俺が正義だ「巨獣特捜ジャスピオン」セレクション 第34話

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　第34話「鉄壁の要塞を砕く父と子の愛」（1985年12月27日）

　
　平日の午前中、愛車のRX-7で河川敷を走っていたジャスピオン、ランドセルを背負った小学生を見掛けて、車を停め、近付いて話しかける。

　
　ジ「学校はどうしたんだい、もう2時間目くらいだろ？」
　子供「そう言うお兄さんこそ、平日の午前中から何ふらふらしてるの？」

　じゃなくて、

　子供「学校は嫌いだー」
　ジ「あー登校拒否はいけないなぁ。心配するよ、パパやママが」
　ジャスピオンの言葉に、少年は父親は死んだと答える。が、直後にやってきた母親の言葉から、それが嘘だと分かる。
　少年トモカズは、「パパなんて嫌いだー」と叫んで駆け出す。

　
　その父親、片山教授がキャンパスから出てきたところを、普通の格好をしたブリマとギョールが話しかけ、銃をつきつけて車に乗せて連れ去ってしまう。

　片山教授を演じるのは、「キカイダー」や「イナズマン」でお馴染み、伴直弥さん。

　
　一方、片山家の庭では、ジャスピオンがトモカズとキャッチボールをしていた。

　ジャスピオン、完全無欠の無職なので、暇なら売るほどあるのだ。
　そう言えば、彼、どうやって生計を立てているのだろう？

　母親の話では、トモカズ、父親が研究室にこもりっぱなしで遊んでくれず、それでむくれているらしい。

　そこへ、大学から、教授が2人連れの女性と車で何処かへ行ってしまったらしいと電話がかかってくる。

　
　無論、教授が連れて行かれたのは、マッドギャランのアジトであった。

　ゴーグルブラック＆ダイナブラック（春田純一）と、二代目バトルコサック（伴直弥）の共演である。

　マ「あなたのエッセイ、『散歩する地球』を読ませて貰った」
　ギルザ「電磁波を束ねて放射すればこの地球を動かすことも可能だ。今に地球は太陽系を散歩できるようになるだろう」
　片山「あれはたとえ話だ」
　マ（聞いてない）「地球を彗星のように移動させたらどんなに愉快だろう。バリアですっぽり包み込まれているから大気が損なわれることもない。動く巨獣帝国だ」
　片山「馬鹿げている。そんなことできる訳がない！」

　実際、地球を移動させてもしょうがないと思うんだけどね……。

　ちなみに「散歩する地球」と聞けば、すぐに「ウルトラセブン」の32話「散歩する惑星」を連想せざるを得ないが、そのライターが同じ上原正三（山田正弘との共同執筆）と言うのが面白い。セルフパロディ的なネーミングである。

