「グリーンホーネット」ＤＶＤ(2011年9月25日更新)

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　★★★☆☆☆☆☆☆☆（3/10）
　ミシェル・ゴンドリー/2010年米

　紹介コメントに「血を流さないヒーロー」ってあるけど、確かに出血はあまり見えないけど、きっちり殺してるような気も……。

　管理人は今「セーラー服反逆同盟」のＬＰを落札しようかどうか迷っていて、こんなのどうでもいいのだが、一応まあ、書き留めておく。

　ぽすれんの80円レンタルで借りたんだけど、80円レンタルでよかった。

　見ながら、心の中で、「たぶん、こういう大作に携わっている人たちは、キャストもスタッフも一流の経歴のひとたちばっかりなんだろう。それもそういう人がたくさん集まって作っているわけだ。しかるに、なんでこんなつまらない作品になっちゃうの？」と思い続けていたのだが、なんか虚しくなってきた。

　少なくともこの作品に関しての映画制作という人間の営為が極めて無価値なものに思えてしまってね。限りある資源の無駄。

　敗因は、キャストの華のなさと、工夫のない演出と、退屈なシナリオの三点に限る。つまり、割と基本的な部分で負けていたようだ。

　更に言えば、アクションもＶＦＸを多用して新味を出そうとしていまひとつ決まらず、敵役から脇役までの主人公三人以外のキャラクターの扱いがとても冷淡で、それがますます貧弱なドラマの奥行きを狭くしていた。

　主人公の大邸宅には彼と、カトーしかいないようで、とても嘘っぽい。新聞社にしても、ベテランの編集者との交わりをもう少し丁寧に描けば違ってくると思うのだが。もっとも、主人公たちにしても、しっかりと描けていると言うわけではない。とにかく薄っぺらいのだ、どいつもこいつも。

　冒頭、敵の親玉が、彼を馬鹿にした若手のボスを殺すシーンのグダグダ感と、緊張感のなさと、徹底的なつまらなさには、嫌な予感はしたのだが……。

　だいたい、主役のセス・ローゲンの悪相は、ヒーロー向きではない。たとえアンチヒーローライクな設定であってもだ。山寺宏一の吹き替えによってもそれは補えない。カトーや、キャメロン・ディアスも含めて、とにかく華がない。魅力がない。

　三人の組み合わせによって、より面白くなるのが普通だが、本作では三人がそれぞれバラバラで好き勝手やってるだけである。



　シナリオの雑なことはいちいち数え上げていくときりがないが、たとえば、終盤、重要な情報を入れた筈のメモリーカードを、主人公が読み取ろうとしてパソコンに差し込んで、データが入っていないとなって、主人公が凹むシーンがあるが、シナリオライターはどうしてデータが入ってなかったのか、観客に説明する必要があるとは露ほども考えていないようであった。無論、単に主人公が間抜けで、記録し損なったと解釈するのが妥当だが、だったら、その前に、似たような状況で、主人公がメモリーへの書き込みを失敗するようなシーンがないと、「説明」にはならないのだ。

　ついでに、中盤、悪の親玉がいろんな殺し屋にグリーンホーネットを殺すように指示して、それがどんどん画面分割していって無数の殺し屋や犯罪者が映し出されると言うシークエンスがあるのだが、女性の殺し屋とか、絶対面白くなるようなキャラクターがわんさかいるというのに、映画本編ではそれ以降、全然触れられることはないままフェードアウトしてしまうのである。せめて、そういう殺し屋とグリーンホーネットの戦いが一度くらいあっても良さそうではないか。

　とにかくまあ、ダメな映画であった。

　ただ、ラストシーンで、わざと味方に撃たせて主人公の銃撃された傷をカモフラージュして、更にその後にカトーの車が車体カラーを自動で変化させて追っ手をまくシーンだけは、妙によくできていて、なんで最後の最後で面白そうになるんや、と、急に関西弁になって思うのだった。

　それにしても、せめてキャメロン・ディアスじゃなくて、もっと若くて新進の女優を使っていればなぁ……と。ギャラだってめちゃ高かっただろうし。



　さて、と、思い切って落札しよう。
　追記・こんなどうでもいい記事書いてる間に他の人に先に買われました。ぽてちん。