第14話「必殺拳!嵐を呼ぶ少年」(1974年7月12日)
の続きです。
特訓の意図を知らされていない隊員たちは、ゲンを打ち捨てて道場を去って行く。
これでゲンがひとり取り残されて終わりだったら、見てるこっちもつらすぎて自殺したくなるのだが、

ゲンにはまだ、百子さんやトオルたちがいるから救いがある。夜食を持って来てくれたのだ。
百子「隊長さんがいけないのよ、これじゃおおとりさんの立場がますます悪くなるばかりだわ」
猛「だいたいいくら変な少年が相手でも、道場破りに何故MACが出てこなくちゃならないのか、僕には分かりませんね」
ゲン「違うんだ!」
猛「違うって何がですか?」
ゲン「……」
カオル「お兄ちゃん、何かわけがあるのね」
ゲン、自分達が宇宙人だと言うことは決して口外してはならないとダンから厳命されている為、それ以上説明することが出来ない。

で、翌日、今度は猛を相手に、大きな土管が積み上げられている資材置き場で特訓が行われる。
ゲンは棒を自らの両手に縛り付け、猛に竹刀で自分を攻め立てさせる。
ゲン「猛、打て、打つんだぁ!」

叩き付かれた猛の方が、先にへばってしまう。
ゲン「猛、立て、立って続けるんだ!」
なんか猛が特訓してるみたいだ。

立ち上がって、ゲンに一太刀浴びせた猛だが、土管の中にしゃがみこんで、荒い息をつく。
猛「もうイヤです、おおとりさん、やめてください。もうこれでは、スポーツとは言えません」
ゲン「打ち込め! 打ち込むんだ!」
まるで鬼軍曹ダンの魂が乗り移ったかのように、厳しく猛を叱咤するゲン。
猛も、特訓を受けているゲンのようにほとんどキチガイのようなテンションで、ひたすらゲンに打ちかかってくる。

ゲン、背中を向けて竹刀を棒で受け、

そのまま後ろ蹴りを放つ。
段取りがあるとは言え、このアクションは割と本物っぽい。

百子さんも、見てるのがつらそうな顔になるが、子供たちはひたすら平和で、「お兄ちゃん頑張ってー!」などと、適当な声援を送る。
ゲンも猛も、「うるせえ黙ってろ」と怒鳴る余裕もなく、ひたすら打ち、受け続ける。

このままではほんとに体力を消耗しただけで、時間の無駄だったと言うことになりかねなかったが、ここで奇跡が起こる。
土管の上に登って声援を送っていたトオルが、バランスを崩して落っこちてしまうのだ。
ゲンは慌てて駆け寄り(手が自由に動かせないので)咄嗟に逆立ちをして、足でトオルの体を挟むようにして受け止める。

百子「トオルちゃん、大丈夫?」
カオル「お兄ちゃん」
トオル「ありがとう」
ゲン「出来た!」
ゲン、トオルを助けると同時に、漸くあの攻撃を防ぐ方法を見出すのだった。

ゲンが道場に戻ってくると、ちょうどあの美少年が再び姿を見せていた。
初めてあいまみえる両雄、ピンと張り詰めた空気の中、凄まじい戦いの火蓋が切って落とされた!
で、この格闘シーンがまた長いのだ。
今回、最初から最後まで格闘ばっかりしている気がする。

そして、互いの道着を掴んで、向かい合う二人。
前回と同じく、「いぇーいっ!」と言う雄叫びと共に、少年の尻から尻尾がニョキニョキ生えてきて、無防備の頭頂部を狙ってくる。
ゲンは、トオルを助けた時のように逆立ちをして、足でその尻尾を蹴り返す。
……互いに道着を掴んでいるのに、なんで逆立ち出来たのか、謎だが。

隊員たちと一緒に見守っていたダンも、レオが同じ技で怪獣を倒す姿を重ね合わせ、やっと笑顔を見せる。
少年はゲンに負けると、道場から飛び出す。
そこで隊員たちが「あいつは怪獣だったのか」と気付く。ゲンが弾き返した尻尾を目視したのだろう。
少年はスポーツセンターから少し離れた路上で、怪獣に変身する。
その場で変身すると、特撮スタッフから怒られるからだ。
隊員たちも、特訓の意味を悟り、「おおとり、済まん」と謝罪する。
……でも、この後の、レオの戦いを見たら、ゲンがレオだと一発で分かると思うのだが、彼らは決して分かろうとしないのだった。

ゲンはレオに変身してアンタレスと戦う。
アンタレス、直前にゲンに尻尾攻撃を封じられているのに、ここでも同じことをやって、レオに足で尻尾を切断されてしまう。知能が高いのか低いのかよく分からないのだ。

切断した尻尾の先には、鋭いハサミが生えている。レオはそれを投げて、怪獣の首を切り落とす。
それだけでも十分ハードだが、今回は怪獣が落下した自分の首を両手に持ち、そのまま数歩歩いた後、倒れると言う、ほとんど悪趣味に近い演出が施されている。

で、エピローグも(和気藹々とだが)ゲンや隊員、スポーツセンターの人たちの空手の稽古で締められる。
トオルも青島隊員と打ち合っているが、妹のカオル(カツオの声の人)は全く興味がないようで、漫画雑誌を読み耽っていると言うのがリアルで笑える。
とにかく、地獄のような特訓と言い、、ギスギスした人間関係と言い、過度の残酷描写と言い、当時の子供には受けなかっただろう。実際、視聴率は14話以降、明らかに低迷している。