「スクール☆ウォーズ」 第7話「嵐の新学期」 その2

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　第7話「嵐の新学期」（1984年11月17日）
　の続きです。

　ＯＰ後、川浜高校名物・職員会議が開かれている。大木の暴力行為について、である。

　
　教頭「入学初日に傷害事件を起こすなんて、そんな生徒は前代未聞です！　退学処分にすべきです！」
　滝沢「いや、しかし……喧嘩を売ったのは沢の方でした、大木だけが悪いとは」

　いつものように強硬意見を唱える教頭に、いつものように滝沢が穏便な処置を願う、いつもの図式になる。

　滝沢は「大木は根っからのワルではない」と、まだろくに話もしていない生徒の本質を見抜いたようなことを言い、つとめて弁護する。議論百出となるが、これもいつものパターンで、校長が「後日日を改めて決定することにしませんか」と言うことで、その場は収まる。

　入学式の様子はすべてカットされ、その夜の、ラグビー部の新入部員歓迎パーティーのシーンに移る。

　
　で、例によってその場所は新楽であった。

　お前ら、他に行くとこないんか？
　（「不良少女～」のレビューでも似たような突っ込みしてたな……）

　
　1年目は、不良と光男以外の名前もろくに出てこなかったが、2年目からはさすがに顔と名前の一致するキャラが出てくる。

　その中でも、星（武藤大助）はラグビーの名門中学出身と言う、期待の星であった（あ、シャレだ）。

　ちなみに武藤さんも、「セーラー服反逆同盟」にゲスト出演している。後半に出てくる宮田州さんもね。

　キャプテンの玉川からスピーチを頼まれる滝沢だったが、さすがに生徒たちのハートをがっちり掴んでいるだけあり、「腹空いてるだろうから、先に食べよう」と、下田夫妻に料理を出して貰う。

　夕子は料理を並べた後で、「せやけどあんたら泥んこになるだけでなんにもならへんラグビーなんかようやる気になりまんな」とつぶやいて厨房へ下がる。

　
　それを引き取る形で、滝沢が立ち上がって話し始める。
　滝沢「今、お姉さんがなんにもならないと言ったが、そりゃほんとだ。つまりラグビーをやったからと言って、立派な大学に入れる訳でもないし、出世や金儲けが出来る訳でもない。俺は長い間ラグビーをやってきたが、形に残ったものは僅かな記念の品だけだ」

　のっけから、部員たちのやる気を萎えさせるようなことを言い出す滝沢。

　でも、社会人ラグビー部員として、企業に就職する、と言うパターンはあると思うのだが？
　まぁ、あくまで滝沢は、日本代表や社会人プレーヤーとして活躍できるごく一握りの選手以外の部員たちのことを念頭において話しているのだろう。

　滝沢「だが、かけがえのないものが残った。それは友情だ！　共にボールを追った仲間との、あるいは全力を尽くして戦った相手との生涯にわたって続く友情だ！　友情だけは億の金を積んだとしてもデパートで売ってくれるだろうか？　友情は初めからあるものじゃない、育てるものだ、作り上げるものだ。共に苦労し、喜びも、悲しみも分かち合ってお互いをいたわりあう心が生まれて来るんだ。俺はその素晴らしい夢をラグビーのボールを通して、お前たちと一緒に追って行きたい、これが俺の監督としての方針だ」

　あ、いつの間にか滝沢、監督になっちゃってる。

　前回、前任者（嘱託）と争ってでも……と言っていたから、そういうややこしい展開を期待していたのだが、いつの間にか「なかったこと」にされちゃったらしい。

　結局、幻の嘱託監督は一度も出ないまま……だっけ？

　それにしても、真顔で「ラグビーで得られるものは友情だ！」とか言う監督のいるラグビー部って、ヤだよね。友情をはぐくむのが目的だったら、別にラグビーじゃなくてもいいじゃんってことになりそうで……。

　あと、友情友情って言う割に、滝沢のところをラグビー時代の友人が訪ねてくるってシーン、一度もなかったような気がするんですが……。

　
　それはともかく、みんなで乾杯した後、滝沢は店の入り口に立っている小柄な少年に気付いて声をかける。
　イソップであった。

　滝沢「君、何か用か」
　加代「あ、その子、私が部員の勧誘を頼んだんです。誰かいた？」
　イソップ「僕、奥寺浩って言います、先生、ラグビー部に入れて下さい」
　滝沢「うん……」

