第39話「悪魔になった友」(1979年10月27日)
城北大学病院の高松教授の定期健診を受けている、二代目コサックこと神誠。
「全て異常なし」の太鼓判を貰って診察室から出て行こうとする神に、友人で、助教授の関根直人が話しかける。

関根「さすがバトルフィーバーの隊員だな、鉄人だよ。……うっ」
話の途中、突然、苦しそうにえずく関根。
神「関根? 関根!」
関根「平気、平気、ちょっと失礼……」
高松「胃潰瘍と見てるんだが、頑固でねえ。精密検査を受けようとしないんだ」
病院の前で、神が関根に「早期発見が大事だぞ」と忠告する。

彼らの前を、安原教授と典子と言う看護婦(割と可愛い)が談笑しながら通り過ぎていく。
それを悔しそうな、つらそうな視線で見送った後、
関根「自分の体は自分でよく知ってるよ、心配するな」
神「そうだな、じゃ、またな」
だが、神を送り出した関根、またすぐ激しい吐き気を催す。
そこへ、変装したサロメが現れ、「不死の会」と書かれた名刺を渡し、「ここを訪ねなさい。あなたはたちまち丈夫になりますよ」と囁く。
藁にもすがる思いで、関根はそのアドレスのビルに入って行く。
エレベーターの底が抜け、「どっきりかよ!」と叫びながら(註・叫んでません)落ちていく関根、気が付けば、サロメに連れられて、エゴスの本部に足を踏み入れていた。

関根を演じるのは香山浩介(現・藤堂新二)さんで、次回作「デンジマン」でヘドラー将軍を演じることになる。なかなか豪華なスリーショットだ。
ヘッダーは、レントゲン写真を見せ、関根が悪性の癌であと3ヶ月の命だと告げる。
関根「死にたくない、助けてくれ!」
ヘッダー「サタンエゴス様の蘇生手術を受ければ、君は永遠の命を得ることが出来る。その代わり、君はエゴスのメンバーとなる。無理にとは言わん。あくまで自分の意思で選ぶが良い」
関根は死にたくない一心で、その申し出を受けてしまう。

蘇生手術と言っても、怪人製造機により、ハイド怪人と言う化け物に生まれ変わることだった。

人間態も、こんなのになってしまう。
しかし、「ジキルとハイド」と言うより、ドラキュラだな、こりゃ。

その後、微速度撮影で、本来の関根の顔に戻って行く。
藤堂さん、「メタルダー」のゴッドネロス役でも、似たようなことやらされてたな。
一方、相変わらずだらだら過ごしているバトルフィーバーたち。
ケニアは七輪で薬草をいぶしている。ジャパンとフランスはチェス。女子三人はトランプ遊び。

マリア「ケニア、そんなに煙を立てないでよ、折角のワンピースが台無しじゃない!」

ケイコ「わー、どこで買ったの? 原宿?」
マリア「ううん、銀座!」
トモコ「いいなー、私も欲しい」
事件さえなければ、バトルフィーバー隊員ほど気楽なショウバイはない。 もっとも、この時は鉄山将軍が出張中と言うこともあったのだが。
ひとり、銃の手入れをしていたコサック、ケニアがジャパンたちに作りたての腹薬を勧めているのを見て、「その薬草、俺にもくれないか」と頼む。
一方、関根は、自宅マンションで喉の渇きを覚えていた。
関根「エゴスのメンバーか、ふん、
死ぬよりはマシだ!」
が、次の瞬間、周囲が暗くなって、あっという間にハイド(と言うか、ドラキュラ)に変身してしまう。

関根「ううー、喉が渇くぅ」
変身すると、シルクハットとマントまでセットでついてくるのだった。
こんな顔で永遠に生きるんだったら、死んだ方がマシじゃないかと思うのだが。 関根、神とケニアがバイクでこちらに向かってくるのを見て、部屋から出て行く。
その途中、カップルが車の中でイチャイチャしているのを見て襲い掛かり、女の子の首筋に噛み付いて血を吸って殺してしまう。
完全に吸血鬼である。スタッフ、二重人格の「ジキルとハイド」と言うキャラを設定したものの、それをちびっ子があまり知らないことに気付いて、仕方なくこういう分かりやすいモンスターにアレンジしたのだろう。
悲鳴を聞いて神とケニアが駆けつけるが、逃げられてしまう。怪人の足取りが関根のマンション付近で途絶えたこと、怪人が消毒液の臭いをさせていたことなどから、二人は当然、関根に疑いの目を向ける。
さて、関根は、看護婦の典子に思いを寄せていたが、典子の気持ちは安原に傾いていた。そこで関根、恋と仕事のライバルである安原をあっさり殺してしまう。
安原の死を受け、高松教授は関根を教授に推薦しようと言ってくれるが、その席で再び関根は怪人に変身し、教授まで噛み殺してしまう。
安原と高松教授の死で、関根は大学病院で高い地位につくが、典子の心は得られなかった。

で、本能の赴くまま、就寝中の典子の部屋に忍び込み、攫ってしまう。
ケニアたちに追い詰められた関根は典子の体を屋上から落とそうとするが、ケニアがムチで典子の足をからめとって助ける。しかし、関根にはまた逃げられてしまう。

直後、神とフランスが病院の関根を訪ね、問い詰める。
関根「いい加減にしてくれ、俺を犯人扱いしたって事件は解決しないよ」
神「関根、何故殺人鬼は典子さんを殺さなかった? それは恋をしているからだ。恋人の安原教授まで殺したのに典子さんはおまえを好きになってくれない。焦って寝室にまで忍び込んだ」
関根「やめろ、俺を侮辱するのか、なんだあんな女、くっそぉおおおおっ、……あ、うう」

言葉を荒げる関根だったが、そこでまた怪人に変身してしまう。

窓の外まで暗くなるのは、どうかと思うが……。
関根、椅子やロッカーを二人に投げつけてから、ハイド怪人の姿になり、口から火を吐く。

その騒ぎを聞きながら、「ふふっ」と不気味な笑みを浮かべて立ち去るサロメ。
今回、エゴスは関根を怪人に改造しただけで、何も作戦や破壊活動を展開していない。
彼らにすれば、関根の心を惑わし、怪人にすることで、その周辺に様々な混乱と不幸を撒き散らした結果となり、ハイド怪人が勝とうが負けようが、既に十分目的は達せられことを意味する、恐ろしい笑いである。

最後のバトルはおまけみたいなものだが、今回は、爆発と火炎放射器を駆使して、かなり激しいファイヤーアクションが繰り広げられ、なかなかの迫力であった。

火炎放射器の火が、ジャパンの顔を直撃!(註・嘘です)

ラスト、ハイド怪人として倒された関根の墓に手を合わせている典子と神。
典子「どうして、エゴスなんかに、どうして……」
神「関根は永遠の命と引き換えに、魂を売って悪魔になった。あんなに良い奴だったのに」
ナレ「人間の心は弱い。いつも迷い、いつも怯えている。そんな人間の心にエゴスは食い入ってくるのだ。神誠は悪魔になった友の、弱い心が哀れであった」
関根が善と悪の間で葛藤したり、神が親友をこの手で倒さねばならないことに苦悩したり、そう言うドラマとしての深みがほとんどないのが残念だった。