第4話「ネバー・ギブアップ」(1984年5月8日)
笙子、不良グループを呼び止め、再度喧嘩を売る。

そのグループをまとめていたのが、後の親友、晴子なのだった。
晴子「あたいを誰だと思ってんだい、あたいはねえ、この界隈を仕切ってるおハルだよ!」
笙子「あんたが誰でも関係ないよ」
晴子「このスカタン! 私はねえ、
影の総統半端じゃないよ、分かってんのかい!」
笙子「いいわ、生きるか死ぬかじゃないと面白くないモンね」
晴子、笙子の眼力にびびりながら、ナイフを取り出して振り回す。笙子はそれを奪って晴子をねじ伏せ、「私はいつ死んでも良いの、あんたたちもその覚悟で向かってきてよね!」とタンカを切る。
その後、笙子は実際に崖から飛び降り自殺をしようとまでするが、結局死ねない。
回想シーンの後、笙子はとりあえず「ネバー・ギブアップ」とつぶやくのだった。
さて、その頃哲也は、再び笙子の実家の神社へ行き、正面から「笙子さんと結婚させて下さい」と申し入れ、両親を驚かせていた。
聖一郎「結婚? あなたは笙子と結婚したいと仰るんですか?」(少し引いている)
二人は哲也の熱意に押し切られ、そのことを少年院にいる笙子に伝えに行く。

美也子「ね、笙子はどうなの? あなたが哲也さんと結婚しても今すぐ幸せになれるとは思ってないわ。でも、お父さんとお母さんだけでもあなたの味方にならなきゃって話し合って来たのよ。
ついでにお父さんもようやく就職してくれることになったし……」
聖一郎「ドサクサに紛れて変なこと言うんじゃない。私は死んでも働かんぞ!」 笙子「……」
(註・このブログにはところどころ明らかな嘘が混じっています)
笙子「ありがとう、でもダメ、私の為に、哲也さんの人生を台無しには出来ないもの。お断りして!」
笙子は親心に感謝しつつ、きっぱり告げる。

部屋に戻ってくると、同室の少女たちが、嬉しそうに笙子を囲み、
五月「君にして上げられることはただひとつしかない。正式に君と結婚することです!」
弥生「君の心は今、何を見詰めていますか? 君と別れて以来、僕の心はずっと君を見詰めています!」
と、口々に、この前哲也が送ってくれた手紙の文句を暗誦する。

笙子「あんたたち!」
さと子「ごめん笙子、あたしたちみんな、あんたが大事にしてる手紙、読んじゃったんだ」
緑「怒らないでよ、悪気で読んだ訳じゃないんだ。あんたのこと色々知りたいじゃん」
弥生「だって結婚だなんてさ、夢みたいなことが書いてあるんだもん」
他人の手紙を、しかも恋人からの大事な手紙を盗み読んでおいて、「ごめん」の一言で済まそうとする奴ら。
それにしても、弥生(百瀬まなみ)は可愛いなぁ

もっとも、笙子もそれほど怒った様子は見せず、それ以上追及はしない。
五月「少年院にいる女と結婚しようってんだから、その久樹哲也って人、信じられるよ」
久樹哲也という名前を耳にして、部屋の隅で編み物をしていたモナリザが、意味ありげな顔をする。
弥生「笙子は哲也さんと結婚すんだね」
笙子「バカね、そんなこと出来るわけないじゃない。私は哲也さんの気持ちだけで十分。哲也さんの手紙を一生の宝物として生きていくわ」
言いながら、手紙を挟んでいたスケッチブックを開く笙子だったが、その手紙がないことに気付き、血相を変える。
笙子「誰なの、私の手紙を取ったの? 返してよ」

その手紙は、トキ子が盗んで麻里たちと勝手に読んでいた。
笙子、仲間を引き連れ乗り込み、手紙を返すよう求める。
麻里、悪態をつきながらも手紙を返そうとするが、トキ子が横から手を伸ばし、あろうことか、それをビリビリに引き裂いてしまう。
当然笙子は怒り狂うが、逆にトキ子は「あんたあたいに何したと思ってるんだ。あたいのお袋、あんたの為にどうなったと思ってんだよ」と、過去の恨みをぶちまける。
かいつまんで言うと、3年前、笙子の現役時代、横須賀で番を張っていたトキ子と、笙子たちが抗争していた。トキ子が、実家の飲み屋にいると、祥子たちが乱入してきてトキ子をボコボコにして去る。ちょうど2階で寝ていたトキ子ののんだくれの母親が様子を見に階段を降りようとするが、誤って転落、そのまま死んでしまったのだ。

