第15話「女王の欲ばり踊り」(1981年5月16日)
今回のブラックマグマの作戦は、この時期の特撮ドラマではよくある、隠された財宝をなんらかの方法で掘り出そうと言う極めて実利的なものであった。
具体的には、先祖が海賊で、その海賊が莫大な財宝を埋めたと言う言い伝えのある、村井達之と言う整備士をとっ捕まえ、その記憶を逆行させて隠し場所を聞き出そうというものだった。

その村井は、サファリの常連客でもあり、「財宝さえ手に入ったら100倍にして返すから……」と、しょっちゅう嵐山たちに金を無心している若者であった。
村井「ねえ、美佐ちゃん、車だってヨットだって別荘だって買えるんだぞ」
嵐山「お前はまだ仕事中だろう。そんな夢みたいなこと考えてないで一生懸命働け!」
村井「はいはい、ったく、貧乏人ばっか集まっちゃってよ」
嵐山「美佐まで誘惑しようなんて……、まぁ良いセンスしてるけどよ!」
一方、ブラックマグマのへドリアン女王は、村井一族の系図を示しながら、作戦の説明をしている。
へドリアン「今から360年前の先祖、村井達五郎は確かに海賊じゃった」
ヘルサターン「すると、莫大な財宝を隠したという言い伝えは?」
へドリアン「本当じゃ」
ヘルサターン「しかし、もはやその場所は分かっておらぬと言うではないか」
へドリアン「そこでこの私が掘り出して見せようというのじゃ」

へドリアンはまずゼロガールズたちを出撃させてから、タイムモンガーと言う、ハイエナのようなモンガーを誕生させる。
へドリアン「タイムモンガーは人間の記憶をタイムスリップさせることが出来る。すなわち1981年の現在、村井一族の血を引くただひとりの男、村井達夫から、その親、またその親と、記憶を辿っていき、海賊・村井達五郎の記憶を呼び戻せばよい」
ヘルサターン「面白い、今回の作戦は全てへドリアン女王に任せよう」

へドリアン「ぬはははははっ」
嬉しそうに笑って、タイムモンガーの顔をいとおしそうに撫でてやるヘドリアン女王であった。

さて、早速ゼロワンが人間に化けて村井に近付き、「ちょっと車の調子を見て欲しいのぉ」と声をかけ、あっという間に日本のアジトへ拉致してくる。

ゼロワン「だから、宝探しをしようって言うのさ、お前の記憶をタイムスリップさせてね」
村井「や、やめてくれーっ」

ゼロワンはゼロツーに合図をして、タイムモンガーの能力を利用した時間逆行装置で、村井の記憶を過去へ過去へと戻していく。
と、江戸時代末期まで遡ったところで、村井がぐったりとしてしまう。
ゼロツー「やめて、死んでしまう!」
ゼロワン「少し休ませよう」

だが、村井は突然、蛍光灯のような剣(どっから出したんだ?)を振り回して暴れ出す。
まぁ、蛍光灯のような剣と言うか、まんま蛍光灯なんだけどね。
ゼロワン「な、何をする?」
村井「拙者、北辰一刀流免許皆伝、村井達之進、よらば斬る!」
村井は戦闘員たちを薙ぎ倒すと、アジトから逃走する。

公園で、いつものようにレトロなおもちゃで遊んでいるサファリ常連の子供たちと、豹朝夫。

ふと見れば、顔見知りの村井が、侍のような格好をして、剣道の防具をつけた男たちを竹刀を振り回して追い掛け回しているではないか。
江戸時代の剣客の魂が乗り移った村井は、男たちを一方的にぶちのめす。
朝夫「やめろ、村井」
村井「誰だ、お前は?」
朝夫「おい、悪い冗談はよせよ」
村井は、朝夫の身のこなしを見て、「おぬし、できるな」と、竹刀を捨てて腰の刀を抜く。

村井の鋭い切っ先を、白羽取りでなんとか凌ぐ朝夫。
朝夫(こいつ、いつの間に、こんなに強くなったんだ?)
朝夫はひとまず子供たちを連れて、その場から離れる。
さてここから、お楽しみのコスプレタイムとなります。

村井がお堂の中で休んでいると、スッと戸が開いて腰元風の格好をしたゼロガールズたちが現れる。
ゼロワン、うやうやしく三つ指を突いてから、「村井達之進様でございますね」とにこやかに話しかける。
改めて村井を探しに来た朝夫は、ピシッとした裃姿になった村井が、腰元ガールズたちにいざなわれて、駕篭に乗り込むところを目撃する。

彼らはそのまま駕篭をトラックの荷台に乗せる。
それを見送るゼロガールズたち。
なんか、ゼロスリーっていつ見ても困ったような眉をしてるよね。
そこへ強化スーツをまとったパンサーが飛び込み、ガールズたちと戦いになる。
改めて見ると、ガールズの戦闘能力はかなり高い。1対4と言うハンディがあるにしても、パンサーをあと一歩のところまで追い詰めているのだから。
特に今回は、

ゼロスリーとゼロフォーによる、

1号と2号の「Wライダーキック」もかくやと言う、同時蹴りがめちゃくちゃカッコイイ。
無論、これは男性スタントなんだけどね。
だが、イーグルとシャークが戦いに加わると、たちまち形勢は逆転する。

