第6話「メイ・ストーム」(1984年5月22日)
笙子「男谷先生、哲也さんは?」
男谷「哲也は来ないよ。哲也は君と会うことが出来なくなった」
笙子「なぜ?」
男谷「俺の話を冷静に聞いてくれ。恭子さんが自殺を図ったんだ」
笙子「なんですって?」
男谷「恭子さんはウェディングドレスを着て死のうとしたんだ」

男谷「恭子さんが奇跡的に助かったのは、哲也の献身的な看護があったからなんだ」
笙子「聞きたくない、そんな話なんて聞きたくない!」
男谷「恭子さんは哲也なしでは生きていけないんだ。そのことを分かってやって欲しい」
笙子「いやだ、そんなのいやだ、私は哲也さんが好き。哲也さんも私を好きだって言ってくれた」 男谷、きっぱりと、哲也にふさわしいのは恭子さんのような女性だと告げる。

笙子、その言葉に思わず殺意を込めた目で男谷を見返す。
男谷「君は哲也に甘え過ぎだ。恭子さんを悲しい目に遭わせて、その上君は、哲也を苦しめてるんだ」
婚約者からあっさり笙子に鞍替えした哲也の行為を棚に上げ、笙子を責める男谷。
男谷「少年院に戻りたまへ、君には悪いが警察に連絡しておいた」
男谷の言葉と同時に、刑事たちがどやどやと下りてくる。
だが、剛たちも突入して、その場は混乱状態になる。

裏切りの男谷、八千代たちにボコボコにされる。八千代の(?)「ばかやろー」と言うやる気のない掛け声が妙に耳に残る。
笙子も必死で抵抗し、倉庫から抜け出す。

疾走する笙子の前に、一台の車が現れ、後部座席から朝男の姿が……。
朝男「笙子、急げ!」
こういう時には、抜群に頼もしい存在に思える。

そんな朝男を無視して、笙子がスーッと走り抜けていったら笑えるだろうなと思う管理人であったが、笙子は迷わず車に飛び込む。
その後、男谷の事務所で、男谷、哲也、ダメケイが顔を合わせている。
独断で警察を呼んだ男谷を、哲也は責める。

笙子を探しに行こうとする哲也を、男谷が体で止める。
哲也「どいてくれよ」
男谷「どうしてもって言うなら、俺は貴様と絶交する」
哲也「ハイハイ、絶交絶交」(註・言ってません)

男谷、「バカーッ」と哲也をぶん殴る。他の事務員もいるってのに。
ドラマでしかありえない展開だが、男谷の「恭子さんをこれ以上不幸にする気か?」と言う言葉に、哲也は、男谷が恭子を愛していることに気付くのだった。

朝男、埠頭に恭子を連れて行って、真っ正面から口説いている。
「俺は身震いがするほど笙子が好きだ! お前の為なら命を投げ出しても惜しくはねえ!」
ちなみにこの場所、

数年後の「少女コマンドーいづみ」にも出てきた。全く同じ場所ではないと思うが。
今回も、「悪いがお前のことは全て調べ尽くした」と言う朝男の台詞で、回想モードに突入する笙子。
今度は、晴子たち伊勢崎町グループ、剛、靖雄たちが仲間に加わった後の時期である。
笙子「夜は家にも帰らず、焚き火をして海で過ごした……」(そんな不良いるか?)

