第34話「日本危うし!ガマギラーの侵入」(1971年11月20日)
山奥の、水力発電所の施設の一部のような建物の前の路上で、ルパシカを着た中年男性が人待ち顔で立っている。折口犯罪研究所の所長・折口である。

やがて、折口の待っていた人物……意外にも、一文字隼人がバイクに乗ってやってくる。
折口「失礼、一文字隼人さんですな」
隼人「え、どうして僕を?」
折口「あなた、つまり仮面ライダーに協力して頂きたいことがありまして」
隼人「!」
いきなり、隼人の正体を口にする折口。
「仮面ライダー」のみならず、昭和ライダーシリーズを通して、何の前ふりもなく主人公がその正体を一般人に指摘されるなどと言うシーンはこれだけではあるまいか?

折口「知ってるんですよ、ショッカーのことも……さすがでしょう?」
隼人「はぁ……」
自慢げに言う折口に対し、憮然とした顔になる隼人。
(番組的に)この場で蹴り殺すべきかどうか、迷っていたのだろう。
折口「いや、ショッカーの悪事を調べているうちに、奴らが大変な計画を実行しようとしていることを突き止めたんです……どうもどっからか狙われてるような気がしますんでね」
事実、既に敷地を囲うフェンスの向こうに、怪人ガマギラーがその醜い体を潜ませて彼らの様子を窺っていた。
折口は、娘のルミ子と一緒に、隼人を地下にある研究所に案内する。
……しかし、てっきり折口が匿名で隼人に手紙か電話でもして、隼人をここへ呼び出したのかと思ったが、この様子では、偶然、隼人が通り掛かった感じである。
それにしては、折口には隼人がその時刻にここを通ることが分かっていたらしいが……?

ゾル「黒部渓谷のこのあたりは日本でも一番弱いところ、東西の地質が大きく変わっている。そこへ我がショッカーが
核爆発を起こし、真っ二つに割ってしまう」

ゾル「その大混乱に乗じ、日本を乗っ取る計画は着々と進んでいる……特殊な核爆弾も今日本国から秘密飛行場に着く筈だ」
アジトで、地図を示しながら作戦について説明しているゾル大佐。無論、視聴者に、である。
しかし、ショッカーの作戦ではちょくちょく見られる「○○で混乱している隙に日本をそっくり頂いちゃおうぜ!」パターンだが、今回狙うのは、何と「核爆発で日本が真っ二つになっている隙」である。
いや、ショッカーだって、日本が真っ二つと言う未曾有の大混乱の中では、まともに活動できないと思うんだけどね……。
そもそも、自前で核爆弾を用意できるのなら、さっさと東京へ落とせばいいのである。
で、その計画を何らかの方法で折口が知った為、ゾル大佐はガマギラーに折口の娘を誘拐して来いと命じたのにまだ誘拐して来ないのでえらいお冠であった。
首領「ガマギラー、お前の神経ガスを試してみよ」
話の流れを無視してガマギラーに命じる首領。

連れてこられた男性は、ガマギラーの神経ガスを浴びて「ひーっひひひひひっ、ひひ、ひ、はは……えへ、あははははは……」と、完全にパッパラパーになってしまう。
ゾル「ふふ、こうなった男の言うことなど誰にも信じて貰えない筈……」
折口を同じような状態にしようと言うのが彼らの狙いらしい……が、そもそも神経ガスを浴びせる機会があったら、そんな七面倒なことしないで(しつこいようだが、第27話に出てきたショッカーの誇る優秀な)銃で撃ち殺してしまえばいいのでは?
それ以前に、「ショッカーが核爆弾で日本を真っ二つにしようとしてます!」などと言って、誰が信じてくれるのだろう?

あらためて、ガマギラーとその頼もしい部下たちが研究所の正面入り口に集結する。

ガマ「よし、かかれ」
戦闘員「……イイイイーッ!」
戦闘員のひとりが何も考えずにフェンスに触るが、防犯の為、高圧電流が流れていたようで、あわれ、戦闘員は煙を出しながら天に召される。
さらに、門柱の彫像の目が光り、

折口の声「前以て私に連絡のない方はお通ししないことになっておる。お帰り下さい。なお、写真を取らせて頂いたからそのつもりで」
どのつもりで? などと聞き返してはいけないのである。
しかし、この過剰な防犯設備、ショッカーじゃなく、NHKの集金人とかが何も知らずにやって来てフェンスに触ったら、完全な人殺しになりそうな気がするんですが?
……ま、いっか、NHKの集金人だったら。

ガマ「くそう、やはり警戒が厳重だ。ようし、裏へ回れ!」
戦闘員「……」
「そのまま飛び越せばいいんじゃないんすかー?」と軽い感じで指摘したいのは山々であったが、ガマギラーの逆鱗に触れてさっきの男のようにパッパラパーにされてはたまらないので、大人しく従う戦闘員たちであった。

研究所の奥まった一室で、折口と隼人が向かい合っている。
折口「これ(ガマギラーの写真)を見てください。もう、屋敷の周りをうろついてる証拠です」
隼人「お嬢さんは?」
折口「うちのお手伝いが庭で遊ばせてる筈です。庭には誰も入れませんから、外に出ない限りは大丈夫です」

