「恐怖心理学入門」~「学校の怪談 呪いSP」より 後編
- 2015/03/21
- 21:43
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の、続きです。ネタバレ注意!
佐藤、以前仲間が集まった時に部屋で撮った写真の中に、変なものが映っているのに気付き、コンビニのコピー機で何度も拡大を繰り返す。

そして、遂に、不気味な顔が映っているのを確認する。
うーむ、これは何度見ても鳥肌が立つ。
直後、コンビニの外の電柱の陰に、誰かが隠れているのに気付く。

佐藤「おい、誰だお前!」
佐藤が怒鳴るや、女はゴミ箱をひっくり返しながら逃げて行く。あまり幽霊らしくない幽霊だった。
ノイローゼ気味の佐藤、廊下を歩く足音がするとバットを持って玄関で身構える。

部屋の奥で物音がする。振り向くと、開いた窓から風が入って物が倒れただけだった。
で、ホッとして玄関を向くと、

女の幽霊が口を開けてお出迎え。これも心臓に悪い。

ただ、それは、佐藤が講義中に居眠りして見た夢だったと言うオチ。
ありがちだけど、実際の怪奇現象と、夢の中の現象を織り交ぜて恐怖感を高めて行く手法は見事である。

遂には仲間に気遣われて早退する佐藤。だが、自分の部屋を見上げると、ごそごそと動き回っている黒い服の女の影が見え、慌てて大学へ引き返す。
仲間にそのことを話すと、彼らはなんとも言えない微妙な表情になる。
と、真野が「ねえ、みんなの言ってる黒い服の女ってああいうの?」と、近くにいた女性を指差す。

佐藤はそいつに間違いないと、女性を追いかけて正体を見極めようとするが、追い詰められた女性は「だって、結婚してくれるって言ったじゃない!」と、意味不明のことを言って走り去ってしまう。何がなんだか分からず、呆っ気にとられる佐藤。
女性は明らかに生きた人間であったが……。

その夜、部屋に戻った佐藤、出掛ける前に仕掛けておいたビデオカメラをチェックする。不審者が入っていないか、調べる為だ。
自分の臆病に苦笑しつつ、ビデオを再生していた佐藤。その背後の押入れがひとりでに開く……。
藤井から電話があり、あれこれ喋っていたが、

ビデオには、誰もいない筈の押入れから黒い髪と服の女が出て来て、何かを探すようにカナヅチを持って歩き回る姿がしっかり映っていた。そして、佐藤が戻ってくる直前に、再び押入れに隠れた様子も。
この辺は、良くある怪談(と言うか都市伝説)のパターンなんだけど、死ぬほど怖い。

当事者の佐藤は、固まる。
押入れの中を調べる度胸などなく、半狂乱になって部屋を飛び出す。
そのまま走り続けて、思わず車に轢かれそうになるのを、真野に助けられる。
翌朝、心理学の講義。佐藤がぼうっと教壇を眺めていると、

教授があの女と一緒に教壇に現れるではないか!
佐藤、遂に昼間から幽霊が見えるようになったのかと、おののく。
が、
教授「実験は今日でおしまいです。佐藤君と伊丹さんに拍手をお願いします」
教授の言葉に、他の学生が一斉に手を叩き、佐藤を讃える。状況が分からず、ポカンとする佐藤。
伊丹「伊丹やよいと言います。佐藤さんには色々怖い思いをさせちゃってスイマセンでした」
伊丹と言う女性は、屈託のない声で佐藤に謝る。
教授「騙して悪かったね。伊丹さんは劇団から来てもらった女優さんなんです。佐藤君に幽霊話を信じさせる為、時折、出没して貰いました」

佐藤「じゃあ」
藤井「ごめんなー」
藤井、頭のネットを取って見せる。怪我をしたと言うのは嘘だったのだ。
伊丹「でも昨日はびっくりしました。佐藤さん帰ったって聞いてたから」
藤井「でもさすが女優だよな、あんなアドリブ、急に出るんだもん」
真野も遅刻して実験の本当の内容を聞かされていなかったので、伊丹のことを佐藤に告げたのだ。
教授「あの時、私はわざとプラシーボなどと言って、信じるという言葉に抵抗を示すよう暗示をかけたんです。そうしたら、佐藤君が一番ペケが多かった。暗示にかかりやすいってことですね。そこで佐藤君には悪かったけど、彼一人に被験者になってもらって、クラス全員で幽霊が見えるなんて状況を作り上げて行った訳です。実際には彼女に出没して貰ったのは数回なので、佐藤君はかなり自分の脳で視覚化したことになります」
つまり、騙しているつもりが、騙されていたというわけだったのだ。いわゆる逆ドッキリですね。

