「スケバン刑事2 少女鉄仮面伝説」セレクション 第34話 前編

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　第34話「キバ少女サキ！　雪乃・京子を襲う」（1986年8月7日）

　前回からだいぶ間が空いてしまいました。

　さて、ナメラさんの（文字通り）毒牙にかかり、操り人形状態のサキ、近畿の麗心女学園に生徒会長・工藤美紀を訪ねるや、ナメラさんのオカリナに操られるまま、突然彼女に襲い掛かる。

　
　両手を掲げて飛び掛るサキを、美紀が得意のなぎなたで迎え撃つ。

　
　前回のラストとだいぶ違う気がするが……、気にしない！

　
　なぎなたをかわして一回転するサキ、どう見ても男なのだが……、気にしない！

　起き上がって、ヨーヨーを投げ、美紀の胸元に命中させる。

　

　
　ヨーヨーを受け止めると、ナメラさん同様、化け猫的なポーズを取る。可愛い。

　
　学園の屋上で、オカリナを吹いているナメラさん。このカットだけ見ると、なかなか綺麗である。

　ところが、ナメラさんの前に、「鎌倉の老人」の部下・鬼界坊（きくち英一）が現れる。

　
　「ナム、怨霊退散！」
　一喝すると共に、数珠を巻いた左手を突き出す。

　
　その法力（？）を受けて、「ぐぎゃあああああーっ」と苦しみの悲鳴を上げるナメラさん。

　この後、もっと凄い顔になるのだが、ナメラさんの名誉の為に貼らないで置く。年頃の女の子だもんね。

　ナメラさん、屋上から飛び降り、完全な猫の鳴き声を発しながら近くの林へ遁走する。
　鬼界坊がわざわざナメラの邪魔をしてサキを助けたのは、「鎌倉の老人」に、サキが「鉄仮面の秘密」を知っているのかどうか確かめて来いと命じられていたからである。

　オカリナがやむと、サキは急に動きを止め、顔付きや髪型も、普段のサキに戻ってしまう。

　サキはその場を逃げ出す。

　
　さて、サキを追って学園までやってきたお京と雪乃、階段の途中で座り込んでいると、美紀の部下たちに取り囲まれる。
　部下「お前たちが麻宮サキの友人か」
　お京「なんだよ、大層な勢いだな。あたいたちはただ、麻宮サキが来てませんかって……」
　部下「ぬけぬけと……かかれぃ！」

　部下たちはなぎなたを振り回して二人を攻撃する。血の気の多いお京、本気になって抵抗しようとするが、
　雪乃「このような時、サキさんならこう言われる筈です、『敵でないもの同士、無闇に争うちゃいかんぞね』っと」

　
　結局二人は縛り上げられ、美紀の前へ引き据えられる。
　そこには、青狼会の黒田もいた。
　黒田「麻宮サキは危険な女です。邪魔なあなたを一気に殺してしまおうと……本当に信頼すべきは我が青狼会だと思われませんか？」
　お京「ふざけんじゃねえ！」
　雪乃「騙されてはなりません。青狼会は邪悪な組織です」
　黒田「麻宮サキは工藤生徒会長を狙ったんだ。弁解無用！」
　お京「嘘だ！」
　美紀「麻宮サキが私を襲ったのは事実です」

　美紀の言葉に、衝撃を受ける二人。

　雪乃「何かの間違いです！」
　美紀「何かの間違いでなく、本当に麻宮サキが刺客ずれの行動を取ったとしたら？　あなたたち、どうします？」
　お京「もしそんなことがありゃあ、この手でサキを倒す！」
　思わずそう断言してしまうお京。だが、それを言質として、次の場面では解放されて森の中を歩いている。

