第41話「あぶない時間泥棒」(1988年7月24日)
遂にこのエピソードを再び紹介する時が来たかと、管理人はひとりで勝手に感慨に耽っております。
と言うのも、この「あぶない時間泥棒」こそ、管理人が今毎日のようにやっている、キャブ画像を使って昔の特撮ドラマについて突っ込みながらレビューすると言うネタを書いた最初のエピソードだからなのであります。
もっとも、それは以前やっていたブログに書いたもので、既にそのブログも、記事も、とある事情で失われ、今となっては自分でもどんなことを書いたか詳しくは覚えてないのだが、ストーリー紹介と言うより、突っ込みどころだけをいくつか指摘した、実にいい加減なレビューだったことだけは良く覚えている。
当時のブログは、読者数も極めて少なかったから、現在の読者さんの中で、その記事を知っている人は恐らくいないと思いますが……。
とにかく、新しいブログでまたこのストーリーを紹介することが出来る喜びに、管理人は尻が震える思いなのです。
っと、その前に、スルーした39話と40話について少しだけ触れておきます。
39話「アイドルの毒牙」 ゴルゴムの息のかかった人気アイドル・大井裕子が、退屈な人生を送っている若者たちを虜にして、社会的混乱を巻き起こそうと言う、ありがちなプロット(作戦)である。
ただ、その肝心のアイドルと言うのが、

こんな↑顔だったので、管理人のモチベーションは一気に垂直落下するのであった。
もっと他に……いただろう!(魂の叫び)

テレビをそれを見ている克美さんや杏子ちゃんの方がよっぽど可愛いっての。
第40話「カラテ名人の秘密」 山にこもって、自分をカラテ名人だと慕う少年と一緒に修行している老人(石橋雅史)には、ある過去が隠されていたという、心の底からどうでもいい話。

キャスト、アクション、音楽、ビジュアル、すべて一流なのに、肝心の脚本がつまらないとレビューする気にもなれない凡作になると言う見本である。
いや、「BLACK」って、そう言うエピソードがやたら多いよね。好きな作品なんだけど、その辺が惜しいと思う。
前置きはそれくらいにして、41話である。
バイクで住宅街を走っている光太郎の眼前で、二人の子供が何か争いごとをしていて、それを克美さんと杏子ちゃんが必死にやめさせようとしている光景が繰り広げられる。

状況は良く分からなかったが、守と言う少年が、もう一方の子供の粘土細工(父親をモデルにしたもの)を地面に叩きつけて壊してしまう。
光太郎、逃げようとする守をつかまえ、
「君ぃ、なんてことするんだ、謝れ!」と、いつになく厳しい顔になる。
が、守は光太郎の手をすり抜けて、そのまま逃走してしまう。
克美「待って、光太郎さん、あの子には事情があるの!」
克美の言う「事情」とは、彼らとも深く関わりのあることだった。
以前、ダロムたち大怪人が、街へ繰り出して新生ゴルゴムのデモンストレーションを敢行したことがあったが、その時、守の父親が巻き込まれて、バラオムの電撃を浴びて殺されてしまったと言うのだ。

克美「お父さんを殺された、その悲しさと悔しさをあんな形で紛らわせようとしているのよ」
杏子「光太郎さん、守君を、あの子をあんな風にしてしまったのは……」
光太郎「やめろ! 僕たちだけじゃない、ゴルゴムの為に苦しみ、涙している人たちがたくさんいるんだ。そのことを忘れちゃいけない!」
冒頭から深刻なムードが漂う。
守の父の死の責任を突き詰めれば、最後には彼らの一番親しい人間だった信彦ことシャドームーンに行き着いてしまう。三人にとっては、それが何よりつらいのだ。
その後も守少年は街をうろついては、幸せそうな親子を見掛けると陰湿ないたずらをしてその憂さを晴らしていた。

守の蹴った空き缶が、空中で何かにぶつかり、その拍子に二人の人間が忽然と降って来る。
ピース「ここはどこだーっ」
ホープ「わかんねえーっ」
二人は戦国時代の足軽のような格好をしていて、ひとりは蓋にコブラの飾りのある箱を抱えていた。
いきなり芸名で書いてしまったが、そう、演じているのは一時絶大な人気を誇った笑いコンビ「ゆーとぴあ」のお二人である。
一応、太一、万作と言う役名があるのだが、わかりやすいから以降も芸名で書く。
その場にいたサラリーマンやOLが、二人を囲んで大騒ぎする。
二人は慌てて物陰に身を隠すと、箱の中にある複雑な機械を操作する。
その様子を、守少年が密かに見ているとも知らず……。

