第5話「ラブ・スクランブル」(1984年5月15日)
少年院の内と外で、トランシーバーで連絡している麻里と朝男。

麻里「笙子の奴、脱走話に乗ってこないんだよ。どうする」
朝男「バカ、お前が本気じゃねえからだ。麻里、お前の腹は読めてんだぞ、お前は俺に惚れてる。だから笙子を逃がすより、死ぬほど痛めつけてやりたい、それが本心だろ? だがな、脱走させるまでに笙子に指一本差しやがったタダじゃおかねえ」
朝男、一本釘を差してから、
朝男「笙子が脱走するきっかけは哲也のことしかねえ、そう思ってな、奴にはとっくにマークをつけてある」
朝男には何か策略があるらしい……。
一方、哲也、引き続き恭子のそばにつきっきりだったが、割と早く奇跡が起き、恭子は意識を取り戻す。
この辺は、正直、ちょっと物足りない。こうあっさり意識を回復しては、ありがたみがないではないか。

奇しくもその日は、舞楽の稽古日に当たっていた。
笙子、家から取り寄せた正式の衣装をまとい、仲間に誇らしげに披露していた。

いよいよ笙子の恋人が来ると、みんな盛り上がっていたが、ひとりモナリザだけはクールで、
モナリザ「彼は来ないよ」
笙子「何故?」
モナリザ「何故でも。
恋は壊れやすいのよ、ビタミンCのようにね」
真顔で、恥ずかしい台詞をのたまうモナリザ。
モナリザ、別に予知能力がある訳ではなく、麻里の動向に目を光らせて、哲也が来れないことも予め知っていたらしい。
さて、晴子と八千代が朝男たちの動向を監視していたが、それを気付かれ、

朝男の部下に木刀でタコ殴りされる。
大人気ないにも程があるだろ。
二人はボロボロになってジョーズに逃げてくる。特に八千代は重傷で、腕を折られていた。
おアキに「何か添木になるものない?」と聞かれ、

ヨシ坊「これ、どう?」
と、大ボケをかます。ヨシ坊、可愛いよね。
それでも、そのしゃもじでほんとに腕を固定してしまうのであった。

笙子、ひとり体育館で、期待と不安を胸に愛しい哲也の来るのを待っていた。
ここの、笙子の踊る姿が、
めっちゃ可愛いのである! 声を大にして言いたい。

が、哲也はまだ恭子のそばにいて、りんごの皮など剥いていた。
哲也(笙子さん、すまない、許してくれ)
無論、哲也は断りの手紙がちゃんと笙子に届いていると思っているのだ。

リアル「眠れる森の美女」のように静かに眠っている恭子さん。綺麗だ……。
やがて目を開き、哲也を見る。
哲也「恭子さん、りんごひとつどう?」
恭子「あなたは、何故ここにいるの? 私への同情ならやめてください」
哲也「同情じゃない。僕は君が元気になるまでずっとそばにいる。だから何かして欲しいことがあったらなんでもするよ」
恭子「外に出たいわ」

哲也、恭子を車椅子へ乗せ、屋上へ出る。
そこから見える幼稚園で、園児たちが輪になって「屋根より高いこいのぼり~」と歌っている。
恭子「可愛いわ、もう五月なのね」
だが、そんな二人の一見恋人風の姿を、ポラでこっそり撮影している奴がいた。朝男が送り込んだパパラッチであった。
その後、なんとなく哲也の妹の話題になる。哲也は妹が何処にいるのか知らないと話し、

昔の写真を恭子に見せる。そう、他でもない、モナリザであった。
そんな偶然が……あるんだなぁ、大映ドラマだと。
その頃、少年院。
稽古の約束の時間はとっくに過ぎ、

しょぽーんとしている笙子。
さて、八千代も恭子と同じ病院で治療を受けていた。

剛は、悔しさに泣きじゃくる八千代に、「おい、行こう、いつか笙子が言ったぜ、苦しい時、悲しい時は思いっきり叫べってよ……、叫べ」
八千代「バカヤロー」
善子「バカヤロー」
剛「バカヤロー」
近所迷惑です。 と、三人は哲也と恭子に気付き、稽古に行ってる筈の哲也を責める。
哲也「僕は行かない」
剛「その人とよりを戻そうってのか? 恥ずかしくはねえのか」
哲也「僕は誰に対しても恥じるようなことはしていない」

剛「ふざけるんじゃねえ!」(ぼかっ)
哲也「暴力はよしたまへ」

八千代「利いた風な口を利くな! バカヤロー」
八千代、ギプスをした右腕で哲也の顔を殴打する。クリティカルヒット!

午後4時を回り、さすがに諦めて落ち込んでいる笙子。
そこへ麻里が現れ、撮ったばかりのポラを何枚も笙子に見せる。
哲也と恭子が仲睦まじく過ごしている写真ばかりだった。
麻里「あたいの仲間がたった今庭に放り込んでくれたのさ。笙子、あんたがその男を信じてマジにやっててもねえ、相手は相手でよろしくやってんだよ」
笙子「哲也さんはそんな人じゃない!」
麻里「じゃあこの写真はなんなんだよ? あたいは今夜脱走する、今夜10時、その気になったらC号棟の裏にきな」
麻里が去った後、泣きながら写真を引き裂く笙子。
その夜、笙子は哲也の気持ちを確かめる為、脱走するつもりだとさと子に告げてから、麻里と落ち合う。

塀を乗り越えた笙子を、たくさんのバイクのライトが照らす。
朝男「笙子、良く出てきたなー。俺の女になる為によー」 やっぱり朝男は男前だなっと。
続いて麻里も塀から降りようとするが、その時、何者かが投げたロープが麻里の首をひっかけ、内側に引き摺り下ろしてしまう。
第6話へ続く。