「魔法少女ちゅうかなぱいぱい！」第3話 前編

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　第3話「花のワルガキ隊」（1989年1月29日）

　高山家の朝は悪い意味でにぎやかである。トオルとシンゴが朝食のおかずのとりあいをして騒いでいる。
　台所にいたぱいぱいが来て「やめなさい！」と一喝する。

　ぱいぱい「ねー、静かに食べましょうね」

　
　ぱいぱい「アキラ君、ボーっとしてないで目を覚ます！　目が覚めなければ右手を上げる。それで自分の顔を叩く！」
　アキラ「あいてっ」
　ぱいぱい「よーし、目が覚めたでしょ」
　今回も、両手をくるくる回して、

　
　右人差し指を指すと言う仕草をするぱいぱいが猛烈に可愛いのであった（また始まったか……）。

　なんやかやと口うるさいぱいぱいに、三バカ兄弟は自分たちで募集しておきながら、「うるせえのが来たな」「そうだよ、やんなっちゃう」と文句タラタラ。

　
　そこへ父親の行男が入ってくる。
　三人は父親に「ぱいぱいを追い出してよ」と小声でお願いする。

　行男「お前たちのお母さん代わりに来て貰ったんだぞ」
　シンゴ「取り替えてよー」
　行男「じゃ、どんなのが良いんだ？」
　シンゴ「松田聖子ちゃん」
　行男「僕は聖子ちゃんよりもぱいぱいの方がずっと良いなぁ」

　
　行男の言葉に、思わず笑みがこぼれるぱいぱい。

　管理人もその意見に120パーセント賛成です！

　ぱいぱいは三人を部屋から追い立てた後、改まった様子で、
　「失礼ですが、あの子たちしつけがなってません！」

　行男「だから君に徹底的に鍛え直して貰いたいんだ」
　ぱいぱい「でもぉーあの子たちは……」
　行男、手にしたタバコの灰が目玉焼きの上に落ちるのにも気付かない。

　ぱいぱい「しつけがなってないのは、父親の影響じゃないでしょうか」
　行男「……出掛けて来る、モヘンジョ・ダロ、知ってるね？」
　旗色の悪くなった行男、さっさと探検服に着替えて、いつものようにふらっといなくなってしまう。

　ランドセルを背負った三人を、急きたてて玄関から送り出したぱいぱい。
　だが、三人は学校へ行ったと見せて、すぐランドセルを塀から庭に投げると、何処かへ遊びに行ってしまう。

　
　高山家の縁側でうろうろしている綿ゴミのような猫。別に高山家の飼い猫ではない。

　ぱいぱい、掃除機をかけていたが、学校の先生からの電話で、三人とも学校へ行ってないことを知り、慌てて家を飛び出す。

　
　三人の名を呼びながら町中を探し回るぱいぱい。
　やがて、こともあろうにパチンコ屋にいるアキラたちを発見する。

　ま、さすがに小学生がパチンコ屋に入ったら店の人につまみ出されるだろうが。

　
　それにしても、昔のパチンコは素朴だなぁ。

　
　ぱいぱいは三人を公園に連れて行って叱り飛ばす。
　ぱいぱい「なんて学校休んだのよ？　私、心配で……ワケを話して」
　シンゴ「だっていじめられるんだもん……」
　ぱいぱい「いじめられるって、誰に？」
　シンゴ「クラスのタダシに……あいついつも僕が何もしてないのに殴るんだ。だから、ボク……」
　話しながら、めそめそ泣き出すシンゴ。

　アキラもトオルも、シンゴに付き合って学校をさぼっていたという。

　
　麗しい兄弟愛にほだされ、表情を和らげるぱいぱい、優しくシンゴを慰める。
　ぱいぱい「シンゴちゃん、泣かないでね。お姉ちゃんがそのタダシ君ちに怒鳴り込んでやるからね」
　シンゴ「いいよ、そんなことまでしなくても」
　ぱいぱい「いいえ、今後のこともあります。いじめは悪いことです。一緒に行ってあげる」

　ぱいぱいは、その足で三人を引き連れ、タダシ君の家を訪ねる。

　だが、応対に出た母親は「息子をいじめてるのはシンゴの方だ」と反論する。

　ぱいぱい「言い訳は結構です！」
　強気のぱいぱいだったが、当のダダシ少年が傷だらけの顔で家から出てきたのを見て、シンゴたちの嘘に気付く。

　
　母親「見てください、この傷……、だからここのところタダシは登校拒否をしてるんです！」
　返す言葉もないぱいぱい。

　
　しかも、二人が話している隙に、アキラたちはさっさとトンズラしてしまっていた。
　ぱいぱい「逃げられた……！」
　母親「シンゴちゃんに良く言っといてください」
　ぱいぱい「はい、すいません！」

　
　怒り心頭のぱいぱいが高山家に戻ると、三人はいつにもまして小憎たらしい厚顔を並べていた。
　三人「おかえりぃ～だ」
　ぱいぱい「もう許さないから、私、出て行くわよ！」
　アキラ「あっそ、どーぞどーぞ」
　トオル「うるせえのがいなくなるとホッとすらぁ」
　シンゴ「早く行け、早く行きなよ」

　何度見てもムカムカするシーンである。

　ぱいぱい「あんたたち、自分の面倒自分で見れるかやって見なさいよ！」
　さすがに辛抱強いぱいぱいも、そう言い捨てて（荷物を取りに）自分の部屋へ駆け上がる。

　
　ぱいぱいを追い出して清々した筈の三人だったが、いかにもつまらなそうにぼんやりしている。

　シンゴ「お腹空いたよ」
　トオル「俺もだ。今日給食食ってないもんな」
　アキラは、金ならあるから外へ食べに行こうと弟たちを誘う。

　ぱいぱいはぱいぱいで、

　
　「三人とも困ってんだろうなぁ……」と、三人のことが気になっていた。

　ぱいぱい「私を蔑ろにするとどういうことになるか、思い知りなさい！」

　
　アキラたちは適当な店でご飯を食べようとしていたが、その様子を遠くから見ていたぱいぱいの「なんでもお金で解決しようとするあの根性、断じて良くない！」と言う教育的配慮で、魔法のコンパクトの力で速攻でシャッターが下りてしまう。

　アキラたちは別の店に行こうとするが、行く先々でぱいぱいの魔法が発動し、どうやっても食事にありつけない。

　
　辺りが暗くなってもまだ何も口にしていない三人、やっとラーメンの屋台を見付けて喜色を浮かべるが、またしてもぱいぱいの魔法で屋台だけがスーッと走り出してしまう。

　空き腹を抱えて家に戻ってきた三人、結局自分たちで飯を作ろうということになる。

　つづく。