「魔法少女ちゅうかなぱいぱい！」第1話 その1

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　第1話「あの娘が街にやってきた」（1989年1月15日）

　「魔法少女ちゅうかなぱいぱい」は、「ロボット8ちゃん」（1981）から始まる、いわゆる「東映不思議コメディーシリーズ」の第9作目に当たる作品である。

　オンエア時、管理人はほとんど見なかったけど、後にビデオで何話か見て、そのぶっ飛んだ面白さを再発見してひとりでコーフンしていたものである。

　ただ、それ以来ちゃんと鑑賞する機会がなくて残念だったのだが、1年くらい前に、しっかりDVDになっていることを知り、少々高かったが、思い切って（「花のあすか組！」と一緒に）購入したのである。何年ぶりかに見るぱいぱいは、とても可愛くて魅力的だった。ストーリーも、女の子向け特撮ドラマとは思えないほどシニカルで不条理で奥が深い傑作揃いで、大満足。

　当然、いつかは、このブログでみっちり紹介しようと思っていたが、なにしろあれこれと色んな作品に手を出しすぎて収拾がつかなくなっていたし、「花のあすか組！」のレビューを済ませてからやりたかったので、1年以上の時を待たねばならなかった次第である。

　
　DVD1のメニュー画面。

　普通は最初にOPが流れるのだが、第1話はアバンタイトルがある。

　
　神秘的な雰囲気が漂う、誰もいない小学校の映像。

　1997年版の映画「ねらわれた学園」を髣髴とさせる導入部だが、こっちの方が全然先なのだった。

　
　屋上に転がっていたサッカーボールがひとりで弾み出し、空中で光を放ったかと思うと、そこから空間の裂け目が生じ、地震のように地面が揺れる。

　
　裂け目が消えた後、純白のウェディングドレスをまとった女の子が忽然と現れる。

　物語の主人公、ぱいぱいである。演じるのは、「花のあすか組！」ミコでお馴染み、スーパー美少女・小沢なつきさん。

　ただ、全体に靄がかかったような処理がされていて、DVD自体の画質もあまり良くないのが惜しい。
　ぱいぱい「誰が五目殿下となんか結婚するもんですかっ」

　
　ドレスを脱いで放り投げると、魔法少女コスチュームに早変わり。

　
　すぐ走り出すが、直後、同じように空間の裂け目が出来、今度は二人のヘンテコな男が現れる。

　ぱいぱいを追って来たヌルハチ（うえだ峻）とタクラマカン（長江英和）である。
　二人は適当な中国語を喋りながら、ぱいぱいの後を追う。

　ぱいぱいは校庭を駆け抜け、あっという間に造船所のようなところへ逃げ込む。

　
　港の突端に追い詰められたぱいぱい。
　ヌルハチ「ぱいぱい様」
　ぱいぱい「誰が何と言おうと、あたし、五目殿下のお嫁さんなんかになりたくない！」
　ヌルハチ「タクラマカン、捕まえろ」

　
　タクラマカン、その怪力でスチール製のゴミ箱をぱいぱい目掛けて放り投げる。
　ぱいぱい、魔法のステッキを取り出し、「ウーラーナー・シャイオパラタイオパラ・カーサイターボウ！」と、呪文を唱える。

　その魔法で飛んでくるゴミ箱を操り、ヌルハチの上にすっぽり被せてしまう。
　タクラマカン、今度はそこに積んであったセメントの袋を持ち上げ、ぱいぱいに投げるが、当然、今度もぱいぱいの魔法で跳ね返されてしまう。学習能力ゼロである。

　
　ぱいぱい、さらに、別のセメントの袋を二人の頭上に浮かばせ、封を切り、彼らを粉まみれにする。

　その後も三人の追いかけっこは続き、次は公園の中をひた走る。

　
　彼らの異様な風体に、おばさんの抱いているにゃんこや、犬、鳩などが騒ぎ出す。

　
　追われている身でありながら、ぱいぱい、彼らに待ったをして、
　ぱいぱい「あたしたちの格好、この辺じゃ目立つみたい。もっと地味になりましょう」

　
　ぱいぱい、ステッキの先端についた宝石に息を吹きかけ回転させると、たちまち普通の女の子の格好になる。
　同時に、ステッキはペンダントに変わる。

　
　それを見た二人も、ヌルハチは目をぐるぐる回転させ、タクラマカンは鼻をヒクヒク動かして、それぞれ魔法の力で普通の人間の姿に変わる。

　
　それぞれのファッションに満足そうに笑う三人。

　冒頭から実にほのぼのした展開だが、ヌルハチもタクラマカンも元々ぱいぱいには同情的で、ぱいぱいを捕まえて中華魔界に連れ戻す任務を帯びているが、時には、ぱいぱいの手助けをすることもあるのだ。

　
　ここでサブタイトルが表示され、その後にやっとOPが始まる。

　OP曲は、「あの娘が街に来てから～あちこちドキッ！ハッピーハプニング」の歌いだしの「あの娘が街にやって来た！」（作詞・佐藤ありす/作曲・本間勇輔/歌・朝川ひろこ）である。とても良い曲ですね。

　ステッキに乗って宙を飛ぶぱいぱいの姿が、分かりやすいビデオ合成で描かれているが、今となっては逆に独特のノスタルジックな味があるんだよね。

　
　本が頭に落ちてきて顔をしかめるぱいぱい。可愛い。

　
　アキラにからかわれ、ふくれっ面になるぱいぱい。可愛い。

　「あの娘が歩く　あるとあるroad　アリスとアリとリスが遊ぶ」
　「あの娘があける　あるとあるドア　ありとあらゆるとこへ行ける」
　と言う、一度聞いたら忘れられないフレーズも大好き。

　CM後、舞台は高山家に変わる。

　一方の主役である、高山家の三バカ兄弟が、漫画を読んだり思い思いに過ごしていると、階下から父親の呼ぶ声がする。

　
　父「アキラ！」

　
　父「トオル！」

　
　父「シンゴ！　ちょっと降りて来なさい」

　父の声に振り向く三人のアップで、実にすんなりと視聴者に顔と名前を覚えさせる優れた演出である。

　
　父親の前にかしこまって座る三人。

　父親で考古学者の高山行男を演じるのは斉木しげるさん。

　父「お父さんの留守中、お前たちの母親代わりとして三軒茶屋のババァ……伯母様にうちに来てもらうことになった」
　三人「えーっ」
　父「だまらっしゃい！」

　
　暗い顔で部屋に引き揚げる三人。
　ここでトオルが机からたくさんのお菓子を取り出し、「ようし、こうなったら甘い物一杯食べ過ぎてこの若さで糖尿病になってやるぅ！」と叫ぶのが、浦沢義雄にしか書けないぶっ飛んだ台詞。

　トオルもシンゴもやけくそになってお菓子を頬張るが、最年長のアキラが止め、代案を思いつく。それは「自分たちで母親代わりを探す」と言うことだった。

　つづく。