第33話「ウルトラの国 大爆発5秒前!」(1973年11月16日)
歴代ウルトラ戦士が、演じた俳優も一緒に勢揃いすると言う夢企画。
当然、33話と34話の前後編となっているが、この2本だけ佐々木守さんが脚本を書いてるんだよね。
おっと、その前に、スルーした32話について一言だけ。
これは、不思議な転校生ドンちゃんと健一との交流を描いた「風の又三郎」みたいな児童ブンガク的ストーリーであった。

特に面白くはないのだが、とりあえず森山いづみ隊員の画像だけでも貼っておこう。
さて、33話である。
冒頭、早くもウルトラの国(星)に対し、総攻撃を仕掛けようとしているのは、テンペラー星人。

カウトンダウンの数字のデザインが実に渋い。
テンペラー星人、只者ではない。

テン「ウルトラの国の最後だ、我々テンペラー星人の全宇宙征服の野望のもとに、あと僅かで潰え去るのだ」
司令船の中でつぶやくテンちゃん。

だが、そばにいるサルの人形が、シンバルを叩いてテンペラー星人の注意を喚起する。
人形「攻撃を中止せよ、ただいま入った情報によればウルトラ兄弟たちはウルトラの国にはいないぞ」
テン「なんだとぉ、ウルトラマンやセブンたちは一体何処へ行ったのだ」
人形「情報によれば彼らはタロウに招待されて地球に遊びに行ったらしい」
テン「そうか、奴らは地球へ行ったのか、ようし、地球にいるウルトラ兄弟を全滅させろ」
何故か、ウルトラ兄弟たちが不在だと知ると、テンペラー星人はウルトラの国への攻撃を止めて、一路地球へ向かうのであった。
……なんで? とりあえずウルトラ兄弟のいない無防備なウルトラの国を壊滅させればいいやん、と思うのだが……。
テンペラー星人、やはり只者ではない。

そのウルトラ兄弟が、横並びで地球の空を飛んでいる。
……って、なんで地上の人たちが気付いて騒ぎにならないのだろう?
4人(ゾフィーを除く)は、岩場で手を振っている光太郎を見ると、

人間サイズになりながら、浜辺に着地する。みんなお揃いの衣装をまとっている。
光太郎「兄さんたち、よく来てくれました!」

ハヤタ「何を言う、俺はこの星ではハヤタと呼ばれていたんだ」
それぞれ主役を張った面々だけに、ひとりひとりしっかりアップになる。

ダン「そう、俺もウルトラセブンではなく、モロボシ・ダンだ」
この後の「レオ」の鬼のようなダン隊長とは似ても似つかぬ温容である。
やっぱりダンには優しい笑顔が似合う。

郷「俺は郷秀樹」

北斗「俺もエースではない、北斗星司だ」
郷から北斗へカメラが移動する際、明らかにカメラが右下へ大きく動いているのがちょっとだけ悲しい……。
男の値打ちは身長ではないのである!
光太郎「僕は東光太郎ですからね」
ダン「さて、わざわざタロウが呼んでくれたんだ、どんなご馳走してくれるのかな」
光太郎「ゾフィー兄さんは?」
ハヤタ「念の為に一応宇宙パトロールをしてから少し遅れて来るそうだ」
郷「さぁ、久しぶりで地球のご馳走を腹いっぱい食べるかな」
光太郎、ゾフィーが来てからにしようと言うが、弟たちから馬鹿にされているのか、嫌われているのか、無視されているのか(註・すべて管理人の妄想です!)、4人はゾフィーを待たずに始めようと急き立てる。
ゾフィーだけ現れないのは、ゾフィーの人間態の俳優が決まってないからである。この回だけの適当な役者を選んで演じさせる訳にもいかないから、こういうやや苦しい処理がされているのだ。
しかし、ダンの
「ゾフィーのことなんかいいよ」と言う言い草は、ちょっとどうかと思う。

光太郎「そうですか、じゃあ、どうぞ!」
岩場にしつらえた会場へ、みんなを元気に案内する光太郎。

で、メニューは無難にバーベキューである。
みんなすぐ串を手に、かぶりつく。
DVDに収録されている、この5人(+ナレーションの瑳川哲朗)による座談会でも、このシーンをみんなで見ながら語り合うと言うくだりがある。
さすがにかなり昔のことなので、それぞれの記憶も曖昧だったが、「酒が本物だった」「肉はイマイチだった」「衣装がイマイチだった」などと言う証言が飛び出ている。

だがこの時既に、エンペラー星人のエイのような形の司令船が東京上空へ侵入していた。
この船のデザイン、「のび太の海底奇岩城」に出てきた潜水艇に似てるなぁ。
人形「暴れろ、破壊しろ、ウルトラ兄弟は必ず誘い出されて来るはずだ」