庭で、バドミントンをしているルミ子とお手伝いの女性。
この頃は、猫も杓子もミニスカなのが嬉しいよね。

で、このお手伝いさん、なかなか綺麗なのである。
だが、遊んでいるうちにラケットがフェンスを越えて外の茂みに落ち、それを取りにルミ子がフェンスを越えてしまう。
……って、普通にルミ子がフェンスに触っとるやないかいっ!
高圧電流が流れてるんじゃなかったの?
これなら、ショッカーだって外から自由に入れたような気が、めちゃくちゃするんですが。
その前に、ルミ子かお手伝いが、電流のスイッチを切るシーンを挟んどけば済むことなのにね。
で、ルミ子はラケットを探しているところを、あっさり戦闘員に見付かり、連れ去られてしまう。

一方、こちらはレーシングクラブ。
五郎がひとりでいるところへ、マリたちが入ってくる。
ユリ「あら、五郎ちゃんいたのー」
マリ「うん、どうしよう」
五郎「また、困っちゃ~うなぁ、だろ?」
マリ「うふ、実はそうなの。ないんだなぁ、あんたのぶん」
ひろみ「悪かったわね」
ユリ「ちょっと前までは一番先に五郎ちゃんに上げてたんだけどさぁ、もう僕も大きくなったことだし……」
マリたちはアイスクリームが三人分しかないので、ちょっと困った顔をする。
なお、もういなくなった筈のひろみちゃんが再び登場しているが、これは、このエピソードが実際にはもっと前、ゾル大佐登場と同じ頃に制作されているからである。
だから、ひろみちゃんはこのシーンがほんとのほんとに最後の出番となる訳である。

五郎、ケースの中から飼っているガマガエルを取り出すと、マリの顔に近付ける。
思わず悲鳴を上げて立ち上がるマリとユリ。

五郎「ほらほら、つけちゃうぞー」

カエルが苦手な女子たちは、五郎に追いかけられて脱兎の如く逃げ去ってしまう。

五郎はそれから、ゆっくりとソファに腰掛けると、マリたちのアイスをばくばく食べるのでした。
……手ぇ、洗えよ。 
マリたちはおやっさんと滝に「言いつける」が、二人は五郎を叱るどころか、五郎と一緒にアイスを食べ出す始末。
ユリ「二人とも、どっちの味方?」
マリ「それ、私たちが買ったのよ」
ひろみ「後で返して貰いますからね!」 この色気のない台詞が、ひろみちゃんの最後の台詞となってしまった。
電話が鳴る。マリが荒っぽい手付きで受話器を取る。

マリ「滝君、電話!」
滝「誰から?」
マリ「そんなこと自分で聞けばいいでしょ」
滝「食い物の恨みは恐ろしいね」
マリが滝のことを君付けで呼ぶのは珍しい。どう考えても滝の方が年上だと思うが。

マリの怒りは収まらず、電話に出ようとそばに来た滝のアイスを叩き落してしまう。

山本リンダさんの胸、最高です!
滝「隼人か、何、カエルの怪人が出た?」
滝の言葉に、ユリたちの間にたちまち緊張が走る。

その隼人は、娘をさらわれて落ち込んでいる折口をしきりに励ましていた。
隼人「しっかりして下さい、ショッカーの目的はこのファイルです。これとルミ子さんの命を交換しようと必ず申し出て来るはずです」
折口「折角証人を用意して、全世界にショッカーの悪を訴えようとしていたのに……」
その証人はうら若き女性で、アンデス山中でショッカーに襲われた4人の探検隊の生き残りだと言う。
折口「しかもその人は日本列島分断計画を首領の口から聞いたらしいんです」
隼人「首領の口から? するとこの人は首領に会ったんですか」
折口「ええ、しかしそれから記憶を失い、首領を見たような気がすると言うことしか分からんのです。だが、彼女の記憶を何とかしてこの
脳波スクリーンに映し出せれば!」
だいたい、この折口って言う人、何者なの?
劇中では一切説明がないんだが、多分、暇を持て余した金持ちが道楽でやってるんだろうが。

だがその頃、その女性、絹子は、自分の部屋でガマギラーに襲われている最中だった。
いかにもカツラっぽいパツキンの絹子を演じるのは、5話にもゲスト出演している水上竜子さん。
当然、彼女もミニスカで、ピンク色の布団の上にたぷたぷ尻餅をついて、思わずパンツが見えそうになるところがグッドです。
水上竜子さんと聞いて、反射的に思い浮かぶのは、

「ウルトラセブン」の「マックス号応答せよ」に出てきたアダルティな女性であるが、ここではあくまで怪人を見てキャーキャー怯えまくる可憐な女性を演じておられて、そのギャップに萌えるのである。

そこへいきなり現れたのは滝。
ここも説明不足で一瞬、はてな? と思ってしまうのだが、さっきの電話で隼人が滝に絹子の居場所を知らせて、保護を依頼したのだろう。
しかし、電話があったのは隼人が絹子のことを教えられる前だったけど……。
今回は、30話と同じく、ツッコミどころが多くていつもの2倍疲れるのである。

戦闘員から逃れつつ、木製の階段を危なっかしい足取りで降りる絹子さん。
割と大きな胸がゆさゆさ揺れて、なんとなく成人男性視聴者の頬が緩むシーンである。

だが、草原に逃げ込んだ絹子の前に、ガマギラーが立ち塞がる。
絹子「助けてえ!」

胸元を両手で押さえて、スクリームしまくりの絹子さんが可愛いのである!
そこへ、隼人が後ろにユリを乗せてバイクでやってくる。
いちいち細かいことだが、これも、いつの間にユリが隼人と合流したのだろう、と、つい考えてしまう。

そして、ユリがバイクから降りる際に、待望のパン チラが炸裂する。
もっとも、キャプではあまりよく見えないけどね。
隼人は二人を行かせてから、ライダーに変身する。
ガマギラーは軽くライダーと戦ってから、退却する。
後編に続く。