第41話「あぶない時間泥棒」(1988年7月24日)
の続きです。
再び現代のオフィス街に現れた二人、タイムマシンをいじって好き放題ないたずらを仕掛ける。

まず、タクシーを、

大正時代の人力車とはいからさんに変える。

続いて、大きなジェラルミンケースを抱えて走って逃げている強盗(いねーよ、そんな奴)と、それを走って追いかけている警官たちを、

江戸時代の(と言うか時代劇の)泥棒と岡引にチェンジ。

さらに、歩道橋の上を談笑しながら歩いているOLとサラリーマンを、

子供に変えてしまう。
もっとも、よく見ると、明らかに女の子たちのほうが男の子たちより年上なのである。
ほんとは、どちらも同じ世代の子供で統一したかったのだろうが、あいにく、女の子に着せる小さな制服がなかったので、こういうアンバランスな組み合わせで妥協したのだろう。小さな女の子にぶかぶかの制服を着せて歩かせるのもちょっと難しいからね。
調子に乗った二人、最後は、

全ての人間を止めてしまう(人力方式)。
ナレーター(40話から正宗一成さん)によると、根本的に体組成メカニズムの異なる改造人間である光太郎だけは、タイムマシンの影響から逃れられているのだと言う。
街路樹の葉っぱも揺れてますが……。

光太郎、キャピトラに行って見るが、当然、二人も時間の流れが止まっていた。
こんな時に、すぐいやらしいことをしようなどと考える人間に、ヒーローになる資格はないのである。

シャドームーン「時は今、人間どもの感覚を遥かに越えたスピードで流れている。のろまな人間どもは最早ついてはいけぬ。つまりは静止するしかないのだ」
ダロム「素晴らしい。さすがはシャドームーン様、直々の作戦」
バラオム「時間の流れを操る、コブラ怪人の能力を最大限に利用しておられる」
ビシュム「このまま一気に仮面ライダーめの首も!」
三大怪人、シャドームーンをひたすら持ち上げて気持ち良くさせる。
しかし、コブラ怪人のその能力、もっと早く有効利用していれば……と思うのは管理人だけではあるまい。

光太郎、二人を見付けて飛び掛り、一緒にタイムホールに吸い込まれる。
光太郎「待て」
ピース「助けてくれ」
ホープ「俺たち、あの化け物に脅かされて仕方なくこれ持たされて……勘弁してくれ」
と、ふと光太郎が目を向けると、礼服姿の信彦が、人待ち顔で広場に立っているではないか。

信彦「光太郎、全く、どこ行っちゃったんだよ。誕生日のパーティーに主役が欠けちゃ話にならないじゃないか」
おおっ、実に久しぶりの信彦(堀内孝人)の長台詞!
それはまさに、あの運命の誕生日パーティーに向かう前の信彦だった。
光太郎「もしも、あの誕生パーティーに行かなかったら……ようし」
光太郎は二人の制止を振り切って、
根性で信彦の前に飛び降りる。
……そんなことが可能なら、ゴルゴムだって、洗脳前の光太郎がスガカンによって逃亡させられた過去も、改変できたのではないだろうか?

信彦「なにやってんだたよ、光太郎、パーティー始まるぞ」
過去の信彦も、その光太郎を見て、普通に話しかけてくる。

光太郎「信彦、信彦なんだな、本当に? 改造される前の」
信彦「……熱でもあるんじゃないのか、お前?」 光太郎が元の人格の信彦と会うのは、改造手術以来、初めてのことだった。
光太郎「パーティーは中止だ。行ったら二人とも奴らに」
信彦「馬鹿言ってないで行くぞ」
光太郎「信彦、行くな、行かないでくれ! 信彦!」
このまま行けば、過去に干渉することが出来たかもしれない(と言っても、パーティーを欠席したからと言って、世紀王になる運命を背負った二人をゴルゴムが見逃す筈はなく、結果は同じことになっていただろうが)が、再びコブラ怪人が何処からともなく足軽たちの前に飛んできて、タイムマシンボックスを奪い、
自分で操作する。 ……
じゃあ、最初から自分でやれ! (当時の視聴者全員による突っ込み)

光太郎の体は再び時間の渦に引き込まれ、入れ替わりに、向こう側からその時間の光太郎が現れて、屈託のない笑顔で信彦の肩を叩く。
光太郎「ごめんごめん、待たせたな」
信彦「よし、行こうか、俺たちのパーティーに」
光太郎「うん!」
しかし、信彦、(さっきの光太郎はなんだったの?)と不思議に思わないのだろうか?

