第27話「意外!飛鳥殺しの犯人?!」(1977年8月10日)
CM明け、倉庫のような寒々とした建物の中で、綾子の撮影したフィルムを映写している早川。
一見したところ、おろち党が必死になって手に入れようとするようなものは映っていない。
早川「裏口の部分だけ、もう一度回して下さい」
綾子「はい」
スクリーンを凝視する早川。
と、果たして、裏口から飛鳥を撃ち殺した犯人らしい男が出てくるのが見えた。
早川「止めて、奥の部分、拡大して……、そう、スローで回して」
早川「はっ、東条?」 全く予想していなかった顔を見出して、愕然とする早川。
……もっとも、これまでの東条の言動を見る限り、彼が犯人である訳はないのだが、

次のシーンでは早くも東条をダムサイトの上に呼び出して詰問している早川。
早川、こと飛鳥殺しに関しては理性より感情の方が先走ってしまうのだ。
東条「早川、なんのことだ?」
早川「とぼけるなよ、東条、貴様が飛鳥殺しの犯人だと言うことは、もう分かってるんだ!」
東条「罠だ、お前、操られているぞ」
早川「うるさいっ」
聞く耳持たず、東条に掴みかかる早川。
早川「綾子さんと言う証人もいる、フィルムもあるんだ」
早川、東条を投げ飛ばす。
東条「早川、冷静になれ!」

ここ、俳優同士が熱の入った演技をしているのだが、割と怖い。
早川「貴様と言う奴は……」
東条に馬乗りになり、何度も殴る。
そのまま、東条をダムに突き落としてしまいかねない剣幕だったが、高所からその様子を見ていたおろち党の蛇丸、「今だ、左近に合図しろ」と、傍らの右近に命じる。

しかし、この立ち位置と言い、風格と言い、どう見ても右近の方がボスである。
右近が
「お主の指図は受けぬ」とか言い出したらどうしようかとハラハラしたが(註・してないけど)、右近、むっつりしながらも素直に弓に矢をつがえて左近に合図してくれるので一安心。
早川「この半年間、俺がどれだけ苦しんだか……」 え、そうなの? 結構楽しそうだったけど。 その時、右近の放った矢が飛んでくる。
そんな折でも、東条、「危ないっ」と早川を突き飛ばしている
だからそのハートマークは何? その合図を受けて、謎に包まれていた雷の左近が遂に登場する。それは……、
なんと、味方の筈の綾子だったのだあぁぁぁ!!! ……って、ちょっとわざとらしかったかな。他にいないもんね。
だいたい、
OPクレジットで最初からネタバレされてるっての。 似たような配慮のなさは、16~17話のナチスジャガーの正体についても言える。
早川「綾子さん?」
左近「右近の妹、雷の左近だよ!」
たくさんのフィルムを早川の体に巻きつけてその動きを封じる左近。

左近「刑事さんはハジキをこっちに寄越しな、でないと、早川の首がちょん切れるよ」
左近、ミニスカにシースルーのシャツと言う、殿方にとっては夢のようなスタイルなのだが、
あんまり嬉しくないのは何故だろう? 東条は仕方なく銃を放り投げる。
左近、早川をそのままダムに突き落としてしまう。激流に飲まれる早川の体。
東条「左近、汚いぞ!」

が、いつの間にか横に立っていた右近に、こんな顔↑で長ドスをつきつけられては、その場に凍りつくしかない東条。
東条(あ、ほんと、すいません) 例によって悪人たちは、すぐに東条を殺そうとせず、場所を変え、東条を椅子に縛り付け、それをクルクル回転させた状態で、矢を射当てようと言うゲーム感覚の処刑を行なう。

右近の一本目は、椅子の背中に刺さる。
右近「ふふ、次は……」
蛇丸(おずおずと)「右近、今度はワシに貸してみろ」
右近「……」
右近、黙って弓矢を渡す。
蛇丸(あーっ、良かった、無視されなくて本当に良かった!) と言うような妄想を描きたくなるほど、今回のボス、蛇丸は影が薄い。
蛇丸、今度は椅子は回転させないで東条を射殺そうとする。
無論、このタイミングで早川がズバットになって飛んでくる。
東条を助け、悪人たちと戦うズバット。
普通の用心棒は、2回目はただの雑魚になるケースがほとんどだが、今回の右近と左近は一味違い、挟撃体制を保って、ズバットに緊張を強いる。
ズバット(こっちから仕掛けるべきか、それとも下手に動かず相手の動きを待つべきか?)

ズバットの迷いを見越してか、一気に攻め立てる二人。
左近は、望遠レンズつきカメラの先から再びフィルムを放出してズバットの動きを押さえる。
そこへ、長ドスを持った右近が突進する。
ここでは、何故か弓を使わないんだよね。

だが、ズバット、ギリギリで上空へ逃れ、同士討ちをさせることに成功。

実の妹を刺してしまい、一瞬、つらそうな表情になる右近、

が、次の瞬間、
「どけえーーーっ!」と叫んで、左近を真っ正面から斬り下げる。
右近、歴代用心棒の中で、最もカッコイイことは間違いない。 ただし、その後はあっさりとズバットに倒される。
残った蛇丸、ほとんど抵抗もせず、「俺はあの事件をヒントにしただけだ。俺はあの日、バグダッドにいたぁー」と情けない声を上げる。
蛇丸、歴代ボスの中で、最もヘタレであることは間違いない。 
ラスト、誤解が解け、仲良く歩いている親友二人。
東条「早川、すまんなぁ」
早川「いやぁ、謝らなきゃならんのは俺の方さ」
東条「どうだ早川、犯人探しはそろそろ俺たちに任せたらどうだ」
早川「うっふふ、今度はもっと上手くやるさ!」
がっちり握手を交わすのでありました。麗しい友情であります。