第29話「鉄面党ロボット三兄弟」(1974年1月16日)
色々とよんどころない事情があって、しばらく休んでいた「レッドバロン」の時間です。
冒頭から、宇宙鉄面党の送り込んできたベムパンサー1号2号3号を、レッドバロンが迎え撃つ。
健はヤル気マンマンだったが、3体のロボットはあっけなく退却する。それは、レッドバロンの性能を確かめる為のテストに過ぎなかったのだ。
その結果、レッドバロンが極めて優れた性能を有していることが分かり、宇宙鉄面党は、単にレッドバロンを倒すのではなく、彼らの侵略用ロボットとして改造すべく、強奪計画が企てられる。
まず、人間の親子三人の写真を参考に、三体のロボット兵士が彼らに化ける。
その上で、子供に化けたロボット兵士が、健と真理の車の前に飛び出し、両親が鉄面党に捕まったと助けを求める。健たちは子供と一緒に、鉄面党の隠れ家に向かうが、彼らの目の前で、両親は鉄面党に惨殺されてしまう。と言っても、無論、ロボット兵が化けているに過ぎないのだが。
健たちはロボット兵士たちを全員倒す。

当然、両親を殺された少年シゲルは、みなの同情を集める。
シゲルがレッドバロンの絵を描いているのを見て、
健「シゲル君、乗りたいかぁ、レッドバロンに?」
シゲル「うん、乗りたい!」
と言う訳で、早くもシゲルはレッドバロンに乗る機会を得る。
司令官は、シゲルこと戦闘員3号に「健の指紋と声紋を奪え」と指示する。
レッドバロンは、初期設定で、健のレバーを握る指紋と、声紋を記録して、それ以外の者の操縦を受け付けないと言うセキュリティシステムを採用しているのだ。
健と一緒に操縦席に座るシゲルは、何も知らない健が普通にレッドバロンを操作している声をこっそりテープに録音する。

真理たちも健の思いやりに共感するが、後からやってきた冷徹な三神博士は「降りてきたまえ。レッドバロンは遊園地の乗り物じゃないんだ」と命じる。
哲也「健は両親を失ったシゲル君を慰めようとして……」
三神「そういうことならなおさら遊園地へ行くべきじゃないのか?」
健は素直に博士の指示に従うが、真理はなお納得が行かない様子で、
真理「健のご両親も兄さんも鉄面党に殺されました。同じく鉄面党に両親を殺されたシゲル君のことが他人事に思えないんですわ!」
と、健の気持ちを代弁する。
孤児となったシゲルはとりあえず熊野警部が引き取る。

熊野警部、クマと言う名前のわんこを飼っている模様

ちなみに、表札のところに3号って書いてあるのだが、これはどういう意図なんだろう? 戦闘員3号だから?

シゲルは、健に近付く為、わざと夜中に「健兄さーん!」と泣き喚いて、警部にSSIへ連れて行かせるよう仕向ける。警部、仕方なく、シゲルを赤ん坊のように背負って、健に会いに来る。
熊野「君を心の支えにしとるんだ。しばらく側に置いてやってくれんか」
健「はぁ、しかし……」
真理「非常警戒中は隊員以外は立ち入り禁止になってるんです」
が、玄関近くの自販機でタバコを買っていた三神が「特例を出そう。眠るまで側についていてやれ」と今度は人間味のあることを言ってくれる。
健は仮眠室(応接室?)で、シゲルの手を握りながらシゲルがすやすや眠っているのを見詰めている。
シゲルは、そうしながら自らの手に健の指紋を写し取っていた。
さらに、健が司令室へ行った隙に、金庫の中のレッドバロンの資料を盗み見て、その操縦方法を覚える。
シゲルが、目を青く光らせて、手も触れずに金庫のダイアルを回して開けるシーンはなかなかカッコイイ。
シゲルが準備が整ったと司令官に伝え、司令官は再びロボット3兄弟に出撃を命じる。
健はレッドバロンで3体と激しい戦闘を繰り広げる。
一方、現地に向かう真理たちを熊野警部が呼び止め、調査の結果、シゲルたち親子は既に交通事故で亡くなっていると意外な事実を伝える。

健が戦っていると、シゲルがこちらに向かって駆けて来る。
シゲル目掛けて、敵ロボットが砲撃を加える。
70年代の特撮スタッフは、子役にも容赦なし!
健はレッドバロンを降りて、シゲルの元へ駆け寄ろうとする。が、真理たちが到着し、「そのシゲル君は偽者よ!」と大声で教える。躊躇する健だったが、シゲルの演技に騙されて、結局彼の体を抱き起こす。

その瞬間、シゲルが、隠し持っていたナイフを健の胸にぶすりと突きたてる。
健「あ゛あ゛ーっ、ううっ……」

血に染まったナイフを手に、平然と健を見下ろすシゲル。

健、傷から血を噴出させながらぶっ倒れる。
真理たちが助けに行こうとするが、ロボット兵士がレイピアを健に突きつけ、「動くな、紅健の命がないぞ」と脅して抵抗をやめさせる。
……そのまま、健を殺せばいいのでは?