初めて聞かされる己の罪にショックを受け、その場に手をついて謝る笙子。
謝る笙子を罵り、蹴飛ばすトキ子の前に、モナリザが立ちはだかる。

モナリザ「お待ち、あんたのお袋さんが亡くなったのは笙子さんの責任じゃないよ。あんたと、あんたのお袋さんが悪いんじゃないか」
トキ子「……」
モナリザ「他人に罪を被せるのは一番楽だけどねえ、でもそれは卑怯ってもんだよ」
モナリザがそう庇ってくれたが、無論、そんなことで笙子の罪悪感は軽くならない。
笙子(知らなかったじゃ済まされない、私はなんて恐ろしいことをしてしまったんだろう……哲也さん、私はあなたと結婚できるような女じゃない……)

果てしなく落ち込む笙子だったが、その晩、同室の少女たちに誘われ、「規則破り」をする。見張りがいない間に、モナリザ以外の6人で部屋を抜け出し、塀を乗り越え、近くの砂浜に行く。
五月「笙子、潮風吸い込んで元気出しなよ」
景子「トキ子の話なんかにめげちゃってどうすんのさっ」
弥生「あんたには哲也さんがいるじゃないか!」
あくまで健全な不良少女たち、「笙子! 哲也! 笙子! 哲也!」と、訳の分からない号令を発しながら砂浜を走り回るのだった。笙子の顔にも笑顔が戻る。
さて、葉山家と久樹家の間では、当人そっちのけで、親の間だけでどんどん結婚の話が進み、結納も済み、恭子さんのウェディングドレスまで出来ていた。

恭子、もう一度ジョーズで(他に店ないんか?)哲也と会い、その気持ちを確かめようとするが、哲也が男谷からの電話に出ている間に、彼の持っていた封筒の中を見てしまう(どいつもこいつも盗み見ばっか)。
それは、哲也が徹夜で(シャレ)で書き上げた、婚姻届Ver2.0であった!
それを見ただけで何もかも悟った恭子、哲也が男谷と話している間に店を出て行ってしまう。
その後、笙子は久しぶりに、園長室で哲也と会う。婚姻届Ver2.0を見せられ、涙ぐむ笙子。
丹波「笙子君、この婚姻届は、君に対する思いの全てだと思う。君が判を押せば君たちの結婚は成立する」
笙子「哲也さん、私もあなたが好きです。今すぐにでも結婚したい。でも、待って下さい、私はあまりにもたくさんの過ちを犯してしまった女です。まだその罪を償っていません。私、自分で納得できたときに、哲也さんにふさわしい女になれたと思ったときに、この返事をします。それまでこれを私に預らせて下さい」
哲也「分かったよ笙子さん、その時が来るまで僕は君を待っている」

園長室から出た笙子、嬉しさを抑えきれぬように駆け出し、大木の幹に背中を預け、深く息を吸い込む。人に愛される喜びを、全身で感じながら……。
笙子「哲也さん」
ただし、婚姻届Ver2.0、後にVer1.0と同様の運命を辿るのだった。

対照的に、恭子は、暗い顔で純白のウェディングドレスをまとって鏡台の前に座っていた。
別に、結婚式の日取りを間違えた訳ではなく、もう哲也と結婚する望みがなくなったと、それを着て自殺しようとしているのだ。
ここの、岡田奈々さんの美しさはこの世のものとは思えないほど。

目の前には、睡眠薬の瓶が置いてある。ただし、中身はラムネである。

それを飲んでから、ベッドに横たわる。愛しい哲也の写真を見ながら、
「哲也さん、あたしは今、あなたと結婚します……」 静かに目をつぶる恭子の姿を映しつつ、「つづく」のだった。