目覚めよ若き獅子たちよ「大戦隊ゴーグルファイブ」 第34話

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　第34話「出た！黄金必殺技」（1982年10月2日）

　
　デスダークの秘密施設内に軟禁されている一人のうら若き女性。
　ドアが開いて科学者らしい男性が入ってくる。

　ちえみ「お父様」
　河田「逃げるんだ！　とんでもないことが起こってしまった。私がバカだった……恐ろしい合成怪獣作りに利用されてしまったんだよ。地上最強の化け物を……」

　河田はさらに、デスダークがちえみをデスマルク大元帥の花嫁にすると言い出したと告げ、激しく苦悩する。
　河田は、別れ際、娘に星型のペンダントを握らせると、戦闘員達に連れて行かれる。

　ちえみを演じるのはデビュー間もない甲斐智枝美さん。俳優名とキャスト名が同じなのは、当時の特撮ではよくあることだ。

　
　付近の山をパトロールしていた赤間を、その最強の怪人ワニモズーが襲撃する。

　すぐにレッドに変身するが、ワニモズーの「ワニ入れ歯ワナ」に全身を噛まれ、のたうちまわる。その鋭い歯は、強化スーツすら食い破りかねない威力だった。

　他の4人がすぐ駆けつけ、それぞれの得意技を放つが全く通用しない。

　
　余談だが、今回、ゴーグルファイブのゴーグルがいつもより透けてて、スーツアクターの顔がかなりはっきり見える。改造人間とかじゃなく、強化スーツなのだから、顔が見えて当然だし、ブラックは俳優（春田純一）自身がスーツアクターをしているから、全く違和感はないのだけどね。
　断言できないが、番組後半になると、やたら顔が透ける気がする。ゴーグルの材質が変わったのだろうか？

　個人技はおろか、必殺のゴーグルビクトリーフラッシュも利かず、驚きを隠せないレッドたち。

　
　デスギラー「ゴーグルファイブ破れたり！　ワニモズーはネオメタル金属原子と結合して生まれた新しい合成怪獣だ。どんな金属よりも強く、ゴーグルビクトリーフラッシュの熱にもビクともせぬわ！」

　
　イエロー「……おい、シャレのつもりだぜ」
　ブラック「ああ……」
　（註・言ってません）

　ワニモズーはその強靭な肉体と苛烈な攻撃でゴーグルファイブを一方的に攻め立てる。
　しかし、マズルカがちえみが脱走したことを知らせに来ると、デスギラーはワニモズーに一時撤退を命じるのだった。……なんで？

　ちえみは、父親の知人らしい男性宅を訪ね、助けてくれるよう哀願するが、男性は「関わりたくない」と、冷たくドアを閉ざしてしまう。
　絶望に沈むちえみの前に、早くもデスギラーが現れる。デスギラーはちえみを連れ戻そうとするが、赤間が飛び込んできてちえみを助け、バイクで逃走する。

　赤間がある小さな医院へ駆け込むと、あらかじめ連絡を受けていた医者が、彼らを安全な部屋へ導く。

　赤間「心配ない、ここはいざと言う時に俺たちが使う隠れ家だ」
　ちえみ「あなたは？」
　赤間「ゴーグルレッド！」
　ちえみ（聞き流して）「父を助けて下さい、私の父を！」
　ちえみ、思わず赤間の肩を揺さぶる。

　
　赤間、本部へ戻ってちえみから聞いた事情を仲間に伝える。

　先に引き揚げていた黒田は、早くもゴーグルサーベルの改良に取り組んでいた。
　黄島「説明しますと、この部分をこのように変えて、ネオメタル結晶構造さえ分かればワニモズーを倒せる新兵器が出来るとこまでこぎつけたのさ」

　黒田の仕事を、自分の手柄のように自慢げに話す黄島。
　ゴーグルファイブは、新兵器開発の為にも、河田博士の救出を急ぐ。

　だが、ちえみの情報を元に向かった施設には、河田の姿はなく、時限爆弾が仕掛けられていた。
　かろうじて爆弾から逃れるが、再びワニモズーが襲ってくる。無論、ワニモズーにはあらゆる攻撃が通用しない。
　5人は、コンボイたちが発進させたゴーグルシーザーに回収され、辛くもワニモズーの追撃を逃れる。