毎夜のように、三人連れの浮浪者が暖を取りに来る。そのリーダー格を及川ヒロオさんが演じている。

笙子「あんたたちあっち行きなよ」
ヒロオ「そんなこと言うなよ、笙子ちゃん」
笙子「あたいはあんたたちが嫌いなんだよ、酒やギャンブルにうつつを抜かして、家族を捨てやがってさ」
ヒロオ「捨てられたのは、俺たちなんだよな」
笙子「おんなじだよ、バーカ」
その時は、ヒロオが大きなスルメを手土産として笙子に渡したので、笙子は許してやる。

笙子、笑顔になると、仲間たちに分け与える。
ちなみにこの左隣にいる人、パッと見気付かないけど、八千代(山本理沙)なんだよね~。昔の方が大人っぽいってどういうことだよ。
しかし、酒も飲まずにスルメだけ食ってもあんまり嬉しくないだろう。
笙子たち、極悪不良少女の筈だが、酒を飲むシーンとか一切ないんだよね。
そこへ、笙子の両親がやってきて、笙子に戻ってくれるよう説得する。
みんなの前で言われて、笙子、さすがにバツが悪い。
笙子「あたいは今、ギンギンに燃えてんだ。帰れよ、帰らないと!」
笙子、焼けた木材を振り上げて、両親を追い払おうとする。

ヒロオが両者の間に割って入り、笙子を諌める。
ヒロオ「やめれ、二人とも、笙子ちゃんの親だベさ」
笙子「ふざけんじゃないよ、あんたがそんなこと言える人間かよ!」
ヒロオ「確かに俺たちはろくでもねえことで、家族を捨てた人間だ。でもなぁ、ただの一日だって家族のこと、忘れたことねえんだよ。な、笙子さんを生んでくれた、親でねえか」 だが、そのヒロオたち、ある日、何者かに面白半分に殴り殺されてしまう。
その犯人は意外にも中学生や高校生の、一見真面目な少年たちだった。
復讐に燃える笙子は、再び浮浪者狩りを行おうとした彼らを待ち伏せ、半殺しの目に遭わせる。
回想シーン終わり。

朝男「笙子、あの事件のお前を知ったときに、俺は確信した。俺はやっと、地獄の底でも一緒に生きられる女を見付けたとな!」
笙子「あの頃の私は、ただ猛り狂ってただけなのよ。結局私のしていたことは、あの時の極悪チンピラと同じことだったのさ」
朝男「笙子ぉ、バカなことをいうな、そいつは違うぜ」
笙子「そのことを分からせてくれたのが、哲也さんだった。哲也さんに会いたい」
しかし、朝男も知ってるほど、そんな明確な暴力行為をしておきながら、笙子はなんでその時、鑑別所や少年院に送られなかったのだろう?
笙子は朝男に礼を言うと、すたすたと歩き出す。
部下「会長!」
朝男「ほっとけ、笙子は必ず俺のところへ来る」
夜、笙子は葉山家を訪れる。多分、哲也に会うつもりだったのだろう。

塀を乗り越え、庭に忍び込むと、偶然、暗く沈んだ恭子の姿が目に入る。
両親もやってきて、来月に哲也との結婚式を挙げることになったと伝える。無論、哲也のあずかり知らぬことだ。だが、恭子は喜ばない。
恭子「哲也が愛してるのは、私ではなく笙子さんなんです」
葉山「そんなことは哲也君の一時の気の迷いだ」
恭子「でも、笙子さんのことを思うと、身を切られるように辛いの」
更に笙子は、雅楽界の大物、葉山が、哲也が笙子と結婚するなら、この世界から追放してやると息巻くのを聞いてしまう。
それにしても、庭から、窓を閉めた部屋の中の会話がこんなにクリアに聞こえるというのは、かなり嘘っぽい。
笙子は、翻然と、楽人としての哲也の将来を慮り、身を引く決意を固める。
そしてその場で、婚姻届Ver2.0をびりびりに引き裂いてしまう。
ま、そこまではいいのだが、笙子が去った直後、哲也が現れ、引き裂かれた婚姻届を見付けるというのがあまりにご都合主義である。

そしてラスト、哲也との縁を完全に切る為、不良時代のスタイルに戻った笙子の姿があった。
誰でも思うことだろうが、その衣装一式、何処で調達したの?

そして、笙子が虚ろな目で見上げた先には、「東京流星会」の看板が……。
いいなぁ、このいかにも朝男らしいキレまくったデザイン。
7話に続く。