターへ行く。
……ま、異次元美容センターと言う名前の時点で怪し過ぎるのだが。

電が車を美容センターのビルの前に停めると、ちょうど階段を降りてくるゆきえの母親の姿があった。
そう、誰あろう、モモレンジャーこと小牧リサさんである。
ゆきえ「ママー」
高子「ここへは、来ないでって言ったでしょう」
電「大騒ぎだったんですよ、泣き止まなくて」
高子「あやし方が、悪いからよ」
電「ミルク飲ませるのはママの仕事だと思うけどな」
高子は子供を置いてさっさと歩き去って行く。
電「無責任な母親だ!」

家の前で赤ん坊を抱いてゆきえが泣いていると、父親が仕事から帰ってくる。
家の中から音楽が聞こえてきたので、何事かと入ってみると、

レオタード姿のモモレンジャーが、「ワンツー、ワンツー」とエアロビを踊っていた。
家庭内殺人を引き起こしかねない笑顔である。 
高子「あーら、お帰りなさーい」
幸雄「なんだこのステレオは? それに絨毯も新しくなってる」
高子「買ったのよ、ローンで!」
幸雄「ええっ、一言の相談もなくてか? 高子、うちにはそんな余裕はないはずだぞ! うちのローンだって……」
高子「もうたくさんよ!」
幸雄「なんだその言い方は?」
高子「なんで朝から晩まで炊事、洗濯、子守しなきゃなんないのよ。私だって気分良く行きたいわよ」
醜い夫婦の修羅場がテレビの前のお茶の間に届けられた後、高子は荷物をまとめて家を出て行ってしまう。
電、ゆきえ以外の子供たちからも同様の話を聞かされ、母親たちが全員、あの美容センターに通っていることを知り、リリィに潜入捜査をさせる。

牛乳瓶の底のような眼鏡をかけて変装したリリィや、母親たちの前に、同じく占い師のような格好に変装したポルターが院長として現れる。
ポ「みなさん、本当に美しくなるということはお化粧することではありません。心の垢を削ぎ落とし、透明で自由になる事です。心に悩み事を持つということは、自分を醜くするということです。ここは懺悔ルームです、誰にも遠慮はいりません。さぁ、心を開きなさい」
ポルターの言葉に、母親たちが口々に不満をぶちまける。と言っても、子供の成績が悪いとか、姑がうざいとか、夫の昇進が遅いとか、他愛もないことばかりであったが。
ポ「本当に美しくなりたいのなら、自分に絡みつく全てを捨て、自由になりなさい。まず子供を捨てなさい。そして夫も捨てなさい。家族と言う絆がどんなに女性を老けさせ、美貌を奪っているか」 別室でモニターしていたガイラーたちは、リリィに目をつける。ただし、まだリリィだとは気付かない。
リリィはリリィで、院長が顔馴染みのポルターだと気付かないのだから、おあいこである。
院長からありがたいお言葉を承った後、実践篇に移る。

まず、エアロビ(尻なら何でも良いのかお前は?)。

ついで、泥パック(?)や、全身パラフィンパックなど、普通のエステでやるのと同じようなメニューをこなしていく。
これは、実際のエステで撮影してるんだろうと思うが……。
続いて、頭の左右に電極のようなものがついているベッドに集団で横になる。

リリィ(この装置が怪しい。洗脳装置じゃないかな?)
モニタールームで、リリィに監視の目を光らせていたガイラーたち、ここでやっと、それがリリィだと気付く。
ガイラー「間違いない、女宇宙刑事だ」
ポ「普通の赤外線シャワーに切り替えろ」
リリィ(おかしいわ、なんの刺激もない……)
その後、日焼けマシーンなどを経て、

最後は、はっきり説明されていないのだが、高価な毛皮や装飾品をまとっている母親たち。
リリィがそのままグランドバースに持ち帰っているので、母親たちに買わせているのだろう。
リリィ、それらを脱ぎ捨て(経費で落ちるんだろうな)、結論を述べる。
リリィ「世間によくある、普通の総合美容センターよ」 えっ……、そうなの? 院長の訓示と言い、最後にドカドカ高級品を買わせるところと言い、怪しさ大爆発だったような気がするのだが……。
さて、マドーの今回の作戦の目的だが、
魔王サイコ「親子の絆を断たれれば家庭は崩壊する。人間社会を愛と信頼のない化石の荒野にしてしまえ。そうなれば、人間どもを支配するのはたやすい」 だそうです。
ポルターは全国各地にセンターを建設中ですと、誇らしげに語る。
マドーの作戦によって、主婦たちは家庭をかえりみなくなり、テニスやゴルフに遊び興じる。
親に見離された子供たちが、孤児のように都会の片隅をさまよう。
小次郎さんも、公園でたくさんの赤ん坊の面倒を見ていた。割と楽しそうだったが。
電、北海道の実家へ行くことになったゆきえを励まし、見送った後、
(可愛い我が子を見捨てる親がいる訳はない。何かに狂わされてるんだ)
で、結局異次元美容センターが怪しいということで、今度は電が建物に侵入する。
ダクトを通って、ガイラーたちのモニタールームを発見した電、特殊な装置で主婦たちが洗脳されているさまを目の当たりにする。
ちなみにセンターの支配人(ヘンシンビースト)の台詞「ボルテージアップ」が、「法廷ジャブ」に聞こえてしょうがない管理人であった。
電「なるほど、そうやって母親たちの情愛を消していたのか」
ガイラー「死にに来たか、シャリバン」
電「黙れっ! 母親たちを洗脳し、多くの子供たちに悲しい思いをさせた。俺の胸は、怒りで張り裂けそうだぜぃ!」 後は、いつもの戦闘メニューをこなすだけ。

「赤射」して、お寺をバックにポーズを決めるシャリバン。
ヘンシンビーストを倒し、マドーの計画を粉砕する。

ラスト、元の優しい母親に戻った高子が、ゆきえが心配するほど精を出して働いている。
ゆきえ「朝から働きづめよ、病気になっちゃうわ」
高子「家中ゴミ捨て場みたいなんだもの、ちょっと留守しただけで」
でも、ローンで買ったステレオとかは、そのままあるんだよね。
後々、家庭争議の元になったのでないだろうか?