　一方のデスギラーは、二度もゴーグルファイブに逃げられて、総統タブーからきついお叱りを受ける。

　
　デスギラー「こうなったら、河田博士を餌にもう一度ゴーグルファイブを引きずり出してやります。ちえみも、必ず戻って来るでしょう」
　デスマルク「うっ、うむ」（少し怯んでいる）
　デスギラー「そして大元帥閣下にふさわしい美しい花嫁になることでしょう」

　
　デスマルク「うっふぁっはっはっ」

　悪代官と越後屋みたいだ。

　どうでもいいが、悪の組織の人ってだいたいみんな独身だよね。

　退却した赤間たちは、ちえみが匿われている野口医院へ行き、険しい表情で彼女を取り囲む。

　
　赤間「博士はいなかった」
　ちえみ「えっ？」
　青山「待っていたのは、デスギラーとワニモズーだったよ」
　ちえみ「あの、何を仰りたいんですか？」
　黒田「君は本当にデスダークから逃げてきたのか？」
　黄島「俺たちを罠にかけるつもりじゃなかったのかよ？」
　ちえみ「そんな、違います！　信じて下さい。父は本当に反省してるんです！」
　懸命に潔白を訴えるちえみ。

　そこへ、本部から連絡があり、デスダークが河田を助けたければどこそこへ来いと伝えてきたと言う。
　5人はちえみの追及を切り上げて本部へ戻ることにするが、去り際、青山の「ネオメタルさえあれば」と言う言葉を聞いて、ちえみは父から託された星型のペンダントに触れる。

　
　黒田は必死にサーベルの改良を試みるが、
　「駄目だっ、ネオメタルの結晶構造が分からない限り、どんなに工夫をしても駄目だっ」と気付く。

　やる前に気付けよ。

　赤間はひとりで考え込んでいたが、
　「そうか、もしちえみさんの言うとおりだとしたら、河田博士が何か手掛かりになるものを預けた筈だ！」

　赤間はひとり、病室へ向かうが、既にちえみの姿はなかった。
　代わりに、手紙と、あのペンダントが残されていた。

　ちえみの声「赤間さん、私、父の元へ戻ります。そしてデスマルク大元帥の妻になります。そうなれば、父の命を助けてくれるでしょう。でもこれだけは信じて下さい。父は本当に反省してるんです。（中略）このペンダントはネオメタルで出来ています」

　赤間はペンダントを黒田に渡し、サーベルの改良を急がせると共に、自らはデスダーク指定の場所へ博士とちえみを助ける為に向かう。

　ちえみは野山を駆け抜けて、「おとーさまー！」と叫びながらデスギラーたちのところへ赴き、父親と感動の再会を果たす。

　
　ちえみ「デスギラー将軍、何でも仰るとおりにします。だから、父の命だけは助けて下さい！」
　河田「ちえみ……」
　デスギラー「あーんはぁ、そうでなくてはならん！」
　ちみえの健気な言葉に、デスギラー将軍も極めてご満悦の様子。

　無論、むざむざちえみをデスダークに奪われるほど、赤間は腰抜けではない。
　戦闘員に飛び蹴りをかまし、二人を庇うように立つ。
　赤間「ちえみさん、君をデスダークなんかに渡さない！」
　デスギラー「ほぉざくな、飛んで火にいる夏の虫とはお前のことだ！」

　強化スーツをまとい、不利を承知でひとりワニモズーと戦うレッド。
　今まで、こういう激しいアクションシーンはブラックの独壇場という感じであったが、

　
　今回は、レッドもかなり頑張っている。

　その頃、天才黒田は、早くもハイネオメタルの強化サーベルを完成させていた。
　直ちに4人は、ゴーグルシーザーでレッドのところへ。

　
　とりあえず上空からミサイルをお見舞いする。大人気ないなぁ。

　強化サーベルを得たゴーグルファイブにとって、もはやワニモズーは単なるザコに過ぎなかった。後は、戦闘ルーティンをこなして事件解決。

　力作のひとつに数えられるが、赤間とちえみの間に、ほのかな恋愛感情でもあればもっと面白くなったのにと思ってしまう。