と、その場所に突然雨が降り出す。
OLたちは慌てて雨を避けて建物の下に駆け込む。

二人「ぎゃはははははっ」

続けて操作すると、今度は雪が舞い始める。
一見、気象コントロール装置のようであったが、もう一度彼らが機械をいじると、

にわかに空が暗くなり、

OLたちの服装がパッと変わる。
エアロビの格好をしているものや、シェービングクリームを塗っているものなど、様々であった。
OL「これ、今朝の私の格好だわ!」
サラリーマン「俺もだよ!」
そう、それは気象コントロール装置ではなく、時間を操ることの出来る装置だったのだ。
広場の時計がめちゃくちゃに回転しているのを見て、驚きの声を上げる人々。
彼らの腕時計も同様にめちゃくちゃな動きを示し、パニック状態に陥る。
しかもそれは局所的な現象にとどまらず、混乱は日本全体、いや、恐らくは世界全体に広がっていく。

事件の原因を突き止めようと奔走する光太郎だったが、

彼もまた、昼から夜へ一瞬で変わる時空の異変を経験する。
無論、これは、昼と夜に別々に撮った映像をつないでいるのだ。

再び、住宅地の広場に落ちてくる二人。

と、何処から湧いたのか、あっという間に野次馬が集まってくる。
ダニか、お前らは…… 最初、彼らは二人の変てこな格好を見て哄笑していたが、

何故か急に怯えた表情になって一目散に逃げ出してしまう。
それを見て、当の足軽たちも「あん?」と驚いているくらいなのだが、結局彼らが何に怯えていたのか、最後まで不明のままだった。
足軽たちの背後に何か怖いもの、たとえば今回の怪人、コブラ怪人でも立っていた……と言うのなら分かるんだけどね。
そこへ守少年がやってきて話しかける。
守「おじさん、それタイムマシンでしょ? 僕も一緒に連れてってよ! お父さんに会いたいんだ」

ピース「なんだとぉ」
ホープ「そんなことできるわけないだろう」
守「嫌なら喋ってやる! みんなに教えてやるよ、時間を狂わせているのはこの二人だって!」
守に脅しをかけられた二人は、守を捕まえて何処かへ連れて行く。
バイクで通りがかった光太郎、彼らを追いかける。

光太郎「貴様ら、ゴルゴムかーっ? 待てーっ!」
ピース「過去へ戻れーっ!」
走りながら機械を操作するが、操作を誤ったようで、一瞬で夜になる。

もう一度機械を動かすと、空中にタイムホールのようなものが出現するが、そこから落ち武者のような武士が出てくる。

しかも、こちらは見るからにシャレの通じない世界の人のようであった。
彼は問答無用で光太郎に斬りかかる。
ピースが三度目の正直で、やっと過去へつながるタイムホールを作り出すと、二人は守を連れてその中へ飛び込む。

落ち武者は、ひとしきり戦った後、コブラ怪人に姿を変える。
光太郎もBLACKに変身して戦う。
その戦いの最中、ホープが現れて、コブラ怪人の背中に槍を一突きし、すぐまだタイムホールへ戻る。
ピース「なんだってあんなことを? むちゃくちゃじゃねえかよ」
ホープ「使われてるだけじゃねえってことを見せたまでよ、あのバケモンに」
ピース「でもよ、下手に怒らせて俺たち帰れなくなったらどうすんのよ」
ホープ「いいじゃねえかよ、あんな、戦で食うものもろくにねえところなんか」
彼らは戦国時代の足軽で、何故かコブラ怪人にスカウトされ、機械を操作しているらしい。
……しかし、なんでわざわざ第三者に大事なタイムマシンを預けているのか、どうもゴルゴムの考えが理解できない。
時間の渦に翻弄されるホープとピースに挟まれて、めまぐるしく変化する様々な時代の事象(主に絵)に目を奪われていた守だったが、ふと、殺される直前の父親の姿を眼にする。
守「お父さん、そこにいちゃだめだーっ! お父さん!」
ホープ「馬鹿、暴れるな、下手に落ち込んだらな、二度と戻れなくなるぞ!」
守「お父さん、逃げてーっ!」
必死に呼びかける守だったが、無論、その声は父親には届かず、父親がバラオムに無残に殺される場面を再び見せ付けられることになる。

二人も、むせび泣く守を見て、思わず貰い泣きをする。
ゴルゴムの手先として使われている二人だが、基本的に悪い人間ではないらしい。
だが、そこへいきなりコブラ怪人が飛んできて、二人の首を締め上げる。
二人は仕方なく、またタイムマシンを使って騒動を起こす仕事に戻る。
……あの、なんでコブラ怪人は自分でマシンを操作しようとしないのだろう?
さっき、落ち武者に化けていたのだから、目立たないよう人間の姿になってマシンをいじることだって出来た筈だ。この辺が、今回のシナリオの大きな穴である。
後編に続く。