シゲルは操縦席に乗り込み、「ファイトレバーオン!」と、健の声を発しつつ、レバーを引く。
健以外の者には動かせない筈のレッドバロンが動き出す。
健「嘘だーっ!」
健を踏み潰そうと、シゲルがレッドバロンの左足を上げたところで、つづく。
第30話「レッドバロンをあやつる少年」(1974年1月23日)
シゲルは健を踏み潰そうとするが、何故か、そのまま止まってしまう。
司令官「どうした、早く踏み潰せ!」
シゲル「操作レバーが動かないのです!」
レバーを掴んで、顔を歪めているシゲル。
管理人、てっきり、シゲルが、健を殺すのが忍びなくてわざとそんなことを言っているのかと思っていたが、後の展開を見ても、シゲルにはそんなあまっちょろい感傷は微塵もなかったので、むしろ、機械であるレッドバロンが主人の命を救おうと、「奇跡」を起こしたのではないだろうか。
一瞬の膠着状態。そこへ颯爽と三神博士がバイクで突っ込んでくる。
乱戦の中、真理たちは健を助けて一旦退却する。
健は緊急手術を受ける。

真理「助かりますか?」
男性、
「あ、私、給食係なんで」と言えず、「いまのところなんとも」と、適当な返事をしておく。
一方、ロボット3兄弟とレッドバロンは、都市部で破壊の限りを尽くす。
ギラスQは、SSI本部へ通信してきて、「30分後に希望ヶ原に来い。来なければ、レッドバロンに日本中を破壊させる」と、SSIに降伏勧告する。
健は医者から絶対安静を言い渡されていたが、本人の意思もあり、三神博士の練った作戦にのっとって、行動に移る。まず、言われた通り、希望ヶ原へ健たちがやってくる。
鉄面党はすぐに彼らを処刑しようとするが、
哲也に「我々が本物かどうか調べもしないで死刑にするのか」と言われ、

司令官「坂井哲也、松原真理、紅健……」
資料写真と実物とを見比べるのだった。
素直か! 
健の顔を見た司令官、「少し違うようだが」と迷う。
部下「あ、いや、写真が違います……」 と言うのは嘘だが、実際、ここでは健がいつもと違うメイクをしているようだ。
真理「もしかしたら偽者かも知れなくてよ」
司令官「3号、この男が紅健がどうか確認しろ」
シゲルは命じられるまま操縦席から出て、レッドバロンの肩の上から双眼鏡で健の顔を観察する。
シゲル「間違いありません。その男は紅健です」
司令官「よし、死刑執行だ!」
だが、真理が密かに押したリモコンスイッチによって、レッドバロンのオプションメカであるスペースウィングスが飛んでくる。その風にあおられて、シゲルは地面に落下し、あっさりと爆死してしまう。
うーん、てっきり、シゲルが健の真心に触れて、ロボットでありながら、健と鉄面党の間で揺れ動く、みたいな良くあるパターンになるのかと思っていたが、全然そんなことはなかった。
スペースウィングスは、レッドバロンと合体すると、そのまま空を飛んで行く。スペースウィングスにレッドバロンをリモコン操縦する装置が組み込まれているのだ。

鉄面党と戦う真理たち。……他意は、思いっきりあります。
健は、重傷の体をおして、車の中からリモコン操縦して、レッドバロンで3体のロボットと戦う。
だが、遠隔操縦ではレッドバロンの能力を発揮できず、敵ロボットのコンビネーション攻撃に翻弄され、どつきまわされる。

死にそうな顔で、それでもレッドバロンを操縦しようとする健を見兼ねて、
真理「もう良い、あなたはもう十分やったのよ」
絶体絶命のピンチであったが、その頃、熊野警部たちがロボット3兄弟のコントロール基地を発見して襲撃していた。お陰で、ロボット3兄弟の動きが突然狂い出す。
その隙に、健は何とかレッドバロンを立ち上がらせ、反撃に出る。最後はみんなの止めるのも聞かず、操縦席に乗り込み、逃げるロボット達を全滅させるのだった。
ラスト、熊野警部と一緒に活躍した子供たちが走ってくる。
その中のひとりが、一瞬シゲル少年のように見える健であった……。