第46話「腹ペコ地獄X計画」(1980年12月20日)
遅々として話が進まないデンジマンのお時間です。まぁ、遅々として進まないのはデンジマンに限ったことではなく、満遍なく全ての作品が遅々として進まないのである。
さてこの46話は、管理人の特に好きなストーリーで、お子様の情操教育にもオススメの傑作なのだ。

のっけから、カメラに向かって
「君たちは生き延びることが出来るか?」と永井一郎のように鋭く問い掛けるサバイバル評論家・五代万作、演じるのは怪人の声を担当している飯塚昭三さん。

それは公開生番組だった。
司会「こんにちは、今日はサバイバル評論家の五代万作先生をお招きして、21世紀に君たちは生き残ることが出来るか、と言うお話を伺います。そしてスタジオには21世紀を背負って立つちびっ子たちが大勢来ていますので色々お話を聞いてみたいと思います」

観客席には、レギュラー子役の三太もいて、かしこまった様子で座っていた。

それを見ているデンジマンたち。
青梅「おう、三太だ、三太だ、スーツ着てらぁ」
赤城「神妙な顔してるぞ」
早速、司会の女性にマイクを向けられ、「サバイバルって意味、分かる?」と質問される三太。「えーっとぉ……」と、困ったように頭をかく。
青梅「あっああ、生き残ると言うような意味だよ!」
教え子が困ってるのを見て、思わずテレビに向かって叫ぶ青梅。
黄山「ああっ、ダメな子!」
あきら「うっふふ、あがってんのよ!」

五代「はっきり言うてやね、21世紀の君たちに明るい未来はありません! 21世紀にはね、世界の人口は65億5000万にもなるんです。しかし、食糧生産は追いつかない。農地はどんどん砂漠になって行きます。魚も海洋汚染で取れなくなる。水不足も更に深刻になる。まさに21世紀は地獄です!」

五代の言葉に、一斉にわいわい騒ぎ立てる子供たち。
五代「そう言う時代に君たちは大人になるんです。君たちは生き残る自信がありますか?」

五代の言葉に、また隣の子とぺちゃくちゃ話しだす子供たち。
五代「聞けよ!」(言ってません)
テレビを見ていたデンジマンたち、憤慨する。
青梅「なんだこいつは? 人を不安にするようなことばかり言いやがって」
赤城「まったくだ、まるでベーダーの手先みたいな奴だ……!」
赤城、自分の言葉に、ひょっとして……? と顔色を変える。
オンエア時には遙か先のことと思われた21世紀になってもうだいぶ経ちましたが、むしろ(ベーダーの手先の)五代万作の予言以上の、絶望的な世界になりつつありますね……。
しかし人口の予測がかなり正確で驚いてしまう。
さて、赤城の睨んだとおり、五代万作の正体はベーダー怪人・トリカゴラーであった。
その目的は、マスコミを通して人間たちに絶望感を植え付けることにあった。
バンリキ魔王「甘いよ、将軍さん、子供と言うものは案外へこたれないものだ」

バンリキ魔王の言葉どおり、三太たち5人の子供は、自分たちでサバイバル訓練をしようと話していた。
タケシ「サバイバル訓練に行こうぜ。今のうちからよー、どんな時代になっても生き残れるように訓練しとかないとまずいだろ。なんたって俺たち、お上品に育ってるから真っ先にお陀仏だぞ」
三太「うん、そりゃ言えてるな」
ミユキ「ねえ、どんなことするの?」
それを知ったヘドリアン女王、
「なんと言う生意気な子供たちじゃ、ヘドラー将軍、荒れ果てた地球に生き残るのはベーダーだけだと言うことを教えてやるのじゃ!」と命じる。
(以下、死ぬほど下らないギャグを書くが、削除)
ちなみに紅一点の女の子、ミユキを演じるのは三好里美さん。

同時期の「スカイライダー」42話↑にも出ていた女の子である。
翌朝、赤城の指導する空手の早朝稽古に三太の姿が欠けていた。
赤城「けしからん奴だ」
そこへあきらが飛んできて、三太が家出したらしいと知らせる。

青梅「俺の生徒のミユキちゃんも家出したらしいんだ」
赤城「ええっ」
黄山「どうやら昨日テレビ出演した連中が示し合わせたふしがあるな」
緑川「こんな朝早くから何をおっぱじめるつもりなんだ、全く」
青梅「ミユキちゃんはあんまり体が強くないからな、心配だな」
赤城(面倒臭いから)「聞かなかったことにしよう!」(断じて言ってません!)
赤城「手分けして探そう」と言うことで、5人は子供たちの捜索を開始する。

タケシをリーダーとする5人の子供は、めいめいリュックを担いでクモトリ峠に向かっていた。
すると、小型トラックがその横で止まり、いなせな感じの女性ドライバー(ケラーの変装)が「ね、君たち、何処まで行くの? 乗っけてってあげるよ」と親切ごかしに話しかける。
タケシ「結構です。訓練ですから」 キッパリ断るタケシだったが、
ケラー「そーお、先は長いわよ~」
三太「乗っけて貰おうよ」
タケシ「じゃあ、乗ろうか」 と、あっさり折れてしまう辺りが、いかにも子供らしい。
5人は荷台に乗るがミユキがその時、ネームの入った帽子を落としてしまう。それを捜索中の青梅が拾い、仲間に連絡した上、ひとりで彼らの後を追う。
バスの荷台で揺られている5人。
タケシ「予定では一泊二日でクモトリ峠を越える」
ミユキ「だいじょーぶー?」
タケシ「みんなでいれば怖くない。ちゃんと準備はして来たんだろうな」
タケシの言葉に、それぞれリュックの中を開けてみせる子供たち。
中でも三太は、異様にばかでかい荷物を抱えていた。

タケシ「三太、何を持ってきたんだ?」
三太「おにぎり作る暇がなかったんだ」
と、ご飯の入った炊飯器を見せる。どっと笑う子供たち。
そんな重い物を三太が背負って歩けるとも思えないが、そんな細かいところに突っ込むのは野暮である(だったら書くな)。
途中、山で草刈をしていた男性(大東梁佶)に手を振る三太たち。男性も笑顔で手を振り返す。

彼らはクモトリ峠に運ばれるが、そこでケラーたちはベーダーの正体を現わし、
ミラー「ハイキングじゃ本当のサバイバル訓練とは言えない」
ケラー「生きるか死ぬかの本当のサバイバル訓練をやらせてあげる」
と、彼らの荷物を全部没収した上、その場に放置して走り去ってしまうのである。
例によって今回のベーダーの作戦、およそ地球征服とは縁のない話になりそうだ……。
つづく。