鮮やかな今日の為、約束の明日の為、「宇宙刑事シャリバン」第22話

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　第22話「テニスプレーヤーを襲う天国への誘惑」（1983年7月29日）

　
　テニスコートで練習試合をしているテニスプレーヤーの花井ジュン。
　演じる早坂あきよさんは、「ゴーグルファイブ」の桃園ミキ役をやる予定だった人。

　
　かぶりつきで見ていた千恵と明に、二人を探していた電が話しかける。
　電「やっぱりここだったんだな」
　明「電さん、見てよ、花井ジュンを」
　電「さすが日本が誇る天才少女だ。ウィンブルドンにも出場したんだってね」
　千恵「サインを貰うの、お友達と約束したんだぁ」
　電「お姉ちゃんカンカンだぞ、宿題もしないで飛び出したって」

　二人は代わりにサインを貰ってくれと色紙を押し付けて帰ってしまう。

　
　試合の後、ジュンがシャワーで汗を流していると、背後でノックの音がする。振り向くと、

　
　電がのっそりと覗き込んでいた。

　いくらなんでも非常識である。

　ジュン「キャッ、誰よあなた」
　電「失礼、あ、ファンです、サインを！」
　ジュン「出てってよー」
　電「わっ、しいません！」
　シャワーを向けられ、ほうほうのていで退散する電であった。

　しかしこのシャワーシーン、子供向け特撮番組としてはかなりきわどい。一瞬、ジュンの乳首が見える気がする程だ。

　
　さらにその夜、マンションでストレッチをしているジュンの肢体も煩悩を刺激する。

　
　と、部屋が急に暗くなり、怪しい占い師の女が現れる。シニガミビーストの人間態で、曽我町子さんが演じている。占い師に見詰められて、ジュンはあっという間に催眠状態に入る。
　占い師「数日後に迫った全日本杯争奪戦の試合を占ってあげよう……あなたは負ける」
　ジュン「えっ、そんな」
　占い師「さあ良く見るのです、あなたの負け方を……」

　ジュンは、自分が複数のボールを打ち込まれて惨敗するビジョンを見せられる。
　ジュン「負けた……ってこれ、反則じゃないの！」（註・言ってません）

　占い師「試合に負ければあなたの名声は落ちる。世間の物笑いの種になる。日本が誇る天才テニスプレーヤー花井ジュンはみんなに嘲り笑われるのじゃ、あーっはははは」
　ジュン「どうしたらいいの？」
　占い師「道はひとつ、この世に別れを告げ、あの世に行くことじゃ」

　
　占い師は、ジュンの瞳の中にもぐりこみ、完全にジュンを支配下に置く。

　早坂さん、薬師丸ひろ子に似てる。

　占い師の声「人間誰でも一度は死ぬのよ。それに死後の世界はあなたが考えてるような怖いところじゃない。美しい花が咲き乱れ、小鳥が囀り、正にこの世の楽園、あなたは楽園を見た。今すぐ楽園に行きなさい。勇気を出して楽園に向かって進みなさい」

　「死後の世界がこの世の楽園」と言うのも、なんだかなぁ。

　
　それに、花が咲いて小鳥が囀るだけじゃあねえ。せめてツタヤくらいないと。

　
　それはともかく、ジュンは占い師に言われるまま、屋上の縁に立って飛び降り自殺をしようとする。

　が、「マドーの不吉な臭いを嗅ぎ付けパトロールをしていた」（byナレ）電がマンションの前を通りかかり、偶然ジュンの飛び降りを目撃し、壁を駆け上がってジュンの体を抱き止め、通路にひっぱりあげる。

　
　しかし、さすがにこれは飛び過ぎでは？　いくら宇宙刑事でも、普通の人間なんだから。

　
　翌朝、テレビでジュンの自殺未遂事件を報道している。

　千恵「助かって良かったぁ」
　勝平「現在はストレスの時代で、多くの人が精神をやられてる。だから、理由のない自殺が増えてるそうだ」
　明「俺、自殺しようかな。宿題宿題で、ストレス溜まってるんだなぁ」
　勝平「バカなこと言うんじゃないっ」

　この頃、アメリカ映画界の大スター、フランスのシャンソン歌手、スペインのサッカーの名選手など、幸せの絶頂にありながら自殺するものが続発していた。

　ギャバン隊長から、グランドバースの電に通信が入る。
　ギ「今度もマドーの仕業なんだな。マドーは人気のある世界の有名人を狙って自殺に追い込んでいる。花井ジュンについで、人気のある人物は誰だい」
　リリィ「水泳界のホープ、矢吹ユミ」
　電「それに、ヤングの間に絶対的に人気のある流行作家、青村一郎」

　ギャバンは、その二人を護衛するよう命じる。

　魔王サイコは、有名人を自殺させ、たくさんの人間を後追い自殺に追い込もうと画策していたのだ。

　
　矢吹ユミ、夜の屋外プールでひとり練習をしている。プールサイドで腹筋をしていると、果たしてあの占い師が現れる。
　占い師「試合は間近に迫っている。だがあなたはその試合で泳がなくて良いのです。死の世界に行くのです」

　ユミを演じているのは飯野けいとさん。端役が多いが、なかなか綺麗である。この少し前にオンエアされた美女シリーズ「白い素肌の美女」では、殺されて仏像に練り込まれる女性を演じていたが、それには曽我町子さんも出てるんだよね。

　
　ユミは、占い師に言われるまま、その足で近くの踏切へ向かう。

　例によって、管理人、水着を着た女性がプールや海以外のところにいるシチュエーションに妙な興奮を覚えるのだった（知るかハゲ）。

　
　飛び込み自殺をしようとするが、護衛していた電が必死に止めて、無事だった。

　しかし電車からこの様子を見ていた乗客、何事かと思っただろうな。

　続いて、青村一郎も自殺を図るが、リリィによって阻止される。

　その後、ジュンは練習を再開しようとするが、どこからともなく占い師の声が聞こえてきて、「試合に負ける。世間の物笑いになる。これが最後、この機会を逃すと永久に楽にはなれない。屈辱の日々が待ってるわ。それは死よりもつらいことよ、楽になりたければ駐車場にある赤いオープンカーに乗るのです」

　
　ジュンは、言われるまま、オープンカーに乗る。

　なお、ここでは、車が動く代わりにカメラの方が素早く右側へパンしている。
　車の走行シーンでも、ジュンの顔が不自然に見えないように撮られているので、早坂さん、免許がなかったのだろう。

　
　狂ったように車を飛ばすジュン、電がジープで並走し、飛び移る。

　……見事なアクションであるが、ジープの方は大丈夫なの？

　で、色々あって、ジュンの瞳からシニガミビーストが出てくる。電は、ビーストやガイラーたちと戦う。

　
　ちなみにこのシーンで、ミスアクマ1（丸山千絵子）が高いところから落とされているのだが、「スピルバン」DVDの中で、渡氏は丸山さんが「シャリバン」の撮影中に事故って負傷したと話しているが、それはこのアクションの時に起きたのではないだろうか？

　その証拠に次の23話から、ミスアクマ1（2も）の役者が代わり、48話になって再び丸山さんに戻っている。

　
　また、電が赤射した時に、いつものようにガイラーたちがワンフレームに集まるのだが、この時、ミスアクマ1だけ姿が見えないんだよね。この時既に負傷して、参加できなかったのではないか？　ま、全然違ってるかもしれないけどね。

　シャリバンがシニガミビーストを倒して事件解決。

　ジュンが再び元気にプレーをしている姿を映して、幕となる。