　二人はサキを探してあてもなく森の中を歩き回っていたが、

　
　探すこともなく、すぐにサキの方から姿を見せる。

　（スタントが）くるくる回ってから、仮面ライダー的（特にアマゾン）ポーズを取るサキ。

　お京はまるで別人のようなサキの様子に半べそを掻きながら駆け寄ろうとするが、容赦ないヨーヨー攻撃を受けて斜面を転がり落ちる。

　
　スケバン刑事の構えと、化け猫的なポーズを織り交ぜて二人に迫るサキ。

　雪乃「サキさん、お願いです、正気に戻って！」
　涙ながらに訴えるが、サキは全く聞く耳持たず、あくまで二人を敵と見なして攻撃をやめない。

　お京も雪乃も、やむを得ずビー玉や袱紗で応戦する。

　
　サキ、二人の中間点にしゃがみこんで、ダブルヨーヨーを構え、左右に投げる。

　二人ともかわすが、背後の木に当たり、どちらも幹が折れて倒れてしまう。サキ、ヨーヨーの威力をセーブすることも忘れているようだ。

　無言で襲ってくるサキと、なんとかそれを止めようとする二人の、かなりモタモタした戦いが続く。

　
　それでも、普段の自分を見失っているサキと、お京と雪乃の二人では、後者に分があるようで、結局二人に突き飛ばされ、倒れ込むサキ（この顔がかっこいいので貼ってみました）。

　お京「雪乃、トドメだ」
　ビー玉と琴爪を構えるが、その時、頭上から大量の枯葉が落ちてくる。
　そして、あの鬼界坊も木から飛び降りてきて、サキの体を抱え上げて風のように走り去ってしまう。

　
　鬼界坊はサキを渓流の岩場に横たえ、竹筒の中の解毒剤を飲ませ、胸に手刀を叩き込む（なんで？）。

　鬼界坊「相当量猫目の毒を飲まされたのか。これだけの量の解毒剤では回復は無理か……」

　夢うつつの中で、サキは鉄仮面を被って母親と二人で暮らしていた日々を思い返していた。
　サキ（分からん、うちは自分が誰か、何処から来たんか、何処へ行くんか、誰ぞうちをまっちょってくれる人はあるんか、うちはひとりぼっちじゃ、助けて！　誰ぞ、誰ぞ助けとうせーっ！）

　サキ「なんで鉄仮面なんか……うちは一体誰なんじゃ、母上ーっ！」
　叫びながら起き上がり、鬼界坊には目もくれず、ふらふらと浅瀬の中へ入っていくサキ。

　鬼界坊「何も知らぬようだな、殺す必要もあるまい。哀れな……」

　一方、お京と雪乃は手頃な洞窟の中に身を潜め、焚き火をしながら話し合っていた。酸欠になるぞ。

　お京「どうすりゃサキを救えるんだよ？　どうすりゃあ？」
　お京の悲痛な叫びが、虚しく木霊する。

　その問い掛けに応えるように人影が近付いてくる。

　
　意外にもそれは、工藤美紀だった。
　美紀「サキさんの解毒剤です。一目見たときから分かっていました。あれは奥信州の猫目一族の使う人操りの術にかかっているんだって」
　お京「人操り？」
　美紀「ある毒草から採取した毒液を義歯に仕込んでおいて首筋の血管に噛み付いて注入するんです。その上で独特の高周波数の笛を吹けば、その催眠効果で操られるってわけさ。神農本草経で毒消しの調合を調べるのにちょっと手間取ったけどね！」

　美紀さん、なんでそんなこと知ってるの？

　それに、「神農本草経」って、後漢～三国時代に書かれた中国の本だぞ。さすがにそんなことまでは載ってないと思うが……。

　美紀「あなたたちのサキさんを思う心には、誠がありました。あなたたちみたいな友達がいるんなら、サキさんだって誠のある人間でしょう」

　思い掛けない美紀の言葉に、救われたように目を見交わすお京と雪乃。

　美紀、そこで口調を変え、物陰から窺っていた黒田に向かって、
　「そう言う訳です、黒田さん！　私はこの人たちと組むことにした。だから引き取って貰います。これ以上ちょっかいを出してくるのは勝手だが、これからはこっちも腹を括って戦わせて貰う」

　黒田はいまいましそうにその場を離れる。

　美紀は、自ら囮になってサキをおびきだし、その機を掴んでサキに解毒剤を飲ませようと提案してくれる。
　八方塞だった二人、思わずその場にへたりこんで、「ありがとう！」と頭を下げるのだった。

　つづく。