　単刀直入に言われた滝沢、イソップの体を眺めて咄嗟に返事に困る。

　
　その気持ちを代弁するように、生徒のひとり（名前わからん）が「骨と皮じゃねえかよ、スープの出汁になりゃしねえ」と、ズケズケ言う。

　夕子「失礼やないか、アホタン！」
　と、すぐさま夕子に頭を殴られ、この後、生徒はパンチドランカーになったそうです。合掌。

　滝沢「どうしてラグビーやりたいんだ？」
　イソップ「僕、小さい時病気をして（中略）僕、自分の弱さを乗り越えたいんです！」

　
　翌日、滝沢は新入部員たちの運動能力のテストを行い、イソップの入部の可否はその結果で決めることにする。

　が、イソップの体力のなさは想像以上で、懸垂も腹筋も腕立て伏せも一回も出来ず、走力・敏捷性は小学校低学年レベル、腕相撲でも加代に負けてしまう。

　しかし、さすがに腕立てが一回もできないって……アイドルの女の子じゃないんだから。

　
　その日の晩御飯で、滝沢はイソップのことを節子に話す。

　イソップというあだ名は、イソップ物語の「アリとキリギリス」のやせっぽっちのキリギリスから来ているらしい。

　滝沢「でも分からん、川浜一のワルって言われてる大木って子と、そのイソップと中学時代から友達らしいんだよ……一匹狼を気取ってる大木が」

　
　節子「川浜一のワルってどんな子なの」
　滝沢「いやっ、うん……」

　妻に余計な心配をさせてはいけないと、滝沢は言葉を濁す。

　翌日、節子は甘利先生に会い、大木のことを教えて貰う。
　甘利先生は、特製の大木大介スクラップブックを見せながら、説明する。

　
　甘利「学校へ来ることは来るんですが、従業はろくに受けないし、担任の僕にも一度も口を利きません。まぁ、それは他の生徒も一緒ですがね」

　甘利先生、別に大木に暴力を振るわれたことはないのだが、その扱いにほとほと手を焼いている様子だった。

　しかし、節子さん、実は夫の心配をしているどころではなかったのだ。

　
　節子が連れて来ていた（？）ゆかりが、チンドン屋のあとについて行き、信号が赤になっているのに気付かず、横断歩道の真ん中で立ち往生してトラックに轢かれそうになっていたのだ。

　本来なら、ゆかりがはねられて即死、滝沢と節子もそれが原因で離婚……、滝沢はラグビー部どころではなくなる……と言う悲惨過ぎる展開になっていた訳で、ある意味、川浜ラグビー部最大のピンチであったが、

　
　たまたま、パチンコ屋から出てきた朝男……じゃなかった、大木がそれに気付き、ためらわずダッシュ！

　
　ゆかりを抱き上げて、寸前でその命を救ったのだった。

　……いかにもドラマですな。

　
　大木はゆかりを抱いたまま新楽へ。

　節子「ほんとにありがとうございました、あなた、川浜高校の生徒さんね」
　大木「……」
　節子「あ、あの、お名前は？」

　大木、割とシャイなのか、一言も言わずに店を出て行く。

　節子「あんな親切な生徒さんばっかりだと主人も楽なんですけど」
　夕子「ほんまでんなぁ」

　節子、それが滝沢の言う「川浜一のワル」本人だとは夢にも知らず、そんな述懐を漏らす。

　
　夕子「ワルと言われてるような生徒は今にろくな死に方しませんわ」
　下田「おい、俺殺してえのか」
　夕子「あ、かんにんーっ！　奥さんね、うちの人、昔はね、関東一のワル言われた生徒だったんですよ」
　節子「……」
　下田「本当です、随分馬鹿な真似もしました。ただ奥さん、こういう記事で警察や校長や評論家の意見は読んだことがあっても肝心の生徒の言い分が載ってるのを、一度でも見たことがありますか？」

　下田は、ワルと言われている生徒も同じ人間なんだと、我がことのように切々と訴える。

　節子（私に言われても……）

　その3へ続く。