イーグルに張り倒されたゼロワンの肉感的なお尻……
パツンパツンで、下穿きのラインまでうっすら見えそうなところが最高ですね。
しかも、ドテッと、音がするほど見事な尻餅をお突きになっている。ぐふふ。
(今年になって、ますます馬鹿に磨きがかかっている管理人です)
ゼロガールズたちは一旦退却する。
アジトで、再び時間逆行装置にかけ、今度は無事、海賊・村井達五郎の記憶を呼び戻すことに成功する。
最初の失敗を教訓に、村井が目を覚ますまでにいかにもそれらしい舞台装置を作り上げ、

ガールズたちも村の娘風のコスプレで接待し、村井のご機嫌を伺う。

最初の、ゼロワンの上目遣いがめっちゃ可愛いのだ。

ゼロワン「あなた様のお名前は?」
村井「知る人ぞ知る、大海賊・村井達五郎じゃ!」
その頃、嵐山たちも、へドリアン女王の企みに気付いていた。
とりあえず、村井達五郎が根城にしていたと言う海神岬を中心に、龍介たちと美佐が捜索を行う。

モニター越しに、ガールズたちに囲まれている村井を見ている北極のヘドリアン女王とヘルサターン。
村井「もっと若くてピチピチした女はおらんのか?」

へドリアン「若くてピチピチした美女……うっひっひっひっ」
案の定、それを聞いたヘドリアン女王が不気味な笑い声を立てる。

へドリアン「うん、やっぱり、この私が出て行かなくちゃダメじゃ! うふふふふ」
ヘルサターン「あの、ピチピチおばさん?」 さっさと日本へ行こうとするヘドリアン女王に、戸惑ったように呼びかけるヘルサターンが爆笑なのである。
考えたら、飯塚昭三さんと曽我町子さんの組み合わせって、めちゃくちゃ豪華だよね。
サンバルカンたちは割と簡単にゼロワンたちのアジトの入り口を発見していた。
まぁ、戦闘員が入り口の周りにたむろしてるからね……。

そこへ、しゃなりしゃなりとやってきたのは、竜宮城のお姫様を気取ったヘドリアン女王であった。
そう言えば、「宇宙刑事ギャバン」で、タイムマシンで過去へ戻り、竜宮城の財宝をゲットしようぜ! と言う、今回のブラックマグマの作戦以上にぶっ飛んだエピソードがあったなぁ。

へドリアン「では、舞をひとさし……」
澄まして舞い始めるヘドリアンの後ろで、ゼロワンが「じんましん」でも出たように気持ち悪そうに首を掻いている。

酒を飲みながら見物している村井が、とろんとした顔になったのを見て、
(ふふふふ、もううっとりしておる……)と、ほくそえむヘドリアン。
だが、村井が、自分ではなく、美佐が化けて忍び込んだ侍女に目を奪われているのを見て、

へドリアン「曲を変えい!」
一瞬で衣装も変わり、情熱のフラメンコダンサーになってしまう。

へドリアン「ハッ! オーレ!」
曽我さん、こういうのをやらせると天下一品だよね。
もっとも、肝心の達五郎は、依然として美佐に心を奪われている様子。
もうここまで来ると、「財宝の隠し場所を吐かせる」と言う本来の目標はどっかへ飛んでいってしまい、意味不明の状況になっている。

で、次には、当時流行のテクノ風BGMで、レオタード姿のへドリアンとガールズたちが一緒に踊るという、爆笑必至のシーンになっている。
以前も書いたけど、この辺はまるっきり「ちゅうかなぱいぱい」などの、不思議コメディシリーズのテイストと同じである。
どうせなら、ゼロワンのレオタード姿をもっとちゃんと見せて欲しかったが……

へドリアン「アッ、ウーッ!」
で、へドリアン女王の衣装が妙に露出度が高くて、目のやり場に困るのである。

村井、ふらふらと立ち上がり、「美しい……」と、陶然とした表情でヘドリアンに歩み……、

寄らずに、その後ろにいる美佐に向かっていくのだった。
へドリアン「あー、ああっ?」
村井は、美佐の手を取り、「お前にならワシの宝を与えたい。行こう、石地蔵へ」と、自分から財宝の隠し場所を明かしてくれる。
これは、冒頭で村井が美佐に言い寄っていたことがさりげない伏線になっているのだ。
二人は手に手をとってアジトの洞窟を出て行く。

ゼロフォー「あの娘は」
ゼロワン「嵐山美佐! タイムモンガー、行けーっ!」
ここでやっと、その侍女の正体に気付いたゼロワン、タイムモンガーを差し向ける。
後は、いつもの戦闘シーンに移行して、事件解決となる。
タイムモンガーが倒されたことで、村井も元の人格に戻る。
問題の財宝も、戦いの後で村井が掘り出すが、箱の中には「仲間に裏切られて宝を持ち去られちゃった」と言う達五郎の手紙が入っているだけだった。
ラスト、村井が心を入れ替えて真面目に働いている姿を映しつつ、幕となる。
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