第3話「ビギン・ザ・ラブ」(1984年5月1日)
ほぼ2ヶ月ぶりの「不良少女」のお時間です。このペースだと、全話レビューするのに3年くらいかかりそうな気がしている今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、前回のラストで鑑別所から護送車に揺られて笙子がやってきたのは、物語の中盤と言うか、ほぼ全篇にわたって舞台となっている気がする「相模愛育女子学園」と言う、中等少年院であった。

入園の際の、様々な手続きをテキパキと済ませる笙子。これはうれし恥ずかし身体測定の図。

その後、園長室で、園長や、レギュラーの教官たちと初対面する。
園長は、ハマリ役の名古屋章さん。
園長「園長の丹波だ。あだなは、山猿……丹波の山猿と言うわけだ。けしからんことにこっちの方が通りが良いんで困ってる。ふぁっはっはっはっはっ」
無論、彼らは笙子がかつて相模悪竜会の会長だったことは知っている。
園長「過去は過去だ、いいかね笙子君、ひとたび不良少女のレッテルを貼られるともう一生ダメだと思ってしまいがちだが、決してそんなことはない。どんなつらいことがあっても決して挫けない。君が本当に生きたいと思う世界を見付けて欲しい」

最初は反抗的な顔付きだった笙子も、園長の温かい言葉に涙を滲ませながら「はいっ」と答える。

園長は更に、自筆の額の座右の銘「人生やり直しができる」を示し、励ますのだった。
鶴太郎の字じゃなくてほんとに良かった。
笙子はこれから当分の間顔を合わすことになる、教師たちを紹介される。
ちなみに、現実ではそんな分かりやすくはないが、ドラマでは、
園長→良い奴
大磯→悪い奴
瀬戸→良い奴
江田→嫌な奴
と言う風に明確に色分けされている。
規則で、笙子は独房で最初の一週間を過ごさねばならない。
笙子、窓から見える桜の花を見て、性懲りもなく(シャレ)哲也のことを思い出していた。
(哲也さん、恭子さんと結婚して幸せになって下さい)

が、その頃、哲也は結婚どころか、恭子に婚約解消を申し出ていた。
哲也「僕は君の気持ちを踏みにじった。何と言われようと弁解する資格はない……しかし、僕は笙子さんを愛してしまった……自分の気持ちに嘘をつきたくないんだ」
国広富之さん、台詞を言いながら、「あれ、なんか前にも同じようなこと言った気がするなぁ」とぼんやり考えていたかもしれない。

事実、数年前の「赤い絆」でも、不良娘に惚れて婚約者に別れ話をする信夫を演じていた。
それはともかく、本来なら泥沼の修羅場になるところだが、育ちの良い恭子、婚約指輪を抜き取って哲也に返し、「さよなら」と桜の下の道を通って去って行くのだった。
心の底からホッとする哲也。 もっとも、恭子、その後、サバサバした様子で哲也との思い出の品を整理していたが、ツーショット写真を見ているうちに涙が溢れて止まらないのだった。
この、元婚約者に引き続き愛されるというのも、「赤い絆」と全く同じ。「赤い絆」の真砂子(岡まゆみ)は、途中でうやむやになってしまったが。
そんな娘が不憫で、葉山夫妻は哲也の両親を訪ね、二人の縁談はこれまで通り進めさせたいと勝手に決める。

さて、ジョーズに、朝男たち流星会が現れる。
おアキや悪竜会の面々は、喧嘩を売りに来たのかと身構える。
いくらなんでも人詰め込み過ぎ。 朝男「慌てるな。俺たちもサツのマークがきついんでな、派手な真似はできねんだ。ちょっと笙子のかおりを嗅ぎに来ただけよ」
朝男、意味ありげに哲也の顔を一瞥して、大人しく出て行く。

笙子の独房生活も終わり、晴れて、大部屋に移されることになる。
ここで、最初のシーンには出張でいなかった5人目の教師・圭太郎が登場。
圭太郎は園長の甥で、通称・ダメケイ。演じるのはレポーターとしてお馴染み、阿部祐二さん。

笙子は、ダメケイに3号室へ連れて行かれる。
そして、運命の出会いとも言うべき出会いが待っていた。
そう、後に宿敵となる長沢真琴(伊藤かずえ)である。
ダメケイ「彼女が室長の長沢真琴君だ。通称モナリザ」

他の少女たちも、レギュラーとして長く活躍することになる。
戸塚五月「ハゥドゥードゥー?」
最初からおどけてみせる五月。可愛いなぁ。彼女だけ、笙子の退院より早く姿を消してしまうのが残念だ。

大岡さと子「あたし、タレント志望なんだ、ねーねー、あんた芸能界にコネなぁい?」
笙子「………………」
ダメケイが出て行った後、鑑別所でリンチされたことがあるので、警戒する笙子。
確かに、モナリザたちも何かを企んでいた。ただし、それは、

一斉に隠し持っていたクラッカーを鳴らす、彼ら一流の歓迎の挨拶だった。
モナリザ「びっくりさせてごめんなさいね」
その後、チェッカーズの「ギザギサハートの子守唄」を歌いながら輪になって踊る少女たち。
同室の少女たちと仲良くなって、とりあえずホッとする笙子。
だが、屋外で掃除をしていると、別の部屋のトキ子と言う昔の知り合いが因縁をつけにくる。
不良時代の笙子にさんざん痛めつけられたトキ子、その恨みをこの場で晴らそうとする。

箒の先で、笙子のおっぱいを
ぶにゅっと押し潰すトキ子。
よっぽど皆殺しにしてやろうかと思う笙子だったが、愛しい哲也の笑顔を思い浮かべては、我慢するのであった。

その後も、瀬戸先生の裁縫の授業中、後ろから針で笙子の背中をぶすぶす刺すと言う陰湿なことをするトキ子。弥生(百瀬まなみ)が見兼ねてモナリザに知らせるが、モナリザは「知らん顔してな」とだけ。
序盤はとても嫌な奴のトキ子だが、紆余曲折あって、最後は笙子の親友の一人となるのだ。
トキ子のイジメをひたすら甘受する笙子だったが、夜、布団の上で、
(哲也さん、仲間はいても、私は今ひとりぼっちです。まだ10日も経たないと言うのに……哲也さん、会いたい……)
ひとり声を押し殺して泣くのだった。それを黙って聞いているモナリザ。
その哲也、早速学園を訪ね、園長に笙子との面会を申し出るが、きっぱり断られる。
園長「肉親以外の男女の面会は原則禁止、それがここの決まりでしてな」
哲也「あなたもやはり悪人だ。人情ってものがないんですか」
単純な哲也は反発するが、園長は、笙子が哲也のような若い男性と会っていることを他の生徒たちが知れば、必ず笙子に嫉妬して、憎しみの目を向けることになるだろうとやんわりと諭す。
さらに、園長は、
「あなたは笙子君の何を知ってるんですか?」と哲也に問い掛ける。
確かに哲也は、笙子がひた隠す、何故不良行為に走ったのか、その動機すら知らないのだった。
哲也は自分の短慮を認め、大人しく引き揚げる。
つづく。