　
　ギ「あなたは既に地球を動かすことの出来る装置の設計図を完成し、マイクロフィルムに収めていると聞いています」　
　片山「知らん、そんなものは知らん！」

　マッドギャランは、メモリセンサーで片山の脳から直接情報を探り出すと共に、部下に片山の研究室や自宅を捜索させる。

　ジャスピオン、気になって片山の研究室を訪ねるが、既にそこはマッドギャラン軍団によって足の踏み場もないほど荒らされていた。

　
　ブリマたちは片山家に入り込み、家捜しをしたり、トモカズの体までセンサーで調べたりする。

　と、メタルテックスーツをまとったジャスピオンが窓を突き破って飛び込んでくる。
　ジャスピオン、片山の家族を守りつつ、ブリマたちを撃退する。

　ジャスピオンは片山のエッセイを読み、マッドギャランの狙いを正確に見抜く。

　
　片山はメモリセンサーで記憶を盗み見られて悶え苦しんでいた。

　ギ「待ちなさい、これ以上やると脳細胞を破壊します」
　マ「それではお前の術で記憶を抜き出せ」

　マッドギャランがこともなげに言うのがなんとなく可笑しい。だったら最初からそうしろよ。

　
　ジャスピオンは、とりあえず二人をどこかの野球場の控え室に隠れさせる。

　ジャスピオン、父親が誕生日にプレゼントしたと言う野球帽をトモカズに被せるが、トモカズはそれを脱ぎ捨てて床に叩き付ける。ジャスピオンはそれを拾い上げ、
　ジ「君のパパは大変な仕事をしている。地球を自由に動かせることの出来るでっかい研究だ。その装置を宇宙船に利用すれば、人類は自由に宇宙へ行くことが出来る。その研究で何日も泊り込んだり、帰りが遅くなったりするんだ。そんな忙しいパパが君の為に買ってきてくれたんだよ」

　諄々と諭し、もう一度トモカズの頭に乗せる。
　トモカズも、ここでまた帽子を叩き付けたらぶっ飛ばされるだろうなと空気を読んで、大人しくしている。

　ジャスピオン、「パパを必ず助けてあげる」と約束し、アジトの探索へ向かう。

　片山教授、メモリセンサーの椅子に縛られたまま放置プレーされていたが、そこはそれ、元祖特撮ヒーローなので、自力でいましめを解き、脱走を図る。そしてアジトの位置を隠すバリア発生装置を見付け、鉄パイプでボッコボコにする。ただし、その後、再び捕まってしまう。

　ジャスピオン、バリアが消滅した為、アジトの位置を発見し、急行する。

　
　ブリマ「バリア発生装置が破壊されました」
　マ「たじろぐな、ジャスピオンに気付かれてもどうということはない。今度こと、脳細胞ごと搾り取れ！」

　過去、30回くらいジャスピオンに負けてきた人が言う台詞ではないよね。
　でもまあ、悪の組織のリーダーに必要なのは、負けたことをすぐ忘れる「才能」なのである。

　ただし、今回のマッドギャランの自信は、そのアジトがかつてないほど重厚な防衛システムに守られているという事実に依拠していた。アジトを目前にしたジャスピオンが、その威容に驚き、一旦引き揚げたほどである。

　
　対空ミサイルやビーム砲塔、地雷に加え、巨獣フォードンが歩く砲台として睨みを利かせていた。

　この、トーチカに足が生えたようなキュートなデザイン、好きやわ～。

　ジャスピオン、ダイレオンに戻ってアンリと一緒に作戦を練る。
　ジ「ダイレオンで突入するしかない、正面から」
　ア「えっ、正面から？　バカじゃないの？」
　ジ「要塞に突入するには、トリプルアタックしかない」

　
　と言う訳で、ダイレオンで突っ込むジャスピオン。

　すぐに、隠されていた砲台がせりあがって猛烈な砲火を浴びせてくる。

　この空戦シーンの迫力は、「ジャスピオン」の中でも傑出している。

　ダイレオンを岩壁にめりこませると、ジャスピオンは「第2波攻撃、ガービンタンク！」と、ガービンタンクで地中を掘り進む。そして、「第3波攻撃、アイアンウルフ！」と、アイアンウルフに乗ってアジトの迷路のような通路をグングン突き進む。

　
　ただし、ここは、フィギュアが使われている。

　片山教授、ギルザの魔術で設計図を盗み取られる寸前だったが、ジャスピオンが突っ込んできて、間一髪助かる。
　「ジャスピオン」、アジトにジャスピオンが突っ込んでくるパターンが多い気がするなぁ……。

　
　後は、ダイレオンでフォードンを倒すのみ。

　この戦闘シーンも、なかなか見応えがあるのだ。

　
　ラスト、感動的に再会する父と子。

　伴直弥さん、すっかり良いパパの顔になってるね。

　
　ア「ねえジャスピオン、例のマイクロフィルムはどうしたの？」
　ジ「俺は知っている」
　ア「どこー？」
　ジ「それは秘密だ」

　ジャスピオンの視線が、トモカズの野球帽のロゴに向けられる。そう、設計図が入ったマイクロフィルムは、そこに隠されていたのだ。