種明かしをされ、安堵のあまり放心状態になる佐藤。
この話、このままクロージングしても成立してしまうのだが……。

学生達が帰った後、準備室で佐藤の撮ったビデオをチェックしている教授と伊丹。
佐藤の部屋の中を歩き回る女を見て、
教授「凄いなぁ、伊丹さん、こんなことまでやってたの?」
伊丹「いや、学校とかコンビニとかで待ち伏せしたりはしましたけど……部屋にまであたし入りませんよ」
教授「……えっ、じゃあこれは?」
この淡々としたやりとりが、極上の恐怖に視聴者をいざなうのであった。
ただ、この後、いかにもホラーっぽいシーンで締め括られるが、ちょっと不満。
教授たちの会話だけでスパッと切った方が効果的だったろう。
とにかく、ホラーとしてもミステリーとしても、極めて完成度の高い作品である。
さて、ビデオには他に3話ほど収録されているのだが、これに比べると平凡なので、ごく簡単に説明する。

第2話「アサギの呪い」は、内山理名主演。女子高の地下にある防空壕の中で女子高生たちが恐ろしい目に遭うという話である。こちらはストレートに不気味なお化けが襲ってきて、なかなか怖い。演出は長江俊和。
第3話「ドロップ」は、根津甚八主演の、いわゆる「泣ける怪談」である。怪談で泣いてどうすんだ。

第4話「おぞけ」は、宝生舞主演で、絶叫マシンなどで「異常刺激」を受けた人間が、死の世界に引き摺り込まれるようになると言う、都市伝説的な話。これもなかなか面白い。
と言う訳で、手に入りにくいビデオですが、ぜひ見て欲しいのです。

の、続きです。ネタバレ注意!
佐藤、以前仲間が集まった時に部屋で撮った写真の中に、変なものが映っているのに気付き、コンビニのコピー機で何度も拡大を繰り返す。

そして、遂に、不気味な顔が映っているのを確認する。
うーむ、これは何度見ても鳥肌が立つ。
直後、コンビニの外の電柱の陰に、誰かが隠れているのに気付く。

佐藤「おい、誰だお前!」
佐藤が怒鳴るや、女はゴミ箱をひっくり返しながら逃げて行く。あまり幽霊らしくない幽霊だった。
ノイローゼ気味の佐藤、廊下を歩く足音がするとバットを持って玄関で身構える。

部屋の奥で物音がする。振り向くと、開いた窓から風が入って物が倒れただけだった。
で、ホッとして玄関を向くと、

女の幽霊が口を開けてお出迎え。これも心臓に悪い。

ただ、それは、佐藤が講義中に居眠りして見た夢だったと言うオチ。
ありがちだけど、実際の怪奇現象と、夢の中の現象を織り交ぜて恐怖感を高めて行く手法は見事である。

遂には仲間に気遣われて早退する佐藤。だが、自分の部屋を見上げると、ごそごそと動き回っている黒い服の女の影が見え、慌てて大学へ引き返す。
仲間にそのことを話すと、彼らはなんとも言えない微妙な表情になる。
と、真野が「ねえ、みんなの言ってる黒い服の女ってああいうの?」と、近くにいた女性を指差す。

佐藤はそいつに間違いないと、女性を追いかけて正体を見極めようとするが、追い詰められた女性は「だって、結婚してくれるって言ったじゃない!」と、意味不明のことを言って走り去ってしまう。何がなんだか分からず、呆っ気にとられる佐藤。
女性は明らかに生きた人間であったが……。

その夜、部屋に戻った佐藤、出掛ける前に仕掛けておいたビデオカメラをチェックする。不審者が入っていないか、調べる為だ。
自分の臆病に苦笑しつつ、ビデオを再生していた佐藤。その背後の押入れがひとりでに開く……。
藤井から電話があり、あれこれ喋っていたが、