船の底がパカッと開いて、ミニサイズのテンペラー星人が落下する。
これ、手前をちゃんと車が走ってるところがさすがの職人芸である。

ビルの内側から光がきらめき、爆発が起き、

その中から、巨大化したテンペラー星人が出現する。
テン「ウルトラ兄弟、どぉこぉだぁよぉーっ?」

バーベキューを楽しんでいた光太郎の通信機に、森山隊員から宇宙人出現の連絡が入る。
光太郎「折角兄さんたちと食事してるって言うのに」
ハヤタ「何を言うんだ、それがお前の務めじゃないか、さ、早く行け」
光太郎「はい、じゃあ」
不承不承光太郎が行きかけると、頭上をゾフィーが飛んできて、「待て、タロウ」と止める。

ゾフィー「今東京を襲っている宇宙人はテンペラー星人だ」
ダン「じゃあ、前からウルトラの国を狙っていたあのテンペラー星人が」
郷「そうか、奴は俺たちがここにいることを知って地球を攻撃し始めたんだ」
北斗「くそう、兄さんたち、どうやらひと暴れしなきゃならないようですね」
ハヤタ「待て、今俺たちが出て行けば、東京は戦場になってしまうぞ」
光太郎、エンペラー星人をここまでおびき出して来いと言われ、「俺一人でですか?」と、いつになく頼りないことを言う。
ハヤタ「何を言ってるんだ、お前一人でやるんだ」
ダン「そうだ、そして出来るだけ早く奴らをここへ誘い出して来るんだ」
光太郎「分かりました、やってみます」
光太郎、ひとり車を飛ばしてZAT本部へ向かう。

その頃、ZAT本部には、珍しく民間人の男性とその息子が訪れていた。
荒垣「君たちも知ってるとおり、大谷博士は宇宙研究家としては世界的な権威だ。特に今回参加して頂くことになった」
大谷「恐らくテンペラー星人ではないかと思われますが、もしそうだとしたら一大事です」
北島「テンペラー星人と言うのは初めて聞く名前ですが……」
大谷「でしょうねえ、今私が名付けたんですから」 北島「出てけ!」 じゃなくて、
大谷「実際存在するかどうか疑われていた宇宙人です。もしテンペラー星人だとしたら凶悪類ない宇宙人です」
大谷博士が、ZATと一緒に出撃しようとすると、息子の栄一も連れて行って欲しいと駄々をこねる。

大谷「何を言うんだ、栄一、パパは遊びに行くんじゃない」
栄一「だって……」
森山「栄一君、私とここにいましょう

」
大谷「あ、じゃあ私も残りましょう」
荒垣「俺も」
北島「俺も」
南原「俺も」
上野「僕も」
……と言う訳で、みんなで森山隊員と一緒に残ることになる(なるかっ)。
光太郎が遅れてやってきて、荒垣から地上から攻撃するよう命じられる。

荒垣「博士」
大谷「恐らくテンペラー星人に間違いありません」
上野「博士、奴の弱点はなんですか?」
大谷「残念ながら、そこまでは……」 「じゃあ何しに来たんだおめーは?」と言いたいのを必死に堪える荒垣であった。
それにしても、「宇宙研究家」って、あまりにざっくりしたジャンルだよね。せめて「宇宙生物研究家」にしてあげて。
なお、大谷博士を演じるのは竜崎勝さんで、あの高島彩のお父さんだそうです。
ZATはとりあえずテンペラー星人に総攻撃を仕掛けるが、ウルトラ兄弟をまとめて相手にしようというだけあって、痛くも痒くもない顔をしている。

光太郎、星人の足元に近付いて、すぐタロウに変身する。
そして、作戦通り後退して、ハヤタたちのいる磯へ誘導しようとする。
途中までは上手くいっているように見えたが、
テン「バカモノ、誘い出すつもりか、その手に乗るものかい」

テン「こっちへ来い、出て来るんだ、ウルトラ兄弟! もし来なければ地球全体を灰にしてしまうぞ」
テンペラー星人、タロウの意図を見抜き、その場にとどまって四方八方へ猛火を撒き散らす。
タロウ「仕方ない、兄さんたちを呼んで来よう」
タロウ、一旦空へ飛び上がり、ハヤタたちのところへ戻る。
若い郷や北斗は、すぐ戦いに赴こうとするが、年長組のハヤタとダンはあくまでタロウひとりにやらせようとする。

光太郎「助けてくれないんですかぁ兄さん」
ゾフィー「甘ったれるんじゃない、タロウ」
光太郎「あ、ゾフィー兄さん、いたんですか」
ゾフィー「いたよ!」 図体はでかいのに存在感の薄い長男であった。

ダン「タロウ、いつまで我々を頼りにするんだ」
ハヤタ「早くいかんかコラ」
タロウ「……分かりました、行きます!」
仕方なく、光太郎は東京へとんぼ返りする。

郷「タロウがかわいそうだよ」
北斗「よおし、俺だけでも助けに行くぞ」
年少組の二人はそれでもタロウを助けに行こうとするが、ダンたちはあくまでそれを許さない。
ダン「今こそタロウが、逞しいウルトラ兄弟のひとりになれるかどうかと言う大切な時だ」
郷「じゃあ俺たちにただ見物してろってのか?」
ちなみに、俳優の年齢で言うと、郷の団次郎さんの方が、光太郎の篠田さんより年下なんだけどね。
後編に続く。