光太郎、今度は巨大な時計の文字盤の上に投げ出される。
文字盤は、ダリの絵に出てくるように、不規則な形をしていた。

当然、巨大な秒針が迫ってきて、「カリオストロの城」みたいなシーンになる。
それを飛び越えて、ふと周囲を見ると、秒針の動く先に、守少年が縛られているではないか。
守「助けてーっ!」
光太郎「守君!」

光太郎が守を助けようとすると、神出鬼没のコブラ怪人が再び出てきて、その邪魔をする。
コブラ怪人に投げられて、文字盤のふちにしがみついて、なんとか耐えていると、

なんらかの理由で時間の渦に巻き込まれて「時の亡者」となっている、様々な時代の装束をした人間たちが集まってきて、「助けてくれー」と、光太郎の足にしがみついてくる。

コブラ怪人、文字盤に掴まっている光太郎に迫り、突き落とそうとする。
この状況では変身も出来ず、光太郎、かなりのピンチであったが、ここでまたあの足軽コンビが勇を振るって文字盤の上に降りてきて、こっそり守少年を救い出そうとする。

そんなのほっとけばいいのに、コブラ怪人がそちらに気を取られている隙に、光太郎が文字盤に這い上がり、変身ポーズを決める。
このタイミングで「変身!ライダーブラック」のイントロが流れ出すのが、ゾクゾクするほどカッコイイのである。
もっとも、光太郎が変身完了すると共に、「あーあーあーあー」(コーラス)だけで曲が終わり、「BLACK ACTION」に切り替わる。

BLACKがコブラ怪人と戦っている間に、ホープとピースが守少年の鎖を断ち切り、ぎりぎりで秒針に切り刻まれるのを防ぐ。

BLACK、その秒針をへし折って、剣のように……それこそリボルケインのように、コブラ怪人の腹に突き刺してから、ライダーパンチ&キックで片付ける。

怪人の死と共に、タイムマシンボックスも壊れ、4人はタイムホールを通って光太郎たちの時代へ生還する。
光太郎「守君、大丈夫か」
守「うん!」
ピース「ありゃりゃりゃ、あんた、バッタ男?」
ホープ「俺たち、帰れなくなっちゃうぜ」
手を取り合っておろおろする二人だったが(食い物もろくにない戦国時代より、この時代のほうが良いとか言ってなかったか?)、目の前に再びタイムホールが出現したのを見て、そのまま飛び込む。
もっとも、それで彼らが元の時代に戻れたという保証はないのだが……。

当然、時間の流れも元に戻り、街は再び人々のごった返す熱気に包まれる。
キャピトラの二人も何も知らないまま、動き出す。
杏子「できたわよ、克美さん」
克美「うん! はい、ありがとう!」

杏子ちゃんの入れてくれたコーヒーを一口飲んで、
克美「うん、まずい!」 ……ま、お約束ということで。

ラスト、光太郎と一緒に父親の墓参りに来ている守。
守「ごめんなさい、お父さん、僕、甘ったれてた。でももう大丈夫、心配しないで良いよ」
何故か、すっかり立ち直って前向きな言葉を亡き父親の霊に捧げる守少年。
……でも、今回の事件で、別にそんな教訓めいたシーンは一切なかったと思うんだけどね。ひたすら、怖い目に遭っただけで。
ナレーター「南光太郎も今、戦いに過去は要らない。
戻らない昨日を求めるより、来るべき明日に希望を託して戦おうと新たな決意に燃えていた……」
文中で触れたように、今回は色々と気になる点の多いシナリオであった。
でも、こんな短い時間にこれだけ色んなイベントを詰め込んだストーリーは大変楽しく、刺激的であった。