第34話「ウルトラ6兄弟最後の日!」(1973年11月23日)
33話に続き、ウルトラ兄弟と宿敵テンペラー星人との激闘を描くエピソード。
前回、土壇場の奇策でテンペラー星人を撃破したタロウ、その殊勲を祝して、再びウルトラ兄弟が海辺に集い、景気よくシャンパンの栓を抜く音が連なる。

ハヤタ「タロウが自分ひとりの力で戦い抜いたことを祝って、乾杯しよう」
光太郎「どうもありがとう!」

郷「しかし良くやったな、俺とAはお前を助ける為に何度か飛び出そうとしたんだ」
北斗「だがその度に兄さんたちに止められた。随分冷たい兄貴だと心の中じゃ腹が立ったがなぁ」
光太郎「兄さん、ありがとう、お陰で自信がつきました。俺は今まで兄さんたちを頼り過ぎていたんだ」
ハヤタ「わかってくれればいいんだよ、しかし、これもゾフィー兄さんの思いやりだ」
光太郎「そう言えばゾフィー兄さんは?」
ダン「ああ、テンペラー星人の様子を探りに行ってる。あれくらいで諦めるような奴じゃないってな」
光太郎「そんな心配なんかしなくてもいいのに、もしまたテンペラー星人が現れたら、俺が軽く捻ってやるよ。兄さんたち、もう俺は甘えん坊の末っ子じゃないんですよ」
ハヤタ「自信がつくということは、それを自慢することとは違うと思う……」
光太郎「まぁ、いいから、いいから、ここは俺に任せて、兄さんたちは安心して帰って下さいよ!」

調子に乗り過ぎの感じの光太郎の言葉に、短気なAが「この野郎、その言い草はなんだっ」と食ってかかる。

郷「やめろ、A。タロウ、自分の力を過信してると今に大きな怪我をするぞ」
光太郎「だって、テンペラー星人は俺がひとりでやっつけたんじゃ……」
ダン「タロウ! 言葉を慎め」
光太郎「……」
兄たちから注意され、いかにも不服そうにシャンパンを呷る光太郎。
と、ゾフィーが空を飛びながら、「あれを見ろ、あれは一体なんだ?」と、近くの浜辺で練習しているバレーボールのチーム(残念ながら男ばっかり)を示す。

光太郎「バレーボールのチームじゃないですか、それがどうかしたんですかー」
ハヤタ「お前、ゾフィー兄さんの言ってる意味が分からんのか」
ダン「タロウ、スポーツのチームに一番必要なものはなんだ? ひとりひとりのトレーニング、美しい技、
負けじ魂、そして根性、それらも勿論大切だ。しかしチームにとって一番大切なのはチームワークじゃないか?」
全員(負けじ魂ってなんだよ……) 年長者たちが噛んで含めるように光太郎を諭す。
スポーツをたとえに使うとは、いかにも男どアホウの佐々木守氏らしい脚本である(佐々木氏が参加したのはこの33話と34話だけ)。
光太郎「分かったよー、ZATのメンバーのひとりとして早く本部へ帰れってんだろ? 帰るよ! だけどまぁ、地球のことは俺に任せといてよ、ね、じゃあ!」
光太郎、いつもの光太郎とは程遠い不貞腐れた態度(過去のエピソードと比べると違和感ありあり)で、その場を立ち去る。
北斗「くそぉー、あんにゃろう、ぶん殴ってやる!」 郷「おい、よせ」
光太郎も光太郎だが、北斗の瞬間湯沸かし器ぶりも、矯正の必要がありそうだ……。
ゾフィーは、まだテンペラー星人は全滅していないと告げ、ハヤタたちに警戒を促す。

それを知らない光太郎、車でZAT本部へ向かいながら、
「兄さんたちは俺を嫉妬してるんだ、ひとりでテンペラー星人をやっつけた俺が、羨ましくてならないんだ、だからあんなことを……」
ハヤタたちの忠告の意味が、全く分かってない様子だった。

が、その思い上がりに対する天罰のように、突然、倒した筈のテンペラー星人の宇宙船が目の前に現れ、いきなりビームを撃って光太郎の車を破壊する。
光太郎、咄嗟に空中へ飛び上がって無事だったが、

続いて現れたテンペラー星人の特殊な光線を浴び、

その正体がウルトラマンタロウだと言うことを見抜かれてしまう。
テンペラー「ひっひっひっひっ、ウルトラマンタロウ、見事人間に姿を変えていても、我々の特殊スペクトル光線で見ればすぐ分かる。ウルトラの国から来た奴は、地球の人間とは影の出方が違うのだ」
タロウ「くそう」
テンペラー「末っ子の甘えん坊などどうでもよいわ、我々の狙いはウルトラ兄弟だ!」
今回も、あくまでタロウ以外のウルトラ戦士と戦うことに固執するテンペラー星人。
でも、前回、仲間のひとりがその末っ子の甘えん坊に倒されてるんだけどね……。
テンペラー星人は光太郎など眼中にないといった様子で、さっさと空を飛んで何処かへ行ってしまう。
光太郎「奴はほんとは俺が怖いんだな、そうだろ? 俺は俺一人の力で奴らの仲間をやっつけたんだ、テンペラー星人め、俺を怖がって逃げやがったか?」
一方、ハヤタたちは再び荒垣隊長以下、ZATの隊員(と大谷博士)の体を借りようとしていた。