ビデオには、誰もいない筈の押入れから黒い髪と服の女が出て来て、何かを探すようにカナヅチを持って歩き回る姿がしっかり映っていた。そして、佐藤が戻ってくる直前に、再び押入れに隠れた様子も。
この辺は、良くある怪談(と言うか都市伝説)のパターンなんだけど、死ぬほど怖い。

当事者の佐藤は、固まる。
押入れの中を調べる度胸などなく、半狂乱になって部屋を飛び出す。
そのまま走り続けて、思わず車に轢かれそうになるのを、真野に助けられる。
翌朝、心理学の講義。佐藤がぼうっと教壇を眺めていると、

教授があの女と一緒に教壇に現れるではないか!
佐藤、遂に昼間から幽霊が見えるようになったのかと、おののく。
が、
教授「実験は今日でおしまいです。佐藤君と伊丹さんに拍手をお願いします」
教授の言葉に、他の学生が一斉に手を叩き、佐藤を讃える。状況が分からず、ポカンとする佐藤。
伊丹「伊丹やよいと言います。佐藤さんには色々怖い思いをさせちゃってスイマセンでした」
伊丹と言う女性は、屈託のない声で佐藤に謝る。
教授「騙して悪かったね。伊丹さんは劇団から来てもらった女優さんなんです。佐藤君に幽霊話を信じさせる為、時折、出没して貰いました」

佐藤「じゃあ」
藤井「ごめんなー」
藤井、頭のネットを取って見せる。怪我をしたと言うのは嘘だったのだ。
伊丹「でも昨日はびっくりしました。佐藤さん帰ったって聞いてたから」
藤井「でもさすが女優だよな、あんなアドリブ、急に出るんだもん」
真野も遅刻して実験の本当の内容を聞かされていなかったので、伊丹のことを佐藤に告げたのだ。
教授「あの時、私はわざとプラシーボなどと言って、信じるという言葉に抵抗を示すよう暗示をかけたんです。そうしたら、佐藤君が一番ペケが多かった。暗示にかかりやすいってことですね。そこで佐藤君には悪かったけど、彼一人に被験者になってもらって、クラス全員で幽霊が見えるなんて状況を作り上げて行った訳です。実際には彼女に出没して貰ったのは数回なので、佐藤君はかなり自分の脳で視覚化したことになります」
つまり、騙しているつもりが、騙されていたというわけだったのだ。いわゆる逆ドッキリですね。

種明かしをされ、安堵のあまり放心状態になる佐藤。
この話、このままクロージングしても成立してしまうのだが……。

学生達が帰った後、準備室で佐藤の撮ったビデオをチェックしている教授と伊丹。
佐藤の部屋の中を歩き回る女を見て、
教授「凄いなぁ、伊丹さん、こんなことまでやってたの?」
伊丹「いや、学校とかコンビニとかで待ち伏せしたりはしましたけど……部屋にまであたし入りませんよ」
教授「……えっ、じゃあこれは?」
この淡々としたやりとりが、極上の恐怖に視聴者をいざなうのであった。
ただ、この後、いかにもホラーっぽいシーンで締め括られるが、ちょっと不満。
教授たちの会話だけでスパッと切った方が効果的だったろう。
とにかく、ホラーとしてもミステリーとしても、極めて完成度の高い作品である。
さて、ビデオには他に3話ほど収録されているのだが、これに比べると平凡なので、ごく簡単に説明する。

第2話「アサギの呪い」は、内山理名主演。女子高の地下にある防空壕の中で女子高生たちが恐ろしい目に遭うという話である。こちらはストレートに不気味なお化けが襲ってきて、なかなか怖い。演出は長江俊和。
第3話「ドロップ」は、根津甚八主演の、いわゆる「泣ける怪談」である。怪談で泣いてどうすんだ。

第4話「おぞけ」は、宝生舞主演で、絶叫マシンなどで「異常刺激」を受けた人間が、死の世界に引き摺り込まれるようになると言う、都市伝説的な話。これもなかなか面白い。
と言う訳で、手に入りにくいビデオですが、ぜひ見て欲しいのです。
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