北斗「増長してるタロウをガンッとやっつけて思い知らせてやるって訳ですね」
ハヤタ「違う、タロウの為じゃない、
地球の人たちを守る為だ」
ダン「今に、タロウも思い知る時が来る。それは口で言ってもダメだ」
ハヤタ、立派なこと言ってますが、テンペラー星人は別に地球を侵略に来た訳ではなく、あくまでウルトラ兄弟とウルトラの国を滅ぼすのが目的なので、なんか本末転倒な発言のような気がするのである。
とにかく、33話と同じ組み合わせで、ハヤタたちがウルトラマンに変身し、新垣たちの体に入り込む。
ゾフィー→大谷博士
荒垣→ハヤタ
北島→ダン
南原→郷
上野→北斗
その後、再び東京にテンペラー星人が出現する。

光太郎に少し遅れて、荒垣たちがZAT本部へ戻ってくる。
荒垣「直ちに出動!」
光太郎「遅いですよ、みんな……」
全員「えっ?」
光太郎「とにかく俺は先に行きますから!」
光太郎の思い上がりは、ZAT隊員としても目に余るほどに膨れ上がっていた。

荒垣たちは、ウルトラ戦士としての会話を、森山隊員に気付かれないようにこそこそ交わす。
北島「まずいな、あんな態度をとり続けると」
荒垣「ZATの規律が乱れてしまう」
大谷「そのうち気付く時が来るだろう、もしいつまでもタロウがあんな態度を取り続ければ、もうタロウはウルトラ兄弟ではない。タロウのことより、今はテンペラー星人から地球を守るほうが先だ」
……いや、だから、テンペラー星人が狙ってるのはあんたたちなんだってば。

光太郎は、ひとりウルフに乗ってテンペラー星人に接近し、その足の間を行ったり来たりして、テンペラー星人を混乱させようとする。
うーん、それこそ、今の光太郎だったらすぐタロウに変身して、再びテンペラー星人をひとりで倒そうとすると思うんだけどね。人間の姿のままでは、どう逆立ちしたってテンペラー星人に勝てる訳がないのだから。
やがて、荒垣たちがホエール、コンドルでやってくるが、テンペラー星人の足元の光太郎が邪魔で、攻撃が出来ない。

荒垣「東隊員、攻撃の邪魔だ、テンペラー星人から離れろ」
光太郎「何言ってるんですか、後少しです、まぁ、見てて下さいよ」
北島「東隊員、君一人で戦ってるんじゃない、どきたまえ」
光太郎「北島さん、テンペラー星人は任せといて下さい、そっちこそ邪魔ですよ」
大谷「仕方のない奴だ……」
彼らの正体を明かす訳には行かないので、あくまでZAT隊員として光太郎に指示するが、光太郎はまったく従おうとしない。
結局、戦闘機は何も出来ないままテンペラー星人に叩き落されてしまう。
その後も光太郎はちょこまかとテンペラー星人の周りを走り回り、さすがのテンペラー星人も目が回って、宇宙船に引き揚げる。

テンペラー「ああー、あー、一体、ウルトラ兄弟たちは何処へ行ったんだ」
疲れ切った様子で、宇宙船の床にべったり座り込むテンペラー星人。
何故か、33話に出てきた不気味な猿の人形は34話になるといなくなっている。
テンペラー星人は、宇宙船のモニターで、光太郎の動きをマークすればウルトラ兄弟の所在が分かるかもしれないと、光太郎に注目する。

テンペラー「あの女は?」
そして早速、まるで奥さんのように光太郎を送り出すさおりの存在に気付く。

で、ここからしばらくサービスタイムになります。
ランラララン~♪と鼻歌交じりで洗い物をしているさおりさん。

その背後から、ぶよぶよした毛だらけの蜘蛛のような生き物がゆっくりと近付いてくる。

これは市販のゴム製のおもちゃを加工して使ってるんだと思うが、なかなか気持ち悪い。

何も知らずに主婦しているさおりさんと、

徐々に大きくなる蜘蛛の姿とを細かいカットバックで描くのが、サスペンスを盛り上げている。
そして、遂にさおりの足首に絡みつく蜘蛛。

さおり「はっ……」
さおりはびっくりしてそれを振り払うが、逃げる暇もなく赤いガスを吹き付けられ、その場に意識を失って倒れてしまう。

で、仰向けになったさおりの胸に、もぞもぞと蜘蛛が這い上がって、

さおりの胸のふくらみにぴったりと密着するのが、かなりのエロさなのである!
テンペラー星人の声「かわいそうだが、この体を貸して貰うぞ!」

テンペラー星人にのっとられたさおりは、立ち上がると、テンペラー星人の声で不気味に笑う。
後編に続く。